白いチューリップ 中川 美由紀さん
昨年の夏の話。 町の小さな花屋さんでの事。
私はお墓に供えるための仏花を選んでいました。
店員は二十歳位の女の人一人だけ。
すると可愛いお客さんが二人入って来ました。
小さな女の子と、その手を引いた男の子
たぶん兄妹だったのでしょう。
男の子はポケットから小さくたたんだ千円札を取り出し
「これで、お花作って下さい」 と 云いました。
店員さんが「誰かにプレゼント?」 と聞くと
「お母さんに」 と ちょっと恥ずかしそうに答えました。
「どんな お花が好きかな?」 店員さんはまたたずねました。
二人は少しの間考えていたようですが
今度は女の子が答えました。 「チューリップ」
店員さんは、うんうんとうなずくと
赤とピンクのチューリップを何本か手に取りました。
すると、男の子がその手をつかんで、「だめだよ」 と 止めるのです。
何だろうと思って見ていると、男の子は、 こう云ったのです。
「死んじゃったら白い花なんだ」
私も店員さんも しばらくだまってしまいました。
二人はどう見ても小学校一年生か、幼稚園といった感じ。
赤いチューリップを手にしていた店員さんは、うんうんとうなずくと
今度は、白いチューリップを取り出しました。
それも、店にあった大きな花瓶に入っている 二十本近い
チューリップ、全部を・・・・。
テーブルの上で丁寧にラップをし、大きな真っ白いリボンをかけてあげ
二人に手渡しました。 百円づつのお釣りと一緒に。
男の子はビックリしたような うれしいような顔で店員さんを見上げます。
店員さんは、二人に何も聞かなかったし、何も云わなかった。
でもあの大きな花束に、優しい気持ちがぎっしり詰まっているようでした。
不思議そうな顔で、でもしっかりと「ありがとう」 と 云った男の子。
お店を出ていく女の子の小さな肩と
体からはみ出るくらいの花束に、思わず涙ぐみました。
そして何より、あんなに自然に
温かい贈り物をしてあげられる店員さんに感動しました。
もう、キーボード見えませ〜〜〜ん” ウル”ウル〜〜”
転載元: にっこり地蔵と一緒に
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