廣宮孝信の反「国家破産」論 ブログ

「国が財政危機と考えることこそが日本の危機」「財政黒字はむしろバブル崩壊の予兆の場合もある!」。【国債を刷れ!】著者のブログです

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GM破綻 【2】

困った顔

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【1】
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/18035410.html
からの続きです。


今回のGM破たん処理は、実質国有化の救済措置ですので、

「こんな国による救済はインチキだ!自由競争を阻害する!日本メーカーは一方的に不利だ!」

といえば、確かにその通りかも知れません。

しかし、一方で、

日本の自動車産業は、1950年代、
あまりの脆弱さゆえに「国産自動車メーカー不要論」まで沸き起こるなかで、

国策として、

税制上の優遇措置、政府系金融機関からの優先的融資、自動車の輸入禁止措置

といった、保護された状態の中で、なんとか育ってきたことを忘れてはなりません。

確かに、できるだけ自由競争であったほうが望ましいとは思いますが、

現実は、
最後は国全体の競争になると考えておいた方が間違いはないと思います。

日経ビジネス 09/03/16号で、こんな記事があります。

「我々は、トヨタ自動車を超える」

そう言って憚らない男がいる。

ヘンリク・フィスカー

かつて独BMWや英アストンマーチンでボンドカーを生み出した天才デザイナーだ。

そして2年前、米カリフォルニア州に電気自動車メーカー、フィスカー・オートモーティブを設立し、CEOとなった。

今年11月にハイブリッドスポーツカー「カルマ」を納車する予定だ。

元副大統領アル・ゴアは、このクルマにほれ込んでいる

パートナーを務めるファンドを通してフィスカーに出資し、8万7900ドル(約860万円)するクルマを早々に注文した。

そのゴアは、オバマ支援者の一人として知られ、環境政策に影響を与えている。

で、そのフィスカー・オートモーティブ

設立からわずか2年で、ハイブリッドカーのような技術力の必要な製品をどうやって作ったかと言うと

実は、核となる技術が、国家から提供されている。

米政府が軍事目的で研究したドライブトレインを、そのまま利用しているのだ
とのこと。

ちなみに、冒頭AFP記事の写真は、そのフィスカーの「カルマ」です。


さてさて、
よくよく考えれば、

コンピューターの発明は米軍のミサイルの軌道計算

インターネットの発明も米軍の情報通信システム開発

と、軍事部門、公的部門から出てきた技術です。


政府によるGMへの資本注入を「社会主義だ!」と批判することは簡単ですが…

オバマさんは著書「合衆国再生」の中で、
コスト削減と政府の縮小だけではアメリカは中国やインドとは競争できない
と書いています。

↑この文章、「アメリカ」を「日本」に置き換えても、普通に成り立つと思いますが、いかがでしょうか?

「どんなときも、自由競争だ!新自由主義万歳!!!国の借金返済が優先!!!!なんて寝言を言ってる間に、技術的にアメリカに大差を付けられてしまったら、誰かちゃんと責任取ってくれるのかなぁ…???」と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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GM破綻 【1】

困った顔

「ニュースサイトの転載」はサービス終了になりました。


ついに、正式に破綻処理の運びとなりましたね…

ということで、本日は、

GMが破綻に至るまでの財務諸表

事業規模が同じくらいのトヨタと比較しながら、簡単に振り返っておきたいと思います。

ソースは、米国ヤフーファイナンスです。
GM:http://finance.yahoo.com/q/bs?s=GM&annual
トヨタ:http://finance.yahoo.com/q/bs?s=TM&annual

↑これらのリンクはどちらも貸借対照表ですが、
 画面左のメニューの下のほう、「Income Statement」
 損益計算書も閲覧できます

なお、
以下、数字のイメージを付けやすくするために、

全部、1ドル=100円で円標記しています。

(数字の変化はドル建ての動きになりますが、イメージとして円で見たいため)


まずは、
貸借対照表(バランス・シート)

イメージ 1


GM、なんと06年から「債務超過」

つまり、資産よりも負債が大きい状態です。


なお、このバランス・シートは、

当ブログや「国債を刷れ!」でよく出てきている、

日銀の資金循環統計を元にした「国のバランスシート」
とは異なり

固定資産が計上されています。


GMの場合、08年の9兆円の資産のうち、約半分の4.2兆円

Property Plant and Equipment

すなわち、

不動産、工場、機械装置

です。

そして、
06年→08年にかけて、
みるみるうちに資産が減り、

純資産のマイナス(=純負債)が膨らんで行っていた様子が分かります。


今回の08年金融危機以前から、GMは危機だったのですね。


つぎに、
上のGMとは対照的な、

トヨタのバランス・シートを見てみましょう。

イメージ 2


トヨタは、
GMと違って、資産、純資産が右肩上がりになっていますね。

と言っても、あくまでもとりあえずは08年度までですが

(なお、上記のGMとトヨタは、決算期が3ヶ月ズレています。
 厳密には同時期の比較ではありません。念のため)



ついでながら、
損益計算書も見ておきましょう

イメージ 3


イメージ 4



GMは売上が急降下、トヨタは逆に急上昇していました(くどいようですが、08年度までは)。


GMがここまで凋落してしまったのはなぜかというと、

とりあえず、こういうことがあるようですね:

ガソリン高が進むなかでの小型車シフトが課題だったが、

利幅が大きい大型車の投入や金融事業に頼り変化の芽を自ら摘んだ

(日経新聞 09年6月2日 1面)

常に「カイゼン」を続けてきたトヨタとは正に対照的と言えそうです。

ただ、今回の金融危機で経営難に直面するまでは、当のトヨタ

特に北米の販売が絶好調であったために、

日本国内市場向けの商品開発は、お座なりになっていたそうです。

そして、
今やGMの1.8倍にもなる売上高規模の巨大企業になったトヨタは、
規模が大き過ぎることによる組織の硬直化
乗り越えられるかどうかが課題になってくるでしょうね。

逆に言えば、
このような危機の時こそ、改めてカイゼンの大切さを認識し直す絶好の機会であろうと思いますが。



まあ、それはそれとしまして、

「国債を刷れ!」の中で、

仮にトヨタが破綻した場合、世の中全体のおカネがどうなるかという話を書きました。

CDSとか色々ややこしいものがあるけれど、
結局は、損する人と得する人が両方いて、マクロで見れば差引きゼロになる

のように書きました。

今回は、

仮に、ではなく、実際にGMが破綻しましたので、

できるだけ実際の数字に近い数字を用意して、
「差引きゼロ」を確認してみたいと思います。


今回、

・米国政府は500億ドルをGMに出資するそうです(日経09年6月2日朝刊1面)

'''・債権者は50%の債務を放棄するらしいです(冒頭AFP記事)

・CDS(この場合は、GMが破綻したときの貸し倒れ保証)
 の清算は、意外と小さく、2100億円程度と見られているそうです。
 (ロイター 09/06/01)
 http://jp.reuters.com/article/foreignExchNews/idJPnTK029085820090601

・GMのCDSの保証料率というのが、べらぼうに高く
 昨年7月の時点では、
 5年契約で、保証金額の37%+年5%

 「これは債務1000万ドルに対する保証料が370万ドルで、
  他に年50万ドルのプレミアムを支払うことを意味する。」
 (ロイター 09/07/03)
 http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-32556220080703

 そもそも、06年には債務超過になっていたのですからGMのCDSプレミアムは
 前々から相当に高かったはずですね。

 ここでは、過去の契約を含めて、とりあえず平均30%くらいで見ておきましょう。

ということで、まとめると、下図のようになります:

イメージ 6



CDSの清算大きくなっても、小さくなっても、

誰かが損をした分、他の誰かが得をする構図変化はないので、

マクロでの変化は±0

です。


まあ、マクロでは±ゼロとは言え、
とりあえず心配なのは
GMのサプライヤーのうち、日本企業がどのような影響を受けるか
(端的に言えば、売掛金を回収できるかどうか)ですね。


イメージ 5

(出典:日経新聞 09/06/02 朝刊6面)


それについては、

投資家向けの社債などの債権と、

事業者向けの売掛債権とは、

まったく別の対応がなされるので、大丈夫なようですね。


「矢崎総業やブリヂストンなどはすでに
 米政府が準備していたGM向け債権保証制度に申請済みだ」
(出典:上表に同じ)

金額規模でみても、

投資家向けは、上位3者だけでも、GM全体の負債の1/4以上を占めますが、

事業者向けは、上位10位を合計しても、ごくわずかです。



米国政府としては、これからも、規模を3割程度縮小するとは言え、

GMには事業を継続させる方針なわけですから、

サプライヤーへの保証は金額も小さいことから、当然と言えば当然と言えそうですね^^。

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