|
1985年の日本。 バブル景気前夜の日本は、戦後一貫して続いてきた経済成長が日常として認識されていた。誰もがこの日常――昨日よりも良い今日――が明日も継続するものと信じていた。明日、明後日、明々後日も日常が継続しているならば10年後だって同じ筈だった。しかし、誰もが知っているとおり10年後の1995年は日本史に刻まれた年となった。1月の阪神・淡路大震災、3月には地下鉄サリン事件が日本を震撼させた。バブル経済後の不況は、その当時を生きたものには大変な不況として認識されていたが、今から考えればほんの序の口だったのかも知れない。その当時にはまだ日本を代表する銀行や証券会社が破綻するとは誰も思わなかったのだから。 当時の社会の流行語はリストラだった。 首切りを糊塗する為にリストラという言葉を使っていたようにも思われるが、実態に差は無い。当時の日本には年功序列型賃金体系と終身雇用が息づいていた。その体制が平成不況の中で次々と瓦解して行った。そんな時代であった。 この1995年の現実は、2005年を生きる我々からすれば10年も昔の過去の出来事でしかない。 しかし、この1995年の現実を10年前に予見していた本が存在していた。「NHK出版」http://www.nhk-book.co.jp/から1985年に出版された本書である。本書は当時「NHK」http://www.nhk.or.jp/が製作したNHK特集「ザ・デイ その日1995年・日本」の取材等を纏めた内容になっている。Bomcatはこの本を、古本屋で105円で見つけた。大方の未来予測とは外れるもので、その外れ方を見るのが面白いのでBomcatはこのような昔の本を購入するのだが、その内容が的中している事に何よりも驚かされた。バブル経済前夜、右肩上がりの時代に冷静の情報を繋ぎ合わせていけば、現実に起こる出来事は予測出来ていたのである。しかも、本書の内容を読むと当時から経済研究所の失業予測統計では1995年当時の失業率3%程度になる事が経済成長が5%代でも予測されていたのである。 つまり、バブル経済の崩壊によって日本経済がプラス成長からゼロ/マイナス成長へと変わった事によって年功序列・終身雇用の体系が破綻したのではなく、それは制度的に破綻すべきものが時代の流れに従って破綻したと言う事なのだと言う事が言えるのではないかと思える。 NHKという放送局は現在、業務上横領事件や政治的圧力事件等で揺れているが、その報道内容の信憑性は驚くべきものだ。それは何も、災害時に誰もがチャンネルを回すのがNHKと言うわけでも、選挙速報の正確性という点でもない。
それは、未来への予見性というところにある。 この「ザ・デイ」もそうだが、1996年に放送されたNHKスペシャルに「21世紀への奔流」は5年後に起こった米国同時多発テロ事件という「文明の衝突」を予感させる内容であった。当時のBomcatはその番組を見ていて、それは最悪のシナリオでありそのような事態にならないだろうと笑いながら見ていたものだ。当時は、「映像の世紀」という超大作にばかりNHKスペシャルに世間の眼は向いていたように思われるが、この「21世紀への奔流」はその予見性で一頭地抜いていたものであった。 本書はNHKという組織が、その取材力の底力と言うものを20年前から持ち続けていた事を著しているのかもしれない。 |
全体表示
[ リスト ]



