ふくろう医者の診察室

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人工乳房、リンパ腫リスク 国内で初めて発症確認、海外では死亡例も

乳がんの手術を受け、乳房再建のためにインプラント(人工乳房)を使った女性に特殊なリンパ腫が見つかった。
国内初のケースだ。
海外では死亡例も報告されているが、早めに対処すれば治る確率が高い。
専門家は定期的なチェックを受けるよう呼びかけている。

2年に一度は画像検査を/早めの対処で完治期待
専門医でつくる日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会の調査でわかった。
女性は17年前にインプラントによる乳房再建を受けた。
今年になり血液がんの一種「ブレストインプラント関連未分化大細胞型リンパ腫」(BIA-ALCL)と診断され、治療を受けているという。
 
国立がん研究センター中央病院・ 血液腫瘍科長によると、BIA-ALCLは、1997年以降に海外で報告が出始めた。
乳房再建や豊胸のためシリコーン製などのインプラントを使った人の約3800〜3万人に1人の割合で発症している。
 
インプラントによる乳房再建は国内で年間約6500件実施され、患者の生活の質を高めるのに役立っている。インプラントを埋め込むと体の反応で周囲に膜ができ、内側に水分がたまる。
水分中にリンパ腫の細胞が現れることがあり、乳房が腫れたりしこりができたりする。
原因ははっきりしていないが、表面がざらざらした「テクスチャード」という種類のインプラントで発症することが多い。
 
これまでに世界で700人超が発症、
欧米を中心に21人が亡くなったとされている。
インプラントと無関係の同種のリンパ腫と比べて進行は一般にゆっくりで、リンパ腫細胞が膜の内側にとどまっていれば、手術で膜ごと取り去ることで完治が期待できる。
 
女性が使っていたのは、乳房再建目的で現在、保険適用されているアラガン・ジャパンのインプラントと同じタイプ。
フランスやカナダなどでは、同じタイプの製品の使用を停止している。
米国は「現段階では証拠が不十分」として販売を止めていない。
 
国内では2013年以降、国が承認した乳房インプラントの全症例を学会が登録するとともに、2年に一度は画像検査で異常がないか確かめるよう呼びかけている。
学会でこの問題を担当する東京医科歯科大・形成外科教授は「定期的な診察はぜひ続けて、腫れやしこりなどの異変を感じたら早めに形成外科や乳腺科を受診してほしい」と話す。

参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2019.7.19

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痛風治療の指針が改訂

病気の疑いがある人も含めると、日本人の10人に1人が関係する痛風。
日本痛風・尿酸核酸学会は約8年ぶりに痛風治療の指針を改訂した。
これまでと違い、発作の痛みがなくても尿酸値が高い患者に対し、腎障害があれば薬を勧めることを明確にした。

腎障害ある患者対象
東京都内に住むWさん(82)は、約6年前に区内の痛風専門病院を訪ねた。
左足親指の付け根に痛みがあったからだ。
心当たりはお酒だ。
晩酌で毎日3合ほど酒を飲んだ。
道場で長く柔道を教える師範でもあり、関係者との宴会も多かった。
 
診察の2、3年前から親指がときどき腫れ、痛みがあった。
診察時は、親指の付け根が真っ赤に腫れていた。
両足のひざ下はむくみ、指で皮膚を押してもなかなか戻らない状態だった。
 
診察の結果、痛風結節というしこりが左足の親指の付け根だけでなく、右中指の関節にもあることがわかった。
結節は長期間、痛風の発作が起きていたことを示す。
検査すると血液1デシリットル中に尿酸が8.5ミリグラムと、治療の目安となる7ミリグラムを上回っていた。
 
尿酸は、食事に含まれる「プリン体」が分解されてできる。
尿酸が体内にたまり、結晶化する。
この結晶を、白血球が異物とみなして攻撃すると炎症が起き、激しい痛みが生じる。
これが痛風だ。
 
診察した医師は、Wさんが重度の痛風で、慢性的な腎障害が起きていると診断し、薬での治療を始めた。
若林さんの場合、痛風発作による痛みがない段階でも、尿酸値が高く腎障害があることがわかれば、薬で尿酸値を下げる治療の対象となった可能性がある。
 
日本痛風・尿酸核酸学会は昨年末、8年ぶりに痛風治療指針を改訂。
高い尿酸値が腎臓に悪影響を及ぼす場合、早めに薬を使った治療を勧めることにした。
 
腎臓は、痛風と密接な関係がある。
尿酸値が高い状態が続くと、尿酸の結晶が腎臓にたまって炎症を起こし、「痛風腎」になることもある。
 
治療を始めてしばらくすると、Wさんの手足からむくみが消え、息切れもなくなった。
現在は、プリン体の多い干物や魚卵を控えて禁酒し、プリン体を1日400ミリグラムに制限する食事療法をする。
薬と合わせ、尿酸は結晶ができにくい6ミリグラム以下にコントロールされ、腎臓機能の数値も少し改善した。
 
担当医は「今は発作もずっとなく、良くコントロールされた状態。痛風は薬をのんだら治まるので、繰り返し発作が起きても放置する方は多い。慢性的になって結節ができて、腎機能が悪くなる方もいるので尿酸値が高い場合は、早めのコントロールが大切」と話している。
私的コメント
腎機能が悪くなって、むくみや息切れが起こるというのは、かなりの腎障害が痛風の結果起こった(痛風腎)ということになります。
尿酸値を下げることによって腎障害が簡単に改善するということは、俄かには信じられません。

*慢性腎臓病の進行を抑制
女性ホルモンに尿酸の排出を促すはたらきがあるため女性患者は少ないが、痛風患者は右肩上がりで増えている。
日本痛風・尿酸核酸学会の推定では2013年に100万人を超えた。
血液1デシリットル中の尿酸が7ミリグラムを上回る高尿酸血症の患者は、その10倍と推定される。
かつて50歳代が多かった発症年齢は低下傾向で、20歳〜30歳代の患者も増えた。
 
増加の背景には、尿酸につながるプリン体が多い肉類や、尿酸値を上げるはたらきがあるアルコールが増えた食生活の変化がある。
 
学会の新指針は、尿酸値が高くても痛風発作が起きていない、高尿酸血症患者に対し、薬物療法を「条件付きで推奨」とした。
 
対象は、腎臓機能に障害がある患者だ。
「薬を使えば慢性腎臓病の進行の抑制に効果があることなどから、新しい指針では一歩踏み込むことができた」と作成委員はいう。
一方、腎臓機能に障害がない患者には、薬を勧めないとした。
 
欧米では痛風で関節の炎症がなければ、薬による治療は認められていない。
「尿酸降下薬は先行する薬だけでなく、国産新薬も出てきたが、まだ論文が少ない。今回の指針は研究結果を精査し、そこを慎重に評価している」と話す専門医もいる。

参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2019.7.17

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金属アレルギー

夏場のかぶれ 原因は? 金属アレルギー疑って

汗でイオン化、異物反応 / 歯の詰め物 要注意
「ピアスで耳が赤くただれる」「ネックレスで首がかぶれてかゆい」。
こんな症状が出るなら金属アレルギーの可能性がある。
汗ばむ夏場に発症する人が多い。
人間の皮膚は金属に触れただけではトラブルを起こさない。
金属が汗や唾液など体液に触れイオン化すると体内に入り込むようになり、アレルギー反応を引き起こす。
 
体内に入り込んだ金属イオンのほとんどは尿や便で排出されるが、わずかな量が体内のたんぱく質と結合する。
人によっては免疫機能がこれを異物、すなわちアレルゲン(アレルギーの原因物質)とみなし記憶することがある。
次に同じ金属に触れたとき、アレルギー反応による皮膚炎が起こる。
 
金属アレルギーの症状には2種類ある。
一般的なのは、アクセサリーなどの金属が直接肌に触れた部位にかぷれやかゆみが生じる「アレルギー性接触皮膚炎」だ。
 
皮膚を貫通するピアスは特にアレルギーを起こしやすい。
まつげカール器など化粧器具でかぶれるケースもある。
症状を抑えるには、ただちに原因金属を使った装飾品などの使用をやめる。
 
見落としがちなのは、夏になるとシャツの裾を胴回りの中に入れずにはくジーンズの金属ボタン。
肌に触れると「裏側が汗で溶け出し、おなかに湿疹ができる人が少なくない。
シャツの裾を入れるなど直接触れないようにして防ごう。
 
もう一つの症状は「全身型金属アレルギー」。
歯の詰め物やかぶせ物などに使われる金属などによって、手のひらや足の裏に小さな水庖をともなうブツブツができるものだ。
こちらも夏に発症しやすい。
離れた部位で起こるため原因がわかりにくく、かつては謎の皮膚病とされてきた。
 
詰め物の金属が唾液や飲食物の酸によって少しずつ溶け出して体内に吸収され、血流によって循環し、皮膚の表面に汗となって排出される。
手足の末端は汗腺が多いことから金属イオンが汗と一緒に皮膚に排出される際に、手のひらなどにアレルギー反応が出る。

治りにくい原因不明の皮膚炎は、全身型金属アレルギーを疑ってみよう。
医療機関で歯科用金属が原因と診断されたら、金属を外し、セラミックやレジン(プラスチック樹脂)に換えた方がいい。
 
接触性アレルギーを引き起こしやすい金属の代表はニッケル、コバルト、クロム。中でもニッケルは、アクセサリーの金メッキの下地に使われることが多い。
ほかにもコイン、携帯電話、化粧器具など様々なものに含まれている。
 
一方、全身型アレルギーの引き金になるのは歯科治療用によく使われる金属。
パラジウム、インジウム、イリジウムといったレアメタルだ。
 
近年、金属アレルギー患者が増えている。
現代人は食べ物や環境から有害な化学物質を取り込みやすくなり、ストレスも増えている。
これらによって免疫機能が影響を受けている可能性もある。
 
金属にかぶれやすい人は、パッチテストなどのアレルギー検査を行っている医療機関で検査を受け、自分に合わない金属を知っておくとよい。
完治しにくいとされる金属アレルギーだが、原因金属をできる限り遠ざけることで発症を予防できる。

参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2019.7.13

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現代医療としての漢方

西洋医学の「苦手」も改善

「漢方」は、日常的に頼りにしている人もいれば、効果を疑問視する人もいる。
受け止め方は千差万別なのが現状だ。
病気の原因を特定し、取り除くという西洋医学とは考え方が異なることが背景にあるが、両者は対立するものではなく、補完する関係。
漢方薬は医療現場や薬の開発現場でも存在感を示している。
 
漢方のルーツは中国にあり、6、7世紀に朝鮮半島を経由して日本に伝わったとされる。
宗教や芸術などの文化と同様に、伝来してから独自の発展をとげていく。
江戸時代には、オランダから解剖学などに基づいた西洋医学がもたらされたのを受け、混同を避けるため、「漢方」と呼ぶようになった。
 
現在の漢方は日本の伝統医療として、中国の「中医学」、韓国の「韓方」とは区別して位置づけられている。
日本の大学の医学部では、西洋医学の各診療科を学ぶだけでなく、漢方が必修授業として組み込まれている。
 
西洋医学は耳鼻科、泌尿器科などのように、ターゲットを明確にして、薬や手術などピンポイントに作用する治療が特徴だ。
一方、漢方では、体内の神経系やホルモンなどの内分泌系のネットワークを介して、病気が全身のバランスを崩していると解釈する。

     □     □
 
診察方法は症状などを聞き取る問診に加え、舌の状態やおなかの弾力を確かめる。
これらを総合的に判断して、バランスを正常にするため、生薬を調合した漢方薬を処方する。
バランスの崩れは一人ひとり異なるため、訴える症状が同じであっても、異なる漢方薬が処方されることもある。
 
漢方薬の原料となる生薬は、天然由来の植物や動物、鉱物など多岐にわたる。
北里大東洋医学総合研究所によると、国内では二百数十種類が使われている。
 
生薬の種類と量の組み合わせによって、漢方薬の種類は無数に及ぶ。
そのうち調合済みの製品化された約150種類は保険適用されている。
一般的な医療機関で処方されるのは、この中に含まれているものがほとんどだ。
 
漢方薬の名称で、語尾は形状を表す。
「…湯」は煎じ薬、「…散」は粉薬、「…丸」は粉を固めたものだ。
煎じ薬は飲む人の手間がかかるため、今ではインスタントコーヒーのように乾燥、粉末化させたエキス剤が主流となっている。
 
漢方薬は医療現場に浸透しており、日本漢方生薬製剤協会の調査によると、医師の9割が漢方薬を処方した経験があるとされる。
特に原因が見当たらないのに体調が悪い「不定愁訴」という状態は、西洋医学的には対処が難しく、漢方薬で改善をはかる。
ただ、漢方独特の診察をせずに漫然と処方するケースもみられ、ある漢方専門医は「深い知識をもち漢方に通じた医師を育成しなければならない」と指摘する。

     □     □
 
一方、明確な治療効果を狙って使われる漢方薬もある。
胃腸などを治療する開腹手術後、腸が閉塞し腹痛などを伴う「術後イレウス」という合併症が起きることがある。
「大建中湯」という漢方薬にはこれを予防、治療できるとの報告があり、消化器外科では広く使われている。
 
また、インフルエンザ治療薬「タミフル」の原料成分のシキミ酸は、生薬やスパイスとして知られる「八角」に含まれている。
こうした生薬の有用成分を分析して治療薬の開発につなげる研究は広く行われている。
このように、西洋医学と漢方は互いに補い合いながら発展を続けている。

これから
世界保健機関(WHO)で5月に採択された最新の国際疾病分類に、漢方を含む東洋医学の項目が初めて加わった。
これまでは各医師の経験の共有といった段階にとどまりがちだったが、今後は症例や治療の表記の統一が進むことで、科学的な根拠や信頼性を高めた漢方治療が可能になると期待される。

参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2019.7.13

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オーダーメード治療の時代

私たちの体は37兆個もの細胞からできている。
細胞の核には遺伝子を乗せた染色体が入っている。
染色体に含まれるすべての遺伝子と遺伝情報のことをゲノムと呼ぶ。

がんは、ゲノムの突然変異によって、臓器の細胞が不死化することで発生する。
最近になって、発がんのカギとなる特定の遺伝子異常は、臓器の枠を超えてさまざまながんの発症原因となることが分かってきた。

これまで、がんの治療は臓器ごとに別々に組み立てられてきた。
しかし、臓器にとらわれず、おのおののがんの原因となる遺伝子変異を突き止め、それに有効な薬を選ぶ時代となりつつある。
たとえば、同じ肺がんでも、AさんのがんとBさんのがんでは、原因となる遺伝子変異が別であることは珍しくないので。

反対に、Cさんの胃がんとDさんの大腸がんが同じ突然変異に原因を持つことも少なくないことが分かってきた。
発がんの原因となるゲノム異常を見きわめて、それぞれに効果のある治療薬を使うオーダーメードの医療が「ゲノム医療」だ。
先月から、個々のがんの遺伝子変異を次世代シークエンサーを使って網羅的にチェックする検査「遺伝子パネル」が保険適用されることになった。
医療費は56万円だが、原則3割負担で、高額療養費制度も利用できる。

ただ、この検査を保険で受けられるのは、標準治療が存在しない希少がんや原発不明がんの他、標準治療を終えて選択肢がなくなった患者などに限られる。
対象者は年約1万人と、がん患者全体の1%程度にすぎない。
また、治療の選択に役立つ遺伝子変異が見つかるのは検査を受けた約半数に限られる。
遺伝子変異があっても、治療法がない場合もあり、薬の使用につながるのは遺伝子パネル検査を受けた患者全体の10%程度にすぎない。

余命が限られた進行・末期がんの患者にとっては、検査に時間がかかるのも大きな問題といえる。
まだまだ課題も多いゲノム医療ですが、がん医療の流れを変える画期的な一歩だ。
検査の迅速化、データの蓄積、創薬の進歩などが飛躍のカギだといえる。

執筆 東京大学病院・中川恵一 准教授
参考・引用一部改変
日経新聞・夕刊 2019.7.10

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