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・・・ ベトナムには、なぜだかずっと行きたかった。 子供の頃からベトナムというのは「戦争してる国」というふうに思っていたのに、戦争が終わって長い時間がたって、旅するところにさえなっている!という話を聞いてから、ずっと行ってみたかった。 ホーチミンシティからハノイへ向かう列車の窓から on the railroad, Vietnam. ある時とんとんと話がまとまって、いつのまにか私よりずっと放浪の人になっていた末の妹と訪れた。 妹とは6歳ちがう。だから、彼女の中にはベトナム=戦争という図式はほとんどなくて、彼女が特別の思い入れや感傷抜きにベトナムを眺める様子もまた面白かった。 列車内の御飯を作ってくれるおばさん。お昼休み。 in the train, Vietnam. ベトナムはさほど広い国ではないけど南北に細長いので、列車で縦断するとかなりの長旅になる。 寝台列車、しかもコンパートメントになってる列車は大好きだから苦にはならなかったけど。 ただ、言葉もわからない上に万事がわりあいテキトウなので、停車時間を地元の人ほど大胆には使えなかった。 置き去りにされると怖いもの〜。 夜停車した駅で。(ものすごく美味しそうだった。) some station, Vietnam. 列車内の食事はワゴンに載せてコンパートメントまで運んできてくれた。 見た目も美しくて嬉しい。 具沢山のスープはわりあい薄味で美味しい。 パンは、どこに行ってもそうだったけど、外側はパリパリ、中はモチモチしっとりしていて独特の風味と食感が楽しめた。 食べ物がおいしいと、その国はとりあえず好き、と思える。 車内のランチ。熱々のお茶も美味しかった。 in tha train,Vietnam. 車両によるのかもしれないけど、コンパートメントの窓には嵌め殺しの金網があって、ちょっとおどろいた。 理由は、あれこれ考えたけど、確かなことはわからない。 外から物を売りに来たときに、すぐに買えないので腹立たしかった。 でも、物売りの中には押し売り婆みたいのもいるので、金網のおかげで助かることもあった。 亜熱帯の村を眺める放浪猫モクレン in the train, Vietnam.(photo by sister) いろんなところを旅すると、食べたいものが簡単に手に入る国ばかりではないことを思い知る。 食への熱意は人並み以下と思う私でも、ハンバーガーばかりとかカレー味ばかりとか、なんでも油漬けではうんざりするし、買い物に行っても缶詰くらいしか売ってない国なんかに行くと途方に暮れてしまう。 木の葉で包み焼きにした焼きおにぎり。美味。 Mito, Vietnam. ベトナムの「食」に関しては、亜熱帯だから果物は美味しいかな?程度の期待しかなかったけれど、どこに行っても何を食べても大抵美味しかった。 中華料理と、アジアごはんのいいとこ取りをしたような感じで、日本人の好みにすごく合う気がする。 店に入らなくても、露天でいろいろ売っているから食べ歩きも楽しい。 ベトナム人は意外にパン好きか?パン屋さんも多かった。 Mito, Vietnam. ホーチミンからハノイへ行くと、ちょっと雰囲気がちがうなーと思う。 ハノイは食べ物も服装も、ちょっとハイカラ。 都会だから好いこともあるのだろうけど、その分、貧富の差が少し目につくような気がした。 でも、みんな明るくて、元気。 プリント服地の店なのに、店先は菓子パン屋さん。 Hanoi, Vietnam. ハノイで妙に目についたのは、お祭り関係?お祀り関係?かよくわからないけど、とにかくおめでたそうな派手なグッズ。 行った時はあまり興味がなかったけど、今見るとクラクラするくらい素敵。 でも、部屋に飾ったりしたら怪しすぎるかしら。 ハノイは中国に近いから、漢字に対する認識もあったりするのかな。 でも、やっぱり用途不明・意味不明。 おめでたい垂れ幕屋さん Hanoi, Vietnam. ある夜、ハノイの街を二人で歩いていたら、日本語で話しかけられた。 若い男の人で、日本語の勉強をしているという。 ナンパ?と疑うには、気の毒なくらいその人が緊張しているのがわかったから、話しかけられた理由がよくわからないまま、「まぁ、いいか」なんて気分で一緒にお茶を飲みに行った。 線路越しに見る、フエの古い町並み。フエには昔の王宮がある。 Hue, Vietnam. その青年は、日本語の勉強を一生懸命やっているけれど、特別なコネがあるわけでもなく、先々のことをどうすればいいのかわからなくて悩んでるらしい。 彼の日本語は流暢には程遠く、途中で言いたいことが伝えられなくなってきて、後半は英語になってしまった。 この程度の日本語では通訳もできないだろうな、と気の毒になったけれど、私たちにしてあげられそうなことなんて、ひとつもなかった。 どうしてるかな、あの青年は・・・。 とても印象的な入れ歯屋の看板 Hanoi, Vietnam. 不勉強なために、私は今のベトナムがどんな政治体制で動いているのか知らない。 でも、どんどん成長発展してきているらしいことはなんとなくわかる。 もしベトナム戦争の結果、朝鮮半島のように分断されたままであったらどうだったのだろう、と思ったりする。 乗り合いバスは、地元の人には便利そう。・・・暑そう。 Ho chi minh, Vietnam. でもこの国で過ごしていると、まわりがどんな思惑で動こうと考えようと、この国の人たちは、自分たちのペースと価値観で元気に大らかに強かに、発展すべくして発展するのじゃないかな、と感じる。 元気と活気があって、食べ物が美味しい国は、たぶん大抵のことではへこたれない、そんな気がする。 ポリスマンも、にこやかでおおらか。(いいのか?) Ho chi min, Vietnam. できることなら、このどんどん変化していく国の、変わり行く様子を見続けていきたいな、と思う。 でも、今は放浪猫には戻れないから、遠くから眺めているしかないかな。 「33」という名前の食堂の猫。春巻きをあげたら食べた。 Ho chi min,Vietnam. ___________________________________________ ベトナムを旅したのは90年代半ば頃でした。もうずいぶんと時間がたっていますので、風景も人の様子も政治もいろいろ変わっているかもしれません。 ここに載せた私の横顔の写真を見た娘が「うっそーーーーっ。まるで別人やん!」と驚きました。 より大きく変わってるのは、私の方かしら。 (そんなに変ってないように思うんだけどな・・・シクシク。) _________________________________________________________________________________________
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