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航空機で飲酒、酔いやすい?

乾燥で血栓も・・・多めに水を飲む 原因は低酸素、酒量は半分に 
「機内で酒を飲むと酔いやすい」といわれる。
実は血液の酸素濃度と深い関係があるという。

結論から言うと、飛行機での飲酒は控えた方が無難だ。
酒好きには酷な話だが、飛行機での飲酒には、医師が注意を呼びかけるほど危険な場合もある。
理由は2つある。
 
そのIつが「低酸素」だ。
飛行機は離陸後に高度を上げ、水平飛行では高度約1万メートルになる。
飛行中は空気を外から取り入れて装置で気圧を調節する。
機内の気圧は0.8気圧前後。
0.74気圧まで下がることもある。
私たちが普段生活する場は1気圧だ。
 
富士山でいう5合目程度(2000〜2500メートル付近)に匹敵。
気圧の低下に伴い、空気中の酸素の濃度も減少、機内の酸素の濃度も平地の80%程度まで下がるという。
簡単にいえば、1回の呼吸で体内に入ってくる酸素の量も2割減るということだ。
 
脳の働き低下
この状況下で、血液中のヘモグロビンがどれくらい酸素と結びついているかを示す酸素濃度(酸素飽和濃度)は92~93%程度。
90%を切ると低酸素危険レベルとされる。

機内は常に「危険レベル一歩手前の状態」ということだ。
低酸素こそ、いつもより酔いが早いと思う要因のひとつなのだ。
  
脳は低酸素になるとパフォーマンスが落ち、判断力が鈍くなる。
すると酔いに似た症状が現れることがある。
そんなときに酒を飲むと、いつもよりアルコールの影響が強く出やすく「酔いが早い」と感じる傾向がある。
 
健康な登山家を対象に、海抜171メートルの低地と同3000メートルの高地でアルコール摂取前後の血液中の酸素濃度を比較した研究によると、高地では低地に比べて酸素濃度が低く、さらにアルコールの摂取後は高地、低地のいずれも酸素濃度が下がると指摘されている。

アルコールの摂取が体の低酸素状態を助長してしまうことがわかる。

眠るとリスク増
就寝時は健常な人でも呼吸が浅くなり、起きている時より酸素濃度は低くなる。
アルコールを飲んで寝てしまうとさらに低くなり危険だ。
旅慣れた人ほど「退屈だから酒を飲んで寝る」というが、再考した方がよさそうだ。
 
低酸素状態によって、単にアルコールが効きやすいだけならまだしも、心臓病など持病のある人は症状が悪化する可能性がある。

低酸素だけでも心臓などへの負担が大きくなりやすいが、もう一つの問題は「乾燥」だ。
 
飛行開始後30分経つと機内の湿度は30%台に下がり、その後20%程度になる。
快適に感じるとされる40〜70%の半分以下。
極めて乾燥した状態。

そこで利尿作用があるアルコールを飲めば血液中の水分が不足、血液の流れが悪くなり血栓ができやすくなる。
 
くわえて機内は同じ姿勢で長時間座るため、血栓ができやすい。
糖尿病など生活習慣病のある人は、もともと血流が悪いことも多く、なおさら注意が必要だ。
 
でも、旅の解放感にお酒の演出はほしいところ。
機内で飲むなら、酒量の目安はどの程度だろうか。
日ごろ飲む量の半分程度にとどめるのが賢明だ。
アルコール度数の高いウイスキーやブランデーは水で割り、ビールなど炭酸系はガス腹を招きやすいため避ける。飛行直前の地上
でも飲み過ぎない。
 
機内ではとにかく水分を多くとる。
食事の水分量も含め、1時間に100ミリリットル程度が理想的だ。
個人差はあるが、体重1キログラムあたり2ミリリットルの水を喉が渇く前に飲もう。
 
ほかに、足を曲げたり、伸ばしたりするなどの軽い運動を欠かさない。
機内はいつもとは環境が違うと意識し、せっかくの旅がつまらないものにならぬよう。
夏休みに飛行機に乗る人は、飲み過ぎには注意しよう。


エコノミークラス症候群も助長
機内飲酒と深い関わりがあるのが「エコノミークラス症候群」だ。
ビジネスクラスや飛行機以外の乗り物でも起こることから、昨今は「旅行者血栓症」と呼ばれる。
長時間同じ姿勢で座り続けると下肢の血流が悪くなって血栓ができ、それが何かの拍子に肺に届き、動脈を詰まらせてしまうというもの。
重篤になると死に至ることもある。
 
女性の場合、特に経口避妊薬のピルを服用すると血栓症のリスクは高くなるといわれている。
長時間フライトの際は飲酒の有無によらず、こまめな水分摂取、軽い運動の他、圧力がかかるストッキングを着用するなど、より一層のケアを心がけるようにしたい。


まとめ 環境変化の大きな機内、知っておきたいポイント
機内は平地よりも・・・
2割ほど酸素が少ない
 ・脳の判断力が落ちる
  ⇒ 酔いを早く強く感じやすい
・心臓が全身に血液を送ろうと働くので、負担が増える
湿度は半分以下
 ・乾燥で血液中の水分が不足、血流が悪くなり血栓ができやすい

<飲みたいなら気をつけよう>
 ▶︎ 酒量はいつもの半分程度に
 ▶︎ アルコール度数の高いウイスキーやブランデーはストレートやロックで飲むと影響が出やすいので水で
割る
▶︎ ビールやスパークリングワインなど炭酸系は、胃腸の空気が膨張してガス腹になりやすいので避けるのが
無難
▶︎ 1時間に100ミリリットルを目安に水分を摂る
 ▶︎ 脚の曲げ伸ぱしをするなど、運動を心掛ける
 ▶︎ 乗る直前も気圧や湿度など変化が大きくなる前なので酒量は控えめに

参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2016.8.6

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眠気、その正体に迫る

眠気、その正体に迫る 「ししおどし」の原理、脳のリン酸化が関係?

逃れようもなく襲いかかってくる「眠気」。
誰もが経験するが、その正体はまだよくわかっていない。
しかし最近、日本の研究チームによって解き明かされつつある。

脳を持つ動物で眠らない種はいないといわれる。
長期間眠らないでいると心身に異常をきたす。
眠りには省くことができない重要な機能があるらしい。
その一方で、私たちは頑張れば徹夜ができる。
徹夜が続くと爆睡してしまう。
眠気は一時的にしのげるが、消えることはない。
 
こうした睡眠の複雑なメカニズムは、「ししおどし」に例えられる。
 
目を覚ましている時は脳内物質のオレキシンが覚醒中枢を刺激して筒を上げ、その間に筒の中に眠気がたまっていく。
眠気が一定量を超えると睡眠中枢が優位になって筒がカタンと落ちる。
眠ることで筒の中の眠気が抜けていく」
 
「覚醒中枢」は、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質を脳内に広く分泌する。
「睡眠中枢」は覚醒中枢の働きを抑える神経伝達物質を分泌して眠りを誘う。
しかし、この二つだけでは足りない。
覚醒中枢はそのままでは機能を持続できない。
起き続けるには、覚醒中枢にオレキシンが分泌されて覚醒機能が持続される必要がある。
 
オレキシンは1998年、マウスの脳で発見された。
これと睡眠中枢、覚醒中枢の三つが相互に作用し合って、覚醒と睡眠が安定的に切り替わっていることが、最近の研究で明らかになってきた。
しかし、「ししおどし」にたまる眠気の正体は、今もなぞのままだ。

     * * *
以下は、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史機構長と桜井武教授らの研究成果。

8年前、8千匹の遺伝子変異マウスの中からよく眠るマウスを選んで掛け合わせ、長く眠ってもすぐにまた眠ってしまう「スリーピーマウス」の家系が作られた。
その遺伝子の特徴を調べ、眠気につながる物質を見つけ出すためだ。
 
スリーピーマウスの脳を調べたところ、「SIK3」という酵素が異常に活発になっていた。
脳内に広く存在する酵素だが、睡眠に関係しているとは誰も予想していなかった。
 
脳内の信号は、細長い神経細胞を通り、次の神経細胞へは接合部「シナプス」でたんぱく質が信号を神経伝達物質に変換して伝えている。
信号伝達には多くのたんぱく質が関わっている。
「SIK3」は様々なたんぱく質にリン酸基と呼ばれる化合物をつけて、「リン酸化」を促していた。
リン酸基はたんぱく質のスイッチのようなもので、たんぱく質はリン酸化されて活性化したり、機能が変化したりして働き始める。
 
脳内でリン酸化されるたんぱく質を調べたところ、80種のたんぱく質でリン酸化が進んでいた。
覚醒時間が長いほどその度合いは増していた。
しかも、このうち69種は「シナプス」の機能や構造に関係していた。
覚醒中にシナプスでは神経伝達物質がたくさん作られ、その信号を受け取ろうとシナプスは大きくなり、伝達効率を上げて強くなる。
 
しかし、そのまま大きくなり続けると、必要な刺激だけに反応すべき神経細胞があらゆる刺激に反応し始め、認知機能が落ちる可能性がある。
眠ることでシナプスはリセットされて、元に戻ると考えられている。
 
「シナプスをリセットすることが睡眠の役割で、そのことにたんぱく質のリン酸化が関係しているのではないか」とという考えから、眠気の正体がリン酸化だとする仮説が提唱された。
2016年と18年に英科学誌「ネイチャー」に研究成果を発表し、大きな反響を呼んだ。

     * * *

リン酸化仮説は、東京大学の上田泰己(ひろき)教授らも独自に提唱している。
このグループは16年春、マウスの脳内にあるリン酸化酵素「CaMK2」が、神経細胞が活動すると細胞内に入るカルシウムイオンに反応して、眠気を促すことを発見した。
 
神経細胞内のカルシウムイオン濃度が上がると、CaMK2が自分自身をリン酸化することで眠気が催されることが、マウスの実験で確認された。
同グループは「この酵素はまるで眠気のたまり具合を、自らのリン酸化で記録しているかのようだ」と話す。
 
リン酸化の進行が眠気の正体なら、リン酸基を取り除く物質が見つかれば効果的な眠気覚ましの薬ができる。
深夜バスの運転手など、夜間に集中力が求められる仕事に従事する人たちには朗報だ。
眠気を誘うリン酸化の仕組みがわかれば、どうすれば深く眠れるかもわかるはずだ。
 
柳沢さんや上田さんの研究チームは、リン酸化の度合いが脳内でどのようにカウントされ、それが「ししおどし」の筒を落とすのかを解明しようとしている。
眠りの悩みから解放される日は遠くないかもしれない。

参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2019.5.6


<関連サイト>
眠くなる仕組み
https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/307

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「五月病」、生活リズムで予防  起床時間、土日も一定に

「GW明けから気だるさが続いている」・・・。
そんな人も多いのではないだろうか。
「五月病」という言葉がある通り、この時期は疲れが出やすい。

体調を崩した人に症状がいつから出ているかを聞くと、GW明けの5〜6月から、ということは多い。

原因の一つは環境の変化。
4月は就職や異動、昇格など、ビジネスパーソンにとって重要な季節だ。
適応しようと4月に頑張り過ぎてしまい、知らず知らずのうちに疲れが積み重なる。
そんな中で「連休を迎えると一気に心身が「電源オフ」になる。
4月に適応できなかった人は思い詰めてしまう。
春から初夏にかけては寒暖差や梅雨など外的な環境変化も体に負担をかけがちだ。

その結果、連休明けに体調を崩す人が増える。
いわゆる五月病だ。
正式な病名ではないものの、放置するとうつ病や適応障害につながる可能性もある。
ただ、五月病は誰にでも起こる「燃え尽き症候群」に近い状態。
「頑張ったから消耗している」と自分をねぎらうという考え方も必要となる。

五月病を本格的な症状に発展させないためには、疲れた時に出やすい体のサインを把握しておきたい。
頭痛や腹痛なのか、はたまた眠気が増すのか。
こうしたサインが2週間続く時には、医療機関など客観的な相談に乗ってもらえる場所に行ってみてもらう必要がある。
受診がきっかけで安心して元気になる人もいる。

だが、自分では体調の変化に気づけないこともあるだろう。
悩みがあるときは、古くからの友人や家族に相談するのも一手だ。
逆にいつもと様子が違う人が職場にいれば声をかけてみよう。
「最近出社が遅いけど寝られている?」というように気づいた点を聞くとよい。
また、ストレスチェックを活用するのも有効だという。

心身の健康は一般的に生活リズムと密接に関わると言われている。
連休明けに体調を崩す人が増えるのも、連休中についつい寝過ぎてしまうなどの生活リズムの乱れが一因だ。

リズムを整えるためには「一日決算主義」が重要だ。
一日決算主義はストレスや疲れなどを翌日に持ち越さない、という造語。
ビジネスパーソンはつい平日にしっかり仕事をして、休日に疲れを解消しようとしてしまうが、患者の多くは週末の寝だめが心身に悪影響を及ぼしている。

重要なのは起床時間だ。
毎日一定の時間に、できれば始業時間の3時間前には起床する。
その上で、しっかり日光を浴びて、軽い体操などといった運動をして、朝食をしっかり取る。
夜は早めに食事を取り、風呂に入ってリラックス。
土日も同様で、いつもの時間に起きて朝食を取る。
その上で午前中にやりたいことに目いっぱい取り組む。
10連休中の不規則な生活の習慣から脱するため、まずは週末に寝だめせず、平日と同様の時間に起床し、運動など趣味に時間を使う。
そうすれば自然と夜は早めに就寝できる。
当たり前のことだが、実践するのは難しい。
ただ、リズムが崩れてしまっていれば整える努力をたい。
慣れるまで最初はつらいかもしれないが、リズムを取り戻せば、仕事のパフォーマンスも向上するはずだ。

メンタル・睡眠 関係深く
睡眠を通し生活リズムを整え、心身の調子を高めていくにはどうすればよいのか。

メンタルと睡眠はどう関連しているのだろうか
メカニズムはわかりきっていないが、密接に関わっているのは確か。
例えば睡眠に問題がある人はうつ病になりやすい。
リズムを整え、睡眠時間を確保できれば心身の健康リスクは抑えられる。
睡眠には記憶や感情を整理する機能もある。
負の感情の除去が睡眠中に進む。
また睡眠不足はネガティブな感情を引き起こしやすくなる。
感情を安定させるという意味でも睡眠は重要だ」

睡眠リズムを整えるにはどうすればよいか
人の体内時計は24時間より少し長く、自然と後ろにずれていく。
なるべく起床時間は一定にし、起きたら光を浴びるとよい。
光には体内時計を整える機能があるためだ。

日光は照度も高くベスト。
最近は照明を自動調整したり、カーテンを自動開閉したりして起床を促す機器がある。
目覚まし時計で起きるよりもこうした機器を使って自然と覚醒できればなおよい。
もし家族と起床時間が異なりそうした機器が使えない場合でも、午前のうちに光を浴びれば体内時計を整えられる。

就寝前に気を付けるべき点は何だろうか
睡眠は規則性が大事だ。
いつもと同じパジャマに着替えて、歯を磨いてから布団に入って、というようにベッドタイムのルーティンを決めておいた方が寝やすい。
また夜は光を浴びてしまうとよくない。
部屋の照明はできるだけ暗めに、オレンジに近い暖色系の光にしたほうがよい。
スマートフォンなどの液晶に使われる発光ダイオード(LED)の白い光は体内時計を狂わせたり覚醒させたりする作用が比較的強い。
液晶を通じて見る内容の刺激性が睡眠に悪影響を与える可能性もあり、注意が必要だ。

10連休中に睡眠リズムを崩した人も多そうだが
いつものリズムを整える作業を効率良くやる必要がある。
連休中の体内時計のずれは多くても2〜3時間程度。
ただ、修正は1日1時間程度ずつが限界だ。
夜眠れなくても、いつも通りの時間に起きると次の日の夜は早めに眠れるようになる。
これを繰り返し、整えていくしかない。

参考・引用一部改変
日経新聞・夕刊 2019.5.14

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ヘルスリテラシー

ヘルスリテラシー

からだや病気のことについて、ネットや本で調べたことがある人は多いのではないだろうか。
このように健康や医療に関する情報を入手、理解、評価、活用するための能力を「ヘルスリテラシー」という。
実は日本人のヘルスリテラシーは低いとされている。
こう聞いて驚いた人もいるかもしれない。

日本人のヘルスリテラシーは諸外国と比べて低い
ヘルスリテラシーは、健康的な生活をおくるために役立つ能力の一つだ。
身に付けておいて損はない。

健康情報を入手・理解・評価・活用するための知識
では、ヘルスリテラシーとは何なのだろうか? 
さまざまな定義を整理してまとめた論文では、次のように定めている。

「健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力であり、それによって、日常生活におけるヘルスケア、疾病予防、ヘルスプロモーションについて判断したり意思決定をしたりして、生涯を通じて生活の質を維持・向上させることができるもの」

もともと、「リテラシー」とは文字の読み書き能力を表す言葉だ。
そこに、健康を意味する「ヘルス」がつくことで、ヘルスリテラシーとは健康に関する情報について「入手」「理解」「評価」「活用」する能力ということにる。
 
近年、ヘルスリテラシーは「ヘルスケア(病気や症状があるとき、医療の利用場面など)」「疾病予防(予防接種や検診受診、疾病予防行動など)」「ヘルスプロモーション(生活環境を評価したり健康のための活動に参加したりすること)」の場面で重要とされ国際的にも注目されている。
 
そのため、ヘルスリテラシーに関するさまざまな測定方法の開発が進められた。
最近では国際的な共通の測定尺度で、国別の比較も行われている。
そして日本人のヘルスリテラシーのスコアが諸外国に比べて低いことが明らかとなった。

日本人のヘルスリテラシーはEUやアジアの諸外国と比べると低いことが一目瞭然だ。

ヘルスリテラシーを身につけるためのサイト「健康を決める力」を制作・運営している聖路加国際大学看護情報学のNさんによると、日本でヘルスリテラシーが低いと考えられる背景として「プライマリー・ケア(身近にあって何でも相談できるケア)の不十分さ」「インターネットを含めた情報の入手先の問題」「子供のころからの健康教育体制」などが挙げられている。
http://www.healthliteracy.jp/

情報を「入手」するときの注意点
2017年に東京都が行った「健康と保健医療に関する世論調査」によると、情報の入手方法は、「テレビ」が78%、「インターネット」と「SNS」を合わせて50%となっている。
 
過去の調査と比較するとインターネットから情報を入手している人が年々増加してきている。
インターネットからの情報収集は便利な半面、情報の内容は玉石混交なのが現状だ。
さらに膨大な情報の中から自分にとって必要な情報を入手する手間や時間も無視できない状況がある。
 
対策としては「正確な情報が掲載されているサイトを利用する」などがある。

「正確な情報」を入手するには
https://www.asahi.com/articles/SDI201710175544.html

情報を「理解」するときの注意点
情報を入手したあと、その内容を正確に理解しなければならない。
もちろん、ほとんどの人が、書かれている文字や数字を読むことはできると思う。
しかし、情報の提示のされ方によって受け取る印象が変わってくるときがある。
 
例えば、人がもともと持っている心理効果を使って情報の見せ方を工夫することで、本来よりも数字を大きく認識させたり逆に小さく認識させたりすることができたりする。

さらに人は感情によっても情報の認知がゆがめられてしまうことがある。
特に「不安」「恐怖」「怒り」などの感情に振り回されているときには情報を正確に理解できない場合があることに注意が必要だ。

「感情」が認知に及ぼす影響
https://www.asahi.com/articles/SDI201711076905.html

情報を理解する上でのコツやポイントはほかにもたくさんあるかもしれないが、「『人の頭はだまされやすい』ことを常に意識しておく」という点が一番重要ではないかと個人的には考える。

情報を「評価」するときの注意点
入手した情報の内容を正確に理解したあと、その情報が本当に信頼できるものか評価する必要がある。
情報の信頼性をはかる方法の一つが、その情報がどのような方法で導き出されたものかを調べることだ。

医療での世界共通認識として、ある治療法が病気の予防や治療に「効く」と主張するためには、研究対象となる人を無作為(ランダム)に二つの集団に分けて比べる「ランダム化比較試験」によって有効性が証明されていることが必要だ。

しかし、最も信頼性の高い情報に基づく予防法や治療法であっても、効果が100%というわけではない。
残念ながら効果のある人とない人が出てくるのが現実だ。
これを「医療の不確実性」という。

医療の不確実性について考える
https://www.asahi.com/articles/SDI201710094974.html

情報を「活用」するときの注意点
正確で信頼できる情報を入手したあとは、その情報をもとに行動を起こすか起こさないかの意思決定をおこなう必要がある。
 
ヘルスリテラシーの最終目標は「生涯を通じて生活の質を維持・向上させる」ことだから、そのための決断・行動の意思決定は重要だ。
だが、病気の予防や健康の維持・増進に関して、諸外国と比べて日本人は情報の「活用」に苦手意識を持っている人が多いようだ。
 
例えば「メディア(新聞、ちらし、インターネット、その他のメディア)から得た情報をもとに、病気から身を守る方法を決めるのは?」「健康と充実感に影響を与えている生活環境(飲酒、食生活、運動など)を変えるのは?」という質問に対して「とても難しい」「やや難しい」と回答している人の割合は50%を超えている。

「医療の不確実性」に耐え 意思決定を
では、この苦手意識を克服するためにはどうしたらいいのだろうか?
 
筆者しては「医療の不確実性に耐えること」が情報を活用する際のポイントになるのではないかと考えている。
 
正確で信頼できる情報でも必ず医療の不確実性が伴う。
つまり、正確で信頼できる情報を入手して、その情報通りに行動しても、効果が確実に保証されているわけではない。
 
しかし、人間誰しも、将来が不確実だと決断・行動の意思決定はできにくいものだ。
また、せっかく行動に移しても望む結果が得られなかったという失敗は避けたいと考えるだろう。
 
ここに落とし穴がある。
 
不確実性のあることはいやだと放棄したり、過度に失敗を恐れたりすることは、「◯◯するだけで病気知らず」「運動しなくても◯◯だけ飲めばダイエット成功」といった不正確で信頼性の低い情報に惑わされてしまうことにつながりかね ない。
 
これでは、せっかく情報を「入手」「理解」「評価」する能力を身に着けても元の木阿弥(もくあみ)だ。
 
だから、ヘルスリテラシーの最後の関門である情報の「活用」能力を鍛えるためには、正確な健康情報には必ず不確実性が伴うことを知り、その不確実性に耐えつつ、決断・行動の意思決定をすることが重要になってくるのではないだろうか。

参考・引用一部改変
朝日デジタル 2019.5.9


関連サイト
ヘルスリテラシー
https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/297


 
イメージ 1

2019.5.1 撮影

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慢性便秘の治療 選択の幅広がる  新薬登場や漢方薬の作用解明で 生活習慣改善も重要

治りにくく、生活の質を大きく下げる慢性便秘は人口の高齢化に伴って患者が増え続けており、推定で約450万人の患者がいるとされる。
新薬が相次ぎ登場し、漢方薬も作用が明らかになるなど、症状や年齢ごとにきめ細かく対応できるようになった。
ただ便秘は不規則な食事や運動不足なども影響している。
専門家は「薬での治療だけでなく、生活習慣の見直しも重要」と指摘している。

糖尿病などで薬物治療を続けていた主婦、Yさん(仮名、60)は週に2〜3回しか排便がなく、近所の医院で処方された便秘薬を飲んでいた。
だが今年に入って薬を飲んでも便通が滞るようになり、残便感と腹部の張りも感じるようになった。
このため某大学病院(兵庫県西宮市)の消化管内科を受診。
2年前に発売された新薬を飲み始めたところ、数日後には毎日排便するようになり、不快な症状が消えた。
Yさんは「快適な生活に戻ることができた」と喜ぶ。
便秘の治療には、腸の動きを促すセンナやダイオウなどの植物を原料とした大腸刺激性下剤のほか、腸に水分を引き込んで便を軟らかくする酸化マグネシウム(商品名マグミットなど)が主に使われてきた。

症状ごとに処方
酸化マグネシウムは薬局で買える市販薬も多く、日本では最も多く使われているが、糖尿病などで腎機能が低下した高齢者や併用する薬が多い患者は使いにくかった。
2012年以降に新薬が相次ぎ販売され、治療の選択肢が増え、症状や年齢ごとにきめ細かく使い分けられるようになった。
新薬の一つが、小腸で腸液の分泌を促進させて排便を促す新しい仕組みのルビプロストン(商品名アミティーザ)。
妊婦には使えないが、長期に服用しても副作用が出にくい特長があり、高齢者に使いやすい。
さらにここ数年、同じタイプのリナクロチド(同リンゼス)やエロビキシバット(同グーフィス)が加わった。
17年には痛みを抑えるオピオイドによる腸の活動低下を改善するナルデメジン(同スインプロイク)も登場した。
漢方薬も患者の状態に合わせて使いやすくなっている。
横浜市立大学大学院の中島淳・主任教授(肝胆膵消化器病学)は「近年、漢方薬の作用する仕組みが分子レベルで解明され、便秘治療の有力な手段となっている」と話す。
中でも「潤腸湯」は便を軟らかくし、適度に腸を刺激して便秘を改善させる。
作用が穏やかで軽症から中等度の高齢患者に適する。
「桂枝加芍薬大黄湯」は腹部の張りなど便秘の周辺症状の改善に使うという。

食事・運動療法も
治療では、薬物療法と並行して、生活習慣改善の指導をするのが一般的だ。
年間約1千人の便秘患者が受診する某診療所の便秘外来では、検査で便秘の原因や程度を見極め、患者に合った薬の種類や量を処方するとともに、食事療法や運動療法などを指導。
使っていた市販薬は徐々に減らしていく。

院長によると、食事療法は
(1) 1日3食、規則正しく取る
(2) 水分摂取を増やす
(3) キノコ類、海藻類、果物、こんにゃくなどの水溶性食物繊維が多い食品、ヨーグルト、納豆などの発酵食品をしっかり取る
――ことがポイントだ。

運動療法としては1日約20分の速歩やジョギングを継続するほか、腹筋を鍛えたり腸をマッサージして刺激したりする「便秘体操」が効く。
便秘は腸の働きと深く関わる自律神経の乱れが原因となる。
早寝早起きと十分な睡眠、ストレスや過労のない生活を心がけて自律神経を整えることが大切だ。

このほか朝食後は便意がなくてもトイレに行くことや、特に便が肛門付近で滞る直腸型便秘症の場合は便座で前かがみとなって、直腸と肛門を一直線にするよう勧めている。
多くの便秘の背景には生活習慣のゆがみがある。
食事療法や運動療法は便秘の改善や予防だけでなく、健康増進にもつながるので、毎日実践したい。

参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2019.4.1

<関連サイト>
便秘治療には生活習慣の改善も
https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/211

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