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捨て猫のネコタンは、ゾウパンの家に拾われました。

ゾウパパは、おおらかで呑気だけど働き者のパパ。

ゾウママは、お節介だけど優しいママ。

小さな兄弟の名前は「パオ」。

初めてネコタンがゾウパン家に連れて来られた日、ゾウママはネコタンに兄弟を紹介しました。「うちの子供たちよ。」

「オレ、パオっていうんだ。よろしくな。」兄のパオが言いました。

「ぼくは、パオ。よろしくね。」弟のパオが言いました。

「…?」

ネコタンの猫耳には、どちらも同じ「パオ」に聞こえます。しかし、兄も弟も「発音が全然違うじゃないか!オレ(ぼく)は『パオ』。あいつは『パオ』だよ。」と主張して譲りません。

ネコタンは心の中で「兄パオ」「弟パオ」と区別をすることにしました。



ゾウパン家の食事はボリュームたっぷり。

リンゴ、バナナ、みかん、木イチゴ、ブドウ、ココナツの実、じゃがいもetc...。

魚がないのがネコタンには少し不満でしたが、よその家に厄介になっているのだから文句は言えません。

「さぁさぁ、たくさん食べなさいね。」ゾウママがすすめてくれますが、ネコタンのお腹には多すぎます。でも、パオ兄弟には少し足りないみたい…いつも兄弟喧嘩ばかり。「おにちゃんの方が多いよ〜。」「うるせぇ!」バコッと音がして、見ると兄パオが弟パオを鼻先で叩いています。

「こらっ!」いつも穏やかなゾウママですが、怒ると恐いのです。パオ兄弟はビクンと背筋を伸ばし、すぐ静かになります。

ネコタンがゾウパンの家に引き取られてから3年の月日が過ぎました。

…そして、今日もゾウパン一家の食卓は賑やかです。



そんなある日。

ゾウパン一家が楽しく賑やかに食事しているところへ、ドアの陰から覗く細長い影…。

「あっ!ドアの後ろに誰かいる!」目ざとく見つけた弟パオが叫びました。

「誰だ!出てこい!」兄パオは、テレビドラマの探偵気取り。

ドアの陰からぬうっと現れたのは、トレンチコートに帽子の黒豹。「ふふ。見つかったか。私の名前は…」言いかけた言葉が終わらないまま、弟パオが水鉄砲で顔面攻撃。

「ぶひゃっ…やめろ。」黒豹は帽子とコートを水浸しにされながら「まいった、まいった。」と降参のポーズ。「私はパンサー探偵社から来た者だ。名前はニック・ジャガー。」

「何の用ですか。肉じゃがさん。」と弟パオ。

「白状しないと痛い目を見るぜ!」テレビの台詞を真似してご満悦の兄パオ。

「わかった、わかった…。用件を言うよ。」困り果てたジャガー氏。

「まぁまぁ、とにかくお座りなさいな。お腹減っているんじゃないの?あなたもお食べなさいな。」ゾウママは誰にでも自分の手料理をふるまうのが趣味のようです。

「はぁ…」予想外の展開に困惑しながらジャガー氏も食卓に腰掛けました。

ゾウパパは、何も気にせず新聞を読み続けています。

ネコタンは、珍しいお客をしげしげと眺めました。すると、ジャガー氏が用件を語り始めました。

「実は…」ネコタンをじっと正視しながらゾウパパとゾウママに話しかけるジャガー氏。「こちらでお世話になっているネコタン君なのですが。」

ネコタンは、思いがけず自分のことが話題になってビックリ仰天。(な、なんだろう…いきなりボクのことを?!)

「ネコタン君を…」とジャガー氏が続けます。「ネコタン君を、3年前からずっと探し続けているニンゲンの女の子がおりまして…。」

ジャガー氏は一息ついて、お茶をずずっと飲み干しました。

「…その女の子の母親から、私が依頼を受けたというわけです。ネコタン君を見つけたら、連れて帰ってくるように…と。母親が言うには、もうお金の心配もないし、猫を飼える家に引っ越したのだとか。」



ネコタンは、何と答えたら良いのか言葉に詰まりました。

「一度、捨てられた家だろ?」兄パオが怒って言いました。「そんなとこ行くなよ!」

「でも…だめだよぉ。」と弟パオ。「ネコタンはその女の子が大好きなんだから、やっぱり戻らなきゃ…」

「そんな薄情な奴ら。もういっぺんネコタンを捨てるに決まってるさ。」「でも何か事情があったんだよ…許して戻ってあげるのもいいかもよ。」「何ぃっ。オレの意見に刃向かうのかよっ!」兄弟喧嘩が始まりそうな気配。

「やめなさい!」ゾウママの一言。シャキッと姿勢を正すパオ兄弟。

「ネコタン自身は、どうしたいと思っているのかな?」新聞から目を上げ、優しくネコタンを見つめるゾウパパ。

「ボクは…」ネコタンは、何かを言おうとしましたが声になりません。その代わりに目からジワッと温かい水が。

「その涙が語っているよ。」とゾウパパ。「わたしたちに遠慮はいらないよ。懐かしいその女の子の家に戻ってあげなさい。ネコタンが喜ぶだけでなく、その女の子も大いに喜ぶんだから。」

「もし、寂しくなったり困ったことがあったら、いつでもこの家に戻ってらっしゃいね。」とゾウママ。

「ホントに…いいの?」涙声のネコタン。ゾウパン一家の1人1人の顔を見ながら尋ねました。「時々、ご飯を食べに来てもいい?」

ゾウママは、(バカねぇ。当たり前のことを!)という感じでウィンクして、ネコタンに言いました。「3年も一緒にご飯を食べていれば、もう家族でしょ?」

ネコタンは堪えきれずに泣きました。



その夜はネコタンにとって、ゾウパン一家で食べる最後の晩ご飯でした。

いつもより塩辛かったけれど、とっても幸せな味でした。

閉じる コメント(7)

エ、エリオットさん。。
泣いてもいいですか?・・・。゚(゚´Д`゚)゚。うぇぇん
って許可なしなのに、泣いちゃいました★

ネコタン良かったね。。。
ジュンちゃん良かったね。。。

私 ゾウパン一家さん みたいな あたたかい人になりたいです!!!

幸せな気持ちになれて元気でました。
何か。いっぱい頑張れそうな気がします(?)

幸せな涙 流させてくださってありがとうございます!ポチ

2009/9/27(日) 午前 0:38 姫

幸せで嬉しいからもう一ぽち★

2009/9/27(日) 午前 0:40 姫

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今晩は^^
ネコタンの続きがあったんですね♪
「良かった」!!んだよね。

2009/9/28(月) 午後 11:45 [ koyuki ]

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姫さん>
ポチありがとうございます!
あ♪…どうぞ、いっぱい頑張って(?)ください!
新聞を読んでるゾウパパを描き忘れちゃったケド(笑)☆

2009/9/30(水) 午前 9:18 エリオット・マーティン

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こゆきさん>
そうですよ♪
ネコタンをシリーズ化するという野望(?)があったのですが…
実はもうすぐ引っ越し&転勤なのでバタバタして、しばらくの間、インターネットが出来ない環境になると思います。
またの再開をお楽しみに!☆☆☆

2009/9/30(水) 午前 9:20 エリオット・マーティン

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おお〜〜、大変そやぁ〜〜〜〜(;´Д`)。

気にはしておったんですが、やはり転勤になったんだね・・・。

新しい環境で・・・となると、当分は忙しそーーや。

了解だよ! 落ち着いたら再開してね^^

待ってんでぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(涙)

2009/9/30(水) 午前 11:49 [ koyuki ]

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こゆきさん>
ありがとう!
ハイ…落ち着いたら必ず再開しますので♪

2009/10/3(土) 午後 5:52 エリオット・マーティン


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