新・真夜中の風と共に明日に向って朝食を!

ちょっとひと味変わった映画コラムのブログです☆

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※ネタバレ…あまりありません。(たぶん)


フジテレビお得意の「映画・テレビ」タイアップ作戦。

僕はこの商業的手法が大嫌いなのですが、この作品たちに対しては、初めて「ブラボー☆」と拍手喝采を送ります。文句なしに素晴らしかったです。

いきなり映画版の「誰も守ってくれない」を観てもストーリーは理解できるのですが、登場人物1人1人の造形や物語世界の奥深さを味わうために、テレビ版の「誰も守れない」を先に観ることをオススメします!



TV版…「誰も守れない」

ややハードでリアルな刑事ドラマかな?…と思って見始めたら、良い意味で裏切られるので嬉しくなりました。

木村佳乃が演じる精神科医(カウンセラー)と、佐藤浩市が演じる刑事という職業設定は、

      「他人に耳を傾ける」

という、今この世界で欠けている(渇望されている)ものの体現者なのでした。…ということが物語終盤で分かるんですけど。

他人に耳を傾けるということは、その人の話を聞くということ。それだけではなく、その人の心に近づくということ、あるいは存在を肯定するということなのでしょう。

廃人となりかけた三島刑事(松田龍平)を「こちらの世界」へ戻そうと必死に語りかける勝浦刑事(佐藤浩市)。刑事になった理由を尋ねるながら、こう訴えかけます…「俺はお前の話が聞きたいんだよ!」と。

潔癖だと思っていた父親(山本圭)の過去の犯罪。これに向き合う令子(木村佳乃)もまた、葛藤の末、同じ気持ちを抱くのでしょう。

お互いに第一印象の良くなかった勝浦と令子。勝浦の手の震えの原因となった昔の事件。最初はビジネスライクな関係の二人だが、事件を知ることで令子は勝浦の心に手を届かそうとする。…これもまた、他人の話(存在)に耳(心)を傾けるという行為なのでしょう。



映画版…「誰も守ってくれない」

容疑者家族の保護をテーマにした重い題材なのですが、なるべく多くの人に観てもらいたいと思った素晴らしい作品です。

事件でメチャクチャになった容疑者の家族。しかし、同時に地獄を味わったのは被害者の家族も同じ…この作品は、その真実からも目を背けません。

「踊る大捜査線」のスタッフが作っただけあって、警察捜査のシーンはリアルで圧巻です。さらに今回は、現場報道の生々しさが、これまでにないほど超リアル。

マスコミや近所の人々だけでなく、ネット社会の悪意が、リアリティ溢れて最も怖かった気がしました。思わず「ありそう!」と、背筋が凍りますよ…。(←観てないと分からないかも☆)

かつて通り魔に子供を殺されたペンションのオーナー夫婦(柳葉敏郎、石田ゆり子)。事件を乗り越えようと、強さを身につけようと温かい包容力で勝浦に接するが、抑えきれない感情もまた、真実の一部分…しかし、人はそれを(「乗り越える」と言っては安易すぎるけれど)少しずつ、少しずつ、耐えて、何かを身につけて…そして何かを見つけられるはず…そう願いたいのです。

この映画は、決して安易な慰めやハッピーエンドでは終わりません。やはり現実の厳しさは、厳然としてそこにあります。だから、自分で闘うしかないのです。しかし…

その現実が、当たり前のことが、心を通じ合わせて理解できた時。

胸に深く深く染み込む「強さと優しさ」を分かち与えてくれるような気がするのです。

テーマ音楽の曲が素晴らしい。…どうしようもない世の中だけれど、現実世界はこんなにも厳しく冷酷だけれど…それでも、という何か「祈り」に似た気持ちが込められているような。

美しく切ないメロディーが、この世界に澄み透るように響いていきます。



悲しいだけでなく、そこから先が大切なのだと…うまく言えないのですけれど、多くの人に観てもらいたいと切望する映画でした。


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