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「だ、か、ら!これだと、みんなが納得しないって言ってるでしょ!?」 「納得出来ないって言われても無理なものは無理なんだよ!」 「無理だ!無理だ!って言わないで先生に掛け合ってみなさいよ!」 「簡単に言うなよ!」 「皇太子殿下は頭が固いのね!」 「皇太子って呼ぶなって言ってるだろ!」 「皇太子殿下は皇太子殿下でしょ!」 放課後の生徒会室。 兄、ユルに一緒に帰ろうと言われチェギョンは生徒会室に来たのだが、ユルは女生徒と論争中だった。 ユルと論争中のその女生徒にチェギョンは見覚えがあった。 生徒集会で会長のユルと副会長のシンとの間に立っていた彼女、女子副会長のソン・ウニョン。 でも、彼女とユルが何故言い合いしているのか分からず、唖然としたままその様子を見ていたチェギョンに二人と一緒に生徒会室に居たシンが椅子に座るように勧めた。 「チェギョン、座れ」 「シン兄様…止めなくていいの?」 「あぁ、あれ?いつもの事だ。さっき始まったばかりだからまだ終わらないと思う。暫く待ってろ」 「うん」 椅子に腰掛けたチェギョンが二人の様子を見守っていると、目の前にカップが差し出された。 「ありがとう」 シンからそれを受け取るとミルクティーの甘い香りが漂い、口を付けると香りと同じように優しい甘さが口内に広がった。 「おいしい…」 ホッと息を吐き出し傍らに立つシンに微笑むと、彼は満足したように笑い、チェギョンから少し離れた席に座った。 カップに口を付け、お互いの意見を言い合う二人を見るも、手持ちぶたさは否めない。 視線を二人からシンに向ければ、彼は熱心に何かの資料を見ていた。 自身と一緒に椅子をずらし、シンの隣に行くと彼が見ている資料を覗き込もうとして彼と目が合う。 至近距離のシンの顔に頬が熱くなるのを感じ、誤魔化すようにカップに口を付けたチェギョンは相変らず激論を飛ばし合う二人に視線を送るとシンに二人の事を訊ねた。 「いつも、ああなの?」 チェギョンの問い掛けにシンも二人を見やる。 「意見が合わないとああなる。言いたい事を全部吐き出せば治まるから大丈夫だ」 「そう、なんだ…」 ユルは他人の前ではあまり感情を露わにしない。 それは皇太子ゆえの事なのだが、心を許した人は別だ。 心を許した唯一の他人がシンである事は知っていたが、彼女もその一人という事なのだろうか。 「分かった。一応先生には掛け合ってみる」 「会長が掛け合ってみてくれるけど、ダメだったら我慢してと私もみんなを説得してみるわ」 「よろしく頼む」 言いたい事を全部言い切ったのか、二人は大きく息を吐き出した。 そして二人同時に噴き出す。 「ほんと、ユルって頑固よね」 「君には言われたくないけど?」 クスクスと笑い合う二人の様子にシンは「終わったな」と呟いて席を立った。 手にしていた資料を二人に見せ、三人で話し合う様子にチェギョンはまた一人取り残されたような気持ちになった。 それは、どうしても越えられない二歳という歳の差。 やっと近付いたのにもう少しすれば、また二人は高等部へと上がり、自分はまた一人残されてしまう。 「ハァ…いやだな…」 一人落ち込み、カップの中のミルクティーを見詰めていたチェギョンに影が差す。 チェギョンが顔を上げると、優しく微笑むユルの顔があった。 「待たせてごめん」 「ううん…」 首を振って立ち上がったチェギョンに彼の後ろに居たウニョンが申し訳なさそうに頭を下げた。 「皇女様がお待ちになってたのに、すいません…」 「あッ、そんな!気にしないで下さい!」 オーバーアクション気味に手を振ったチェギョンにウニョンの硬くなっていた表情が幾分か和らいだように見えた。 その様子にチェギョンの横に居たユルが小さく舌打ちしたのが分かった。 「ソン・ウニョンさん、僕と妹では随分態度が違いますね」 面白くなさそうに嫌味たっぷりにそう言ったユルだったが、ウニョンにサラリとかわされてしまう。 「だって、ユルは意地悪だけど、皇女様は可愛いもの」 ウニョンに可愛いと言われ、チェギョンは顔が赤くなるのが分かった。 その後ろでは、三人を静観していたシンが口許に手を当て笑いを堪えていた。 帰りの車の中、ユルはシートに深く腰掛けて溜息を吐き出した。
「ほんと、彼女には参るよ」 そう言ったユルだったが、チェギョンにはその横顔はどこか嬉しそうに見えた。 「参るってどうして?」 「自分が間違っていないと思ったら絶対に引かない。頑固者だよ」 「でも、良い人なんでしょ?」 「まぁ、そうなんだけど、ね…」 どこか、照れたような表情を見せたユル。 何故、ユルがそんな表情を見せたのか後になってその訳が分かった。 ユルはそれから暫くしてウニョンを宮に招待した。 それが一度きりのものではなく、何度か彼女を宮に招待していた。 最初はシンと一緒に。 その内、彼女一人だけが宮に来るようになった。 家族の中でも話題に上がるようになり、ユルは何度か彼女を家族に合わせていた。 それが、どういう意味を持つのかユルも分かっていた。 だから、一年が過ぎた頃、ユルは家族の前で彼女を皇太子妃にしたい事をはっきりと口にした。 「皇太子妃の件が王族会で度々議題に上がっていると聞きます。ならば、僕はソン・ウニョンを皇太子妃として迎えたいと思ってます」 彼女が王族の家系という事や家族の誰もが賛成した事、何よりユルのその強い想いは王族会にも通じて、その一年後のユルが高校二年の秋に二人の婚約が正式に発表された。 婚約者となった、ウニョンはチェギョンにも優しく、何よりユルの事を一番に考え大切にしてくれる。 寂しいと感じなかったわけではないが、彼女ならユルを支えてくれるとチェギョンは二人の婚約を喜んだ。 その後もお妃教育のために宮に来るウニョンとその様子を見守るユルの姿は誰もが頬を緩めるほど仲睦まじく、チェギョンの憧れの的となった。 そして、気が付けば自然と二人の姿を自分とシンに置き換えてしまっていた。 疎遠となりつつある、もう一人の兄、シン。 二人の姿を自分とシンに置き換えてしまうのはユルが自分から離れた寂しさから来るものなのだろうと思っていたのだが、それがユルに対する想いと違うと分かったのは、ユルのある言葉を聞いてからだった。 「シンに恋人が出来た…」 チェギョンが高等部に進学するひと月前、突然聞かされたシンの恋人の存在。 それを聞かされた途端、チェギョンの心がズキリと痛み出した。 そして、それは確かな拒絶反応を示す。 ―コイビトナンテ、ウソダ…― 「う、うそだもん…そんなの絶対、嘘だもん!!」 零れ落ちた涙を乱暴に拭ったチェギョンはユルを睨むように見上げ、そう言い放った。 |
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アンニョン〜^^
敬愛する兄とウニョンカップルを見て
自身とシン君と重ねるも 実感できなかったのに
自分の気持ちに気づいたのが
愛する人が 自分でない人を好きと知ったときとは・・・。
この切ない気持ちに チェギョンは耐えられるでしょうか!?
2011/6/6(月) 午前 0:01
恵那さん、あんにょん☆
ユル君は憧れのお兄様で、シン君はまた違った意味で憧れの人・・・
その彼らに恋人が出来たら・・・
祝福できる兄と、心を痛める想い・・・
ついにあの方の登場ですね・・・
チェギョンの純粋な想いが傷付かないように祈りますm(__)m
2011/6/6(月) 午前 0:10
恵那さん、おはようございます。
更新ありがとうございます。
ユル君には素敵な彼女、ウニョンさんがいたのですね。
この二人は正式に婚約をしたのですね。
チェギョン、二人を見ていたら、羨ましいよね。
シン君との事を、夢見ていたのに。
そのシン君に恋人がと・・
チェギョン、ショックだよね。
もしかして、シン君、チェギョンとの関係を、自分から
壊そうとして、恋人を
まさか、その恋人とは、あの方??
耐えるゾーンに、チェギョンが入るの・・・
2011/6/6(月) 午前 4:27
恵那さん、おはようございます
更新有難うございます チェギョン シン君に恋人が?
信じられないと・・・
続きお待ちしています。
2011/6/6(月) 午前 6:48
恵那さん おはようございます。
更新ありがとうございます。
ユル皇太子が婚約として チェギョンから離れそしてシンオッパともだんだん疎遠になり・・・
やっと同じ高校に進学する前に シンオッパに恋人が・・
チェギョンの思いは兄から好きな男性へと変化を・・・
続き楽しみにしています。
2011/6/6(月) 午前 7:25
おはようございます・・恵那さん
気が付いたんですね…自分の気持ちに。
シンの恋人?…誰なんでしょうか?
続きが気になります。
2011/6/6(月) 午前 8:24
恵那さん おはようございます
う〜〜近づきそうで、近づけない**
もどかしいよぉぉ
彼女ってあの{ヒ}で、始まる人−+−???
いやぁぁ〜〜〜でも耐えます!耐えて見せます!
更新 ありがとうございます
2011/6/6(月) 午前 8:59
こんにちは。
ショックですよね。チェギョン☆
シンくんあきらめるの!!!そうなの???
お話お待ちしてます。
2011/6/7(火) 午後 3:54 [ でるでる ]
こんにちわ、恵那さん。シン君に恋人


シンチェのこれからの展開が楽しみです
いやぁー、甘酸っぱい感じの恋愛に、ちょっと懐かしさを感じてしまいました
2011/6/9(木) 午後 6:25 [ ドニャコのお部屋 ]
どうしてこんなに、読み手を寝不足させてしまうお話しが、書けチャウンだろう
2周めかなー(o`∀´o)
毎回ワクワクして読んでいます
2013/1/6(日) 午後 0:46 [ わいわい ]