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日本唯一の軍事専門誌「軍事研究」(ジャパン・ミリタリー・レビュー)の4月号の特集は「強大化中国の脅威は本物か」である。経済大国化、軍事大国化の道を歩む中国の存在は様々な場所で議論が行われている。これは、中国自体が日本にとっても世界にとっても最も関心がある地域であると言う点もあるだろう。論壇誌でも数ヶ月に一回は中国特集が組まれていると言っても過言ではない。例えば、「文藝春秋」http://www.bunshun.co.jp/社の論壇誌「諸君」http://www.bunshun.co.jp/mag/shokun/index.htmの4月号でも「中華人民反日共和帝国」という特集が組まれている。このような論壇誌を含めて中国を語る場合に使用されるのが「脅威論」だ。
しかし、「脅威」と言っても様々な側面がある。経済成長率が毎年8%を超えるという経済成長が「脅威」だとも言えるし、13億人という日本の10倍の人口を抱えている事自体がそもそも脅威だという説明を行う事も出来る。「軍事研究4月号」が「脅威」として取り上げているのは、その中でも軍事面だ。もっとも、軍事面といっても幅広い。何処に焦点が合わされているかで、軍事専門誌の立場の「軍事研究」が中国軍事力の何を「脅威」として見ているかが分かる。 記事を読む中で、その「脅威」の焦点が海空軍力の能力増強にあるようである。中国関係の記事は5本掲載されているが、空海軍力に関する記事が4本を占めているのだ。これは妥当な分析だと言えるだろう。中国軍の大半を占める陸軍は、海軍が渡洋能力を持っていなければ周辺諸国(日米や台湾)へ影響力を行使する事が出来ないのである。そして、戦略核戦力についても大陸間弾道弾(ICBM)が20発程度と核抑止を構成する最低限度に抑えられており、日本を射程内に収める中距離弾道弾(IRBM)についても我が国がミサイル防衛(MD)システムを導入する事で一定の抑止能力を獲得出来るようになるからである。 その一方で海空軍力の近代化は急ピッチだ。昨年の中国原潜日本領海侵犯事件や日本近海での海洋調査船の活動等が注目されているが、それは中国海軍が外洋航海出来る艦艇を増強しているからに他ならない。昨日付けの「日本経済新聞Web版」http://www.nikkei.co.jp/には「中国の新型潜水艦、2006年に50隻超す・台湾国防部予測 」http://www.nikkei.co.jp/news/main/20050310AT2M1001C10032005.htmlという記事が出ている。しかし、その近代化が世界的なレベルに適合しているのかは又別問題だろう(米国が目指す水準は同じく4月号「今後10年先の軍隊・戦争」に記されている)。4月号の各記事でも海軍の新型艦艇の能力が日米の艦艇に匹敵しているのかを疑う内容も掲載されており、空軍においても国産開発機が上手く推移していない(だからこそロシアからSu-27シリーズを導入しているのだろう)事を伺わせる内容となっている。つまり、近代化を「脅威」と捉えるならば「脅威」であるが、日米との間に格差が存在しているというのは事実というところがこれらの記事から読み取れるところではないだろうか。 更に、別の点で面白いのが旧フセイン政権の対日工作資料を読み解いた「秘密情報機関で見つけた対日工作文書」である。ここで記された工作がどの程度効果があったのかを含めて考えてみるのは大変に面白い。 |
国際のニュース
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本日付「読売Online」http://www.yomiuri.co.jp/の「北朝鮮空軍、飛行訓練は年15時間…在韓米軍司令官」[http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20050309i102.htm]によると、在韓米軍のレオン・ラポート司令官は「米国上院軍事委員会」http://armed-services.senate.gov/index.htmでの証言で、北朝鮮空軍操縦士は年間12時間〜15時間の飛行訓練しか行っていないと述べた。これが事実であるとするならば、「米空軍」http://www.af.mil/や「韓国空軍」http://www.airforce.mil.kr/の年150〜200時間の飛行訓練に比べて圧倒的に少ない事になり、飛行技量を維持するのに最低100時間が必要とされている事を考えれば年々技量が低下している事になる(「航空自衛隊」http://www.jda.go.jp/jasdf/の飛行訓練は年150時間程度とされる)。又、陸軍も保有する戦車や装甲車の3分の1から半数しか演習に使用できない(裏を返せば実戦で使用できない)状態にあると報告している。
ラポート司令官はこのような通常兵器能力の低下が大量破壊兵器(WMD)開発に力を入れる要因になっていると見ている。この観方はある意味において事実だ。通常兵器で安全保障を確保するよりも、核兵器を保有した方が安価に防衛能力を向上できる場合があるからである。そして、今回の報告で気をつけなければならないのは、必ずしも北朝鮮空軍の実力が低いと言う訳でもないという事である。 例えば、2003年3月に北朝鮮沿岸を飛行していた米空軍のRC-135Sコブラボール電子偵察機(弾道弾観測任務)へ北朝鮮のMig-23/29戦闘機がスクランブルをかけた事件があったが、この時、公開された映像では北朝鮮戦闘機は適切に編隊を組んで飛行していたし、1996年にソウルへ北朝鮮のMig-19戦闘機が亡命してきた時も一回で初めて見るはずの飛行場に着陸している。つまり、飛行訓練時間が少ない事と技量が低い事は必ずしも同義ではない。無論、現代の航空作戦においては個々の技量以上に空軍としての総体が求められるので北朝鮮空軍の実力が米韓や航空自衛隊に遥かに及ばないのは事実である。 北朝鮮軍事力の実態は良く分からない部分が多いが、断片的な情報を集めていく事で姿の一部が明らかになると言えるだろう。 |
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敵の弾道ミサイルを大気圏外や大気圏上層部で撃破する事を目指したのがミサイル防衛(MD)システムで、米国が開発を進めている。日本も北朝鮮のノドンやテポドンミサイルに対抗する為に2003年12月に導入する事を決定した。一方で、米国と防衛が殆ど一体化しているにも関わらずに導入を見送ったのがカナダである。「カナダ、ミサイル防衛に参加せず マーティン首相が表明」http://www.asahi.com/international/update/0225/005.htmlにその決定についての報道記事が掲載されている。
カナダは米国と共同防衛体制を確立している事で知られている。例えば米国と共同して「北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)」http://www.norad.mil/を設立しているほどである。しかも、このNORADは米国とカナダへの航空機や弾道弾での攻撃を警戒しているだけではなく、世界中でのミサイル実験やロケットの発射、人工衛星の追跡を行っている。つまり、実際に弾道ミサイルが発射されるという事態になればNORADが命令を下す事になると言っても過言ではないのだ。 しかし、逆を考えれば米国がMDを導入するという事は北米に向けられるミサイルは自動的に迎撃されるとも言えるだろう。目標が米国なのかカナダなのかは打ち上げた時点では判断が付かないからだ。しかも共同防衛と言う事になっていれば米国にはカナダを防衛する義務がある。つまり、カナダはMDを導入しなくても米国の政策にフリーライド(ただ乗り)出来る訳である。カナダは第2次湾岸(イラク)戦争でも米国を余り支持しなかった。米国と隣り合うという地理的特性と不可分な防衛体制がフリーライドという防衛政策を可能にしているのかも知れない。 |
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