ふくろう医者の診察室

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新型インフルエンザワクチン接種受託医療機関あてに「第4回必要量の調査」が届いています。
当院に届いた調査用紙には、見出しの国産新型インフルエンザワクチンの「国産」の部分がゴチックになっています。
要するに国産であることを強調し、輸入ワクチンを嫌う医療機関の発注控えを回避しようという作戦のようです。
国産ワクチンは第12回(3月上〜中旬)の出荷分まで続くとのことです。
その後は輸入ワクチンとなるようですが、予定に反して国産ワクチンが余った場合にはどのようにするのでしょうか。

とりあえず、多くの医療機関は輸入ワクチンが出荷される前にワクチン接種から撤退する動きがあります。
当院もそうするつもりです。



##新型インフルエンザ:ワクチン、国産か輸入か 製造法と効果検証
新型インフルエンザワクチンの健康な成人(19〜64歳)への接種が、1月から一部の自治体で始まった。
海外メーカーによるワクチンが承認、輸入された。
医療機関に在庫があれば、国産か輸入かを選んで接種を受けることもできる。
それぞれのワクチンの製造法と効果をまとめた。
 

#輸入2種に大差なし
輸入される2種のワクチンが国産と異なる点は、効果を高めるための免疫補助剤「アジュバント」が使われている点だ。
グラクソ・スミスクライン社(英国)の製品は鶏卵で培養したワクチン原液に、接種直前にアジュバントを加える。
この主成分はサメの肝臓からとれる脂質とビタミンE。
免疫細胞の一つ、樹状細胞を刺激するという。

もう一つのノバルティス社(スイス)のアジュバントも主成分はほぼ同じ。
さらに元のウイルス株の増殖に、鶏卵でなくイヌの腎臓の細胞から作り出した増殖力の強い「MDCK細胞」を使う。
細胞培養法は国内でも日本脳炎ワクチンなどで利用されている。
MDCK細胞は液体窒素で冷凍保存でき、鶏卵培養とは比較にならないほど生産効率が高いため、迅速に必要量を調達でき、卵アレルギーの人も心配なく受けられる。

薬品の安全性基準を審査する国立医薬品食品衛生研究所(東京都世田谷区)の山口照英・生物薬品部長によると、欧州各国では毎年冬に流行する季節性インフルエンザに対し、2年前から細胞培養で製造したワクチンを使っている。
山口部長は「生きた細胞が体内に入った場合は良性の腫瘍(しゅよう)を形成する恐れが指摘されるが、細胞は最終的に取り除かれるため心配はない」と説明する。

臨床試験の結果はどうだったのか。
各メーカーが成人100人に実施している。
グラクソ・スミスクライン社製は、1回接種3週間後に95%の人が十分な免疫(抗体)を持った。
一方で98%の人が痛みを訴え、疲労(46%)などの副作用が報告されている。
ノバルティス社製は、1回接種後に81%、2回接種後に96%の人に抗体が確認された。
注射した部位の痛みを訴えた人は68%に上った。両ワクチンに大きな差はなかった。


##「重症化・死亡」予防
インフルエンザは「感染↓発症↓重症化・死亡」という経過をたどる。
このうち感染については、ウイルスは血液中の抗体の有無と無関係に細胞内に侵入するため、予防効果は期待できないとされる。

発症はどうか。
データのそろった季節性ワクチンについて米国の専門家委員会は「健康成人に対する有効率は70〜90%」と評価。
これは、接種しない集団の発症率が10%だった場合、接種していれば発症率を1〜3%に抑えられるという意味。
リスクをある程度低くできるが、発症や他人への感染を止めるのは難しい。

厚生労働省が前面に出しているのが「重症化・死亡」の予防効果だ。
同省によると、これまで新型ワクチンの推計接種者約1900万人(18日現在)のうち、免疫効果が表れるとされる接種3週間以降にインフルエンザに感染し死亡した報告は2件にとどまるという。
しかし、死亡や入院した成人の約8割には持病があった。
健康成人の重症化・死亡リスクがそもそも低いため接種のメリットも優先接種対象者ほど大きくない。

 
#副作用との兼ね合い
健康な成人は、ワクチンを接種した方がよいのか。

国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長は「国民の大多数は新型インフルエンザに対する免疫を持っていない。ピークはいったん過ぎたが、来シーズンまでに基礎免疫を持つためにも接種してほしい」と話している。

季節性ワクチンでは、入院相当の副作用の発生率は07年度で100万人に3人、08年度は100万人に2人。接種と因果関係が疑われる死亡はなかった。
ただ、呼吸困難などの過敏反応を起こすアナフィラキシーは10万人に1人程度の割合で起こるとされている。

輸入ワクチンは皮膚の下に注射する季節性ワクチンと違い、筋肉に深く注射。接種後の注射部位の腫れや痛みが出る割合も高い。
国立病院機構三重病院の庵原(いはら)俊昭院長は「ワクチンの効果が高いほど予測される副作用も高い確率で出る。感染や重症化のリスクと比較し接種してほしい」と話す。

広田良夫・大阪市立大教授(公衆衛生学)は「ハイリスク者の家族やハイリスク者が多い施設の従事者は、積極的に接種した方がいい。
また、健康診断の結果などを見れば、50歳以上は3分の1程度がハイリスク者と考えられる。
米国では未成年者などと並んで50歳以上の全員が勧告接種の対象になっている」と説明する。


#輸入ワクチンと国産の違い(厚労省の資料から作成)

製造業者  グラクソ・スミスクライン ノバルティス   国産4社

免疫補助剤 あり           あり       なし

培養方法  鶏卵培養         細胞培養     鶏卵培養

性状(色) 調製後は乳濁       乳濁       透明〜わずかに白濁

接種方法  筋肉注射         筋肉注射     皮下注射

接種回数  1回           18〜49歳1回 13歳以上1回

                   50歳以上2回

他国の使用 カナダ          なし       なし


<引用サイト>
http://mainichi.jp/select/science/news/20100126ddm016040123000c.html
出典 毎日新聞 2010.1.26 朝刊
版権 毎日新聞社




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