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10年位前、大好きだった亡父の故郷を家族でたずねる旅をしました。
その時、明け方急に目が覚めて言葉が次々生まれてきました。
まだ皆寝ている時間なのでそっと起きだし電気も付けずに薄暗がりの中でメモしました。
母が気づいて起きだし「今頃何してるの?」
「なんか短歌や俳句が浮かんできたの。忘れんうちにメモしてるねん」と。
兄弟や母は「姉ちゃんが一番お父ちゃん好きやったから、お父ちゃんが作らせはったんやわ」
と言ってましたが不思議な体験でした。
旅の無事墓前に祈る我が耳に亡き父の声はっきりと聞こゆ
旅装して三々五々に集まれる総勢十人これ家族の輪
次々と近づきては過く島影の瀬戸内海を船は進みぬ
夏の夜の十三時間の船旅は今はいませぬ父に近づく
若き日に父と来た島緑して近づき来れば涙あふるる
大好きな父の生まれしこの島に我は上陸れり今は父なし
在りし日の父の自慢の故郷に来て納得の筑前大島
津和瀬なる地名聞くたび水晶を父と探したあの日の思い出
乗り継ぎの時間に合わせ夫婦して我ら待ちくる人のありけり
炎天の波止場で我ら待つ叔父の柔和な笑顔若き日は遠し
母娘して父の故郷訪ぬればゆかりの人々遠方より来る
島巡りバスの案内聞くたびに遠き記憶のよびおこされむ
この景色この輝きはカメラでは記録できぬと心眼に焼きつく
意義ありしルーツを探る旅に出ていよよつのるよ父への思い
緑濃き父の故郷大島は歴史の宝庫資料館で知る
今更に父の遺徳のしのばれる寄進の刻名にそれを見しとき
母娘して人の情けにふれる旅八十路の母も感謝感謝
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