スペイン・ロマネスク美術

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エロスとロマネスク

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モロー「オイディプスとスフィンクス」(日経新聞2004年7月20日より)


一般に「エロス」というと、世紀末それも19世紀末の西欧絵画の一つの奔流が浮かびます。
そうです、世紀末という言葉は何となく退廃的な響きを持っています。
おそらくそれは千年という時代の区切りが、この世の終わりというキリスト教的な終末感を人々にもたらし、混然とした不安な雰囲気が漂うからでしょうね。
 
2000年の一月にイスパニアの地でロマネスク美術(彫刻)に出会いました。まさに20世紀の終末期が私の転換期となり、それからの人生はロマネスク美術一色に染まったといっても過言ではありません。

 
作家の小池真理子さんの西欧絵画の見事な解説には、いつも心が動かされます。
20047月、日経新聞にて「世紀末のエロス10選」を解説されましたが、いずれも素晴らしいものでした。
今回はその第一回目≪モロー作「オイディプスとスフィンクス」≫の絵をここに拝借させていただきましょう:1864年作、油絵、206x104.7㎝、メトロポリタン美術館蔵。
 
世紀末の画家たちは、好んで「死」と「エロス」を題材に描き、文学、挿話や伝説などからデカダンなものを素材にしたそうです。
この絵も然りで、ギリシャ神話で有名な英雄オイディプスの胸のあたりに、半獣神スフィンクスがへばりつき、彼の目をじっと見ている―媚びて誘っています。
オイディプスは魅せられてエロスの世界に凝縮されていくようです。
 

ではイスパニア・ロマネスク美術(1112世紀頃)におけるエロスは一体どのような姿を取ったのでしょうか。

一言でいえばそれはきわめて直截的でグロテスクなものです。


ジャンルとしては絵画にはわずかしか見られず、ほとんどが一部の田園部にある教会(聖堂)外壁の軒持ち送り又ごく稀に修道院聖堂の柱頭の彫刻物に存在するといってもよいでしょう。

つまり大多数を占める当時の俗世の信者たちはほとんどが文盲で、無知蒙昧な大衆だったので、「こういうことは慎まねばならぬ」(禁止ではない)事柄をあからさまに直截的に見せつけるためであったと思われます。


 それにしても聖なる教会の外壁にこんなものをあえて設置したのは何故でしょうか、かの地でも種々な議論があります。

世紀末の退廃した世情のせいだとか、これらの像を彫った芸術家の気まぐれとか、どちらかといえば的外れな議論もありました。
 

ここに経年で損耗した男女交合のロマネスク柱頭彫刻の遺物をも載せましょう:
 
                           
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ROMANICO No.6』誌より“邪淫の罪”
ブルゴス州 San Quirce修道院聖堂

2017.05.20

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