愛のことば

台風のようなドタバタ日記です。

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『ホームレス博士』

『ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院』水月昭道、光文社新書

 先週末の検定試験の後、新宿の書店で購入し、1週間で読み切った(ちと遅い!?)。

・「自らの研究以外で稼ぐ術を身につける」

・「自らのするべきことに全力で取り組む」

・「『正攻法』だけにこだわり過ぎると、どつぼに陥る(高学歴ワーキングプアにありがち)」

 以上の3点を私自身はこの本から読み取った。それでも私は大学院(博士課程)に行きたいと思っている。私は博士号を取得してアカデミアに就きたいと思っているわけでは必ずしもない(もちろんそれに越したことはない)。昨今の博士課程修了者の就職状況を考えると、仕事を辞めてまで進学したいとは思っていない。人文科学系統であるので、仕事を辞めて進学するのはあまりにもリスクが高すぎる。自らの研究を完成させ、世に問いたいという気持ちから、進学を希望している。さて、問題はいつになることやら。

日本史や数学 一般書籍化で人気
 歴史や数学といった高校の学習内容を一般向けにした本を出版する動きが相次いでいる。社会人を中心に売れており、教養書として楽しんだり、仕事に役立てたりしているようだ。

 歴史の教科書を手がける山川出版社は、「もういちど読む山川日本史」「もういちど読む山川世界史」(各税別1500円)を今年発売した。2004年度まで高校で使われていた「日本の歴史(改訂版)」と「世界の歴史(同)」の内容をほぼそのまま生かした。本文に加え、「三下り半と駆け込み寺」などのかつての習俗や、「ユダヤ人の歴史」など現代の中東情勢にもかかわるコラムも取り入れた。

 同社は一般向けの通史の本を検討していたが、「正確な記述と、歴史の大きな流れをつかむには教科書が最適」と判断、一般書籍化に取りかかった。

 8月に書店に並び始めると、中高年や20〜30代のビジネスマンや女性にもよく売れているという。これまで各3万部発行された。同社は「変化の激しい時代だからこそ、過去を知ることに意味がある。社会人を経験した人の方が、問題意識を持って読んでもらえる」と話している。

 日本実業出版社の「もう一度高校数学」(税別2800円)は、学習塾の数学講師の高橋一雄さんが、数1、数2、数3の内容をまとめたものだ。7月に発売され、ビジネスマンに好評で、既に2万部まで増刷した。同社は「大学受験で数学が嫌いになってしまった人が楽しんで読んでくれている。コンピューター関係など、仕事で必要になって手にする人も多い」と話している。

 教養の歴史に詳しい桃山学院大学教授の高田里恵子さんは「社会で必要とされる知識は、大学レベルでは専門的、中学レベルでは初歩的すぎる。その点、優れた高校の教科書は、大人が社会を知る再入門書としても価値がある」と話している。

(2009年10月26日  読売新聞)

 中学時代は英語と社会が得意科目だった。今は日本語教師のくせに、国語はどちらかというと苦手科目だった。それでもある程度の興味を持たせてくださったのは、中学の担任でもあったT先生と高校のW先生(先生であると同時に先輩でもある)のおかげである。大学受験のときには外国語学部か文学部史学科で迷ったものだが、結局英語と日本史の偏差値を比べた結果、日本史の偏差値は50前後しかなかったので迷わず外国語学部を選んだ次第だ。それでも日本史には興味を持ち続け、大学時代には学内の学生懸賞論文に日光東照宮をテーマにして応募したものだ(結果は惨敗だったが…)。学習塾で非常勤講師として働いたころは、英語の傍ら社会科の授業も担当した。おかげで中学校の地理、歴史、公民の教科書の内容はすべて頭に入っているし、当時得た知識と技術が今の仕事にも役に立っている。

 さて、日本史大好きの私にはこのような本は興味深い。できれば日本事情のテキストとして何らかの形で使えないものか、検討したいほどだ。しかし問題は、クラスには当然理系の学生もおり、日本史には何の興味もないことだ。そのことを責めるつもりは毛頭ない。私自身、数学と理科は「超」がかるく100個以上つくほど苦手だ。

 せっかく歴史文化都市・静岡に住んでいるのだから、この本をきっかけに静岡の歴史の現場に触れるような活動を試みたい。それにできるものなら、この本を通して得た知識と実際に現場を訪れる活動を、日本事情の授業に生かすべく何らかの手立てを考えてみたい。

読書レポート(2)

 9月25日以来の読書レポート。今日は『日光東照宮の謎』(高藤晴俊著、講談社現代新書、1996年)を紹介する。

 中国に来て以来、時間がある限り本を読みたいと意気込んでいたが、いかんせん新米教師には「準備」という名の無給の労働が容赦なく襲いかかる。そのため、中国での3ヶ月でまだ3冊しか読んでいない。(他の2冊は藤原正彦著『国家の品格』と新渡戸稲造著『武士道』)

 日光東照宮は元来、1617年二代将軍徳川秀忠により創建された。ただし、創建当時の東照宮は現在の「絢爛豪華な」とは形容し難いような質素な造りだった。群馬県太田市にある世良田東照宮がその移築とされている。現在のように絢爛豪華にされたのは、三代将軍家光による寛永の大造替(1634年)によるものである。

 どうして日光の地に東照宮(秀忠の創建当時は「東照社」と呼ばれていた)が建てられたのか。そもそも家康は生前に一度も日光の地を踏んだこともないのにどうして「日光山に小き堂をたて、勧請し候へ、八州之鎮守ニ可被為成」と遺言したのか。そこには壮大な宇宙論(コスモロジー)が展開されている。

 また、東照宮境内には合計5175体にも及ぶ彫刻が施されている。一体一体に意味があり、各彫刻の融合が壮大な意味を形成しており、大変興味深い。結論は「東照宮の寛永の大造替におけるマスタープランは、東照宮の建築それ自体が『東照大権現の神格を顕現する』ものであり、かつ『泰平の御代』を明示することも意図していた、すなわち『平和の象徴』としてプランニングされていたと考えられるのである」(214頁)であるが、詳細は同著をご参照いただきたい。

 海外にいると現地の人に、「日本人なら日本のことを知っていて当然だ」と思われる。私の場合は日本語教師という職業のためでもあろうが、学生に日本のことをよく聞かれる。「制度」と「体系」の違いが説明できることや「明日から旅行なんです」の意味・用法、「雨が降るかもしれない」と「雨が降るかもしれない」の違いを正しく理解させることも当然大事だが、日本語教師は日本文化の伝道師であることも忘れてはならないと常に考えている。

読書レポート

 最近は代わり映えのしない授業レポートが続いていたので、今日は気分を変えて、最近本を読んで感じたことについて書きたいと思う。

 福建省へ来てから改めて、『国家の品格』(藤原正彦著、新潮新書)を読んだ。

 最近の市場原理批判をはじめ、小学校での英語教育やIT教育に対する批判、自由、平等、民主主義を疑われた上で、日本人が古くから持つ「情緒」、あるいは伝統に由来する「形」を見直すべし、武士道精神を復活させるべしという主張をされている。個人的には、「若い人たちにもっと読書をさせ、情緒、形、国語力を身につけさせよ」という氏の主張を全面的に支持したい。

 私も小学校での英語教育に反対である。小学校段階でも英語を必修にすべきではないかという議論も一時期持ち上がったが、こうした背景には、「国際人」=「英語がペラペラに話せる」といった風潮が日本社会にあるからではなかろうか。中学校で始めて駄目なら小学校で始めたらよいではないかとは、なんとも浅はかな考えに思えてしまう。

 英語学習を小学校で始めようと中学校で始めようと、同じ10代で始めるのだから、習得の成果に大差があるとは思えない。大事なのは国語力である。日本語を母語とする者に、言語能力において英語が日本語に勝るなど決して起こるはずがない。外国語運用能力の高低は、最終的にはその人の国語力に比例するのである。小学校で白人教師の猿まねで、買い物や道案内でしか使えない幾つかの表現をただピーチクパーチクやっている暇があれば、読書に勤しむべきだろう。「英語くらいちょっと勉強すれば喋れるようになる」といった浅はかな風潮を私は危惧する。

 海外で日本人が現地の人から期待されていることとは何か。それは日本のことについて教えてもらうことである。私自身、今海外で日本語を教えている中で、現地の人から日本についてさまざまな質問を受ける。例えば、「神社とお寺はどう違いますか」や「都会の住宅事情はどうですか」、「第二次世界大戦で、いちばん悪い人間は誰なのでしょうか」、「日本人は一体どこから来たのでしょうか」、「小泉さんはどうして一度も中国へ来なかったのでしょうか」などである。こうした時に品格ある答えができてこそ、尊敬を得られるのである。

 そういったヒントを藤原氏の著書は教えてくれた。また、同氏著『祖国とは国語』(新潮文庫)も強くお勧めしたい一冊だ。私としては特に、「国語教育絶対論」が興味深い。今は、『武士道』(新渡戸稲造著、矢内原忠雄訳、岩波書店)を読んでいる。

 今回の海外赴任を「日本」を改めて見つめ直す絶好の機会としたい。

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