廣宮孝信の反「国家破産」論 ブログ

「国が財政危機と考えることこそが日本の危機」「財政黒字はむしろバブル崩壊の予兆の場合もある!」。【国債を刷れ!】著者のブログです

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#本日2本目の記事です
 ⇒1本目はこちら:http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/12944011.html


日銀「資金循環統計」08年第3四半期、つまり08年9月末についての速報値では、
個人の金融資産
1,467兆円です。(出典:http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/sj/sjexp.pdf)

08年3月末(=07年度末)の
1,490兆円 (→「国債を刷れ!」の【図表1】に出てきた数値)
と比べると23兆円減少しています。

ところで、先日「国債を刷れ!」を読んだ知人から、
「でも、個人金融資産1,490兆円とか、1,467兆円と言っても、これは最近の金融危機で価値が損なわれて、本当はもっと少ないのではないのでしょうか?」

と質問を受けました。


資金循環統計の数値は基本的には時価評価なので、
「最近の金融危機で価値が損なわれた」分も基本的には反映されています。

日銀の「資金循環統計の解説(2005年11月作成)」のp.10では、
3.計上方法の変更
(1)時価評価の対象範囲の拡大
93SNAベースでは、時価評価の対象(注6)を債券や貸出、
非公開株式にも拡大。
(注6)68SNAベースでは、株式のみを時価評価していた。
と説明されています(93SNAベースへの変更は1999年)。

なお、1999年の「時価評価の対象範囲」が拡大する前(68SNA)と拡大後(93SNA)の差異は下のグラフのようになります(上記資料の同じくp.10に記載)
イメージ 1



ということで、
ここで改めて「国債を刷れ!」の【図表2】と同じグラフを見てみたいと思います。
(出典:日銀「資金循環統計」。GDPは内閣府「国民経済計算」)
イメージ 2


政府の純負債が勢い良く伸びていますが、
政府以外(≒民間)の純資産は更に勢い良く伸びています。

「国債を刷れ!」では、明示的に説明しておりませんでしたが、
↑【図表2】は時価評価した上でのグラフなんだねー、
改めて日本の凄さを実感して頂きたく思います!

(「国債を刷れ!」では「個人」については株式が90年と比べて33兆円も減っているのに金融資産全体では464兆円も増えている、としか書いておらず、「時価評価」していることを臭わせる程度の弱い表現でした。すみません)

民間の純資産と政府の純負債との差額が、国全体の純資産(対外純資産に相当する概念)ですが、

これがまた、08年3月時点では282兆円だったのが、
08年9月には20兆円弱増えて300兆円になっています(上記速報値資料の「対外債権630兆円−対外債務330兆円」で計算)。

ただ、その後の急激な円高(つまり海外通貨の下落)で、対外債権が減り、よって国全体の純資産は多少目減りしているかもしれません。

が、参考までに、史上最高の円高(1ドル=79円)を記録した95年度でも、国全体の純資産は実は、目減りしていません(下図、赤点線参照)
(出典:日銀「資金循環統計」)
イメージ 3


17年連続で「対外純資産世界最大」を続けているというのはやはり「とてつもない」ことでしょう。


なお、上記の「純資産」とは、土地や建物など有形資産は含みません。金融資産のみです。



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今日の日経新聞朝刊1面に

日銀の「国債買い取り1.8兆円に増額」(月額)

という記事が載っていました。

この毎月の買い取り額の変遷は、3面に図1のようなグラフが:




図1 日銀の国債買い取り額(月次ベース)
イメージ 1




さて、これを見て私、「はてな?」と思いました。

というのは、上の図だと、06年3月に「量的緩和」が解除されたあとも、月次の国債買い取り額が減っていないからです。

さて、下の図2に日銀の「財務諸表等」を元にした日銀の国債保有残高の推移を示します:




図2 日銀の国債保有残高と「発行銀行券」残高の推移
イメージ 2




これを見ると、

国債保有残高は04年3月に100兆円のピークを打ち、

量的緩和が解除された2006年3月以降は急速に減り、

最新のデータ(09年3月10日現在)では64兆円にまで減ってきています。


ところで、図1を見ると04年以降、月次の国債買い取り額は減っていません!

ということは、「国債買い取り額(月次)」と実際の「国債保有残高」とは無関係、ということになりますね!

また、「量的緩和」をしていた間は「国債を刷れ!」p.219の【図表69】に示したように
「国内銀行貸出約定平均金利」が低下し、「量的緩和」解除後は再び上昇に転じています(下図)。
(なお、「量的緩和」については「国債を刷れ!」p.219あたりで詳細に解説しております)
イメージ 3


以上を整理すると、
・「国債買い取り額(月次)」を増やしたからといって、金利水準が低くなるわけではない。
・「国債保有残高」が高い水準で推移していた「量的緩和」の時期は、金利が下がっていた。

ということになります。

さて、もう一つ、国債保有残高について、日経記事(3面)では次のような内容が
内部ルール維持

日銀には保有する長期国債の残高を、
自らが発行し市中に出回る日銀券(お札)の発行残高以下に抑える
という内部ルールがある。

現在は、長期国債保有残高は44兆円で、
日銀券残高は76兆円。
約30兆円の余裕があるが、月1兆8千億円を買い続ければ単純計算では1年で約21兆円になる。

白川総裁も「数年で上限に近づく可能性が高い」とした上で「ルールを見直す考えはない」と明言した

ここで、改めて図2を見ますと、国債保有残高が100兆円になっていた04年3月は、
銀行券残高が71兆円なので

一見すると国債保有残高が銀行券残高を30兆円上回っています。

が、しかし、長期国債(日銀の財務諸表等を見ると、2年物以上のものを指すようです)はこのとき65兆円で、短期が34兆円ということで、

長期国債だけをみると日銀券ルールは守られています。


つまり、

長期国債については約30兆円の余裕しかありませんが、

・短期国債(政府短期証券、短期割引国債など)については「内部ルール」の変更がなくても、
 機動的に増やせる(ピーク時の33兆円に対して最新は20兆円で13兆円小さい)

・日銀券の発行残高を増やせば、長期国債の買取限度も増やせる
 (日銀券は1990年が大体30兆円くらいで、2009年現在が76兆円、19年間で46兆円増えています)

ということになります。


白川総裁は
今回の措置は「あくまで金融調節上の必要性に基づく」と説明、
政府の財政出動との関係を強く否定した。
(同 日経3面の記事)
とのことです。


つまり、
追加経済対策⇒国債増発をにらんで日銀が国債の受け皿になる、
という意味あいでの買い取り額増額ではなく、

あくまでも、
金融調節(資金供給を増減させて国債に限らず市場全般の金利を調整する)の一貫ですよ、
とのこと。


まあ、金融調節の名目であれ、なんであれ、

政府が国債を増発しても、

市中の金利が暴騰したりしないように、

上に書いたように「機動的」に短期国債の保有を増やしたり、日銀券を増発したりしてもらえれば、

まったく文句はありません。


実際、量的緩和の時はそれをしっかりやっていましたね^^。


と考えると、「国債を刷れ!」の第2章で「日銀がなかなか国債を買いたがらない」と日銀に対して批判的な論調で書いてしまいましたが、批判し過ぎではなかったと反省しています。スミマセン^^;。
(「問題は日銀の金融緩和が足りなかったというよりは、政府が支出を減らしていたこと」、のような話は第4章で書きましたが^^)

ただ、日銀の意図・メッセージというのは、
このように、よくよく詳しく見てみないと、なかなか正確には分からないですね。
この分かりにくさは、この危機的状況においては問題と言えそうです。


私は現在のところ日銀の政策にはかなり肯定的ですが、

いざ機動的な対応がどうしても必要な状況となれば、
やはり、政府紙幣の発行の必要性も出てくるだろうと思います。

⇒というのは、政府紙幣発行なら国債(=国の借金)を増やさないので、誰から見ても分かり易いという観点で。

ただ、やはり、「政府紙幣の発行はインフレ率3%以下の時に限る」など一定のブレーキとなる法律も規定すべきですね。



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