白兎-はくと-の小説・日記♪

時間を置くと見えてくるものがある

全体表示

[ リスト ]

 その日は、雨が降っていた。

 月の宮には、6つの人影がある。

 金色の髪の太陽の天使、銀色の髪の月の天使、エメラルドグリーンの髪の風の天使、ブラウンの髪の地の天使、水色の髪の水の天使、紅い髪の火の天使。

 約10年ほど前までは、この6つの天使が一ヶ所で顔をあわせるなど考えられないことだった。
 しかし、大騒動の中、月の天使と太陽の天使が代替わりをし、6つの天使を統率している太陽の天使の考えで、月に一度はこのように、天使が集まるようになった。
 そして、気になることや雑談などをしつつ、親交を深めていた。

 いつもは、何事も無く穏やかに幕を閉じるこの会合。
 しかし今日は、少し違った。

 太陽と月の天使…アルムとポロム以外の4つの天使が、うつむいたまま顔を上げないのだ。

「いったいどうしたと言うんだ」
「体調が優れないのですか?」
 うつむいたまま、首を縦にも横にも振らない。
 困り果てた太陽の天使は、小さくため息をついて4つの天使が話し始めることを待った。

 刻々と時間は過ぎていく。

 しばらくして、ようやく水の天使が口を開いた。
 それと同時に、雨もスッと上がる。

「太陽の天使…」
「どうしました?」
 一瞬口を閉ざし、意を決したように顔を上げた。

「…!?」
 アルムとポロムは驚愕した。
 水の天使が、あまりにも疲れきった表情をしていたからだった。
「いったい、何があったと言うのだ!!」
 月の天使が、思わず水の天使に詰め寄った。
 その声に反応して、ほかの3つの天使もゆっくりと顔を上げた。

 その顔は3つとも、水の天使同様、疲れきっていた。

 アルムとポロムは、思わず顔を見合わせる。
 漠然としてはいたが、何かが起こっていると感じた。
「太陽の天使、月の天使…」
 水の天使の瞳には、涙が浮かんでいる。
「…私は、もう…疲れました…」
 その言葉に、風の天使がワッと泣き崩れた。
 アルムたちは、しっかりと状況を確認するべく、4つの天使から話を全て聞きだした。

 このアーケイ国の言い伝えに登場する若者。
 その若者が開放した力を制御すべく、太陽と月が作り出した存在。
 それが、風・地・水・火の4つの天使だった。
 それから5000年近くの間、この4つの天使は、地上で力を制御し続けた。
 
〜もう限界が近づいていた〜

 太陽と月の天使は、約10年ほど前に代替えが行われた。
 そのおかげで、限界を経験しなかった。

「…私はどうすれば良いですか? 何か出来ることがありますか?」
 アルムは、4つの天使に問いかけた。
 
 沈黙の後、水の天使が静かに言った。

「私達も…代替えを…」

 その言葉にアルムとポロムは顔を合わせて頷いた。
 
 それと同時に、雨がまた降り始め、月の宮を濡らしていった。

 翌日。
 アルムとポロムは、月の宮のあるデオドルの仕長と面会していた。
「どうしたんだ? アルムとポロムが揃ってそちらの方から会いに来るなんて…初めてじゃないか?」
 フェリアルが、明るく振舞うが、アルムとポロムに笑顔は見られない。
 10年前は仕長の息子という立場だったフェリアルも、早々に仕長を退いた前仕長の跡を継いでしっかりと職務をこなしていた。
 そんな中の、アルムたちの訪問にワクワクしていたというのに、いったい何事かと表情を硬くする。
「フェリアル様、あなたのお子様たちを…少しの間、お貸しいただけませんでしょうか?」
 突然のアルムの言葉に、目を丸くする。
「リーゼとフィラを?」
「…はい」
 リーゼとフィラは、フェリアルとライネの双子の子供だった。
 リーゼが女の子、フィラが男の子。今年で10歳になる。
「何が、あったんだ?」
 後から来たライネと共に、フェリアルは2人の話を聞いた。

「4つの天使の、代替えの時期が来ている?」
「はい」
「で、それと私達の子供達と、どんな関係があるんだ?」

 その質問に、アルムとポロムは顔を見合わせる。
「実は…天使の代替えというのは、そう易々とできるものではない」
「それには、どうしても必要なものがあるのです」
「必要なもの?」
 ライネが不思議そうに首をかしげる。
 ポロムは静かにうなずいて、口を開いた。
「聖獣『レイシャ』の羽が必要なのだ」
「はぁ!?」
 フェリアルは思わず大きな声を出してしまった。
「だ、だってレイシャって…」
 
 レイシャとは、このアーケイ国に生息していると言われている、架空の動物。
 4本足の動物で、頭に角が生え、背中には翼を持つという。
 その言葉でしか表現されていないため、いろんな姿となってアーケイ国のいたるところで目に入る。例えば、本屋であったり、雑貨屋であったり…。
 4本足で角が生えていて翼があれば、それはみんな『レイシャ』と見られるのだ。

「誰か、見たことがあるの? レイシャのこと」
「…私とポロムの前の太陽と月の天使が…一度見たことがあると…」
 その事実だけで驚きだった。
「本当に存在してるのか!!」
「そのようです」
 釈然としない返答だったが、フェリアルはチラッとライネを見ると、話を進めた。

「それで…、なんで僕達の子供が関係してくるんだ?」

 アルムは、ゆっくりと話し始めた。

閉じる コメント(4)

フェリアル達に双子が生まれてたんですね〜w
しかも話続きそうで楽しみ〜!

2007/12/29(土) 午前 11:17 [ いずみ由羽 ]

>いずみさん
はい!!
いきなり子供たちの話になっちゃいました〜
続きますよ!!
楽しみにしていてくださいませ〜〜

2007/12/29(土) 午後 5:17 白兎

顔アイコン

番外編というより二部!!うわ!

皆、子供世代になるのかなぁ〜。楽しみです。天使が疲れてるなんて・・・。ちょっとショッキングなスタートです。

2007/12/29(土) 午後 11:20 ORUKA

>ORUKAさん
第二部でございます!
書きたい書きたいと思いながらも手がつけられず…
やっと、その気になりましたw
天使、疲れきっております……
さあ、子供達どんな活躍をしてくれるでしょうね♪♪

2008/1/1(火) 午後 10:18 白兎


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事