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必死の抵抗もシンの前では虚しいほどだ。 深くなる口付けや耳元で囁く低く甘い声に思考は奪われ、抵抗する手は次第にその力を失っていく。 本能のままにと、シンに全てを委ね掛けた時、ドアが大きな音を立てた。 ドン、ドン!! 「「!!??」」 響く音にチェギョンの思考が一瞬で引き戻され、冷静さを取り戻していく。 二人顔を見合わせドアへと視線を向けると、叩く音と一緒に友人達の声が聞こえて来た。 「おーい、シン!いないのかぁ!?」 「チェギョン返事しなさいよ!」 「へっ?ガ、ガンヒョンにギョン君!?なんで!?」 慌てて落ちそうなシーツを引き上げ身体を隠す。 ドアの向こうにいる友人達には今の自分達の姿は見えないが、彼らと同じ建物内で自分達が行なおうとしていた行為に羞恥せずにはいられなかった。 「シ、シン君、ど、どうしよう…」 焦り、助けを求めるようにシンを見上げたが、シンは逆に不満そうに舌打ちしてドアを睨み付けていた。 「ギョンの奴、邪魔するなよ」 「シン君!?」 苦々しく吐き出された言葉にチェギョンは唖然とするしかない。 「シン君、何考えてるのよ!もう、信じられない!」 下手をすれば翊衛士や随行して来た尚宮を呼んで無理にでもドアを開けられかねない状況なのにと、シンの胸を強く押してチェギョンはシンの束縛から逃げようとした。 が、直ぐにその手が掴まれ、シンへと引き寄せられる。 「続きは帰ってからだ。逃げるなよ?」 低く甘い声で耳元に囁かれ、全身が痺れるような感覚に落とされる。 墜ちていく自分を留めようと全身でシンを抗う。 「バ、バカッ!へ、変なこと言わないでよ…」 が、自分を見つめる瞳があまりにも妖しいくて、耐え切れずチェギョンは視線を逸らした。 逸らした頬が朱に染まっていく様が愛おしくてシンは堪らずその頬に手を伸ばした。 頬から首筋、そして鎖骨へと指を這わせて行けば小さく吐息を漏らすチェギョンがいる。 「お願いだからやめて…」 羞恥でいっぱいのチェギョンにこれ以上の意地悪をすれば宮に帰ってから拒絶されかねない。 惜しい気もするがと、名残惜しむように滑らかな肌から指を離せばチェギョンは急いでバスルームの中へと姿を隠した。 そんな妻の背中を見送り、未だに叩かれ続けるドアへ視線を移す。 出来る事なら友人達に察して欲しかったと溜息を吐きながらドアへと歩き出した。 ―どきどきが止まらない。 バスルームの扉に背を預け、チェギョンは肩で大きく息をする。 ガンヒョンとギョンの急な来訪に驚いたのは確かだが、何よりもシン自身があまりにも妖艶過ぎた。 普段でもかっこいいと思うのに、色気まで放たれてはなす術がないし、自分の身が持ちそうにない。 「うぅ…私死んじゃうかも…」 毎日、毎日あの漆黒の瞳で見詰められたら心臓が破裂するかもしれないと思うと同時に、昨夜の自分を求めるシンの顔を思い出し、チェギョンの心臓が再び心拍数を上げる。 ‘ぶんぶん’と音がするほどに頭を振って昨夜のシンを頭の中から追い出したチェギョンはシャワーで火照る身体と頭を冷やそうと、身体を纏うシーツを取り払った。 と、同時に鏡に映った自分の姿に小さな悲鳴を上げたチェギョンは落としたシーツを胸元へと掻き寄せる。 そして、ゆっくりと鏡に近付きシーツをずらして自分の姿を確かめた。 「う、そ…」 茹蛸のように真っ赤になったチェギョンが口許を押さえ‘ありえない…’と小さく呟く。 チェギョンの白い肌には花の如く、幾つもの紅く鮮やかな証が付けられていた。 「シン、このままだとガンヒョンが強硬手段に出ちまう。早く出て来たほうがいいぞーっ!」
聞こえるギョンの声にシンは苦笑いを漏らした。 確かにガンヒョンなら、ドアを蹴破れとギョンに命令しかねない。 それに、親友を一人マカオに行かせたことを未だ彼女は納得してくれていない。 このまま彼女を敵に回すような行為を重ねれば、チェギョンに纏わり付くヒスや美術科の男子学生の事で協力を願っても拒否される可能性があると、険しい表情で嫌味を言うであろう彼女を想像しつつドアを開けた。 「おっ、居たぞ!」 そこにはどこか楽しそうにするギョンと想像していた通り険しい表情のガンヒョンがいた。 「よっ!シン!」 「あぁ、おはよう」 「おはようじゃないわよ、殿下は今何時だと思ってらっしゃるのかしら?」 片手を上げ、いつもと変わらない挨拶をするギョンに対し、ガンヒョンは眼光鋭くシンを見上げ嫌味たっぷりにそれを言ったあと、シンの体の隙間から室内を窺い始めた。 「チェギョンは?」 「シャワー浴びてる」 シンがそう答えると、ガンヒョンは納得したのか視線を室内から再びシンへと移した。 「ねぇ、皇子。ここはあなた達の別荘だからって、好き勝手は許されないんじゃない?」 「好き勝手?」 「そうよ、みんな待っているのに朝食の時間を過ぎても来ないし、心配で電話したのに携帯にも出ない。起こしに来たにもかかわらずなかなか部屋から出て来ない。これって仕来りやルールを重んじる宮家の意に反している事じゃないかしら?」 痛いところを突かれたと、苦笑いするしかない。 やはり彼女は姉同様、敵にすべきではないと反論する事を止め、シンは素直に謝る事を選択した。 「確かにガンヒョンの言う通りだな。すまない」 「わ、分かれば良いのよ。分かれば…」 あまりにも素直にシンに謝られ、拍子抜けしてしまう。 用意が出来たら直ぐに向かうからと言われ素直に頷いてしまった自分が憎らしいと、ガンヒョンは閉じられたドアに向かい溜息を吐いた。 「文句、言い足りなかったのに…」 と、思うが素直に謝るシンに成長が見えたと素直に喜ぶべきだろうか。 これも親友の努力の賜物なのだろうと頷いて、友人達が待つリビングへと足を向けた。 「なぁなぁ、ガンヒョン」 「なによ?」 確信したようにニヤニヤと笑い出すギョンに顔を顰め、ガンヒョンが素っ気無く問い返す。 「あの二人さ、絶対なんかあったと思わないか?」 「なにが?」 ‘我が白鳥、最愛の女性’と呼ぶ女性に軽蔑の眼差しを向けられている事など気付かず、彼の目下の興味事はイ・シンとシン・チェギョン夫婦にあるらしい。 「昨日の夜までは険悪な雰囲気だったのにさ、夕食辺りから少し雰囲気が変わってた。仲直りしたみたいだったよな?」 「へぇ…あんたも気にしてたんだ」 こいつも二人を気に掛け、心配していたんだと感心した矢先のギョンの失言に彼の評価が下がった事は言うまでもない。 「で、二人仲良く起きて来ない…時間に煩いシンが起きれなかったのには理由があるはずだ。疲れて動けないほどに体力を…」 「ストーップ!!」 掌をギョンの眼前めがけて勢い良く突き出す。 「うわっ!?」 驚いて声を上げたギョンはいきなりの事に目を丸くしていた。 「あんたって最低ね」 軽蔑たっぷりの眼差しでギョンを見上げると、彼は理由が分からないのか首を捻っていた。 確かにこの手の話をした事が無い訳じゃない。 だが、それは同性同士での間の事で異性間で話題に出した事はない。 ましてや親友のそれを想像しているであろう様子を黙って見過ごせるわけがない。 「起きられなかった理由が何だって言うのよ!それ以上変な想像を口にしたら只じゃ済まないわよ!」 キッと睨み上げられたギョンが萎縮するように背を丸める。 ‘ガンヒョ〜ン’と蚊の泣くほどの小さな声で彼女を呼んだが、今の彼女はすこぶる機嫌が悪かった。 「変態男に私の名前を呼ばれたくない!」 「そんなぁ〜」 母親に怒られ、泣く寸前の子供の如くその場に立ち尽くしたギョンが‘ごめんよ〜もう言わないから’と謝っても彼女は母親のようには優しくなかった。 立ち尽くすギョンに、ふんっ!と顔を背けたガンヒョンが彼を置いて歩き出す。 そのあとを慌ててギョンが追い駆けて行く。 「ガンヒョ〜ン!許してくれよ〜」 「うるさい!付いて来ないで!」 「もう言わないって約束するから〜」 「しつこい!!」 縋るギョンをガンヒョンが追い払うというやり取りがリビングまで続けられた。 |
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恵那さん こんばんは
夜更かしいていたかいが、あったというべきですね{笑}
シン君も〜〜チェギョンの魅力におぼれましたね***
それよか、ギョンとガンヒョンの掛け合いが
最高でした(^^)/夫婦漫才みたい〜〜
更新 ありがとうございます
2011/5/9(月) 午前 0:33
恵那さん、アンニョン☆
新しいバージョンですね〜^^
チェギョンに満たされて、素直になったシン君も愛の効果ですね。
また続きが楽しみになりました。
若いっていいですね〜^^
2011/5/9(月) 午前 1:12
恵那さん、おはようございます。
更新有難うございます
続き宜しくお願いします。
2011/5/9(月) 午前 7:21
恵那さん こんにちは
更新ありがとうございます。
シン君、チェギョンの虜になってしまったようね^m^
ガンヒョンには感心しちゃう。シン君謝っちゃうんだもん!(^^)!
続き楽しみにしてます。
2011/5/9(月) 午後 1:30 [ acha ]
恵那さん こんにちは!
更新ありがとうございます♪
シン君とチェギョンは 心身ともに結ばれて絆も深まったはず❤
これからのラブラブな2人を 楽しみにしていま〜す!
2011/5/9(月) 午後 4:14 [ mizutama ]
こんにちは。
恵那さん、近頃怒涛の更新ですね〜❤
しかも待ちに待った19話。手直し前を知らない私は、それを知っていらっしゃるファンの方達が羨ましくて仕方ありませんでした。昔の更新案内を見ては、「ここまで書かれてるんだぁ〜」と、ため息モノでした。だから今回の更新は嬉し過ぎ〜♪
姫も殿下お互いの魅力にクラクラだけど、「妖艶さ」といえば私の中では、やっぱり殿下>姫なんですよね〜❤
姫の背中を見送る殿下。これまでと「妻」の意味が違って、なんか切なげでよいですね〜
おまけに雰囲気をがらりと変えてくれるG&G(なんか、洗剤メーカーみたい…すみません…)姫達のことに余計な詮索をさせないため、ガンヒョンがギョン君に言い放つ言葉の数々に、納得しながらも同情を禁じ得ない私です。ギョン君って本当にこういう立場がよく似合う!
さて、ゆでダコ姫は俺様皇子様とこの後どうなっちゃうんでしょう〜?
大まかの筋を知っていらっしゃるファンの方に、教えていただきたいような、そうでないような…凄く複雑な気分です〜
でもまた今日のように、第4章(想い)の横にNEWと黄金に輝く文字を見
2011/5/9(月) 午後 4:23 [ ジャイ子 ]
すみません、アナログ人間なのでコメントが途中で切れました。
見つけるのを楽しみにしています。
が、500文字の制限で切れてしまったようです。投稿できたと思ったら…失礼しました。
次回も楽しみです。有難うございました。
2011/5/9(月) 午後 4:28 [ ジャイ子 ]
はじめまして 恵那さん
宮にはまり、偶然見つけた二次小説
日常生活にも支障が出るほど夢中で読ませていただいていますww
続を楽しみにしています
よろしくお願いします
有り難うございました
2011/5/12(木) 午後 1:50 [ ばぁーばちゃん ]
初めまして

気持ちが凄く解って、一人でぼろぼろ泣き〜のにやにやし〜ので楽しんでます
続きが早く読める日を楽しみにしてますね
2012/2/10(金) 午前 11:39 [ あいあい ]
オハヨーございます!☆想い☆を読ませて頂きました。やっぱり言葉は大事なんだな〜!ヒョリン、何するのよ〜と思いましたが彼女の臨機応変で2人が幸せな時間を過ごせたんですね!
2012/4/28(土) 午前 8:30 [ Mi〜ko ]
初めまして恵那さん質問してもいいですか
苦悩と絆はいつ書かれますか
楽しみにしています.
2012/6/7(木) 午前 1:36 [ さとこ ]