|
「政府紙幣」導入論が浮上=副作用指摘する声も−政府・与党
政府が日銀に代わって紙幣を発行する「政府紙幣」の導入論が浮上してきた。政府紙幣を発行すれば財源を気にせず景気対策が実行できるため、推進派は「先進国で最初の不況脱却を掲げる麻生政権の切り札になる」と主張。 一方で、通貨価値の下落を通じ、物価が上昇するインフレや円安を招く「副作用」を指摘する声もある。麻生太郎首相は2日夜、「今のところそういう段階ではない」と語り、導入に消極的な見解を示した。 政府紙幣は日銀が発行する通常の紙幣と違い、政府自身が発行する「第二の紙幣」で、社会保障や失業対策に充てる案が浮上している。元財務官僚の高橋洋一東洋大教授が25兆円規模の発行を提唱、自民党の菅義偉選対副委員長が1日のテレビ番組で「非常に興味がある」と発言したことから導入論議が盛り上がりつつある。 政府の判断で機動的に発行できる半面、際限なく発行すれば円の価値が目減りする危険性もある。 高橋教授は「劇薬」と断った上で「100年に一度の経済危機には異例の対応が必要。物価上昇率が一定水準に達した時点で発行を止めれば問題ない」と主張、世界的に強まるデフレ懸念の払しょくにも効果があると説明する。 (時事ドットコム 2009/02/02-20:42) さて、これについては、毎日新聞2009年2月4日によると、 与謝野馨・経済財政担当相:「異説のたぐい。財政とか金融政策には全くなじみのない考えだ」 中川昭一財務・金融担当相:「こういう時期だからいろんな意見が出るのは当然だが、私の頭の中にはない」 日銀・白川方明総裁:「日銀の財務の健全性が損なわれ、通貨の信認が害される恐れがある。国の債務返済能力や意志に対する懸念から長期金利の上昇を招く恐れもある」 と、麻生内閣の閣僚と日銀は概ね反対している模様です。 あらためて、積極財政派、財政規律派(増税派)、上げ潮派(構造改革派)に私の分かる範囲で分類して、政府紙幣に対する評価をまとめてみますと: 積極財政派:麻生さん→消極的 財政規律派:与謝野さん→反対(なお、財政規律派の総本山たる財務省の次官も反対のようです毎日新聞 2009年2月3日) 上げ潮派:高橋さん→賛成(というより推進派) 本ブログや「国債を刷れ!」では高橋さんについてはかなり辛らつに批判してきました。 それは、 高橋さんの「積極財政は金利高→通貨高→輸入減で効かない。それが世界の常識」という主張が全くのデタラメであるからです。 高橋さんは安倍内閣の参事官として、「政府の支出を増やす積極財政はダメだ」ということで、歳出削減を推し進めて来ました。その前は高橋さんと一心同体の竹中さんが小泉内閣で。 竹中さんは、去年(2008年)の前半は、テレビの討論番組で財政拡大(積極財政)を主張する森永卓郎さんに対して、「そんな議論はありません」と鼻で笑い、 他の番組でも、同志社大学の浜矩子教授の「(財政出動による)弱者救済が必要」と発言に対しては「世界は日本が財政出動することなんて望んでいません」とせせら笑っていました。 その歳出削減路線は、例えば社会保障費を毎年2200億円削減することで、医療費の削減、地方での相次ぐ病院の閉鎖、医師不足、つまり「医療崩壊」という問題を招いています。 昨年、東京で起きた妊婦たらい回し死亡事件は、医師不足が根本原因と考えられます。つい先日起きた「14病院で16回拒否、交通事故で重傷の69歳死亡(読売新聞2月4日)」も明らかに医師不足が原因と見られます。 その根本原因は歳出削減と見て間違いありません。 歳出削減こそ、諸悪の根源です。 しかし、 政府紙幣について、高橋さんが積極的に推進されていることには、諸手を挙げて賛成です。 これは、見方を変えれば、 資金供給の増加という金融緩和と、政府支出を増やす財政出動の組み合わせの政策です。 自民党の山本一太参院議員(上げ潮派)は高橋さんの政府紙幣25兆円について、「25兆円あれば、国民一人あたり20万円ぐらい給付できる」(J-CASTニュース 2009/2/ 4)と発言したそうです。 これは、 高橋さんが「日本は財政危機ではない!」の中でケチョンケチョンにけなしていたオールド・ケインジアン(古臭い、ケインズ派)の考え方そのものの、超純粋なバラマキ政策です。 しかし、 この件に関して高橋さんの主張は全く正しいので、ここでは歳出削減を推進した「旧悪」は敢えて問わないでおきたいと思います。 高橋さんの、「物価上昇率が一定水準に達した時点で発行を止めれば問題ない」というのも、 完全に正しいと言えます。 だって、 日銀は物価上昇率(インフレ率)を見ながら金利を調整するのですが、 その金利の調整は市中への資金の供給量を調整して行うわけですから、 政府紙幣の発行量もインフレ率を見ながら調整すれば弊害なんて起こるわけもないのです。「急激なインフレ」になるから政府紙幣はダメ、と主張する方々は、日本のインフレ率が現在、世界で最低水準(「国債を刷れ!」p.35参照)であることについて、どう説明するのでしょうか? 反対の方々には、是非ともIMFのデータベースで世界中の国のインフレ率データを表示させてエクセルに貼り付け、低い順に並べ替え、自分の目で日本が何位になるか確かめて頂きたいと思うのです。''' 「世界最高峰のデフレの国」で、「急激なインフレ」を気にする必要は全くありません! それに、 「通貨の信認が損なわれる」(日銀総裁)、つまり、極端な円安になることが心配と言いますが、今問題は円高です(図表1)。 問題は、「円の信認」が強すぎることです! ただ、 「国債を刷れ!」p.96〜p.101あたりで詳しく書きましたように、 政府発行紙幣と国債の日銀引受は本質的には同じです。 日銀は、日銀が持っている国債の利息がほとんど政府にキャッシュバックされることなどから、実質的には政府の100%子会社と言えます。 よって、日銀がお札を刷って国債を買うことは、政府が紙幣を発行することと全く同じことなのです。 まず、日銀。 政府が紙幣を発行するくらいなら、日銀が頑張って国債を買えば済む話です(「間接引き受け」=国債の「買いオペ」、金融調整の範囲で)。 なので、 政府紙幣の発行は、日銀は要らないと言われているようなもので、日銀の存在意義を否定することになるため、日銀総裁が反対するのも当然と言えば当然ですね。 次に、財政規律派(増税派)。 政府が紙幣を発行して借金をチャラにしてしまえば、増税できません。 増税によって財務省の立場を強くするのが増税派・財政規律派の狙いのようですので、やはり反対。 そして、積極財政派。 前回書きましたように、 麻生内閣は、財政規律派(増税派)に支えられています。 それゆえに消費税増税も「景気が回復したら」という条件付ながら、積極的(?)に進めようとしています。 その文脈で考えると、政府紙幣には消極的にならざるを得なさそうですね(麻生さんが政府紙幣に本音から消極的なのか、成り行き上で消極的なのかは、本当のところは不明ですが)。 政府紙幣についての詳細は、 10年以上も前から延々と「政府紙幣の発行で国を救え!」という主張を続けておられます、 丹羽春喜・元大阪学院大学経済学部教授の論文「今や、救国の秘策は ただ一つあるのみ」もご参考ください。 丹羽さんは、「歳出削減」ではなく、一貫して政府紙幣での積極財政を唱え続けている方です。年季が違います。念のため^^
#ブログランキングに参加しました。ご協力、ありがとうございます! 【「国債を刷れ!」補足集】の一覧はこちらをクリック |
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]




