秋色のメルヘン

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流行屋さん

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高い塀に囲まれた小さな国がありました。

この国で一番人気のお仕事は「流行屋さん」です。

流行屋さんの仕事は、もちろん、その日の「流行」を作ること。

流行屋さんは、時々、国中の人々に大切な「お知らせ」をします。

いろんな所に設置されたスピーカーを通して、新しい流行をアナウンスするのが仕事なのです。

「みなさん、今日から緑色を流行色にします。昨日までの流行色ピンクは、もう時代遅れですよ!ピンク色のシャツやスカーフを身につけている人は気をつけてください!」

こうして親切に、流行屋さんは最新の流行を国民に伝えるのです。

「みなさん、今日からシャツは『イン』が格好良いです。シャツは必ずズボンの中に入れましょう!シャツを外に出している人は、これからは『ダサイ』と笑われますので注意しましょう!」



さて。そんなある日の朝。

いつものように流行屋さんが拡声マイクを使って、今日の流行を知らせようとした時。

高い塀の向こう側から、拡声マイクを通した声が遠く聞こえてきました。

「国民の皆さん、今日の流行色は青です。間違わないようにしましょう!」

あれっ?!

…流行屋さんはビックリしました。「今日の流行色はレモンイエローなのに…。」

なんと。隣の国の大きなスピーカーから、塀を越えて声が聞こえてきたのでした。

そとて、さらに…別の隣国からも、その国の流行を知らせるアナウンスの声が聞こえてきました。

流行屋さんは困りました。「ああ、一体どうすればいいんだ!」



その後…

流行屋さんが姿を消してしまったのか。それとも、拡声マイクの音量を上げて隣国に対抗するようになったのか…さだかではありません。

捨て猫のネコタン

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子猫のネコタンは、捨て猫です。

毛布の敷き詰められた小さな段ボール箱の中から

「ミャア、ミャア」

と細い鳴き声を出して、道行く人に

「ボクを拾って」

とお願いしています。

「あら。可愛いわね。」

と女の人の声。ネコタンが見上げると、優しそうな白い手が伸びてきます。けれど隣に立つ男の声。

「やめとけよ。うちのアパートはペット禁止だろ。」

「そうね…うかつに可愛がると情が移ってしまうわね。」

と、男女は立ち去ります。女の人は名残惜しそうにネコタンの入った段ボール箱を振り返りながら。

他の人々は、ほとんど誰もが自分のことで忙しいのか、ネコタンの前をただ通り過り過ぎていくだけです。

ネコタンは、それでも精一杯「可愛い声」を作って鳴いてみせるのです。

「ほら。こんなに可愛い子猫でしょ。だからボクを拾ってよ。」



ネコタンは、赤ちゃんの頃、一度だけ人間の家で育てられたことがあります。

小さな女の子がネコタンを拾って可愛がってくれたのです。

女の子は母親に内緒でネコタンを子供部屋に隠し、毎日こっそりミルクを冷蔵庫から運び飲ませてくれました。

「ネコタン」と名付けたのも、この女の子。

「ねこたん、ボールで遊ぼう。」

「ねこたん、いっしょにお絵かきしよう。」

女の子はネコタンをたくさん可愛がってくれました。

「ねこたん、ドレスを着ましょうね。」

と言って、お人形さん用の服を無理矢理着せられたこともありました。

「ボクはオスなんだけどなぁ…」

と思いつつも、女の子が嬉しそうにキャッキャッと笑うのでネコタンも楽しかったのです。

夜寝る時は、いつも一緒。

「ねこたん、おやちゅみなさい。」

と言ってギューッと抱きしめてくれた温もりをネコタンは今でも覚えています。

けれど…

ネコタンは思い出しています。女の子がネコタンを段ボール箱に入れて捨てた日のことを。

女の子はネコタンに、こう言ったのです。

「もう、ねこたんなんか大嫌い!お皿からミルクをこぼすし、汚すからお掃除だって大変なんだから…」

ネコタンは必死で女の子に、

「ごめんね。もうミルクはこぼさないから。ちゃんとおりこうさんにするから捨てないで。」

と訴えました。けれども、女の子の耳には「ミャア、ミャア」という鳴き声にしか聞こえなかったのです。



ネコタンは人間を信じないことにしました。どんなに可愛がられても、やがて気が変わり捨てられるに決まっているからです。

そこでネコタンは、思いきり可愛い声を出して、なるべくお金持ちの人間に拾ってもらうことを考えました。しばらく経ったら家中の高価な品物を持って逃げるという作戦なのです。自分を捨てた人間に仕返しするために…。

「ミャア、ミャア」

と、つぶらな瞳でネコタンが可愛らしい鳴き声を上げていると、また1人、段ボール箱の前で立ち止まる人がいました。

「あら、捨て猫よ。可愛いわね。」

高価そうなコートに身を包んだ中年女性がネコタンを抱き上げて頬ずりしました。

「やれやれ。」連れの紳士が言います。「じゃあ、うちに連れて帰ろうか。」

ネコタンは内心小躍りしました。(しめしめ。お金持ちそうだし、うまく騙せそうだ!)…しかし、女性が言いました。「やっぱりやめとくわ。小さな毛がいっぱいコートについて台無しだわ!」

ネコタンは香水でぷんぷん臭くなった自分の体に我慢しながら思いました。

「人間はなんて勝手なんだ!もう…。」

その時でした。目の前を通り過ぎた若い女性のバッグに印刷された「JUN」という文字を見て、ネコタンは

「あっ…」

と声を上げました。もちろん人間の耳には「ニャッ!」と聞こえたはずです。

ジュン…。それは、ネコタンを可愛がってくれていた女の子の名前でした。

遠い記憶がよみがえります。

母親が女の子を叱る声。

「ジュンちゃん!子猫なんか拾ってきちゃダメでしょ!早く捨ててらっしゃい!」

そして女の子の泣き声。

「やだもん。ねこたんはジュンの友達なんだもん!」

朝日が部屋に射してから夕暮れの間まで、二人はずっとそんなやりとりを続けていたような気がします。そして大人の男の人が家に帰ってきて、女の子は男の人と何やらボソボソと話し合っていたようですが、やがて

「うん…わかった…」

女の子の寂しそうな声。…そんな光景をネコタンは思い出しました。

「でも…」ネコタンは頭をブルブルッと振りながら考えました。「結局、ボクは捨てられたんだから…誰も信じないもん!」



やがて風が冷たくなり、ぽつぽつと雨の水滴が落ちてきました。

「寒いにゃあ〜。でも毛布があるからいいや。」

ネコタンの(猫の額ほどの)狭い額にも雨粒が当たりました。

「あれっ?…」

顔に当たった水滴の感触で、ネコタンは急に思い出しました。ジュンちゃんがネコタンを段ボール箱に入れて、ここに捨てに来た時のことを。

「もう、ねこたんなんか大嫌い!お皿からミルクをこぼすし、汚すからお掃除だって大変なんだから…」

あの時、確かにジュンちゃんはネコタンにこう言ったのでした。

けれど…顔中を涙でぐちゃぐちゃにしながら、まるで、まるで…自分に言い聞かせるように。



その夜。降り始めた秋の小雨。

でも、ネコタンは穏やかな気持ちで眠りにつきました。

毛布が敷き詰められ、ビスケットとミルクの入った皿でいっぱいの…暖かい段ボール箱の中。

ネコタンはジュンちゃんと遊んでいる幸せな夢を見ました。

ヤキトリくん!

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   ♪ オイラの名前は、ヤキトリく〜ん!

   焼きたての香ばしいヤキトリだぜ〜

   ヘーイ♪

   だみ声だけど、平気なのさ〜

   音程だってハズレてるけど

   楽しけりゃ、それが一番いいんだぜ!

   ラララ♪

   自分が楽しくならなきゃ〜

   ほかの人だって楽しくなんかできないさ〜

   文句があるなら、食べてみなよ〜

   オイラは美味しいヤキトリなのさ〜♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



ふぅ〜。疲れるなぁー。

でも、今夜のライブも喜んでくれる人がいっぱいいて良かったなぁ。

ホントは僕、こんなキャラじゃないんだけどね。

でも、見映えは悪いし、悪そうな鳥に見えるから。

みんなが僕に期待しているのも、こんなワルイ感じなんだしね…

うん。割り切らなきゃ。

そうえいば…この前のライブで、ピアニスト志望の女の子が来てたっけ。

すっかり自信をなくして元気なかったんだけど、僕のライブを見て、

「ああ…少しぐらい音程を間違っても良いんだ。楽しくやるのがまず大切なんだ!」

って。そんな感想を言って、目をウルウルさせて帰っていったなぁ。

さてと。

また次のライブも、みんなを楽しませなくっちゃ。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

   ♪ オイラの名前をしってるか〜い

   ヤキトリ君って言うんだよ〜

   ヘイ! 自由な鳥なのさ〜

   誰でもオイラを食べていいんだぜ〜

   手羽先がいいかい?

   それとも、太ももがお好みかい?

   いつでも、どこでも、オイラ自身がご馳走なのさ〜♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



イテテ…。今日のライブは張り切りすぎて腰が痛くなっちゃった。

ん?…鳥の「腰」ってどこだろう?(まぁいいか)

さっき楽屋に来てくれた子、すごく嬉しそうだったな。

「なんだか、吹っ切れました!」

って。何があったのか知らないけど。

僕の歌を聴いて、そんなふうに感じてくれる人がいるって嬉しいな。

でも…もう次のライブが最後かぁ。

ライブが終わったら、いよいよ焼鳥屋さんで売られる日だもんな。

まぁ…誰かに食べられるために生まれてきたんだから幸せだけど。

できれば、「美味しい」と言ってもらえる人に食べて欲しいなぁ…。

…あ。そろそろ出番だ。行かなくちゃ。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

   ♪ ヘイ! オイラの名前はヤキトリく〜ん

   焼きたてアツアツ、煙が出てるぜ

   美味しそうだろ〜

   今まで、みんな、喜んでくれて、ありがとな

   楽しんでくれて、泣いてくれて、ありがとな

   今まで幸せ、ハッピーなバードだったぜ〜

   次のライブは…(あ。もうないのか!)

   それじゃあ、来世で聴いてくれ♪

   ここに幸せな鳥がいたんだよ〜

   みんな、みんな、ありがとう…♪

眠りの王国

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ネムリア王国では、すべての人々が眠っています。

王様も、王妃も、王女も、家来も、馬も、猫も…。

町民も、農民も。近衛兵ですら眠っています。

え?…みんなが眠っている隙に、泥棒が入るんじゃないかって?

いえいえ、大丈夫。

泥棒たち犯罪者も皆、ぐっすりと眠っていますから。

この国の者は皆、生まれた時から死ぬまで、ずっと眠っているのです。

だから、街はいつも、シーンと静まりかえっています。

え?…それじゃあ、どうやって生活しているのかって?

(いちいちウルサイなぁ、もう…)

大丈夫。彼らは、食事をし、歯を磨き、働き、恋をし、結婚し、子どもを育て、毎日嗤ったり泣いたり喧嘩したり…これらの行為を全部、夢の中で行っているのです。

現実世界の眠っている肉体が死んでも、彼らは夢の中では変わらず生き続けます。

だって、夢の中は、時間も空間も生も死も超越した世界ですから。

こうしてネムリア王国の住民たちは、ずーっと平和な眠りの中で、果てしなく生活していくのです。



もし、あなたが南太平洋の小さな島々をツアーで訪れることがあったら、その中の1つ…緑に囲まれた虹の多い小さな島…それがレムリア島ですよ。

…おっと!お気をつけ下さい!

その土地へ一歩でも足を踏み入れた瞬間から、あなたもネムリア王国の住民となってしまいますからね。…要注意ですよ!

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