ふくろう医者の診察室

健康や病気のことを縦糸に、診療室でのエピソードを横糸に。訪問ありがとうございます。
= しびれの原因 隠れた病気? 「早めの受診を」 = 
しびれに悩む高齢者は少なくない。
しびれの原因は骨の変形から脳卒中までさまざまで、しびれている場所に原因があるとは限らない。
隠れた病気が見つかることもあり、医師は早めの受診を勧める。

骨の変形・脳卒中・・・早めに受診を
女性のAさん(75)は、ひざの内視鏡手術を受けた後、杖をついて歩いていた。
無理な姿勢が続いたせいか、首や肩の凝りや痛みが出て、右手の先がしびれだし、やがて左手もしびれるようになった。
いつもジンジンして力が入らず、家事はおろか、コーヒーカップを持つこともできなくなった。
3年前のことだ。
 
整形外科に行くと「頸椎症」と診断された。
加齢により、首の骨や、骨と骨の間でクッションの役割をする「椎間板」が変形して、神経が圧迫されて起きる。
女性の場合、背中を走る脊髄から分かれて腕へとつながる「神経根」の部分が圧迫され、肩の痛みだけでなく、手や指先にしびれが出ていると考えられた。
 
しびれの正体は神経の働きの異常だ。
手足の感覚を脳に伝える神経のどこかに異常があると、感覚がまひしたり、何も触れていないのにジンジンしたりする。
 
しびれの感じ方や表現はさまざまで、客観的な評価が難しい。
しびれを伴う病気は、糖尿病の合併症や神経を包むさやが壊れる多発性硬化症、筋肉を動かす神経が傷害されるギラン・バレー症候群など様々だ。
しびれている場所やその近くに原因があるとは限らない。
隠れている病気が見つかることもあるため、神経内科や整形外科へ早めに受診したい。
中でも、左右どちらかの手や口のまわりに急に強いしびれを感じる場合、脳の視床と呼ばれる部分の脳卒中が原因として疑われ、急を要する。
 
頸椎症と診断された女性は、過敏になった神経を鎮める薬を処方され、しびれは治まった。
完全に治ったわけではないが、日常生活に不自由はなくなったという。
閉じこもらず外出を心がけ、前向きな気持ちを保つようにしているという。

運動には注意 手術も
頸椎症のように神経の圧迫で起きるしびれは高齢者でしばしばみられる。
神経の異常がある部位によって、しびれを感じる場所も変わってくる。
 
手の指がしびれる病気として、「手根管症候群」が知られる。
手首付近で、靱帯と骨で挟まれた神経の通り道(手根管)が圧迫され、親指から薬指のしびれが出る。
手の仕事が多い人がなりやすい。
ひじの内側の神経が骨などで圧迫される「肘部管症候群」でも、薬指や小指にしびれが出る。
 
頸椎症で脊髄が圧迫される「頸椎症で脊髄が圧迫される「頸椎症性脊髄症」の場合、手や腕だけでなく、下半身にもしびれや痛みが出ることがある。
日常生活に困る場合は手術を検討する。
 
頸推症では、症状を和らげる薬や首を固定する装具を使い、首を安静にする。
装具を使うときは、転ばないように注意する。
痛みやしびれがひどくなる姿勢は避け、首に負担がかからない枕の高さに調節する。
  
腰痛や肩こりには筋肉の緊張をとり血液循環をよくする運動が効果的だが、神経の圧迫によるしびれに対して運動は勧められない。
症状が和らぐと感じるなら、軽く首や肩を回す程度の運動はよい。

おしりから足の後ろ側にしびれや痛みを感じる場合、「腰部脊柱管狭窄症」が疑われる。
 
しびれは左右どちらかの場合も両足の場合もある。
加齢による腰椎の変形やずれによって、神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、脊髄や神経根が圧迫されて起こる。
長時間歩いたり、立ち仕事を続けていたりするとしびれが出やすい。
 
腰部脊柱管狭窄症は、背筋をそらすと、痛みが増すため、前かがみになりがちだ。

痛くて動くのがおっくうになると、さらに症状が進行するので、腰をそらす姿勢を避けながら、軽い運動をした方がいい。
治療では、症状を和らげるため、過剰な神経活動を抑える薬や炎症を抑える薬などが使われる。
神経の圧迫が強く、日常生活に影響が大きい場合は、骨を削ったり、金具で固定したりする手術を検討することになる。

糖尿病が見つかる場合も
手袋や靴下で覆われる手足の先端部分にしびれや痛み、冷えがある場合、糖尿病で起きる神経障害が原因のことがある。
初期の糖尿病は自覚症状がなく、手足のしびれをきっかけに糖尿病が見つかる場合もあるという。
末梢神経の神経細胞内に糖がたくさん取り込まれ、神経細胞の働きに異常が起きると考えられている。
足のしびれを放っておくと、悪化して激痛やまひを起こし、足の壊疸の原因につながりかねない。
 
悪化した神経障害を治療するのは難しい。
食事や運動、薬で血糖コントロールをして、悪化しないようにする。
早期発見・治療、予防が重要だ。

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参考・引用
朝日新聞 2017.2.1

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若年性更年期

若い女性のだるい、イライラ 卵巣機能低下に原因 対症療法と生活見直しを

「生理の回数や量が減った」「だるい」「イライラする」。
まだ20歳―40歳後半なのに、更年期障害に似た体調不良に悩む女性が増えている。
こうした症状を「若年性更年期」「プチ更年期」などと呼び、特集を組む女性誌なども目立つ。
働く女性を中心に疲労やストレスの影響から、卵巣機能が低下しているのが原因で、症状を見極めた治療が求められる。

働く女性には生理(月経)不順や不定愁訴を訴える人が多い。
 
不定愁訴とは疲労感や不眠、うつ、イライラ、冷え、むくみ、めまい、肩凝りなど、日によって変わる体の不調。
閉経後の女性の訴えに似ているため最近、若い女性のこうした体の変調を「若年性更年期」など
と呼ぶ造語が広がってきた。
しかし医学的には、そうした病名はない。
 
閉経の平均年齢(50歳)より早く、30歳後半や40歳代前半で閉経する例を「早発閉経」というが発生はまれ。
今、若年性更年期と呼ばれている症状のほとんどは、強い疲労やストレスなどから白律神経がダメージを受け、女性ホルモンを分泌する卵巣の機能が低下。
ホルモンバランスが崩れることで起きる不調だという。

今の女性は10年前に比ぺて意識の上では10歳ほど若いが、身体年齢は変わらない。
一方で仕事を持つ人だと責任や中身が男性並みに重く、深夜勤務もザラだ。
現代の働く女性は体力的・精神的に厳しい環境に囲まれている。

私的コメント 14年前の新聞記事のため現在にはあてはまらないかも知れません。

外的要因だけでなく、無理なダイエットや食生活の乱れが引き全になることもあるという。
 
婦人科で血液検査 自分の症状を把握
早発閉経か、卵巣機能の不全かは、婦人科で血液検査を受け、血中のホルモン量を調べれば簡単に分かる。
閉経の場合は卵胞ホルモン「エストラジオール」量が健康な若い女性の三分の一以下程度に低下している。
一方、卵巣機能不全は、それほど著しくはない。
 
早発閉経なら、ホルモン補充療法(HRT)など一般の更年期障害と同様の療法が必要になるが、そうでなければ対症療法が中心になる。
 
月経不順には低用量ピルや女性ホルモン・エストロゲンなどを使った療法や漢方薬による療法が、不眠なら睡眠薬の処方が、肩凝りや腰痛には整体などが試みられる。
また、大きなストレスを受けている女性の中には、生理の周期や出血量と、卵巣の状態とが一致しない場合もある。

生理がほとんどなくても、基礎体温を記録して高温期と低温期がきちんとあり、排卵があると分かれば、卵巣は機能していることになる。
逆に生理が正常にみえても、ホルモン分泌が抑制され、卵巣機能が低下してほてりやイライラなど更年期障害に似た症状が現れることもある。
  
ストレスがどんな身体症状として出るかは、人それぞれ違う。
卵巣機能の不全のほかにも、うつなど精神的な症状が出る人もいれば、ぜんそくや腰痛、下痢、便秘、胃痛などが現れる人もいる。
 
対症療法で症状を軽減させながら、体に負担の少ない生活への切り替えをしたい。

参考・引用
中日新聞・朝刊 2003.3.7


<関連サイト>
若い女性も注意!ホルモンバランスを乱す卵巣機能低下
http://www.chamberofmines-tz.com/body-health/43.html

卵巣機能不全とは?原因や症状、治療法は?改善後は妊娠できる?
https://192abc.com/38930

卵巣機能低下症の症状・診断基準・原因・治療・予防・入院の必要性
https://tamagoo.jp/ninkatsu/symptom-cause-prevention-ovarian-hypofunction/

卵巣機能低下症の症状
http://www.skincare-univ.com/article/016381/

卵巣機能低下症とはどんな病気か
https://health.goo.ne.jp/medical/10360800

卵巣の働きが低下する原因《卵巣機能不全・卵巣機能低下症》
http://www.e-hairan.com/?p=131

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「季節性」のこり 深い呼吸を意識して血行改善

花粉症のシーズンがピークを迎え、どうしたわけか、肩や背中のこりがひどくなっている人が増えているのではないだろうか。
それはせきやくしゃみをするときに全身に力が入り、筋肉がこわばる「季節性のこり」かも知れない


せきやくしゃみをするときは、周りへの気遣いから前傾姿勢になり、全身に力を入れることにより、首や肩、背中がこるという。
主に、背中に広がる僧帽筋の血行が悪くなるのが原因となる。
 
前傾姿勢になると、肋骨を広げたり狭めたりして呼吸運動をする肋間筋が使われない状態が続く。
肺が大きく膨らみにくくなり、酸素の取り込み量が減っていくため、酸素不足による血行不良でこりがさらに悪化することもある。
 
呼吸に関係する筋肉は、20代をピークに衰える。
自分で意識的に筋肉を鍛えて深い呼吸をマスターすることにより、こりだけでなく、こりから起こる頭痛、手足のしびれも改善される。
改善策として「口すぼめ呼吸法」がある。
(1)2秒かけて鼻から息を吸う
(2)口をすぼめて6秒かけ口から息を細くはく。
これを10セット繰り返す。
 
注目されるのが、「情動呼吸」だ。
呼吸は酸素を取り入れて二酸化炭素を排出する以外に、感情と深く結びついている。
意識的にゆっくり、大きく呼吸することで、感情が落ち着き、ストレスが解消していき、リラックスできる。
 
また、花粉症や鼻アレルギーなどで鼻が詰まり口呼吸になることにより、口の中が乾燥して唾液による消化作用、殺菌作用が低下する。
さらに、鼻腔で湿り気を帯びず、乾いた外気が口から肺に直接入ることにより、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなる。
 
1分間に15回前後、一生には6億〜7億回も繰り返す呼吸。
呼吸を意識して生活するだけで、日々の健康状態が飛躍的に改善される。

 
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参考・引用
朝日新聞・朝刊 2017.4.1

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春の日焼け・発疹 実は難病? 女性は注意 うつや腎炎の恐れ

若い女性に多い難病「全身性エリテマトーデス(SLE)」は春に症状が出て気付く場合が多い。
ひどい日焼けや発熱、皮膚の発疹などの初期症状だけでなく、腎障害やうつのような精神疾患まで起こる見分けにくい疾病だ。
近年登場した新薬が、皮膚症状の改善や治療の副作用による不妊の回避など患者の悩みを抑えることに役立っている。
専門医でなければ診断が難しいのが課題だ。

Aさん(37)は、以前から顔が赤くなりやすかった。
18歳のときに関節が強く痛むようになり、近くの病院を受診した。
症状は特に改善せず数カ月後に別の病院で詳しい検査を受け、SLEと診断された。
昨夏、髪が抜けるようになったが新薬「ヒドロキシクロロキン(商品名・プラケニル)」を使うと治まった。
 
日光をたくさん浴びるようになる春頃から発症する人が多い。
暖かい季節になり、アウトドアや運動会などで肌を出したとき、SLEの患者はひどい日焼けや水ぶくれなどを起こす場合がある。
春は皮膚が日光にまだ慣れていないため、夏より弱い紫外線でも発症する。
 
SLEは体を守る免疫が過剰に働いて起こる自己免疫疾患の一つだ。
細菌やウイルスなどの外敵を倒す免疫が自分まで攻撃するようになり、全身の臓器で炎症を引き起こす。
国内患者は約7万人。
女性が約9割で、20〜40代に発症することが多いのが特徴だ。

数カ月続く微熱
症状は幅広い。
目に付くのは皮膚症状だ。
代表的なのは日光を浴びた際の発疹や水ぶくれ、顔のほおにできる蝶が羽をひろげたような発疹「蝶形紅斑」だ。
SLE患者では約7割で起こる、という報告もある。
 
長期間の発熱もSLE患者によくある初期症状の一つだ。
セ氏37度台の微熱が数カ月続く。
ときには同38度の高熱になることもある。
倦怠感や疲労感も伴う。
 
臓器にも障害がでる。
腎臓の障害は放置すると重篤になり、治療が長期にわたることがある。
健康診断の尿検査などで発覚する。
皮膚と臓器の重症度は直接関係しておらず、皮膚症状がおさまっても臓器の状態には注意する。
 
中枢神経をおかす場合もある。
うつや統合失調症に似た症状になることや、認知症のように忘れっぽくなったり、怒りっぽくなったりする場合がある。
「性格が変わった」と周囲に言われることがあるほどだ。
 
これらの症状は全て起こるわけではない。
悪化させないために日光を避けた方がいい。ストレスや過労も大敵だ。
 
治療はステロイドの投与が基本だ。
体全体の免疫を抑える。
副作用で感染症にかかりやすくなるため、症状が落ち着いたら少しずつ量を減らす。
さらに症状によって薬を追加する。

不妊の副作用なし
皮膚症状の治療では2015年に承認された「ヒドロキシクロロキン」が貢献した。
「皮膚症状の特効薬」とも言われる。
1〜2カ月間投与すると改善することが多い。
顔の発疹などを抑えられるのは心理面でも大きな効果だ。
 
もとはマラリアの治療薬として開発されていたが、視覚障害の副作用が問題となり使われなくなった。
それを副作用の起こりにくい構造に改良したのが、今の薬。そのため定期的な目の検査が必要だ。
 
16年に承認された免疫抑制剤「ミコフェノール酸モフェチル(商品名・セルセプト)」も女性患者の負担を減らした。
免疫抑制剤は腎炎の治療などに使うが、以前のものは不妊になる副作用があった。
 
「以前は若い女性の約9割が投与を拒否した」と、ある専門医は振り返る。
新薬は不妊の副作用がない。
だが妊娠中に使った例で副作用による先天異常が報告されている。
 
妊娠には注意がいる。
ホルモンのバランスが崩れて症状が悪化する場合があるからだ。
最低で半年、できれば1年以上、症状が落ち着いているといった条件を満たさないと勧められない。
出産を望む人は早期から専門医との相談が必要だ。
 
2つの新薬は欧米では以前から使われていた。
「やっと欧米並みの治療になった。だが既存薬の効かない患者もいる」と専門医は言う。
別の新薬も国内で臨床試験が進んでいる。
 
SLEの課題は早期の診断だ。
国内では米リウマチ学会の基準をもとに全身の症状や血液検査などから診断している。
ただ実際には、かかりつけ医でSLEに気付くのは難しい。
いくつも病院に行って、ようやく診断されるケースも珍しくない。
普及活動を通してかかりつけ医や社会にも病気を知ってもらうことが重要だ。

日経新聞・朝刊 2017.4.17


<関連サイト>
全身性エリテマトーデス(SLE)の治療の選択肢と日焼けを避けるなど日常で注意すること
https://medicalnote.jp/contents/161031-013-EJ

全身性エリテマトーデス(SLE)とはどのような病気?顔の湿疹や腎炎といった症状が特徴である全身性の免疫疾患
https://medicalnote.jp/contents/161031-012-PA

膠原病(こうげんびょう)とは?原因・遺伝・検査法・治療の難しさを横須賀の専門医が解説
https://medicalnote.jp/contents/170123-001-WI

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頭痛や眠気 春のせい? 寒暖差やストレス引き金 通勤でリラックス 食事・睡眠を十分に

春先は頭痛や気だるさ、眠気などの不定愁訴で来院する患者が増える。
春に不調が増える大きな要因は、気候の変動やストレスが大きくなり、自律神経の働き
が乱れることにある。
 
自律神経は休を活動モードにする交感神経と、休息モードにする副交感神経からなる。
副交感神経の働きが増してくる春は交感神経が優位な冬の状態から切り替わる時期にあたる。
気候の変化も相まって、自律神経の働きが乱れやすい。
血管の拡張や収縮が適切に調節できなくなって、頭痛や倦怠感など様々な不調を引き起こす。
 
実際に気圧や気温など環境の変化が、片頭痛や緊張型頭痛を誘発することがわかっている。
気圧が高いと交感神経が優位になり、低いと副交感神経が優位になる。
 
3月から5月は、低気圧と高気圧が交互に日本付近を通過するため大気の状態が不安
定になる。
寒暖の差も激しいので、頭痛を引き起こす要因が重なりやすい時期といえる。
 
入学や卒業、人事異動など環境の変化が多い春先は、精神的なストレスも増えがちだ。
ストレスがたまると神経や筋肉の緊張が高まり、緊張型頭痛が起きやすい。
ストレスから解放される週末や休日でも、片頭痛になりやすい人もいる。
 
ストレスで寝不足に陥り、昼間の眠気に悩むケースもある。
緊張やプレッシャーが原因の精神的な疲労や倦怠感を、眠気と感じる人もいる。
 
花粉症も追い打ちをかける。
花粉症で夜の眠りが妨げられ、睡眠の量と質が低下する人も多い。
眠気と睡眠不足による頭痛を招きやすい。
鼻詰まりで頭に十分な酸素を送れなくこともあり、花粉症も頭痛の原因になる。
 
これらの不調を防ぐには、食事や睡眠といった生活のリズムを整えて、自律神経の乱れを抑えることが大切だ。
入浴や運動などでリラックスを図ってストレスを緩和し、夜は十分な睡眠をとる。
パソコンやスマホの操作は覚醒を促すので、夜間は控えめにしたい。
寝不足の日が続かないように、7時間から8時間の睡眠を2日に1回は確保するよう心がける。
 
ただし寝過ぎも頭痛の原因になる。
休日の寝だめも要注意だ。
昼間にどうしても眠気を感じるときは、20分から30分程度の短い昼寝をするといい。
花粉症対策の薬を飲む人は、日中は眠気を起こしにくい抗アレルギー薬を選ぶとよい。
 
春は陽気のイメージが強いが、毎日の気温の変化や、昼と夜の気温差が大きい場合もある。
上着やストールを活用して寒暖差に対応するのも、不調対策として有効だ。
 
頭痛の対策には腕を振る頭痛体操がお薦めだ。
まっすぐに立ち、肘を曲げて手を胸の位置まで上げる。
頭を正面向きから動かさないようにして、腕の力を抜いて両肩を大きくリズミカルに回す。
1回あたり2分間を目安に続ける。
首や肩の筋肉をほぐすと脳の痛みを調節する経路を剌激して、片頭痛の予防と緊張性頭痛の緩和に効果がある。
頭痛が起きているときは逆効果になるので、控えておこう。


<まとめ>
交感神経緊張   筋肉が緊張 → 緊張性頭痛
副交感神経緊張  血管が拡張 → 片頭痛が出やすい

眠気や頭痛を防ぐ頭痛体操
頭を動かさないようにして体を回転させる時に「体の軸」を意識する

・夜に十分な睡眠を
・20 ~ 30分に昼寝も有効
・入浴でリラックスする
・服装で寒暖差に対応
・食事、睡眠は規則正しく


参考・引用
日経新聞 2017.4.15


<関連サイト>
春の眠気は“病気”だった!
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20100405/106594/

季節の変わり目の「めまい」 気圧低下が引き金に
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO87729570V00C15A6000000

“寒暖差疲労”による自律神経の乱れに要注意!解消のコツは温活にあり
http://www.well-lab.jp/201411/feature/2868

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膝痛を運動で改善

膝痛を運動で改善 ストレッチ、太ももの筋肉を鍛える

膝に水がたまって痛む「変形性膝関節症」は、日本に約2500万人の患者がいると推定される。
進行すると歩くのもつらくなる。
簡単な運動で太ももや膝の筋肉を鍛えたり、関節の動きをやわらかくしたりすることで、膝にかかる負担を軽減し、痛みを和らげることができる。
膝が痛いと動きにくくなり、筋力も落ちていく。気長に毎日続けたい。

ある男性(62歳)が最近、左膝に痛みを感じるようになった。
痛み止めを飲んでも数日しか効かず、某病院の指導で膝の運動を始めた。
しばらく続けると痛みが和らぎ、痛み止めがいらなくなった。
運動することで、膝にかかる負担を減らせたためだった。
 
男性は変形性膝関節症だった。
膝は太ももとすねの大きな骨をつなぐ。
骨の表面は滑らかな軟骨が覆い、その隙間を埋めるように半月板があり、全体を靱帯が包む。
運動時の衝撃を和らげ、滑らかに動くための優れた仕組みだ。
 
加齢やけがで軟骨が減ると骨同士が直接ぶつかり、関節に炎症が起きる。
軟骨は元には戻らない。
進行すると半月板が割れたり、靱帯が傷ついたりする。
関節を満たす液体が増え、いわゆる「膝に水がたまった」状態になる。これが変形性膝関節症だ。
 
最初は階段の上り下りや歩き始めに痛んだり、正座やしゃがむ姿勢がつらくなったりする。
さらに進むと起床時に膝がこわばる。
最後は安静時にも激しい痛みが出て、歩行困難になる。
 
関節に変形がある潜在的な患者は60歳以上の男性で5割、女性で7割にも達する。
このうちで痛みを伴うのは2〜4割だ。
太った人や女性、O脚やX脚の人、若い頃にスポーツをしていた人に多い。
 
加齢による筋力低下が進行を早める。
脚の筋力は70歳では30歳の半分になる。
脚の筋肉を鍛え、膝にかかる負荷を軽減できれば、病気の進行を遅らせ、痛みを減らせる。
日本整形外科学会が勧める方法がある。
鍵を握るのは太ももの筋肉だ。

痛みを和らげる運動
まず、いすに腰掛けて片方の脚を足首を立てたまま水平に伸ばし、5〜10秒止めた後に下ろす。
次に膝を伸ばして床に座り、膝の下にタオルや枕を置く。置いたタオルなどを膝裏で床に押しつけ、5〜10秒そのまま保って、力を抜く。
この2つの運動で、歩くときの蹴り出しを担う太ももの筋肉を鍛える。
加齢で特に弱りやすいところだ。
 
横向きに寝て片方の脚を20センチ上げ、5秒止めてゆっくり下ろす。
この運動で太ももの外側の筋肉を鍛えることで、O脚になるのを防ぐ。
O脚は膝に負担をかけるため、改善しておきたい。
 
膝や股関節、足首など脚全体を鍛えるにはスクワットがよい。肩
幅より少し広めに脚を開いて立ち、いすに腰掛けるようにお尻をゆっくり下ろす。あまり深くしすぎず、膝の角度が90度を超えないようにする。
 
筋トレは息を止めずにやる。
回数は筋力や痛みに応じて調整する。
痛みを感じたら無理をしない。
自分に合う運動法を選ぶとよい。
毎日続けることが大切で、筋力が増せば、膝関節への負荷を減らせる。
 
膝の動きをよくするストレッチも有効だ。
歩行や立ち上がる際に、関節にかかる負荷が軽い動き方になる。
床に膝を伸ばして座り、かかとの下にタオルなどを置く。
かかとをゆっくり滑らせて膝をできるだけ曲げ、再びゆっくり伸ばす。湯船でやってもよい。
 
病気が進むと膝の裏側がこわばり、膝を伸ばしにくくなる。
そうなったら脚を伸ばして座り、5秒ほど膝に力を入れて伸ばすことで、かたさが取れる。
つま先は伸ばしても反らしてもよい。
 
膝痛で体を動かさないと筋力が下がって関節が動きにくくなり、立ったり歩いたりする能力が落ちるロコモティブシンドローム(ロコモ)になりやすい。
ロコモが進むと介護が必要になるので、日ごろの運動で予防に努めたい。

正座や和式トイレ 要注意
変形性膝関節症を防ぐには、まずは膝に負担がかかる姿勢を避ける。
長時間の正座や和式トイレを使う習慣などは症状の悪化につながる。
 
体重が重い人は膝に大きな負荷がかかる。
肥満の人はできるだけ減量するといい。
夏場の冷房などで膝を冷やさない工夫も必要だ。
タオルケットなどを膝にかけて温め、血行をよく保つ。
 
膝の筋肉を鍛えても痛みがひどくなる場合は、痛み止めを使ったり、関節にかかる重みや衝撃を和らげるヒアルロン酸を膝に注射したりする。
専門家の指導のもと、膝の関節のリハビリをすることもある。
 
それでも治らない場合は、すねの骨を切ってO脚を治す、膝に人工関節を入れるなどの手術をすることもある。
ただ人工関節は、10年程度で再手術して入れ替える必要がある。

 
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参考・引用
日経新聞・夕刊 2017.4.6

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痛み 伝え方を工夫、治療スムーズ いつから・強さは・性質は 感想より客観情報

つらい痛みに耐えかねて病院へ駆け込み、思いのままに自分の症状を訴えるが、痛みがうまく伝わらない。こんな経験を持つ人は多いのではないか。
正確に伝わらないと、診断や治療に時間がかかったり、適切に治療がされなかったりする。
うまく医師に伝えるには、どうすればいいのだろうか。

「お医者さんに痛みを正確に伝えるのがいかに大事か分かった」。
長年、首と腰の痛みに苦しんできたUさん(55)は、ある診療所での経験をこう話す。
 
痛みは主観的で他人からは分かりにくい。
ひどい痛みで苦しい時は、平常心ではいられずにひたすら「痛い」と訴え続けがち。
だが、これでは適切な治療は難しい。
 
診療所の院長は「今抱えている痛みについて、できるだけ具体的に教えてください」と求めた。
Uさんは「下を向いた時に、首の付け根から肩にかけ、キューンとつったように感じる」などと伝えた。
 
院長は、Uさんが過去に追突事故にあった経験があることと合わせて考え、むち打ち症の後遺症が出ていると診断。
それまで使用していたのとは別の痛み止め薬を飲んだり、脊髄へ注射を打つなどの治療を施したりし、痛みは和らいだ。
Uさんは「正しく伝わり、適切な治療を受けられた」と満足げだ。
 
製薬大手のファイザーは昨年9月、慢性痛患者(約五千人)と慢性痛治療の経験がある医師(約170人)を対象に、痛みと治療に関するアンケート調査をインターネットで実施。
患者の7割が「痛みをどのように伝えたらいいか分からない」と回答した。
 
痛くてつらい気持ちはわかるが、「とにかく痛い」などと痛みの感想を話されるだけでは治療に進めない。医師任せではなく、患者自身が痛みの内容を細かく伝えることが重要だ。
痛みに関する情報が多いほど治療の選択肢が増え、正確に治療方針が決められ、効果も高まるからだ。
 
痛みを上手に伝えるためには、押さえておきたいポイントがある。
いつから起きたか、何かきっかけはなかったか、痛む部位や強さ、差し込むようだとか、殴られたようだなどの痛みの性質などだ。
 
医師が患者の痛みの強さを知るために用いる手法として、「ニューメリカルレーティングスケール」というものがある。
痛みが最も強い時を10として、現在はどの程度なのかを聞くものだ。
患者は痛みが弱ければ1や2などと答え、強ければ9、10と答える。
 
数値を大きく言う人や、逆に控えめに言う人もいるが、患者は気にしなくていい。
医師は痛みに関する他の情報も加味して、強さを補足するので、実態と大きくずれることは少ない。
治療を進めていくなかでは、初診時の程度からどのくらい変化したかで、治療効果を確認する。
 
痛みの性質を把握するのも重要だ。
鈍い、鋭い、重いなど実際の痛みに近い表現を使う。
ピリピリ、ヒリヒリ、ジンジン、ズキズキなどのオノマトペ(擬態語)も有効だ。
表現の違いで原因が筋肉なのか神経なのかなどがわかる。
 
痛みに関する治療が専門のペインクリニックでは、医師が状態を細かく聞き出していくなかで、患者も自分のことを客観的につかみやすい。
しかし、痛みが専門の医師がいない一般の医院などでは、自身の痛みを客観的に説明するのが難しいこともある。
 
病院に行く前に、痛みの情報をメモし、医師に伝える準備をしておくとよい。
痛みについて
(1)時期
(2)場所
(3)強さ
(4)性質
(5)日常生活への影響
などを控えておき、診察時に伝える。
 
医師は、痛みの情報を基にどうして痛くなるかという仕組みを説明。
治療法の種類や内容を話し、どの順番で治療するかなど、ひとつずつ患者と相談しながら決めていくことになる。
痛み治療は患者と医師の共同作業。
両者の間でよいコミュニケーションがとれることが、痛みを和らげる近道だ。

オノマトペが有効
ファイザーがインターネットを通じて調査したところ、患者に問診する際に、「痛みを上手に伝える・聞き出すための工夫」として、約9割の医師がオノマトペを使用しているという。
患者の方も約7割が使っていた。
 
医師が問診でオノマトペを使う理由(複数回答)は
「患者から痛みの情報を聞き出しやすくなるから」(93%)、
「患者の痛みの表現から痛みの種類が推測できるから」(91%)、
患者も「自身の痛みを説明しやすいため」(94%)、
「痛みを感覚的・直感的に表現できるため」(93%)
などだった。
 
問診で医師に痛みを上手に伝えられているかは「オノマトペを使用している患者」(61%)が、「使用していない患者」(54%)を上回った。
 
オノマトペは、医師と患者が容易に使える痛みの共通言語として非常に重要な役割を担っている。

 
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参考・引用
日経新聞・夕刊 2017.4.13

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乳がん増加は少子化が一因

今、日本人女性に一番多いがんは乳がんだ。
国内で増加ペースが最も速いがんの一つで、年間9万人が新たに診断を受けている。
日本の女性の12人に1人がこのがんにかかる計算で、年間死亡数は1万4000人と1980年の3倍にもなる。
 
がんは細胞の老化といってよい病気だから、高齢化が進んだ日本でがんの発症が増えるのは必然といえる。
たとえば、人口10万人あたりの大腸がん罹患数は日本では116人だが、日本ほど高齢化が進んでいない米国では42人と少なく、大きな開きがある。
 
しかも、乳がんについては日米とも80人程度と拮抗している。
他のがんとちがって、乳がんでは高齢化以外の要因が大きく関与しているからだ。
 
乳がん細胞を増殖させるのは女性ホルモンだ。
つまり、生理がある期間は乳がんのリスクが高くなる。
50歳前後で閉経を迎えると、女性ホルモンの分泌量は急激に減るから、リスクも少なくなる。
40代後半に乳がんのピークがあるのはこのためだ。
 
日本人の栄養状態がよくなって、初潮の開始年齢が早まり、閉経も遅くなっている点も乳がんの発症リスクを高めている。
さらに、急速に進む出生率の低下が乳がんを急増させている。
妊娠、出産、授乳の2年以上の間は生理が止まり、乳がんのリスクは低下する。
また、授乳そのものが予防効果を持つことも確実視されている。
 
昔は子供を10人産むこともあったが、そんなお母さんは20年以上も発症リスクが低い時聞があった。
逆に1人も妊娠しなければ、生涯乳がんのリスクにさらされることになる。
このように少子化は乳がんを増やす決定的な要因と言える。
 
47都道府県で乳がんが一番多いのは東京都で、最も少ない鹿児島県の2倍以上だ。
これは、東京都の出生率が全国最下位であることに関係があると思われる。
都市部にありがちな運動不足や肥満もリスクを高めている可能性がある。
 
まず、自分自身のリスクを知ること。そして、毎月の自己触診と2年に1度のマンモグラフィーを欠かさないことが大切だ。

参考・引用
日経新聞・夕刊 2017.3.2

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ウェルシュ菌食中毒

ウェルシュ菌食中毒、ご注意 熱に強く、カレーや煮物で発生

食中毒を引き起こす「ウェルシュ菌」をご存じですか? 
この菌には熱に強いものがあり、作りおきしたカレーや煮物などを食べて発症するケースが多くみられます。
春にも食中毒が起きており、注意が必要です。

3月8日夕方から翌朝にかけて、東京の私立幼稚園の園児67人と教職員9人の計76人が次々と、下痢や腹痛、嘔吐の症状を訴えた。
 
複数の患者の便からウェルシュ菌が検出され、保健所は、8日昼の「年長組を送る会」で食べたカレーが原因と断定。
カレーは、7日午前11時ごろから、教職員と園児が職員室で、二つの大きな鍋を使って作り、そのままの状態で、一晩常温で保存。
食べる直前に再加熱したという。
 
ウェルシュ菌は人や動物の腸管内や土壌、下水などに存在。肉や魚、野菜などの食材にも付着し、体内に大量に取り込まれると、食中毒を引き起こす場合がある。
 
日本食品衛生協会の栗田滋通・技術参与によると、ウェルシュ菌による食中毒が起きやすいのは「カレーやシチューなどとろみのある料理を大鍋で作った時」だという。
筑前煮や煮込みハンバーグなどでも起こる。
 
ウェルシュ菌の中には「芽胞」という殻のような状態になるものがある。
熱に強い芽胞は、100度で60分間熱しても死滅しないとされる。
そのため、調理の際に煮沸してもウェルシュ菌が残り、その後増殖して食中毒を引き起こす可能性がある。
 
常温で保存し、温度が55度程度まで下がってくると芽胞から新しい芽が出て菌が増殖し始める。
特に43〜45度で急速に増える。
料理にとろみがついていたり、量が多かったりすると、温度はゆっくり下がるため、菌が増殖する時間も長くなる。
 
飲食店やイベントで大量に調理した時に食中毒が発生しやすく、2014年には京都市の業者が製造したキーマカレーの弁当を食べ、900人が食中毒症状を訴えた。
 
ウェルシュ菌による食中毒の症状は腹痛や下痢など。ほとんどの場合、発症後1〜2日で回復するという。ただ、病気などで免疫力が低下していると、まれに重症化することもある。

常温放置せず、冷蔵を/温め直し、よく混ぜて
厚生労働省へ報告があった2016年のウェルシュ菌による食中毒は31件。
患者数は計1411人にのぼる。31件の事故を発生月別でみると、4月と5月に計7件、10月と11月に計9件が起きている。
細菌性の食中毒は一般的に夏に多いが、ウェルシュ菌は春や秋の発生が目立つ。
 
では、どうすれば防げるのか。
 
一番の予防法は、調理後すぐに食べること。
家庭でも注意が必要だ。
カレーなどは一晩おくとおいしいとも言われるが、保存の仕方によってはウェルシュ菌が繁殖してしまう。
 
ポイントは、一度に作りすぎないこと。
作りおきする場合は、常温で長時間放置せず、容器に小分けにし、冷蔵庫や冷凍庫で10度以下に冷やして保存する。
料理が早く冷めるよう、小分けする容器は底の浅いものがいい。
ウェルシュ菌は酸素が苦手な嫌気性菌のため、容器に移し替える際に、料理を混ぜて空気に触れさせるとより効果的だという。
 
作りおきしたものを食べる際には、ムラなく加熱できるよう、鍋に移し替えた上でよくかき混ぜながら全体にしっかり火を通す。
ウェルシュ菌には熱に強い芽胞をつくるものもあるが、75度で1分ほど加熱すれば死滅するものもある。
 
菌の数を少なくすることで食中毒の防止につながる。

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参考・引用
朝日新聞・朝刊 2017.4.17

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骨盤臓器脱 

骨盤臓器脱 広がる治療法

子宮や膀胱、腸が、ゆるんだ膣を通じて体の外に出る「骨盤臓器脱」。
根治をめざして器具で臓器をつり上げる手術で、3年前に腹腔鏡を使った新しい方法が公的医療保険の適用となった。
治療の選択肢が広がる一方、人工物を体内に入れることに慎重な意見もある。

体への負担少なく
Aさん(72歳、女性)は3年前、しゃがむと股間にピンポン球のようなものが触れるのを感じた。
歩きにくく、頻尿になったため、某病院を受診し、骨盤臓器脱と診断された。
 
これは、膣の近くにある臓器が、膣の壁を押して中に落ち込み、体の外に出てしまう女性特有の病気。
出るのが膀胱の場合は「膀胱瘤」、子宮だと「子宮脱」、直腸ならば「直腸瘤」と呼ばれる。
日本人は膀胱瘤が最も多く、子宮脱を併発するケースもある。
 
主な原因は、出産や加齢によって、膀胱や子宮などを支えている骨盤底筋が弱くなることだ。
露出した膣壁などがすれて出血したり、排尿や排便に障害が出たりする。
海外のデータから、骨盤臓器脱の女性は「20〜59歳の3割」「出産経験者の半数」という推計がある。
 
この女性は昨年8月、3年前に訪れた病院で腹腔鏡を使った仙骨膣固定術(LSC)という手術を受けた。おなかにカメラや器具を入れるための穴を4カ所あける。
子宮の上部3分の2を切り取り、膀胱と膣の間、直腸と膣の間にある組織の中にポリプロピレン製のメッシュをそれぞれ埋め込む。
その後、メッシュを、膣とつながる子宮頸部と、背骨の下の仙骨という部分に縫い付ける。
 
固定されたメッシュが「壁」の役割を果たし、膀胱などを支えて膣の中に落ち込まないようにする。
 
手術は全身麻酔で3時間程度。
女性はいま普段通りの生活を送る。
ずっとトイレを気にし、体操もしづらく恥ずかしかった。
手術してよかったと喜ぶ。
 
メッシュを体内に固定する手術は、膣からメスを入れて膣壁を切って、膣と膀胱などの間の組織にメッシュを入れる方法がある。
腹腔鏡での手術はこの方法と比べ、おなかの中の状態を見やすいため、メッシュを固定しやすい。
膣壁を切らなくてよく、痛みが少なくて再発率も低いという。
 
腹腔鏡手術によって術後の排尿困難が起こることはほとんどない。
一方、膣壁を切る方法では5%ぐらいに排尿困難が起こる可能性がある。
腹腔鏡手術は膣からメッシュを入れるよりも、尿管を傷つけるリスクが小さい。

長期の治療成績これから
2014年に保険適用になった腹腔鏡での手術は、長期の治療成績などわかっていないこともある。
 
メッシュを体内に入れることには慎重になるべきだ、と指摘する専門家もいる。
人工物を長く入れておくと、拒絶反応が起き、人工物と接する臓器を摘出しなければならないことがあるという。
 
膣壁を切る手術では、切り口周辺で拒絶反応が起き、メッシュが膣などの壁を突き破ることもある。
 
腹腔鏡での手術は膣壁を切らない分、メッシュが壁を突き破るリスクは少ないと考えられているが、長期的なデータはまだない。
 
12年から先進医療として腹腔鏡での手術を始めた某大学教授(産婦人科)は「直腸と膣の間の組織は特に薄く、腹腔鏡でもメッシュが出てしまう可能性はあり注意が必要だ。また、骨盤の底は血管や神経が集まっている。内視鏡の高い操作技術が求められる」と説明する。
 
メッシュを使わない手術には、筋膜などを縫い縮めて強くする方法や、妊娠・出産、性交渉の必要がなければ、膣を閉じる方法もある。
手術以外では、膣にペッサリーを入れて、子宮が落ち込まないようにする方法や、筋肉を鍛える体操もある。
 
弱くなっている部分などを部位ごとに診断して、最適な治療法を提案してくれる医師に相談したい。

 
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参考・引用
朝日新聞・朝刊 2017.3.22

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