環境問題補完計画

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「エネルギー・資源学会」にて、「地球温暖化:その科学的真実を問う」と題したメール討論が行われています。
論点は、5つに絞られていて、わかりやすくなっています。
1.人為による二酸化炭素の増加
2.温暖化が生じているか否か?
3.古気候を考えると現在の温暖化は普通ではない
4.20世紀半ば以降の気温上昇
5.温室効果ガスによる将来的な気温上昇
……この討論を通して武田さん・槌田さんのTの字も出てきません。(論文として出ているものが無いか、信頼出来る学会のものでない以上、引用しにくいわけですから)

1.人為による二酸化炭素の増加
この項目を唯一否定している丸山さんは、何も書いていません……論拠が見あたらなかったのでしょうか。Keelingの図の誤解釈で日本では人為的CO2の増加を否定する論調がありますが(特に槌田さん・武田さんによる)、それならば、人為排出CO2はどこへいったのか?という説明が必要になります。

※続編において、丸山さんが引用するKeelingの図に対して、伊藤さんがその誤解を指摘する場面がありました。

2.温暖化が生じているか否か?
伊藤さんを除き、全員が認めています。伊藤さんも観測精度を問題にしていて、これはIPCCの研究課題とも沿いますね。
(巷に溢れる、IPCCで使われているデータセットの処理方法を巡る巷説(渡辺さん・武田さんなどの「海のデータが無い」)は、ひとまず問題外)

3.古気候を考えると現在の温暖化は普通ではない
赤祖父さん以外は異論を出していないようです。赤祖父さんの査読を経ていない著作からの引用が多く、そのなかの一つです。……その著作ではIPCCで取り上げられているいくつかの古気候復元資料の一つ、サーガッソ海のプロクシデータを取り上げているようですが、その手の論証はもうなされているので……これは調べればすぐに分かるのですけどね。

ところで、赤祖父さんが自然変動を「0.5℃」と明言できる根拠をぜひ知りたい所です。

(それと、赤祖父さんは一度キリしか書いていませんが、その中でも、学術論争と言うよりは、政治的問題としての発言が見受けられます。厳密に言うなら、これは、この討論のルールからは外れているはずなのですが……討論の中身とは関係ないのでどうでもいいですが)

4.20世紀半ば以降の気温上昇
(2.3.と複合して行われています)

5.温室効果ガスによる将来的な気温上昇
気候感度に関しては、伊藤さんは、いくつかある研究成果のなかの値の低い論文一つを取り上げて、気候感度が低いと言われているようですが、ほかのいくつもの研究に比べてそれが優れているという論証が必要と江守さんが反論しています。また、当初その論文では「1.1℃」としていたものが、著者自身「1.9℃」に改められています。

もう一つ、Illisの気候感度(そもそも査読を経た論文ではない)は、海洋温度の上昇などを加味していない、初歩的な計算であり、それらを加味した場合、結果としてでる気候感度はそれもよりも上がるとのこと。

あと、シミュレーションに関しては、草野さんがどこまでの精度で再現すれば、「再現出来た」と言われるのかを知りたい所です。
草野さんを指す訳ではないですが、研究などの「精度が足りない」という指摘をする人に見受けられがちなパターンとして、ご本人がゴールを示されていないか、到底なしえないようなゴールを示されることがよくあります……「何時何分何秒?地球が何回回った時?」という子どもの口げんかみたいなもので、どこまでやれば納得するのかわからないので相手にされない話です。

あと、「宇宙線説」も取り上げられていますが、その効果を否定する論文が出そろいつつあるようです。

ただ、草野さんと江守さんは相互理解に至っているようです。私も、研究界に身をおく者として、精度向上・不確実性の解消との路線は、共感出来ます。

頭数ではないことは基本的前提として

毎日新聞の紹介記事では、頭数で「懐疑派3名、中立1名、IPCC派1名」と読みとれますが、議論は頭数で行う訳ではありませんので、中身の論議の質を見ずして、頭数で「懐疑論有利」と思い込む方が出てこないことを願います。(学術界に身をおく人なら、そういう誤解はしないと思いますが)
このあたりのよくある誤解に関しては、よくある誤解編としてまとめています。

以上、とりあえず、寸評として。

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武田氏は、なんで、よくテレビに出てるんですかねぇ。
人当たりが良さそうだからですかねぇ。。。
しかし、、、環境問題を多数決ってか、頭数ですか。。。
考え違いも甚だしいですねぇ。。。(;一_一)

2009/1/13(火) 午後 6:21 かじら 返信する

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綾波シンジ様
このたびは、色々ご教授賜り本当にありがとうございました。また早速に、「エネルギー・資源学会」メール討論の寸評をUpしていただきありがとうございます。素人には、比較するのも難しく、専門のかたの寸評は大変貴重なものだと思います。今回「エネルギー・資源学会」が学会誌上でメール討論を行ったことのインパクトがブログ上では、出つつあると思われ、専門家の評価として、このエントリを紹介させていただきたいと思いますのでご了解ください。今後とも宜しくお願いいたします。

2009/1/13(火) 午後 9:53 [ san**ku2007*ans*ku ] 返信する

専門的なことになると、なかなかパッと理解できないのですが、
面白そうな討論会をご紹介いただきありがとうございました。
傑作ポチ致します。

2009/1/14(水) 午前 0:58 [ yhah's papa ] 返信する

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>カジラ様

どうも、頭数で勝った、と思っている人や、毎日新聞の紹介記事をみて、懐疑論が一杯ある、バンザイ、と勘違いしている人がいるみたいです。
毎日新聞の紹介記事は、討論が始まる前の諸氏の戦力を紹介しているだけで、「論戦」自体は含まれていないのです。
たとえて言うなら、野球の勝敗予想(しかも○売びいきの読○テレビ)をみて、「懐疑論が勝った」と思い込んでいるようなものです。

2009/1/14(水) 午前 3:11 [ 綾波シンジ ] 返信する

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>散策様

ひとまず、新聞の紹介記事や、○×表という、「各氏の前提」を結果と思い込んで、「懐疑論が多数で、懐疑論の勝ち」とさらに思い込んでしまう人がチラホラと出てくるでしょうね。

そのような人の大半は、如何に本文で学術的根拠を示したとしても、理解出来る状態では無いので、紹介して頂いても、ムダかと思われます。

私に出来ることと言えば、今後、時間を割いて、論点毎に見ていくことかと思います。

2009/1/14(水) 午前 3:18 [ 綾波シンジ ] 返信する

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>エコ医局様

ありがとうございます。
殆ど話をされていない赤祖父先生や丸山先生はともかくとして、

・伊藤先生は、基本的に、IPCCの精度を問題にされていること、また、気候感度に際して、査読の通った論文でないものを、論文と思われているのか、その話を持ち出していること

・モデル屋の草野さんは、精度向上という姿勢自体、IPCCの方向性、というか学術的な方向性からは、外れていないこと

が何よりでしょうか。

2009/1/14(水) 午前 3:30 [ 綾波シンジ ] 返信する

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「地球温暖化:その科学的真実を問う」
チンプンカンプンなんですけど、部分部分は参考になりました。

その毎日新聞に掲載されていた「議論」というのは
2/18の 明日香vs槌田 (at高千穂大学) ですか?
( お願いしますよ! 明日香先生っ! )


> 武田氏は、なんで、よくテレビに出てるんですかねぇ。
それって...『 ホンマでっか!?』 の後に、またTVに出たんでしょうか?
> 人当たりが良さそうだからですかねぇ。。。
判ってない人には、革新的で愉快なおじさんに見えるんでしょうかね?
こっちはハラワタ煮えくりかえってるんですけど。


ダイハツもラリー/ダートラ撤退ですかぁ

2009/1/14(水) 午後 8:28 [ F.M.E.O.-One ] 返信する

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>平山様

いえ、エネ・資源学会で9日に公表された後の13日に、毎日新聞が今回の討論を公表していたものです。

2009/1/14(水) 午後 10:37 [ 綾波シンジ ] 返信する

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KYな書込みして申し訳ありませんでした。
「 毎日新聞 温暖化 議論 」でweb検索して最初にヒットしたのが2/18の件だったので...

で、もうその日も過ぎてしまいましたけど、件の 明日香vs槌田 を観覧された方っていますか?

2009/2/19(木) 午後 8:27 [ 平山 滋 ] 返信する

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<平山滋さま>

いえいえ。
このメール討論の紹介された毎日の記事は、すでにオンライン上では発見出来ませんでした。
下記で簡単に触れています。
http://blogs.yahoo.co.jp/eng_cam_fld_tgs/38251144.html

>件の 明日香vs槌田
信頼出来る情報筋によると、槌田さんがふっかけるネタはいつも一緒だそうですから、「反論コメント」の内容で良いんじゃないでしょうか。

2009/2/20(金) 午前 2:17 [ 綾波シンジ ] 返信する

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