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 自分が若い頃写実的なイラストを描いていた。カラーで風景も描いた。が、写真を素材としたものだ。いくらそっくりに描いても個性がないと諦めた。今は超リアルなイラストをよく目にする。

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 で、この記事に出ている例はこれはぶっとんだ。写真以上のリアルさだ。ホキ美術館の人気ナンバーワン作品ってのは、これは写真ではないと分かる。自分は写真も好きだった。この質感や暖かみはイメージセンサでは無理だろう。


世界で初めての写実絵画専門美術館──ホキ美術館

2019.04.17 WED

ノンフィクション作家であり、美術評論家でもある野地秩嘉氏が、車で訪れたい美術館を全国から厳選して紹介する連載「車でしか行けない美術館」。第9回は、世界初の写実絵画専門美術館として2010年にオープンした「ホキ美術館」を訪れた。

作家の意志や感情が宿る写実絵画

ホキ美術館はJR外房線の千葉、土気駅から歩いて20数分という距離にある。千葉の佐倉にある川村美術館もまた最寄り駅から遠いけれど、同館の場合は専用送迎バスがある。しかし、ホキ美術館へのアクセスは地元のバスしかない。バスの便も決して多いわけではないから、車を使っていくのがもっとも便利だ。

ホキ美術館は世界で2館しかない写実絵画の専門美術館だ。

写実絵画とは、一見、写真のように見える、細部まで丁寧に描写した油絵のこと。たとえば木の葉を描くとする。木の葉の色や形だけをなぞるのではなく、葉脈の一本一本までをすべて描くといった気の遠くなるような作業が必要となる絵画だ。

1960年代後半から70年代初めにかけてアメリカで、スーパーリアリズムと呼ばれる技法の絵画が出てきた。こちらもまた細部まで丁寧に描写した絵だ。対象を写真に撮って、それを見ながら描く手法も似ている。しかし、写実絵画とスーパーリアリズムは大きくふたつの点で異なるところがある。

まずは絵の具の種類だ。写実絵画は油絵の具だけで、スーパーリアリズムはアクリル絵の具を使うことが多い。アクリル絵の具は油絵の具よりも乾くのが速く、制作日数が少なくて済む。

もうひとつは写真の使い方だ。スーパーリアリズムは写真をキャンバスにそのまま投射し、輪郭などを写していく。一方、写実絵画は写真を参考にして、細部まで自分の手で描いていく。描いていくうちに、作家の意志や感情が画面に、にじみ出てしまう。

写実絵画界の第一人者である野田弘志は著書で、次のように説明している。

「写実絵画とは物がそこに在る(存在する)ということを描くことを通してしっかり確かめようとすること。物が存在するということのすべてを二次元の世界に描き切ろうという、一種無謀ともみえる絵画創造のあり方。物がそこに在るということを見える通りに、触れる通りに、聞こえる通りに、匂う通りに、味のする通りに描ききろうとする試み」(『リアリズム絵画入門』)

つまり、ただ姿かたちをリアルに転写するのではなく、実物、写真を見ながら、自分のなかで咀嚼して、あらためて画面上に対象を生き返らせる表現が写実絵画と言える。

建物もまたユニーク
ホキ美術館のホキとは同館の創設者でかつホギメディカルの創業者、保木将夫の名字だ。保木自身がそれまでに所蔵していた写実絵画が館蔵作品の元になっている。

写実絵画を専門に収蔵、展示していたのは2010年の開館時、同館だけだったが、バルセロナにMEAM(メアム)という写実絵画を見せる美術館が2011年、オープンしている。

ホキ美術館の作品はユニークそのものだが、建物の外観や内部の設備もまた独特だ。外観はコンテナのような長方形の箱がふたつ、並んでいるといったもの。長方形の箱の周りには柵の代わりに鉄の棒が草のように生えている。無機的で殺風景なのだけれど、建物の周囲にある自然とは調和している。

内部の設備については同館広報の松井文恵さんが教えてくれた。

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細長い空間が特徴の展示室。3フロアからなり、全長は500メートルもある

「内部はプレーンな壁と絵画しか存在しないようにしてあります。鑑賞時に妨げとなるようなものが視界に入らないよう、壁面の目地、ピクチャーレールやワイヤーは排しました。壁材が鉄になっているので、磁石で絵画が壁に張り付いているのです。展示用ワイヤーがない美術館は世界でも稀でしょう。また、館内の展示室は3フロアあります。すべて歩くと500メートルです。ですから、床材にゴムチップを採用し、足に負担のかからない通路設計にしています」

写実絵画はディテールの丁寧さに価値がある。それと同様に、同館の設備はディテールに工夫を凝らしている。

ホキ美術館の人気ナンバーワン作品

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生島浩「5:55」(2007−2010年) ホキ美術館所蔵

生島浩の人物画「5・55」は同館の人気ナンバーワン作品だ。フェルメールの絵画をほうふつさせる光と影のコントラストのなかに、雰囲気のある女性が座っている絵だ。彼女は公民館に勤める女性で、モデルとしては素人である。自らすすんで絵のモデルになったわけではなく、「この一枚だけ」と懇請されてモデルをやった。そんな彼女がモデルを務めるために提示した時間は午後6時まで。

絵のタイトルにある「5・55」とは午後5時55分のこと。絵のモデルをやった彼女が帰る5分前の時刻だ。

その時、彼女は「もうすぐ終わる」という、ほっとした気持ちと、「約束した以上は最後までしっかりとつとめなきゃ」という真剣な気持ちのふたつを同時に持っていたのだろう。画家はそのふたつの感情を見事に描いている。

写真は瞬間を切り取るものだから、怒り、悲しみといった瞬間の感情をそのまま写し取ることはできる。しかし、時間の経過が必要な揺れる感情を表現することは不可能に近い。その点、写実絵画は複雑な感情、相反する意志を人物の表情のなかに描くことができる。この絵が人気なのはモデルの美しさもさることながら、表情に現れている複雑な気配に人が魅かれるのではないだろうか。

風景画と静物画

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大畑稔浩「瀬戸内海風景ー川尻港」(2003年)ホキ美術館所蔵

「瀬戸内海風景―川尻港」は大畑稔浩の風景画だ。この作品の画集を見ると、誰もが「これは写真だ」と信じるだろう。それくらい、「写真のような絵」なのである。ただ、現物の前に立つと、写実絵画は「ああ、これは絵なんだな。人が描いたものなんだ」とすぐに分かる。それはやはりキャンバスに塗られた絵の具のテクスチャーが伝わってくるからだ。そして、もうひとつの点は、画家が実際に見た風景は決してレンズには映らないものだからでもある。

大畑はこう述べている。

「(この絵の桟橋は)夕方、逆光になるとシルエットのその姿が、光に上っていく龍のように見えました。すぐに写真を撮影しましたが、目には見えている桟橋の細部が写真だと空が明るすぎ、遠景も含めてすべて真っ黒なシルエットで使い物にならず、何度も現場に足を運んで描いたことを思い出します」(『写実絵画の魅力』)

確かに、逆光で撮影すると、光が当たっていない部分は暗く写る。だが、人間は上手に光をさえぎって、物体の細部まで見てしまう。そして、画家はその細部を丁寧に描いた。「瀬戸内海風景―川尻港」の画面は人間の目が見た実物の風景なのである。

島村信之「夢の箱」(2017年)ホキ美術館所蔵

「夢の箱」と題された島村信之の作品はクワガタとカブトムシの標本だ。島村は子どもの頃から昆虫や甲殻類が好きだったという。この作品もまた写真で撮ったような正確で緻密な表現になっている。クワガタの表面の光沢も一匹一匹、変えて描いており、その緻密さに驚いてしまう。思うに、緻密さを追求するのは画家にある種の執念があったからではないか。

「細かいところまでとことん表現したい」という執念がなければ写実絵画は描けない。一連の作品を見ていると、制作を支えるものとは、テクニックよりも対象にのめり込む執念ではないかと思えてしまう。

インドカレーの「ペイズリー」
JR土気駅のすぐ近くにあるのがインドカレーの「ペイズリー」。作っているのは日本語が上手なミャンマー人のウィンさん。日本に帰化しているから、本名は篠原勝。カレー、タンドリーチキンなど100種類を超えるメニューをひとりで作っている。飲み物の種類も多い。それでいて、混雑してもパニックにならない。にこにこしながらもモノ作りに励んでいる。

香り高いカレーを食べていたら、ウィンさんが寄ってきて、「2階のコレクションを見ていって」と言った。2階へ上がっていったら、そこにはプラモデル、人形、ぬいぐるみ、冷蔵庫に使うマグネット…。日本にやって来てから収集した膨大なコレクションが展示してあった。

数多くの種類のカレーを作りながら、なおかつ、自分の好きなものをたくさん集めて展示するなんて…。この人もまたクリエイター独特の執念を持っている人だなと感じた。

ホキ美術館
千葉県千葉市緑区あすみが丘東3-15
Tel.043-205-1500
開館時間:10:00〜17:30(入館は17:00まで)
※ナイトミュージアムのある日は19:30まで(入館は19:00まで)
休館日:火曜日
※火曜日が祝日の場合は翌日(2019年4月30日は休館)

ペイズリー
千葉県千葉市緑区あすみが丘3-51-15 あすみが丘五番館1F
Tel. 043-295-1336
営業時間:火曜日 17:30〜22:30
     水〜日曜日 11:30〜15:00 17:30〜22:30
定休日:月曜日

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