Michioの科学随筆

主として科学の分野における”一言集”のようなものにしたい

全体表示

[ リスト ]

(778)エネルギー

エネルギー(energy)とは物体や系が持っている、仕事をする能力の総称です(参照:(329) 熱機関の効率(カルノーの定理)、 (348) 熱力学、 (496) 省エネルギーか省エクセルギーか、 (643) フリーエネルギー )。別に改めて述べるまでもないことですが、その概念を簡単に述べたいと思います。

 1600年頃、ガリレオ(G. Galilei)は、釘の頭に重い物(石など)をのせても釘は木の中にめりこんでゆかないのに、それよりも軽い金づちを振って打つだけで釘が木材に入ってゆく、ということを問題として取り上げ、運動する物体には何らかの固有の「ちから」がある、との考え方を示しました。デカルト(R. Descartes)は、1644年に衝突という現象においては、物体の重さ(正しくは質量 m)と速さ(v)の積 mvに相当するような量こそが物体の持つ「ちから」である、と述べ、この量は保存される(総和は一定)と主張しました。またライプニッツ(G. W. Leibniz)は、重さ(正しくは質量 m)と速さの二乗の積 mv2 こそが「ちから」であるとし、この量が保存されると主張しました。デカルト派とライプニッツ派の間で「ちから」の解釈に関する論争が50年ほども続いたのですが、この問題についてオイラー(L. Euler)は、1745-50年頃に執筆した手稿「自然哲学序説」の中で (1) 両主張の差異は運動と力の関係を同一時間で比較するか、または同一距離で比較するかの違いであること、(2) 慣性を物体に内在する「力」に置き換えることは誤りであることを示し、またコリオリ(G-G. Coriolis)が、この活力が (1/2)m v2 であることを示しました。これは今日の「運動エネルギー」に相当します。

 エネルギーはその保存形態によって様々に分類されます。化学ポテンシャルの差を利用して取り出されるエネルギーは化学エネルギー、電流によって運ばれるエネルギーである電気エネルギー、電磁波によって運ばれるエネルギーである光エネルギー、原子核分裂や原子核融合などの原子核反応によって生じるエネルギーである原子エネルギーなどです。これらは原理的には対等に相互変換が可能です。

 ただ、熱機関と熱浴(Heat bath)との温度の差を利用して取り出されるエネルギーである熱エネルギーはやや事情が異なります。「熱から最大いくらの仕事が取り出せるか」を論じたのがカルノー(N. L. S. Carnot(1824) )で、その後にトムソン (W. Thomson, Baron Kelvin)、クラウジウス (R.J.E. Clausius) らが熱力学(特に第二法則)を確立する際の基礎となりました。(参照:(426) 蒸汽機関、(329) 熱機関の効率(カルノー効率)、(47) ヒートポンプ )。熱エネルギーを対象とする熱力学においては、ある条件下で仕事として取り出すことのできるエネルギーとして自由エネルギーが定義されます。自由エネルギーには、等温操作によって熱力学系から得られる仕事の最大値として定義されるヘルムホルツ(H. L. F. von Helmholtz)の自由エネルギーと、等温等圧操作によって得られる仕事の最大値を与えるギブズ(J. W. Gibbs)の自由エネルギーの2つがあります。自由エネルギーは、適切な変数の下では平衡状態の熱力学系のすべての情報を持った関数すなわち熱力学ポテンシャルで、平衡状態は自由エネルギーが極小である状態です。

 国際単位系におけるエネルギーおよび熱量の単位はジュール (J) ですが、分野によっては、例えば、栄養学や食品の世界では昔ながらのカロリー (cal) = 4.18J が用いられています。他に、エルグ (erg) = 10−7 J、キロワット時 (kWh) = 3.6 MJ、電子ボルト (eV) = 1.602×10−19J、なども用いられています。

この記事に

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事