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先週の土曜日だったかな?ぼーっと見ていたテレビから耳に馴染んだ懐かしいメロディが流れてきた。。。聴いたことが無い方がもし居たら是非聴いて欲しい。。。素晴らしい曲だと思う。 見ていたドラマは各週ごとに主人公が変わる、人生をサッカーになぞらえたオムニバスで主人公が死に直面した際、人生の最後に与えられた”ロスタイム”をいかに過ごすのか? そんな興味深いプロットのもと、主人公には必ず死という現実が最期に訪れるという難しい状況上、ドラマとして必ずしも成功してるとは言いがたい部分もあって・・・突っ込みどころは多々あるんだけど。。。 ”死”を扱ったエンターテイメントとしては毎週見てるわけではないけどそれなりに面白いものになってるんじゃないかな?と思う 毎回なんらかのアクシデントによって”死”を迎える主人公が残された人生の”ロスタイム”をどう生き切るか?というのがテーマでこの日の回はココリコの田中直樹が主役 オーディションに落ち続ける売れない役者で、遊園地のヒーロー・ショーのアトラクションの悪役が唯一の仕事。一緒に暮らす恋人からも夢をあきらめて”ささやかな幸せな生活”を送れる現実を求められている。 そんな冴えない30男の主人公は限られたわずかな時間の中で役者として輝き、生きた証をなんとか残そうと奔走するのだが。。。 ドラマのラスト、タイムアップの笛が鳴る時間が刻々と迫る中、遊園地で夜のメリーゴーランドの輝く前で恋人と心が通じ合う幸福感に溢れた感動的な場面で流れてきたのが冒頭に話した曲「シーズン・オブ・ラブ」 1996年オフ・ブロードウェイで初演された”レント”というロック・ミュージカルで使われていた曲でゴスペル仕立ての美しい名曲だ。 ”525600分の愛しい瞬間。この一年をどうやって計ることが出来るだろう?ひとりの女、ひとりの男の人生をどうやって計ることが出来るのだろう?” このドラマのラストにこの曲を使いたかった製作者の気持ちは良く判る。。。 ”レント”はオフブロードウェイでの初演以来舞台をブロードウェイに場所を変え、現在も上演されているミュージカルとしては『オペラ座の怪人』につぐ史上第2位のロングラン 歴代のブロードウェイミュージカルでも第7位のロングランという超メガヒットミュージカルで世界中に”レントヘッド”(デッドヘッズみたいだね笑)と呼ばれる熱狂的なファンを持っているらしい。 プッチーニの歌劇『ラ・ボエーム』を下敷きに舞台をパリから現代のNYのイーストヴィレッジに置き換えてそこで暮らす今は亡きボヘミアン達の群像劇となっていて 現代らしくエイズ問題、ドラッグ問題とそれにまつわる死について真正面から向き合い、愛と友情、人生を描いた当時のブロードウェイではかなり画期的な作品だったようだ。 まぁ私のブロードウェイミュージカルに関する知識なんてほぼないに等しいんで少し調べましたが(^^;詳しいところは突っ込まないでください。。。 このミュージカルの原作、脚本、作詞、作曲とほぼ一人で創り上げた創造主がジョナサン・ラーソン。いまや神話の中にいる伝説のミュージカル作家だ。 彼の実体験に基ずいた自伝的要素も含むこのミュージカルが世界中を熱狂させるのは彼自身の伝説的で劇的な生涯が一つの原因になってると見て間違いないだろう。 私自身もこのミュージカルに関わる彼のエピソードを知らなければこのミュージカルに興味を持つことは多分なかったのではないだろうか? ジョナサン・ラーソンはミュージカルの世界に憧れながら成功の道は開かれず、レストランで皿洗いのバイトなどしながらチャンスを待つよくある作家の卵の一人だった ここに出てくるヤク中のミュージシャンや同性愛者、芸術家などは彼自身と彼の友人たちがモデルにされてるという。HIV陽性反応の人間が数名、エイズに感染して死に至った人間もいるようだ。。。 レント”RENT”とは賃貸とか家賃を意味する。家賃も払えない極貧の中で過ごしたボヘミアン達。そして人生という場所で精一杯日々生きる芸術家への共鳴を表明してるのだと思う 彼は最初の構想から7年に渡りこの為に曲を300曲も創り選りすぐりの40曲余りをこのミュージカルの為に用意した。 オフブロードウェイでの上演にようやく漕ぎつけプレビュー公演の初日を迎える前日。さぁこれからだ!というまさにその時。。。リハーサルを終えて自宅に戻った彼を待っていたのは突然の死だった。。。 胸部大動脈瘤の破裂で彼は35歳の生涯を終える。。。このミュージカルの大成功をその目で見届けることもそして今に至るまで愛される一本の偉大なミュージカルへの共感を肌で感じることもなく死んでいったのだ。 まるで映画みたいな出来すぎた話だが一人の芸術家に起きた紛れも無い事実だ。でも私はこうも思う。彼は彼の人生を多分生き切ったのだと思う。そして彼には光が見えていたんだと思う。 彼は偉大な物語と音楽を生み出した実感と手応えを感じながらこの世を後にしたのだと。。。そう思いたい。 冒頭に紹介したドラマの製作者もラーソンのファンだったに違いない。売れない役者が誇れるものを最期に残そうとする物語はラーソンの人生にも通じる部分があるから 劇中のロック歌手ロジャーは「ワン・ソング・グローリー」という曲の中で僕が死んでしまう前に栄光の1曲を残したい。。。と歌う。それはラーソンの気持ちでもあり多くのロックスターの夢でもあるだろう。 ラーソンの突然の死のショックに見舞われながら初日の上演は予定通り行われ舞台は熱狂と感動につつまれた。。。 苦楽をともにした舞台上の仲間達が「ありがとう、ジョナサン・ラーソン」と思い思いに口々に叫んだ。。。いまだに舞台の最後には「ありがとうラーソン」の文字が映し出されるという。 そしてこのミュージカルはトニー賞、ピューリッツァ賞など各賞のミュージカル部門の最高賞を総なめにし爆発的な大ヒット・ミュージカルとなった。後にほぼミュージカルのオリジナルキャストで映画化もされている。 ラーソンのあまりにも伝説的な死がこのミュージカルにカルト的な熱狂をもたらした要因になってるのは否定できないがそれにしてもあらゆるタイプの曲を一人で仕上げた才能は素晴らしい才能だと思う このアルバムはオリジナルキャストによるサントラで96年に発売されたものだ。映画製作時には主要キャストのジョアン役のみが(年齢が理由)変わっている。 Youtube画像で素晴らしいソロを聞かせてくれる女性黒人シンガーでオリジナルのフレディ・ウォーカーにまったく負けないヴォーカルをトレイシー・トムズが聞かせてくれている。 フーやキンクスを思わせるようなロックオペラ的な感触もありつつロックンロール、R&B、タンゴ、フォーク、バラード、ディスコ、ラテン。。。様々なタイプの曲が親しみ易いメロディで展開される 途中舞台的な台詞が入ったりエフェクトが入ったりとやや落ち着かない部分もあるが音楽作品として聴いても十分楽しめるものとなっている 先に紹介した「シーズン・オブ・ラブ」はラーソンが友人とこのミュージカルについて話してる際にあらゆるタイプの曲を書き上げていた彼に驚きを示しながらも ”でもゴスペル”は書けないでしょ?とからかわれたのをきっかけに2週間後その友人に会った時にこの曲をピアノで聴かせ友人を驚かせたという。。。 名曲が生まれる際にはふとした偶然がきっかけになることがある。この名曲もそんなきっかけで出来上がりミュージカルの1作品から一人歩きをして多くの人間に愛される曲になったのだ。。。 さてこの男の生涯は不幸なのだろうか?彼はわずかな”ロスタイム”を与えられることもなく華やかな舞台を前にいきなりピッチからの退場を宣告されてしまった。ゲームの行方、結末を見ることも許されず。。。 もう一度言う。多分彼にはきっともう余力は残されてなかったのだ。それぐらいに人生を生き切った満足感と幸福感で人生というステージからピッチから去ったのだと。。。そう思いたい。 彼の歌は永遠に残される。舞台上に人々の心の中に525600分の愛しい瞬間をどう表せばよいのだろうか?多くの人の心にそんな種を植え続けて。。。 「ラ・ヴィ・ボエーム」芸術家達の人生を祝福する長尺のロック・オペラ。これも素晴らしい曲だ。このミュージカルを進行する主人公ヴィデオアーティスト、マーク・コーエン役のアンソニー・ラップの歌唱がエルヴィス・コステロにそっくり! メロディラインなどもコステロを思わせる部分がある。エナジーと快活さに溢れた人生賛歌のロックオペラ!素晴らしい曲だと思う。 RENT/ORIJINAL BROADWAY CAST RECORDING (1996年発表) 映画を観た感想としては物語としてはどうかな?音楽は最高だけど(^^;生のミュージカルを観たら間違いなく感動するだろうね♪ |

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