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音楽記事を書くのも久しぶり。久しぶりついでにこの書庫を開けて見よう!もう埃が被ってるかもな?(苦笑) 埃と蜘蛛の巣を払いながら何を取り上げようかなと考えた。。。一番最初に書いた60年代のR&B記事、私のアイドル、オーティス・レディングのライヴ盤だった。。。 その彼がアイドルとして崇めたソウル、R&Bの神様サム・クック。今夜は彼の伝説のライヴ盤『ハーレム・スクエア・クラヴ1963』を紹介しようと思う。 冷え冷えとした部屋をホットに暖めるサム・クックの熱唱に心の芯まで熱くなる。。。そんな1枚 出来ればターンテーブルに回る黒いビニール盤を眺めながら噛み締めるように味わいたい歌なんだけどねぇ。。。そういったアナログな環境を残念ながら持ち合わせないんで そうでなきゃいっそラジオで聴きたいような気もしないでもないけど。Mr.DJレコードをかけ続けてくれ!だって最高に楽しいんだからさ。。。雰囲気としてはそんな1枚(^^ 大好きなオーティスの影響で聴いたサム・クック。彼の歌声を最初に聴いた時はちょっと拍子抜け? 「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」や「チェイン・ギャング」などなど。。。オーティスは実に多くのサムの名曲をレパートリーにしていたわけだけど(何曲あるだろう?ってぐらい) パワフルで愚直で泥臭い機関車みたいなオーティスの歌唱に比べ、グッド・オールディーズをスマートに唄う白人シンガーの如く洗練された立ち振る舞いを身に纏ったサムの唄は当時の私の心には響かなかった 自分が想像したシャウター・タイプの熱きソウル・マンのイメージからあまりにかけ離れていたんだな、このライヴを聴くまでは。。。 当時聴いたスタジオ盤のベストも悪くはなかったんだけど偉大なる”オーティス・レディング”が偶像視するような偉大なソウル・マンとはどうしても思えなかったんだなぁ オリジナルを聴いてみたかった超名曲「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」や「シェイク」が残念ながら入ってなかったってのもあったかもしれない。 伝説に期待膨らませて60年代後半のエルヴィスに幻滅するのと似た感じかも。。。 サムの歌唱にしろ彼の創る歌にしろどこか白人におもねるような部分があったんじゃないかと思う。それは決して逃げや媚じゃなく多分彼にとっては挑戦だったんだろうね 後にベリー・ゴーディーがモータウンで実践した白人のヒット・チャートを席捲するR&Bの大いなる指針になったんじゃないかな? 彼の洗練されたパフォーマンス、歌声、ラジオから流れる甘いメロディそれは大衆に受け入れられるポップ・ミュージックでありR&Bであったわけだけど ソウルとポップスどちらからも愛され、どちらからも愛されてる実感が持てなかったのかも。きっとアーティストとして人間としてのジレンマがあったんじゃないかな? マルコムXとも近しく、後に黒人公民権運動にアプローチしようとしてたなんて話を聞くと黒人として白人に認められたいという貪欲さがあったんだろうと思う その為に身に付けた洗練された身のこなしや音楽的なスタイルはそういった面で妥協や苦心の産物だったのかも? そんな引き裂かれた難しい世界に自ら進んで身を投げ出しもがきながら進み続けた過激な精神が彼のシンプルな唄になんともいえない複雑な陰影を与えてるような気も。。。 サム・クックはデルタ・ブルーズ発祥の地ミシシッピーで牧師の子として信仰心厚く育てられ(マーヴィン・ゲイも牧師の子だったね)幼い頃からゴスペルに触れ 神に捧げる愛情と歓喜を歌に託すゴスペルの感覚と、悪魔と膝を突き合わせて安酒場で女を抱いてブルーズに興じる感覚を混沌として享受し日常の生活感覚の中で消化しながらロマンチックな夢を見る。。。 二律背反する心を抱えたミュージシャンは多いがサム・クックも間違いなくそんなミュージシャンの一人といえるだろう ゴスペルとブルーズに引き裂かれ、いろんなものを抱えて混乱しながら高速で走り続け、その狭間で揺れる生き急いだ人間の弱さを彼の繊細な歌声やメロディから感じる 光の中に闇はあり、その逆もまた然り。二つは等価値でお互いの存在を補い合っている。サムの歌がシンプルなオールディーズに収まらないのは潜在的にそんな複雑な輝きを内奥しながら放っているからなのかも ここで聴かれるサム・クックの熱くパワフルなパフォーマンスはそんな余計な考えを及ばすこと無く彼のソウルに、そしてバンドのビートに酔えば良いのだと思う。 バックを務めるのはロック・ファンにはジョン・レノンの『イマジン』の中で「イッツ・ソー・ハード」や「兵隊にはなりたくない」でのサキソフォンの演奏を思い出すことが出来るだろう キング・カーティスと彼が率いるキング・カーティス・バンドごきげんな演奏を聴かせてくれる♪ ジョンといえば彼が『ロックンロール』でカヴァーした「悲しき叫び(ブリング・イット・オン・ホーム)」もこのライヴで歌われている こちらはスタジオ・テイク「悲しき叫び(Bring It on Home to Me)」 スタジオ盤での洗練されたポップで繊細な歌声と甘いメロディ。。。別人のように激しいこのアルバムでの熱唱のギャップ。。。 それはこのアルバムに先立ち発表されていたコパでのライヴ盤で聴ける白人聴衆に向けて唄う洗練された佇まいの黒人ポップ歌手としての華麗なステージングとも全く違う ハーレムスクエアのど真ん中で同胞の熱気に囲まれながら解放されたプリミティヴな自身を発見したかの如く、根源的な欲求とほとばしるソウルと情熱が渦巻いてる掛け値なしに素晴らしいステージだ 「パーティーを開こう(HavingAParty)」のなんとも言えない切ない空気感はなんなんだろう?熱いシャウトにパーティーで音楽に合わせて愛しいあの娘とスウィングする。。。 どこにも悲しさなんてありゃしないのに、もっと陽気な歌であって良いはずなのに。。。そのメロディは心地よいリズムに揺れながら憂いを帯びている。。。 ラジオのDJにレコードをずっとかけ続けてくれ!というリクエストは祈りにも似た懇願のようにも聴こえる 彼はパーティーが終わったあとの寂しさを知ってるのだ。多分みんなに笑ってみせる明るく爽やかな笑顔の下で涙を流してるのだ。(スモーキー・ロビンソンの歌の主人公のように) だからツイストで踊り明かして一人になりたくない僕を見捨てないで!と叫んで懇願するのだ。。。 出だしの「フィール・イット」アップなナンバーから入るがまだ客席もサムも十分に暖まっていないような感じでゆっくり走り出す、ライヴの始まりの高揚感とも違うてさぐりの緊張感のようなものがある 続くのはお馴染み「チェイン・ギャング」ギターの軽やかなカッティング・ストロークに乗せてバンドにもサムにもエンジンがかかり始める、スタジオ盤では感じられないワイルドで熱い歌唱 客席とのコール&レスポンスも織り交ぜつつ、続くソウルフルなポップ・ナンバー「キューピッド」で伸びやかなサムのヴォーカルとキング・カーティスのホーンが絡む 1曲が終わるごとにステージ上のサムも観客席もどんどん熱気を帯びていくところで「イッツ・オール・ライト」からこのアルバムで唯一サムの自作曲では無い「センチメンタル・リーズン」のバラード・メドレーへ 火がついたサムのパフォーマンスはこうなったらもう止まらない。自作のソウル・バラードから有名なスタンダード・ナンバーまで自分色に染めて観客席も巻き込んでの大合唱最高の雰囲気だ! そして待ってました!とばかりの「ツイストで踊りあかそう(Twisti'n the Night Away)」 サムの代表曲の一つでご存知の方も多いであろうアップなシャッフル・ナンバー キング・カーティスの強烈なブロウの効いたソロも格好良すぎる、サムのソウル・フィーリングに溢れた激しいシャウトも文句ナシ!ツイストに揺れる客席が目に浮かぶようだ 「誰かが憐れみを」グンとブルージーにゴスペルタッチなR&B。もうここでエンジンは高速回転に入ってるので少々スローなリズムになってもバンドは熱気で溶解寸前のような熱い演奏を聴かせてくれる こうなったら誰も止められない。。。 続く「悲しき叫び(Bring It on Home to Me)」に入る前に少し長めのヴァース・パートを付け足してお馴染みの3連のソウル・バラードの超名曲が始まる さきにも触れたジョンレノンのカヴァーで知る人も多いであろうソウルの傑作バラードなのだがもうここでのサムのヴォーカルは洒落にならない もう鳥肌もの!バンドの重厚でホットな演奏もあいまって間違いなくこのライヴのハイライトになってる 客席との掛け合い、サムのソウルフルなシャウト、バンドの演奏全てが完璧!!! そしてその熱気も覚めやらない曲間の繋ぎを挟んで「ナッシング・キャン・チェンジ・ディス・ラヴ」へ。これまた名曲だ。サムとキング・カーティスのパフォーマンスの掛け合いも秀逸 そして熱気に包まれる中先にも触れた終わらないパーティーへの楽しい時間を永遠に祈るパーティー・ソウルの傑作。ラスト・ナンバーの「パーティーを開こう(Having A Party)」 跳ねるバンドの演奏、客席もみんな踊り歌ってる、サムも笑ってるそして永遠にこの時間が終わらないことをみんなが祈りながらサムがステージを去っていく。。。大勢の歓声に包まれて。。。 なんだろう?うまく説明出来ないけどこの曲が大好きだ。これを聴くといつも楽しくてそして悲しい気持ちになってしまう。人の心をいろんな形で揺さぶる偉大な曲だ。。。 これもスタジオ盤ですが「パーティーを開こう(Having A Party)」 サム・クックはこのライヴからほどなくして彼のパーティーを終わらせてしまった。多くのブルーズ・マンやソウル・マンが辿った悲しい結末で。。。 願わくばこの先ずっと誰かがどこかでこの歌を唄い、そしてこの歌を聴きパーティーを終わらせないことを祈りたい。 終わることなく流れるこの曲に合わせて素敵なベイビーと踊りながら。。。人生の”今この瞬間”を精一杯楽しんで欲しい LIVE AT THE HARLEM SQUARE CLUB,1963 /SAM COOKE 01.Feel It 02.Chain Gang 03.Cupid 04.It's All Right〜 For Sentimental Reasons 05.Twisti'n The Night Away 06.Somebody Have Mercy 07.Bring It On Home To Me 08.Nothing Can Change This Love 09.Having A Party /1963年(アルバムが発売されたのは20年後1985年が初出)
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