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上図左:沖縄県の宮脇書店 南風原店 なお、上図右は東京の丸善 丸の内本店です。「国債を刷れ!」の「解説」を書いてくださった三橋さんの新刊【崩壊する世界 繁栄する日本】と隣り合わせになっております^^ さて、本題です。 日経新聞09年3月21日の1面に次のような記事がありました: FRB議長 自己資本規制「見直しを」
FRBのバーナンキ議長は…「政策当局者は既存の自己資本ルールや会計基準を見直すべきだ」と述べ、金融機関の自己資本比率規制や時価会計ルールを再検討する必要があるとの考えを示した。 (中略) 時価会計や自己資本比率規制については、景気変動を増幅させるとして金融当局の間で見直し論議が進んでいる。 同議長の発言は、 景気拡大期には金融機関に多額の自己資本の積み増しを求め、 景気後退期には資本規制を緩める「可変的規制」が念頭にあるとみられる。 時価会計というのは 企業の財務諸表上で、資産や負債を時価が分かるものはできるだけ時価で評価して決算に反映させる会計のあり方です。 この時価会計は、ごくごく簡単に言ってしうと、 本当はヤバい会社が、実際にヤバいと判断するための材料を、早めに投資家や債権者に提供する(=適切な情報開示) ⇒投資家や債権者が安心して投資or貸し出しを行う環境を作る という観点で、近年、導入が進んで来ました(時価評価を適用する範囲が拡大されて来ました) これは、 景気が良いときには、個別の企業について適切な「投資情報」が得られると言えるので、ミクロの面では基本的には良いと言えそうなのですが… 世の中全体の景気が悪いときは 景気悪化⇒資産の時価が低下⇒決算数値の悪化 ⇒株価下落や格付け低下により借入金の金利上昇or借金そのものが出来ない ⇒リストラ、賃金カット、コストダウン ⇒更なる景気悪化⇒更なる資産の時価が低下… と、マクロの面では、必要以上に信用収縮を加速度的に拡大することで、 経済全体に悪影響を及ぼす側面があります。 また、 景気拡大局面では景気悪化のときとは逆に、 景気拡大⇒資産価値の上昇⇒決算数値が良くなる⇒株価上昇… のように、バブルを助長する側面もあります。 もっと言うと、そもそも「時価」というものは目安に過ぎないと言うことをしっかり認識すべきだと考えます。 というのは、 たとえば、トヨタ自動車の株価は09/3/19終値で一株 2,965円です。 そしてこのときの時価総額は 約10兆円 となっています。 しかし、仮にトヨタの株主の全員が突如「トヨタ株を売りたい!」 と思って全ての持ち株を売りにだしたら、この時価総額はいくらになるでしょうか? 極端な話、ゼロ円になります。 株主全員が投売りをしている状況では、他の投資家は「何があったんだ?」と疑心暗鬼になり、 まずトヨタ株は買いませんので、そんな場合は値段が付かなくなるからです。 もちろん、こんなことになる確率は極めて低いですが、まったくのゼロということもないわけです。 つまり、時価とか時価総額とか言ったものは、目安に過ぎません! なんでも時価評価する、というのはこのような問題点を含んでいることに注意する必要があるのです。 さて、 「時価会計」が盛んになってきた背景には、 欧米(特に英国や米国)では製造業が衰退し、金融業が産業の中心になってきたことにあるとされています。 というのは、 製造業は機械設備など時価で評価するのは適切でない資産の割合が大きい のですが、 金融業は総資産のうち時価評価できる資産の割合が大きい だから、 金融業の比重が大きいからには、時価評価の範囲を拡大すべし といった具合です。 日本の会計基準でも、この数年で時価評価される範囲がどんどん拡大しては来ているのですが、 欧米で採用されているものに比べると、その範囲は小さく抑えられてきていました。 とは言え、 「国際標準に合わせないと、海外の投資家が安心して日本に投資できない」というような理由で、 日本の会計基準も「国際標準」に整合するように段階的に変更されていくことになっているようです。 (「国際標準」については、↓こちらに簡単にまとめてくれている資料がありますので、 ご参考まで ⇒富士通総研http://jp.fujitsu.com/about/journal/consult/accountant/serise01/001.shtml ) でも、 どちらかというと製造業が強い日本の会計基準を、 金融業が強い欧米流にどうしてても合わせて行かなければならないかどうか、 その辺りは私は疑問があります。 それに、 個人の預貯金の保有量が世界最大であり、かつ、17年連続対外純資産世界最大である日本が、なぜわざわざ海外からの投資に依存しなければならないのか、 という問題もあります。 なんでもかんでも国際標準にしてしまえ、という話には、思わず 「欧米か?」 とツッコミを入れたくなりますね^^。 さて、冒頭の記事では 事前配布された講演テキストによると、議長は時価会計見直しに関連して、
米財務会計基準審議会(FASB)が指針を示していることについて 「喜ばしいことだ」と指摘した ともありました。 現在「デフレ不況」である米国では バーナンキさんが2003年に来日した際に示した日本のデフレを終わらせるための処方箋 日本におけるデフレを収束させるための、
一つの可能性のあるアプローチとしては、 通貨当局と財政当局が… より大規模な共同行動を取ることである。 具体的には、 日銀が、現在よりももっと政府債務(国債)の購入(引受け) を増やすのと連動して、政府は減税または財政出動をすることが望ましい。 つまり、 米政府による積極財政とFRBによる3,000億ドル(約30兆円)の国債買い入れ表明 ですが、 これに加えて、 上記の時価会計見直しや自己資本規制の見直し のような対策もどんどん実行されて行くというのは、日本を含む世界経済にとって非常に好ましいことではなかろうかと思われます。 それにしても、 金融立国の国の中央銀行のトップであるバーナンキさんが 時価会計の見直しを提言するというのは、 弁護士出身のオバマ大統領が著書『合衆国再生』で 「この国で弁護士の数が減り、技術者の数が増えることを願っている。」 と語っているのと同じくらい、興味深いことのように思われます。 なお、自己資本規制については、 不況⇒貸し倒れ増加⇒銀行の自己資本減少⇒自己資本比率低下 ⇒自己資本比率低下を抑えるため、「リスクアセット」である民間企業や個人への貸し出しを縮小(貸し渋り、貸しはがし)⇒不況促進 と言う構図があります。銀行の自己資本については、また後日「不良債権処理」と絡めて書いてみたいと思います。 最後に、ちょっと付け足しですが 景気後退期には資本規制を緩める「可変的規制」が念頭 というバーナンキさんの柔軟な発想は面白いですね。このような「第三の道」的な思考の巡らせ方は、私は個人的に大好きです^^。 日本は国際標準に無理に合わせるのではなくて、日本の国力を最大限に引き出す日本独自の対策を打つことによってこそ、最大限に世界に貢献すべし!と思われた方は、こちらのリンクのクリックを↓https://blog.with2.net/in.php?751771ブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!! |
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2009年03月22日
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