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市川猿三郎 二輪草紙
歌舞伎役者 市川延夫改め二代目市川猿三郎。 公演などのご案内、過去現在にわたっての様々なことを思いつくまま書き綴ってまいります。

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波乱万丈の千穐楽

やれやれと云うべき 今月の公演。2015年『五月明治座花形歌舞伎』
千穐楽を迎え 無事にこの日が終わりました。

このひと月は、と云うより この2015年5月は
私にとって忘れられない月となりました。

2か月の『かぐや姫』の公演が終わってからの、休みなしの連続で
しんどかった!つらかった! それと楽しかった 面白かった。

そして、さらに思いがけなかった! 


そんな今までにない気持ちが 入り乱れたひと月でした。
まあこんな事は本当に珍しいですね(笑)

『ぶっちゃけ寺』『Qさま!』ともに一門のみんなとのテレビ出演。
こういったテレビ出演は 猿之助さんのおかげ、発案でなくては、ありえないサプライズ。

ご覧いただく皆様にも、出演しました私たちにも どこかサプライズな
テレビ出演でした。

今日千穐楽の舞台を終え どこかホッとした思いの月でした。(笑)


ほんの少しだけ、代役公演を振り返らせてください。
やっと一息・・・つけました。


初日。

正直、今回のお役は、台本の一字一句を間違えないで喋ると云うのを
求められている訳ではございません。

台本を無視するとか云う訳ではありませんので、そのあたりは誤解のありませんよう
お願いしたいのですが、

「芝居の中」で その芝居の雰囲気を壊さない様に 芝居の空気感の元、
「そういった台詞を話す」、流れを途切れさせない。

そちらの方が 必要となってくるのです。

言葉の 一字一句よりも、大坂の芝居の 雰囲気、空気、流れ。


私には、「ネイティブ大阪弁」と云う、大きなアドバンテージがございました。
上方歌舞伎に身を置いていたために「雰囲気でいう 捨て台詞」の経験もございました。

そういった意味では 他のお芝居の代役に比べましても、
少しだけ 気持ちにも余裕をもっての代役ではありました。


一幕の台詞、丁々発止の部分は うまくいきました。(・・・と 思います。)

その後の 決まり文句の 口上二か所で ま、ちょっと人の台詞を飛ばしたり 
その結果、同じセリフを繰り替さざるを得なくなってしまったり と、
完璧とは言えない出来ではございました。

初日、22日をご覧になられました お客様には いろいろな意味で
ドキドキさせてしまいまして 申し訳ございませんでした。


二日目、三日目、「ここで間違えてはいけない」の 思いのもとに 日々勤めました。

四日目、「ここまで来たら 絶対に間違えられない。」



そして 五日目。

今日、千穐楽の舞台です。

最終日にきて、初めて、どこか「加賀屋東蔵」と云う人物を ちょっと 私なりに生きることが
出来たような気がいたしました。

ある場面。ある所作。

それまでは、いわゆる「段取り」として、「ここでこうして、ここでああして」と 
竹三郎さんの 所作を思い出しながらの 四日間だったのですが、
今日は ちょっとだけ 「お芝居の中の東蔵」としての私が 居たのだと思います。


元々、この東蔵と云うお役は 私が勤められる訳のない 大きな大きなお役でございますので、
あまり言いますと ちょっとおこがましいのですが、今日は、「私の中での東蔵」、「東蔵としての私」。


その気持ちの中で演じておりまして、いつもはしていた「ある事」をしないままに
お芝居が進んでしまいました。

次の瞬間、いつもと違うものが 違うところにあります。

一瞬、あ・・・と思いましたが 「私がその時にそれを 動かすことをしなかった」

所作を忘れた訳ではございません、逆にその所作をしなかった、いえ できなかった!
その事が私にとっての 「東蔵としての心情」だったのではないかと 思いました。


千穐楽の 最後の最後の舞台で ほんの少しだけ 「東蔵」と云う人物を 知った気がします。

知ったというのは おかしいでしょうか??

やっと 東蔵と云う人物に 自分なりに近づけたという気がいたしました。


これは竹三郎さんなら 違うお気持ちで 違う所作であったと思いますし 
お客様は その方が自然だと 思われたかも知れません

色んな事を考えないで 考えた  とも とることのできる 今日の私の東蔵でした。


普段でしたら、とてもとても 私には勤められない大きなお役をさせて頂きました。

本当に、ありがとうございました。
 
本日、東蔵の出番を終え 楽屋でホッとしておりました時に、竹三郎さんより
直にお電話を頂き、代役のお礼の言葉を頂き 逆に恐縮してしまいました。

でも、お言葉もしっかりして居られまして、私からは 「ゆっくりお休みください。」
としか云えませんでしたが、遠く及ばないお役に 少しでも自分を現せて よかったかな?
とも 思いました。

今日は今日 これで一端の区切り。 


明日からまた 博多座『四代目 中村鴈治郎襲名披露公演』の
お稽古が 朝11時から始まります。

もうひと踏ん張り、7月は歌舞伎座 8月は大阪新歌舞伎座。

まだまだ先が見えませんが 取りあえずの千穐楽です。


今日の写真は 猿之助さんと一緒に撮りました、
私の加賀屋東蔵 猿之助さんの加賀屋歌右衛門です。


イメージ 1


昨日のQさま!と違い 助け合う二人です(笑)

舞台上で東蔵として 猿之助さんの歌右衛門と もう会えないと思いますと
ちょっとさびしいですね。


最後の今日、終わってから猿之助さんが私に云われたひと言。 

それは・・・。

誰にも云えません 私だけのひみつの宝物です。

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