愛川今生の演劇・映画世界

演劇って、ほんとうに楽しいですね。

栗原小巻論

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一九六八年、チェーホフ『三人姉妹』(湯浅芳子訳、小沢栄太郎演出)にイリーナ役で出演。独身で教師の長女オルガ、夫に幻滅を感じ結婚生活に不満を抱える次女マーシャ、人生を歩み始めたばかりの三女イリーナは現実の厳しさを知り、行く末を決めかねている。高級軍人の一家として過ごした華やかな生活も、父親を亡くしてからはすっかり寂れてしまった。厳格な父親のもと身につけた教養も低俗な田舎町では無用の長物である。三姉妹の唯一の希望は、むかし暮らしたモスクワへ帰ること。一家が最も輝いていたモスクワ時代を理想化し、夢想することだけが現実の不安を払拭する。その町で姉妹が楽しく交流できるのは、父親と同じ軍人たちだけである。マーシャはそのなかの一人と不倫し、イリーナは二人から求愛される。真実の愛を夢見ていたイリーナだが、現状を打開するためだけに愛のない結婚を選択する。軍の移動が決まり、一家との別れの時を迎えたその日、イリーナの婚約者が死亡する。栗原小巻のほか、河内桃子、岩崎加根子、小沢栄太郎が演じた。俳優座の第八十一回公演で日生劇場などで上演された。チェーホフは、新劇ひいては俳優座がもっとも愛した劇作家である。その作品に、若くして小巻は抜擢された。私は、この劇を名古屋の名鉄ホールにおいて、いわゆる「かぶりつき」で観た。最前列には特別な意味合いがある。私と栗原小巻とのあいだには何も遮りものがないのだ。この感情はファンとしては最高のものである。

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