えばゆあぶろぐ

我が家は全員無事です。被災者の方々のご無事をお祈りするとともに、被災地や原発の危険地域で尽力されている方々に心から感謝します。

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プロの心も傷つく:惨事ストレス

被災者はもちろん傷つきます。そして、被災地に入ったプロでさえ傷つきます。医師、看護師、消防士、自衛隊員、そしてマスコミの人々も傷つきます。
被災者は傷つくことが当然だと周囲も思いますが、プロは傷ついていてはいけない、頑張らなければならないと、周囲も本人も思ってしまいます。
しかし、いくらプロフェッショナルでも、大災害などそう何度も経験するわけではありません。プロも傷つきます。近年では、このプロの心の傷、惨事ストレスが一つのテーマになるほどです。このページでは、その中でも、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌など、マスメディア・スタッフのみなさんの心の傷、惨事ストレスについて考えます。

災害地に入るマスメディア・スタッフ

私は、新潟県内で、いくつかのローカル放送局のテレビ、ラジオに出演し、また別の局の番組審議委員をしています。長年番組のスタッフの人と仕事をしていると、幸いなことに、友人として話して下ることもあります。
新潟県中越地震の時も、今回の大震災でも、各局のスタッフからいろいろな話を聞きました。
今回東日本大震災で大きな被害がでた福島県の隣県である新潟県。各局スタッフは、現地に飛んでいます。

被災地に向かって

地震発生が、3月11日午後2時46分。そのわずか1時間後には、各局の中継車が現地に向かって走り出しています。まだどこに行くかもはっきりしないまま、ともかく被災地の方向へ向かって走れ!と言われて、出発です。
高速道路は通れない、どの道が通れるのかもわからない。走りながらも、次々と現地の情報が入ります。大きな余震もおこります。今回は、途中で地元新潟でも地震が発生。原発事故も起こります。
一晩中走り、翌日ようやく現地に到着です。東京キー局の中継車よりも早く現地入りした局もあったようです。
中越地震のように、道路が寸断されている様子はあまり見ないまま、阪神大震災のように地震で破壊された建物もあまり見ないまま、しかし角を曲がり、津波被害の場所に着いた途端、想像を絶する風景に出会います。

被災地で

車の中で寝泊まりしながら、冷たいおにぎりをかじりながら、ガソリンを地元局から少しずづ分けてもらいながら、取材は続きます。がれきの中へ、病院へ、避難所へ、スタッフは入っていきます。
被災地取材が初めてのスタッフは、見るもの聞くものすべてが衝撃的です。中越地震などの取材経験があるスタッフでさえ、今回の大震災の規模の大きさ広さを前にして、どこから取材して良いか分からなくなったほどだと言います。
マスメディアでは流れない悲惨な情景を見ます。メディアでは分からない「臭い」を経験します。彼らはまだ危険な被災地に入り、今深く傷ついたばかりの人にもアプローチます。視聴率欲しさに無遠慮に入っていくことなど、できるわけがありません。彼らも悩み苦しみながら、それでも足をすすめます。
ある局のスタッフは、五日間車の生活でふろにも入れず、仕事を続けたと言います。ある局のスタッフは、食事があっても結局あまり食べられなかったと言います。もちろん、被災者のように家や家族を失ったわけではありませんが、スタッフの心身に深くて重い疲労がたまっていきます。
それでも、交代要員が来るまでの数日間、彼らは取材を続けます。交代要員が来て、地元に帰った後、休みがもらえるスタッフもいれば、そのまま働きつづけるスタッフもいます。
現地に行っているあるフリーライターの人からコメント取材の電話をもらいました。10日間、現地にい続けていると話していました。
報道陣も、疲れ、傷つきます。
*被災地に入らなかった人々さえ、話を聞き、テレビでは映せない映像を見てしまい、心が深く傷つくことは普通のことです。

あるレポーターの話

彼女は若い新米のレポーターです。今までの仕事は明るく、元気な取材です。でも、地元で大地震。スタッフ全員が呼び出され、各地へ飛びます。彼女ももちろん、被災地へ行き、被災者にマイクをむけます。
数日後、彼女の心は疲れ果てます。もう被災者にインタビューができません。周囲のスタッフは彼女をいたわり、休むようにすすめます。でも、彼女は苦しい。地元でこんな大災害が起きたのに、被災者のみなさんはこんなに苦しみ、こんなに頑張っているのに、局のスタッフは総出で不眠不休で働いているのに、若い自分がリタイアするなんて! 彼女は自分を強く責めていました。

あるベテランアナウンサーの話

ある女性アナウンサーは、経験豊富で、有能です。有能なアナウンサーは実に「聞き上手」です。上手に私の話を引き出してくれます。でも、県内で大地震が起きた時、様々な悲しみや苦しみと出会ったいた時、いつもと違う彼女がいました。
リスナーは気づいてなかったかもしれませんが。一瞬彼女は、私の話を引き出すよりも、自分の思いを語ろうとしていました。語らずにはいられなかったのでしょう。
ある男性アナウンサーは、大地震で発生した土砂崩れの中から、数日ぶりに小さな男子が救出されるその瞬間を生放送で実況中継しました。その心の震えが伝わってきました。
今回の東日本大震災でも、何人ものアナウンサーのベテランらしからぬ様子が、しばしば見られます。どんなベテランも、心がざわめき、悲しみに打ちひしがれ、感動に震えます。 ベテランですから、その心の動揺の「表現」は、すぐに消しますけれども。


 


放送局の人々

被災地の人々は、自分自身も被災者です。でも、必死に仕事を続けます。ローカルメディアの人々にとって、現地の大事件では大活躍が求められます。東京のキー局からも応援が来ます。各地の系列局からも応援がきます。
もちろん、応援ですが。現地のスタッフにしかわからない、できないこともあり、時に応援に来てくれた人のお世話の仕事も発生します。
たとえば、今回。新潟ローカルの放送局からも現地に人と機材が向かいます。手分けしなければどうしようもない被害の大きさ広さです。
応援を出しているのですが、新潟でも地震がありました。さらに、3月、地震など起きなくても番組改編期の多忙期です。さらに地震直後から特別番組の連続です。番組編成が大変です。コマーシャルも、みなさんご存知の通り。放送局の営業の方は、スポンサーとの調整で飛び回っています。
ある新潟ローカルの放送局の東京支局の人が、たまたま地震発生時に東京キー局にいました。彼はそのまま東京キー局でお手伝いだそうです。だれが、どこにいたとしても、この状況ではそうなるだろうということです。
もちろん、大変な仕事をしている人は他にも大勢います。そうして、放送局もそうだということです。(自分たちがどんなに忙しく大変かを報道することはあまりないでしょうが。(私はしてもいと思いますが。))
現地に入るプロとして、消防士や自衛隊も惨事ストレスも大きなテーマです。同様にメディアスタッフも、現地に入り、その結果惨事ストレスを持ちかねないプロの人々です。現地に入るどのプロの人たちにも、私は、エールを送りたいと思います。

多くのスタッフが

今回、アナウンサーさんだけではなく、記者や技術さんなどのスタッフの方々とも話しました。私が、逆取材したかったこともありますが、普段は話さない人とも結構話しました。スタジオで、ロビーで、放送局の受付前で。
いつもは話さないような人とも。いいろいろ話しました。顔なじみの、心理学者で、スクールカウンセラーなどしている人間に、何かを話したいと思ってもらえたのかもしれません。

災害時のマスメディアスタッフの心(報道人ストレス研究会「惨事ストレスマニュアル」)

社会心理学者の松井豊先生、安藤清志先生らによる「報道人ストレス研究会」が、ネット上で「惨事ストレスマニュアル」を公開しています。 そこには、メディアのみなさんにも次のようなストレス反応が起こるとあります。

ストレス反応

  1. 興奮状態が続く。
     
  2. 体験を思い出す。
     
  3. 思い出すことを避けようとする
     
  4. 周囲との摩擦
     
  5. 話せなくなる
ストレスに対する対応として、次のようなおすすめがあります。

ストレス軽減の方法

  1. 少しでも休養をとる
     
  2. ちょっと落ち着いたら、仲間や上司と話し合う
     
  3. 親しい方と共に過ごす
     
プロ心と体も疲れています。自分をいたわりましょう。普段は冷静沈着なあなたも、こんな時は信頼できる人の前で感情を表現しましょう。
ASD急性ストレス障害から、さらに長期にわたるPTSDになってしまうと、仕事ができない、仕事を辞めたいという思いまで出てきてしまいます。あなたがメディアから去ってしまうのは、大きな損失です。

マスメディアの人々の思い

善人ほど心が傷つき、苦しくなると、私は思います。視聴率や売り上げのためだけに仕事ができれば、楽かもしれません。しかし、そうではないから苦しいのでしょう。でも、苦しみには意味があると、私は思います。(感情的に共感しすぎて巻き込まれてはいけないとは思いますけれども)メディアの方々が感じた悲しみや、苦しみが、よりよい報道のエネルギーになればと思います。ポスト・トラウマティック・グロース:外傷後成長
そのための一つの方法が、自分の仕事に意義を感じることです。マスコミに文句を言う人はいっぱいいますけれども、言ううまでもなく災害時のマスコミの役割は、とても大きなものです。
私は知っています。大災害報道の中で、若手から、ベテラン、管理職まで、心あるメディアの人々が、自分たちの責任を感じ、良い良い記事、番組のために、奔走していることを。
*私が、東日本大震災の報道を見始めて、最初に涙が込み上げてきた場面は、変な話ですが、NHK教育テレビで、若い女性アナウンサーが、淡々と安否情報を読み上げているところでした。彼女の一生懸命さと、前におかれたマイクがちょっと古びていたことに、涙がこみ上げてきました。(人の心はおかしな所でスイッチが入るものです)
 
 

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