気まぐれ空模様

その日の気分でいろいろなことを書き散らします

ミステリー

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わりと技巧的な作品の多い人だという印象がありましたが、この作品はミステリー仕立ての親子ドラマで著者の人間観がよく出ていています。

画家沙羅の二人の中学生の息子はすべてに対照的。兄は勉強もスポーツも優秀な人気者、弟はぐうたら。しかしその一家の過去にはある秘密が…
ふとしたことからその秘密の存在に気づいた兄弟が探っていくと衝撃的な過去の事件が現れてきます。

母親と子供たちの会話が自然で読んでいて心地よく、悲劇的な話も暗さを感じさせません。
著者の言いたいこともよく伝わるし、すっきりした読後感の快心作ではないでしょうか。

これはどちらかと言えばミステリーというより経済小説である。

作者の幸田さんはもともと証券会社などで働いていた人なので、そっち方面には詳しい。
題材は躍進する中国経済である。
餃子やサッカーねたなどでもいろいろと話題を提供してくれる中国の経済躍進の真実は?かの国はこれからいったいどういう風に進んでいくのか?
その辺に興味のある人には参考になるかもしれない。

正直小生経済は全くの門外漢である。読んでいてもよく分からないと認めてしまおう。
ただどなたかの言葉を借りて、「中国の常識は世界の非常識」なんだろうなという部分はなんとなく分かった。賄賂、強烈な貧富の差、などなど。


一応印象に残ったのは量は質を変えうるという部分であろうか。例えば自動車のショーウインドーを新たに作るとして日本の常識で考えるなら10から20店舗というところが、いきなり6000とか言われるとなるほどすごい市場だというのは分かる。

エラリー・クイーンの作品をそのまま日本に移植したらこうなるだろうと思われるようなある意味完璧な本格推理。
伏線の張り方、手がかりの提示、隠されたトリック、彫刻芸術に関する薀蓄、論理的な解決、すべてにおいて見事なできばえで本格推理小説の教科書のような作品である。

ではあるが、じゃこの作品をあえて読まなければいけないその根本的な魅力は何だ?と問われると首を傾げることになる。

それはやはり主人公の持つオーラと関係があるいうことになるのだろうか?
あるいは他の人物でもいい。圧倒的な存在感で忘れられない読後感を与えるような人物は一切出てこない。いや特に特殊な人物でなくてもいい。読者が愛さずにはいられないような、自分の感情を移入して一緒にドキドキはらはらできるような、そんな登場人物が一人でもいれば、一気に忘れがたい作品になったかもしれないのに。
そう思ってしまうが、それはないものねだりなのだろう。

複雑に絡み合った過去の因縁をリュー・アーチャーが丹念に解き明かしてゆく。
17歳の真面目な娘が男のところに行ったまま戻らないので取り戻して欲しいと頼まれたアーチャー。
どうやら二人は資産家の家を襲う計画を立てているようだと知ったアーチャーはその家へ警告に行くが、案の定そこの主人が彼らに拉致されてしまう。

最初はただ単に無軌道なティーンエージャーの暴走かと思われた事件がその裏には幾重にも絡まった謎を隠し持っていた。
15年ほど前に起きた二つの事件はこの事件といったいどういう関わりを持っているのか?
関係者を訪ね回って真相を探るアーチャーの前に次々と意外な事実が現れてくる。
なんとか娘の心だけでも救いたいと奔走する彼の努力を嘲笑うかのように事件は急展開を向かえ、そして最後に明らかになった真相とは…

円熟期の作品だけあって読み応え十分、よく練られたプロットが作品に奥行きを与え、しかも物語は最初から最後まで緊張感を失わない。

「鉄は熱いうちに撃て」ということわざがあるが、この小説の主人公探偵ドナルド・ラムならさしずめ「熱くなる前からこねくり回して誰にも何を作っているのか分からないような状態に持っていく」というところだろうか。それでいて最後にはちゃんとした形になっている。熱くなった時に行動を始めてももう遅すぎるというわけだ。

いわゆる「石橋を叩いて渡る」式の処世術が主流と思われる日本とは対蹠的な世界がここにある。
この小説を読みながら、「おいおいそんなことして大丈夫かよ」と突っ込みを入れたくなる回数は多分日本人読者の方が圧倒的に上回るのだろう。

ご存知弁護士ペリー・メイスンの産みの親アール・スタンリー・ガードナーが別名で出版した探偵クール・アンド・ラムシリーズの一作。
プロットは特に複雑ではないのだが、展開があまりに速くてついていくのが難しい。まあそこが彼の作品の最大の魅力といってもいいのだが。
10万ドルが盗まれてお馴染みフランク・セラーズ部長刑事が犯人の一人を捕まえるのだが、その犯人は5万ドルしか持っていない。おまけに残りの5万ドルはセラーズが猫ばばしたと言い張るのだ。
今までに散々出し抜かれて苦い思いを味わわされてきたドナルド・ラムが事件にからみそうだと思ったセラーズは先手を打って、逃げたもう一人の犯人は俺が捕まえるから絶対に手を出すなとラムを脅すのだが、やさ男のラム君は美女の頼みとあればほいほいと引き受け、あの手この手で残りの5万ドルを追う。
警察に徹底マークされて、怪しい行動はすべて調べられ窮地に陥るラム君だが、そこは持ち前の頭の回転の速さとそこら中に現れる女性の協力者達のおかげで楽々と出し抜いてしまう。
「プリゾン・ブレイク」のマイケルもそうだけれど、アメリカ人はこういうとんでもなく頭が切れて、瞬時に解決策を思いつく行動型ヒーローを好む傾向があるのかもしれない。

ガードナーという人は脇役の人物造形を全くといっていいほどしないので、その辺が物足りないという部分はある。この作品では警察を手玉に取るラム君の活躍だけしか印象に残らないかもしれない。

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