ふくろう医者の診察室

健康や病気のことを縦糸に、診療室でのエピソードを横糸に。訪問ありがとうございます。

痛風治療の指針が改訂

病気の疑いがある人も含めると、日本人の10人に1人が関係する痛風。
日本痛風・尿酸核酸学会は約8年ぶりに痛風治療の指針を改訂した。
これまでと違い、発作の痛みがなくても尿酸値が高い患者に対し、腎障害があれば薬を勧めることを明確にした。

腎障害ある患者対象
東京都内に住むWさん(82)は、約6年前に区内の痛風専門病院を訪ねた。
左足親指の付け根に痛みがあったからだ。
心当たりはお酒だ。
晩酌で毎日3合ほど酒を飲んだ。
道場で長く柔道を教える師範でもあり、関係者との宴会も多かった。
 
診察の2、3年前から親指がときどき腫れ、痛みがあった。
診察時は、親指の付け根が真っ赤に腫れていた。
両足のひざ下はむくみ、指で皮膚を押してもなかなか戻らない状態だった。
 
診察の結果、痛風結節というしこりが左足の親指の付け根だけでなく、右中指の関節にもあることがわかった。
結節は長期間、痛風の発作が起きていたことを示す。
検査すると血液1デシリットル中に尿酸が8.5ミリグラムと、治療の目安となる7ミリグラムを上回っていた。
 
尿酸は、食事に含まれる「プリン体」が分解されてできる。
尿酸が体内にたまり、結晶化する。
この結晶を、白血球が異物とみなして攻撃すると炎症が起き、激しい痛みが生じる。
これが痛風だ。
 
診察した医師は、Wさんが重度の痛風で、慢性的な腎障害が起きていると診断し、薬での治療を始めた。
若林さんの場合、痛風発作による痛みがない段階でも、尿酸値が高く腎障害があることがわかれば、薬で尿酸値を下げる治療の対象となった可能性がある。
 
日本痛風・尿酸核酸学会は昨年末、8年ぶりに痛風治療指針を改訂。
高い尿酸値が腎臓に悪影響を及ぼす場合、早めに薬を使った治療を勧めることにした。
 
腎臓は、痛風と密接な関係がある。
尿酸値が高い状態が続くと、尿酸の結晶が腎臓にたまって炎症を起こし、「痛風腎」になることもある。
 
治療を始めてしばらくすると、Wさんの手足からむくみが消え、息切れもなくなった。
現在は、プリン体の多い干物や魚卵を控えて禁酒し、プリン体を1日400ミリグラムに制限する食事療法をする。
薬と合わせ、尿酸は結晶ができにくい6ミリグラム以下にコントロールされ、腎臓機能の数値も少し改善した。
 
担当医は「今は発作もずっとなく、良くコントロールされた状態。痛風は薬をのんだら治まるので、繰り返し発作が起きても放置する方は多い。慢性的になって結節ができて、腎機能が悪くなる方もいるので尿酸値が高い場合は、早めのコントロールが大切」と話している。
私的コメント
腎機能が悪くなって、むくみや息切れが起こるというのは、かなりの腎障害が痛風の結果起こった(痛風腎)ということになります。
尿酸値を下げることによって腎障害が簡単に改善するということは、俄かには信じられません。

*慢性腎臓病の進行を抑制
女性ホルモンに尿酸の排出を促すはたらきがあるため女性患者は少ないが、痛風患者は右肩上がりで増えている。
日本痛風・尿酸核酸学会の推定では2013年に100万人を超えた。
血液1デシリットル中の尿酸が7ミリグラムを上回る高尿酸血症の患者は、その10倍と推定される。
かつて50歳代が多かった発症年齢は低下傾向で、20歳〜30歳代の患者も増えた。
 
増加の背景には、尿酸につながるプリン体が多い肉類や、尿酸値を上げるはたらきがあるアルコールが増えた食生活の変化がある。
 
学会の新指針は、尿酸値が高くても痛風発作が起きていない、高尿酸血症患者に対し、薬物療法を「条件付きで推奨」とした。
 
対象は、腎臓機能に障害がある患者だ。
「薬を使えば慢性腎臓病の進行の抑制に効果があることなどから、新しい指針では一歩踏み込むことができた」と作成委員はいう。
一方、腎臓機能に障害がない患者には、薬を勧めないとした。
 
欧米では痛風で関節の炎症がなければ、薬による治療は認められていない。
「尿酸降下薬は先行する薬だけでなく、国産新薬も出てきたが、まだ論文が少ない。今回の指針は研究結果を精査し、そこを慎重に評価している」と話す専門医もいる。

参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2019.7.17

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金属アレルギー

夏場のかぶれ 原因は? 金属アレルギー疑って

汗でイオン化、異物反応 / 歯の詰め物 要注意
「ピアスで耳が赤くただれる」「ネックレスで首がかぶれてかゆい」。
こんな症状が出るなら金属アレルギーの可能性がある。
汗ばむ夏場に発症する人が多い。
人間の皮膚は金属に触れただけではトラブルを起こさない。
金属が汗や唾液など体液に触れイオン化すると体内に入り込むようになり、アレルギー反応を引き起こす。
 
体内に入り込んだ金属イオンのほとんどは尿や便で排出されるが、わずかな量が体内のたんぱく質と結合する。
人によっては免疫機能がこれを異物、すなわちアレルゲン(アレルギーの原因物質)とみなし記憶することがある。
次に同じ金属に触れたとき、アレルギー反応による皮膚炎が起こる。
 
金属アレルギーの症状には2種類ある。
一般的なのは、アクセサリーなどの金属が直接肌に触れた部位にかぷれやかゆみが生じる「アレルギー性接触皮膚炎」だ。
 
皮膚を貫通するピアスは特にアレルギーを起こしやすい。
まつげカール器など化粧器具でかぶれるケースもある。
症状を抑えるには、ただちに原因金属を使った装飾品などの使用をやめる。
 
見落としがちなのは、夏になるとシャツの裾を胴回りの中に入れずにはくジーンズの金属ボタン。
肌に触れると「裏側が汗で溶け出し、おなかに湿疹ができる人が少なくない。
シャツの裾を入れるなど直接触れないようにして防ごう。
 
もう一つの症状は「全身型金属アレルギー」。
歯の詰め物やかぶせ物などに使われる金属などによって、手のひらや足の裏に小さな水庖をともなうブツブツができるものだ。
こちらも夏に発症しやすい。
離れた部位で起こるため原因がわかりにくく、かつては謎の皮膚病とされてきた。
 
詰め物の金属が唾液や飲食物の酸によって少しずつ溶け出して体内に吸収され、血流によって循環し、皮膚の表面に汗となって排出される。
手足の末端は汗腺が多いことから金属イオンが汗と一緒に皮膚に排出される際に、手のひらなどにアレルギー反応が出る。

治りにくい原因不明の皮膚炎は、全身型金属アレルギーを疑ってみよう。
医療機関で歯科用金属が原因と診断されたら、金属を外し、セラミックやレジン(プラスチック樹脂)に換えた方がいい。
 
接触性アレルギーを引き起こしやすい金属の代表はニッケル、コバルト、クロム。中でもニッケルは、アクセサリーの金メッキの下地に使われることが多い。
ほかにもコイン、携帯電話、化粧器具など様々なものに含まれている。
 
一方、全身型アレルギーの引き金になるのは歯科治療用によく使われる金属。
パラジウム、インジウム、イリジウムといったレアメタルだ。
 
近年、金属アレルギー患者が増えている。
現代人は食べ物や環境から有害な化学物質を取り込みやすくなり、ストレスも増えている。
これらによって免疫機能が影響を受けている可能性もある。
 
金属にかぶれやすい人は、パッチテストなどのアレルギー検査を行っている医療機関で検査を受け、自分に合わない金属を知っておくとよい。
完治しにくいとされる金属アレルギーだが、原因金属をできる限り遠ざけることで発症を予防できる。

参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2019.7.13

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現代医療としての漢方

西洋医学の「苦手」も改善

「漢方」は、日常的に頼りにしている人もいれば、効果を疑問視する人もいる。
受け止め方は千差万別なのが現状だ。
病気の原因を特定し、取り除くという西洋医学とは考え方が異なることが背景にあるが、両者は対立するものではなく、補完する関係。
漢方薬は医療現場や薬の開発現場でも存在感を示している。
 
漢方のルーツは中国にあり、6、7世紀に朝鮮半島を経由して日本に伝わったとされる。
宗教や芸術などの文化と同様に、伝来してから独自の発展をとげていく。
江戸時代には、オランダから解剖学などに基づいた西洋医学がもたらされたのを受け、混同を避けるため、「漢方」と呼ぶようになった。
 
現在の漢方は日本の伝統医療として、中国の「中医学」、韓国の「韓方」とは区別して位置づけられている。
日本の大学の医学部では、西洋医学の各診療科を学ぶだけでなく、漢方が必修授業として組み込まれている。
 
西洋医学は耳鼻科、泌尿器科などのように、ターゲットを明確にして、薬や手術などピンポイントに作用する治療が特徴だ。
一方、漢方では、体内の神経系やホルモンなどの内分泌系のネットワークを介して、病気が全身のバランスを崩していると解釈する。

     □     □
 
診察方法は症状などを聞き取る問診に加え、舌の状態やおなかの弾力を確かめる。
これらを総合的に判断して、バランスを正常にするため、生薬を調合した漢方薬を処方する。
バランスの崩れは一人ひとり異なるため、訴える症状が同じであっても、異なる漢方薬が処方されることもある。
 
漢方薬の原料となる生薬は、天然由来の植物や動物、鉱物など多岐にわたる。
北里大東洋医学総合研究所によると、国内では二百数十種類が使われている。
 
生薬の種類と量の組み合わせによって、漢方薬の種類は無数に及ぶ。
そのうち調合済みの製品化された約150種類は保険適用されている。
一般的な医療機関で処方されるのは、この中に含まれているものがほとんどだ。
 
漢方薬の名称で、語尾は形状を表す。
「…湯」は煎じ薬、「…散」は粉薬、「…丸」は粉を固めたものだ。
煎じ薬は飲む人の手間がかかるため、今ではインスタントコーヒーのように乾燥、粉末化させたエキス剤が主流となっている。
 
漢方薬は医療現場に浸透しており、日本漢方生薬製剤協会の調査によると、医師の9割が漢方薬を処方した経験があるとされる。
特に原因が見当たらないのに体調が悪い「不定愁訴」という状態は、西洋医学的には対処が難しく、漢方薬で改善をはかる。
ただ、漢方独特の診察をせずに漫然と処方するケースもみられ、ある漢方専門医は「深い知識をもち漢方に通じた医師を育成しなければならない」と指摘する。

     □     □
 
一方、明確な治療効果を狙って使われる漢方薬もある。
胃腸などを治療する開腹手術後、腸が閉塞し腹痛などを伴う「術後イレウス」という合併症が起きることがある。
「大建中湯」という漢方薬にはこれを予防、治療できるとの報告があり、消化器外科では広く使われている。
 
また、インフルエンザ治療薬「タミフル」の原料成分のシキミ酸は、生薬やスパイスとして知られる「八角」に含まれている。
こうした生薬の有用成分を分析して治療薬の開発につなげる研究は広く行われている。
このように、西洋医学と漢方は互いに補い合いながら発展を続けている。

これから
世界保健機関(WHO)で5月に採択された最新の国際疾病分類に、漢方を含む東洋医学の項目が初めて加わった。
これまでは各医師の経験の共有といった段階にとどまりがちだったが、今後は症例や治療の表記の統一が進むことで、科学的な根拠や信頼性を高めた漢方治療が可能になると期待される。

参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2019.7.13

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オーダーメード治療の時代

私たちの体は37兆個もの細胞からできている。
細胞の核には遺伝子を乗せた染色体が入っている。
染色体に含まれるすべての遺伝子と遺伝情報のことをゲノムと呼ぶ。

がんは、ゲノムの突然変異によって、臓器の細胞が不死化することで発生する。
最近になって、発がんのカギとなる特定の遺伝子異常は、臓器の枠を超えてさまざまながんの発症原因となることが分かってきた。

これまで、がんの治療は臓器ごとに別々に組み立てられてきた。
しかし、臓器にとらわれず、おのおののがんの原因となる遺伝子変異を突き止め、それに有効な薬を選ぶ時代となりつつある。
たとえば、同じ肺がんでも、AさんのがんとBさんのがんでは、原因となる遺伝子変異が別であることは珍しくないので。

反対に、Cさんの胃がんとDさんの大腸がんが同じ突然変異に原因を持つことも少なくないことが分かってきた。
発がんの原因となるゲノム異常を見きわめて、それぞれに効果のある治療薬を使うオーダーメードの医療が「ゲノム医療」だ。
先月から、個々のがんの遺伝子変異を次世代シークエンサーを使って網羅的にチェックする検査「遺伝子パネル」が保険適用されることになった。
医療費は56万円だが、原則3割負担で、高額療養費制度も利用できる。

ただ、この検査を保険で受けられるのは、標準治療が存在しない希少がんや原発不明がんの他、標準治療を終えて選択肢がなくなった患者などに限られる。
対象者は年約1万人と、がん患者全体の1%程度にすぎない。
また、治療の選択に役立つ遺伝子変異が見つかるのは検査を受けた約半数に限られる。
遺伝子変異があっても、治療法がない場合もあり、薬の使用につながるのは遺伝子パネル検査を受けた患者全体の10%程度にすぎない。

余命が限られた進行・末期がんの患者にとっては、検査に時間がかかるのも大きな問題といえる。
まだまだ課題も多いゲノム医療ですが、がん医療の流れを変える画期的な一歩だ。
検査の迅速化、データの蓄積、創薬の進歩などが飛躍のカギだといえる。

執筆 東京大学病院・中川恵一 准教授
参考・引用一部改変
日経新聞・夕刊 2019.7.10

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脳梗塞の陰に不整脈あり 心臓が震えて血栓 脳に血管で詰まる

脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりして手足がしびれたり言葉が出なくなったりして意識を失ってしまう病気だ。
死亡することもあり、一命を取り留めたとしても重い後遺症が残る場合が少なくない。
中でも重症になりやすいのが、心臓にできた血栓(血のかたまり)が脳の血管に詰まるケース。
不整脈のひとつ心房細動が、そのリスクを高める。

重症化しやすく再発も
脳卒中には大きく分けて血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」と、血管が詰まる「脳梗塞」の2種類がある。
 
日本ではかつて脳出血が多かったが、大きな原因である高血圧の管理が進んだり、栄養状態が良くなって血管が破れにくくなったりしたことから割合が下がった。
それに代わって脂質異常や糖尿病の人に多い脳梗塞が増えている。
現在では脳卒中の約60%が脳梗塞だ。
 
脳梗塞はさらに、動脈硬化が原因で発症する「アテローム血栓性脳梗塞」、細い動脈が詰まる「ラクナ梗塞」、そして心臓に出来た血のかたまり(血栓)が血液の流れに乗って脳の血管に詰まることで起きる「心原性脳塞栓症」に分けられる。

小さな脳梗塞なら一時的なマヒなど、軽症で済む場合も多い。
しかし、心臓でできた血栓は比較的大きく、これが脳の太い血管を詰まらせる。
そのため、心原性脳塞栓症はダメージが大きい。

心原性脳塞栓症になった人のうち約2割が死亡し、寝たきりや介助が必要になった人を合わせると約6割を占める。

脳梗塞が起きた場合、3〜4時間以内ならtPAという血栓を溶かす薬を使ったり、カテーテルを通して直接血のかたまりを除去したりする治療法がある。

可能なら積極的にそうした方法で治療するが、成功率が高いとは言えない。

また、他の脳梗塞でも発症後10年間の再発率は半数近くになるが、特に心原性脳塞栓症の場合は7割以上で再発がみられる。
薬で予防できるのだから予防した方がいい。

凝固予防薬 相次ぎ登場
心原性脳塞栓症の原因で最も多いのが、不整脈の一つ、心房細動だ。
心房細動のある人のうち3分の1は、一生のうち一度は脳梗塞を起こすという。

心房細動になると心臓は血液をきちんと送り出すことができず、血がよどんで、血栓ができやすくなる。

特に高齢者は気がつかずに過ごしている人が多い。
血圧が急に低くなった人や「何となくもやもやする」というので検査してみると偶然見つかることもある。
 
心房細動かどうかは心電図で検査する。

一時的な心房細動で、検査したときに心電図に現れない場合には24時間の心電図を記録する「ホルター心電計」をつけて検査したり、胸が苦しくなるなどの症状が出たときに自宅でも心電図が取れる携帯型心電計などを使ったりする。
  
心房細動があれば、脳梗塞の予防をする。
特に心房細動に加えて高齢などリスクが高い場合は、強く勧められる。
リスクが高いのは、高血圧、75歳以上の人、糖尿病や心不全などの既往を持つ人たちだ。
 
脳梗塞の予防には、血が固まらないようにする抗凝固薬を飲む。
 
これまで、抗凝固薬と言えばワルファリンという薬が一般的だったが、使いにくい面があった。
 
ワルファリンを飲んでいる間は、効果を弱めるビタミンKが多い納豆や海藻といった食べ物が食べられない。
また、効き過ぎると出血しやすくなるため、1〜2カ月に一度は血液検査をして薬の量の調整が必要だ。
つまり、人によって必要な量が違い、1度に5〜6錠が必要な場合もある。
 
最近、ワルファリンの欠点を解消したダビガトラン(商品名プラザキサ)、リバーロキサバン(同イグザレルト)など、新しい薬が相次いで登場した。
新薬は食事制限がなく、一定量でよいうえ、血液検査が必要ない。
副作用の面でも、脳出血のリスクがワルファリンに比べて少ないなどの特徴がある。
ただ、消化器での出血リスクは同程度だという。
  
薬が選べるようになって、脳梗塞の予防はしやすくなった。
家庭用血圧計などで脈拍が分かるので、高齢者は定期的に自分の脈を診て、乱れるなどおかしく感じたら心房細動がないか検査するとよい。


心房細動とは
最も多い不整脈のひとつ。
心臓の上部にある心房が細かくけいれんしたように震える状態になる。
めまい、不快感などの症状が出るが、はっきりとした症状がない場合もある。
一時的な発作や、発作が続くものなどがあるが、どのタイプでも血栓ができる危険性がある。
発作を抑える薬を投与する治療法や、発作を起こす部分に細い管(カテーテル)を入れて不整脈の回路を焼き切る治療法などがある。
高齢になるほど出やすく、高血圧、飲酒や喫煙、ストレスなどでも出やすくなる。

参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2013.5.20

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気になる口臭、「舌みがき」 段階的検査で原因探す

口臭は起床直後が最も強い。
寝ている間は唾液の分泌が減って、口の中の細菌が増えるからだ。

口臭を調べる検査では、口臭の主な原因になる3種類の物質の値がわかるという。
まずは小さな注射器を口にくわえて自分の息を扱い取ってもらう。その息を測定器に注入して測定する。

口臭にはいくつかのタイプがある。
生理的な口臭は起床時や空腹時、加齢のほか、ホルモンの変化によって起こる。
ニンニクやアルコールなどの食品による口臭は、時間とともに減る。
病的な口臭は、歯周病など歯や口の中の病気が原因の場合と、糖尿病、腎臓や肝臓の病気など全身の病気による場合がある。

実際には口臭がないのに本人は口臭があると感じる場合は、心因性とされる。
 
実際には、口臭を気にして来院する患者は40代以上が特に多い。
家族に言われた人がほとんどだ。
 
口臭を防ぐケアとしては、歯垢をとることが重要性だ。
特殊な器具で歯を清掃するPMTCは自費診療だが、保険診療での清掃よりも口臭を抑えることが調査で明らかになった。
3、4ヵ月に1回はPMTCを受け、ふだんは自宅でデンタルフロスを使って歯垢をとりたい。     

主な臭いのタイプ
 硫化水素       卵が腐ったような臭い
 メチルメルカプタン  野菜が腐ったような臭い
 ジメチルサルファイド 生ごみのような臭い 

参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2015.10.17 

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心の仕組み 照らせるか 光遺伝学、脳の機能を分析

脳の中では無数の神経細胞が回路を作り、信号をやりとりしながら多彩な生命活動を支えている。
活動する神経回路を詳しく調べる新手法「光遺伝学」が広く使われるようになり、脳の機能を解明する研究が盛り上がってきた。
脳科学を発展させ、神経の異常が関わる病気の原因究明や治療法開発につながると期待されている。

四畳半ほどの広さの実験室に計測装置や実験器具などが所狭しと並ぶ。
マウスの小さな脳の中で起きる電気信号の流れを記録するために必要な設備だ。
2019年4月、玉川大学から東京医科歯科大学に移籍した礒村教授らはこれらを駆使し、脳で視覚をつかさどる領域や運動を制御している領域などの間で流れている信号を神経細胞1個ずつ調べようとしている。

この実験に欠かせない手法が光遺伝学(オプトジェネティクス)だ。
光に応答するたんぱく質を遺伝子組み換え技術を使ってマウスの神経細胞に作れるようにした。
光を当てると神経細胞は活動状態になり、光を消すと活動が止まる。
ミリ秒単位で神経細胞のオン・オフを制御できる画期的な技術だ。

礒村教授らはこの光遺伝学と神経細胞の電気信号を調べられる小さな電極を組み合わせて、どの神経細胞を使って脳内で情報を伝えているのかを調べる方法を確立した。
18年に発表した実験では、マウスにレバーを押すと水がもらえる課題に取り組ませた。

実験の前半、マウスはレバーを手前に押すと高確率で水がもらえる。
後半では奥に押すと水が高確率でもらえる設定に変えた。
マウスは水を飲もうと途中で押すレバーの向きを変えるようになる。
どの神経回路がこの戦略の変更に関わっているのかを突き止めるのが目的だった。

この実験で、レバーを手前に押して水が飲めるとわかると、マウスは同じ方向に押し続ける。
途中で設定を変えた後、マウスは水を出そうとレバーの押す方向を変えようと試みる。
前半の同じ方向にレバーを押す行動を繰り返し選択するときに働く回路と、後半に選択を切り替えるときに働く回路が個別にあることがわかった。
それぞれの回路に情報を伝える67個と47個の神経細胞を特定できた。

人間の大脳には百億個以上の神経細胞があり、1個の神経細胞は数百から数千の回路につながっている。
視覚や聴覚などから得た信号をどの回路を使って流していくのかは行動の選択と深く関わり、脳の情報処理の基本といえる。
この働きが異常になるとうつ病やパーキンソン病などを発症すると考えられ、原因の解明に欠かせない研究だ。
これまで神経細胞の単位で分析する方法はなかった。
しかし光遺伝学の登場で状況はがらりと変わった。
礒村教授は「脳の各領域を行き来する信号を詳細に調べ、回路の機能の解明に挑みたい」と意気込む。
今後、一度に1000個以上の神経細胞の計測を目標に電極の数を増やしたり実験の操作を自動化したりと改良を重ねていく。

光遺伝学は米スタンフォード大学のカール・ダイセロス教授らが開発した。
07年にマウスを操作する実験に成功すると一気に研究の最前線で広く使われるようになった。
ノーベル賞の呼び声も高い。

脳の機能解明を目指す研究で貢献度は計り知れない。
米マサチューセッツ工科大学の利根川進教授らと理化学研究所などのグループは12年にこの手法を利用し、マウスの脳で記憶の痕跡に関わる細胞群を実験で初めて証明した。
さらにこの細胞群を人為的に操作して記憶を書き換える実験にも成功している。

光遺伝学をもっと使いやすい手法にしようと、研究者は改良版の開発に力を注ぐ。
現在の光遺伝学は脳に電極や光ファイバーをつなげる必要があり、自由に動き回れる環境で実験できない。

大阪大学の関谷教授らはケーブル類を取り払った方法を開発中だ。
光源やセンサー、電源などを集積したフィルム状の小型な回路を実験動物に埋め込めないか検討している。「複数の動物を使って脳の社会的な機能を調べる場合、ケーブルの無い状態の方が望ましい」(関谷教授)

「光がいっぱいきらめいているようだわ」「あの動く閃光が人間の心を代表しているんだ」
米国のSF作家、アイザック・アシモフは半世紀前「ミクロの決死圏」の中で、超小型潜航艇で人の体内に潜り込んだ科学者たちが脳内を訪れた感想をこう表現した。
発展する光遺伝学によって、私たちの心の仕組みの多くの謎がひとつずつ解き明かされていきそうだ。


神経細胞 人間の脳に1000億個
体中に張り巡らされた神経網を形作る細胞で、情報の伝達と処理に関わる。
人間の脳には約1000億個の神経細胞が存在しているとみられている。
神経細胞は細長い軸索と呼ぶケーブルを伸ばし、シナプスという結合部位で他の細胞とつながり、結合の数は100兆個以上になるという試算もある。
 
1個の神経細胞の中では電気信号で情報が伝わり、細胞間では様々な化学物質を使って情報を伝えている。
これら化学物質の量の変化がうつ病などをはじめとした神経疾患に関わっていることもわかってきた。
電気信号で演算するコンピューターと異なり、神経細胞の情報伝達に様々な物質のやりとりが絡むことも脳の仕組みの解明を難しくしている。

参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2019.6.2


関連サイト
光遺伝学で脳の信号を理解する
https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/453

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骨盤ほぐし体操 腰にキレ、動きやすい体に

痛みや倦怠感・冷え性防ぐ
キレのある動きやすい体を保つポイントは身体の要である腰まわり。
ここが不調になると、腰痛や倦怠感、冷え性の要因になりかねない。
骨盤をほぐす体操で腰まわりを整えよう。

「腰」は月に要と書き、身体の要であり日常生活においても重要な役割を果たしている。
腰まわりに大きな影響を与えるのが骨盤内のずれだ。
骨盤は、脊椎の根元にある仙骨と、その周辺に広がる腸骨などで構成される。
この仙骨と腸骨をつなぐのが仙腸関節だ。

この関節は偏った動作を繰り返すとずれやねじれが生じる。
上半身と下半身をつなぐ場所だけに、ずれが生じると全身に負担を与え、日常のさまざまな動作をするたびに肩こりや関節痛、全身の疲労につながる。
血行が悪くなり冷え性の原因にもなっている。

ぎっくり腰のような急性腰痛の一部は、仙腸関節のねじれで発生することも多い。
活動的な体づくりには、骨盤の仙腸関節を日ごろから入念にメンテナンスすることが効果的だ。
まずは、骨盤・仙腸関節が全身と連動していることを確認しよう。
直立し両腕の力を抜く。
意識的に左右の腰をゆっくり交互に前に動かすと自然と腕がついてくる。
骨盤・仙腸関節が全身の骨格と連動しているためだ。
逆に体を様々に動かすことで、仙腸関節を整えることができる。

まずは、仕事の合間に立ちながら手軽にできる「仙腸関節ほぐし」。
椅子の背もたれに手を添えて、両足は肩幅程度に開いて腰を落とす。
その後、片側の膝を曲げた状態で横に広げる。これを、ゆっくり交互に繰り返す(10〜20回程度)。

自宅なら寝転んで行うストレッチに挑戦してみよう。
あおむけになって脚を伸ばし、片脚を曲げて横に開きつつ、もう一方の脚をかかとから押し出す(5秒×2〜3回)。

続いて、両膝を立て、片膝を内側に入れ込むようにする(15秒×2回程度)。
これを左右それぞれ行う。
ストレッチの際に左右で動きに差がある人は、仙腸関節の異常が考えられるので注意が必要だ。
さらに、時間に余裕があれば「骨盤ひねり運動」もある。
椅子の座面など安定した物に手を添えて、大きく膝を開いて腰を落としながら、片膝ずつ身体の下に入れ込んで戻す。左右交互に10回程度を目安にする。

開き運動も試したい。
椅子の背もたれに手を添えて、膝をやや直角にしつつ持ち上げ膝を横に開く(左右交互に10回程度)。
いずれの運動も、骨盤・仙腸関節に意識を持ちながら行うのがポイントだ。

普段の生活でも、骨盤・仙腸関節のケアには、姿勢が大きく影響する。
立った状態で足先から頭にかけ芯が通るようにしたい。
まずは、直立に立ち、「がくっ」と膝をゆるめたのち、かかとから頭部にかけて芯を通していくようなイメージで姿勢を整えよう。

日常生活で思い通りの動作ができていると思っていても、無意識に骨盤に負担をかけているかもしれない。ちょっとした運動で動きやすい身体を維持していきたい。

日経新聞・朝刊 2019.6.1

<関連サイト>
腰をほぐし 動きやすい体に
https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/446

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高い薬、公的負担いくらまで? 費用対効果、悩ましい線引き

医療にコストパフォーマンスを求める・・・。
その議論は、費用対効果の低い薬の値下げだけでなく、保険の対象から外そうという方向にもつながる。

費用対効果悩ましい線引き 月400万円「自己負担困る」
妻と5歳の息子がいる千葉県の男性(40)は5年前に肺がんが見つかり、昨年末に髄膜に転移した。
余命半年ともされていたが、がん治療薬のオプジーボを月2回投薬すると、がんは急速に小さくなった。
 
オプジーボは当初、月約400万円かかったが、医療費の自己負担には制度上の上限がある。
男性が加入する健康保険からの付加給付もあり、実際に支払ったのは月2万5千円だった。
男性は「新薬に命を助けられた」と語る一方、高額な費用に複雑な思いだ。
  
「このままでは医療保険財政がもたないかもしれないが、高い薬が自己負担となるのも困る」
 
新薬の値段は開発費や製造費を考慮し、国が公定価格として決める。
2014〜15年にはオプジーボのほか乳がん治療薬のカドサイラやC型肝炎治療薬のソバルディなど開発費の高い薬が相次いで発売された。
 
発売後に患者の対象が広がったオプジーボは高すぎると批判を受け、今年2月に緊急で半額になった。
ただ、値下げは企業の開発意欲をそぐ懸念もある。
 
14年度の薬剤費は約9兆円で、医療費全体(約41兆円)の約2割。
15年度には高齢化による影響を除く医療費が前年度比で2.7%伸び、その半分の1.4%分は薬剤費が押し上げた。
 
首相官邸で5月に聞かれた政府の経済財政諮問会議。
経済人や学者らによる民間議員が、「国民皆保険の持続性を確保するため、医薬品をより効率的・効果的に使用していく必要がある」と指摘し、「日本版NICE(国立医療技術評価機構)」の新設を求めた。
私的コメント
「経済人や学者らによる民間議員」?
 
英国のNICEは、費用対効果の低い薬を公的医療の対象外とする。
当時の塩崎恭久厚生労働相は「ぜひ考えたい」と応じ、6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」には「本年中に結論を得る」と明記された。
 
制度づくりは、厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会の専門部会で進む。
まず費用対効果に基づき薬を値下げする仕組みを設けるため、近く国民3千人以上を対象に意識調査を実施。
「完全な健康状態で1年間生存することを可能とする医薬品・医療機器等の費用」をどこまで公的保険で賄うべきか聞き、設定する基準に反映させる。
 
7月の専門部会では「国民の多くは、公的保険財政の厳しさも薬剤費の自己負担割合も十分に理解していない。そんな中で答えた結果で基準をつくっていいのか」との異論が出た。
医療にコストパフォーマンスを考慮するのは初めてのことで、模索が続く。

延命1年700万円英国の基準 126件で公費使用認めず
本家・英国のNICEは7月19日付で、カドサイラを引き続き公的医療として使えると認めた。
転移性の乳がんを患う英ロンドン在住のFさん(49)は「多くの乳がん患者が救われます」と安堵した。

英国の医療費は、ほぼ税金で賄われる。
治療代は原則無料で、処方された薬の自己負担は1種類あたり1千円程度まで。
代わりに公費で使える薬には制約があり、NICEが費用対効果などをもとに判断する。
 
カドサイラは既存の薬より平均6ヵ月ほど延命効果があるが、標準的な治療で9万ポンド(約1300万円)ほどになる。
終末期患者向けの薬なら1年の延命に約5万ポンド(約700万円)まで認められるが、その基準すら大きく上回るコストがかかる。
 
NICEは昨年12月、公的医療としての使用継続を認めない仮決定を出した。
公的医療の対象外となれば、患者が使うのは難しくなる。
Rさんらが所属する患者団体は使用継続を求める署名活動を行い、11万5898人分を提出。
製薬会社も値下げに踏み切り、NICEは使用の継続を認めた。
 
設立された1999年から今年5月までにNICEは680件を評価し、2割近い126件について公費での使用を認めなかった。
使用を制限された中には、日本でも保険適用が認められている抗がん剤のアバスチンやアービタックスも含まれる。
NICE最高責任者のA氏は「透明で一貫性があり、証拠に基づく判断をしている」。
 
抗がん剤は終末期の患者の命を少しずつ延ばす薬も多く、費用対効果は低くなりがちだ。
英国政府は、通常予算と別枠で使用を認める「キヤンサー・ドラッグ・ファンド(CDF)」という枠組みも設けた。
しかし利用者が増え、昨年から適用できる期間を2年に限定。
値下げしたうえで、より高い効果を証明するなどしなければ、薬の使用継続は認められない。
 
CDFのP会長は言う。
「ケーキの大きさ(使える医療費の総額)は決まっている。抗がん剤にもっとお金を使うなら、他に使うお金を減らさないといけない」
 
英国では、14年の国内総生産(GDP)に対する保健医療支出は9.9%だった。
米国の16.6%や日本の11.4%より低い水準を維持している。

東京大のI特任准教授(医薬政策学)は「日本では『人命は地球より重い』『医療にお金の話を持ち込むべきでない』といった意見が強かったが、薬もお金と効き目のバランスを考えないといけない時代になった」と指摘する。

朝日新聞・朝 2017.8.25

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パニック障害 誰もが患う可能性 専門医に早めの相談を

病名から誤解をまねきがちな「パニック障害」の患者らが、職場などで少しでも周囲の理解を得られるようにと、情報発信に取り組んでいる。

企業での講演を通じた啓発のほか、病気克服の成功体験を共有して相談活動につなげる例も。発症のメカニズムは未解明だが、周囲の理解があるという安心感で発作が起きにくくなることもあるという。
パニック障害は心臓や血管などに特に異常がないのに動悸や発汗、息苦しさなどの症状が起こる。

脳の神経伝達物質の働きが崩れることが原因とされるが、物質の働きが崩れる理由は分かっていない。
一度発作を起こすと、同じような環境になると「また発作が起きるのでは」と不安に陥り、発作を起こすこともある。
 
厚生労働省によると、パニック障害の受診者数は1996年に約3千人だったが、2017年は約8万3千人に増えた。
専門の医療機関が増えるなど認知度が上がったことも背景にあるとみられる。
発症のきっかけがないことがこの病気の特徴。
誰もがなり得る可能性がある。
 
効果的な治療法の一つである認知行動療法は、少しずつ成功体験を重ねさせて、不安に対する耐性を高める。
例えば急行電車の乗車時に発症した人の場合、最初は発作が起こらない範囲で、無理せず各駅停車で1駅だけ乗車する。

克服できたら徐々に乗る区間を伸ばし、「ここまで乗っても大丈夫」という心理状態を積み重ねる。
 
森田療法は精神科医、森田正馬が1920年(大正9年)ごろに生み出した治療法で、「症状は治さなくていい」としてあるがまま
を受け入れる心理療法だ。
このほか、神経伝達物質の崩れを整えるための薬剤治療も効果があるとされている。
 
発作を恐れて外出できなくなり、うつ病など他の精神疾患を併発する患者もいる。
パニック障害が疑われる発作が繰り返すなら、専門医に早めに相談したい。

参考・引用一部改変
日経新聞・夕刊 2019.7.3

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