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世界は真っ暗闇だ。色などない。ただ光と闇があるだけだ。 なのに私は「色」を知っている。 同級生が着ていたTシャツの色。紫色。好きな色。覚えてる。 なのに。彼は今それを着ているのに。見えない。真っ暗だからだ。 午後からのにわか雨。下校時間。 私は傘をもっていない。濡れて帰るのは大変だけど仕方ない。 一緒に帰る人はいない。誰もいない。ちょっとやだな。 そばにいた同級生に一緒に帰ろうと声をかけてみた。 彼らは苦笑してる。そう。わかったよ。はっきり言わないけど嫌なんだよね。 雨の降る午後。通学路。濡れてしまうから近道しよう。 木の多い通学路。アスファルトもみんな濡れている。 傘をさす下校途中の生徒達。みんな傘持って来てたんだね。 いけない、慌てていた。早く帰らなければと焦っているうちに近道を通り越してしまった。 戻る。 結局無駄に濡れてしまっている。傘をさす生徒達は私に無関心で通り過ぎてゆく。 近道へ入る。尚一層の木が生い茂る道。地面はコンクリートで出来たどぶ板だ。 所々少しずれている。気をつけなくちゃつまづいてしまう。 隙間がある。段差がある。気をつけなくちゃ。真っ暗で何も見えないから。 どぶ板の半分は濡れた落ち葉で埋まっている。滑る。走る。転びそうで嫌になるけど帰らなくちゃ。 ここを通って帰らなくちゃ近道にならない。 真っ暗だ。何も見えない。 いや。本当は見えている。僅かにある光で立体物の光沢が見て取れる。それだけだ。 生垣と木に挟まれた狭い道。時々コンクリートの塀がある。 塀の中は知らない。わからない。何があるのか聞いたことも見たこともない。 どうせ見ようとしたって真っ暗で見えないだけだ。 うねうねと曲がりくねったクランクの道に辿り着く。 ここを越えれば家はすぐそこ。 クランクの道もコンクリートの塀が続く。だけど塀の中を私は知ってる。 ここは墓場だ。塀の上に卒塔婆の光沢が闇の中に光る。 木々が生い茂る中から何かわからない蔦がからむ。背筋に雨の雫を滴らせる。 冷たい。寒い。ぞっとした。 だけどその冷たさは雨の冷たさじゃない。 私は怖いんだ。この道が怖い。真っ暗で怖い。真っ暗闇だ。闇が怖い。 私は知った。怖いって冷たくて寒いんだ。 駆け抜ける。真っ暗だ。前が見えない。あちこちぶつかる。 雫がたくさん降りかかる。冷たい。寒い。怖い。 怖い。怖い。怖い・・・・・・。 世界は真っ暗闇だ。 ********************************************** なーんて夢を見ました。起きた時は心臓バクバク。歯を食いしばって握りこぶし握って。
真っ暗なだけの夢だったけど相当怖かったです。 |
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