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 全国各地で金属類の盗難が相次いでいる。数年前までは「香川県豊島の不法投棄事案」、「青森県・岩手県の県境産廃不法投棄事案」に代表される産業廃棄物の不法投棄が全国各地で問題となっていたが…。
 廃棄物処理法上では金属くずに該当する金属類の廃棄物も例外なく不法投棄に含まれていた。
 しかし、突如として金属類が盗まれるようになったのかは、金属類市場の需給関係に変化が生じたためである。その原因として日本の周辺諸国の経済成長によって金属類の不足によって需要が高くなったのである。
 ここでは、金属が多く含まれる自動車解体業の歴史を例を3段階に分けて考えてみたいと思います。

なお、戦前・戦中の日本の経済体制は限りなく共産主義に近い

事実上の社会主義体制であったため終戦後から考えます

終戦直後から高度経済成長期

 自動車解体業者の多くは、終戦直後の鉄屑業者から転じた事業者が多い。
 終戦直後に鉄屑業者が急成長したのは、米軍の空襲により焦土と化した全国各地の都市の復興を目的として金属類の需要が高まったためである。
 戦後経済が高度経済成長に移行しても、金属類の慢性的な不足は続いたために、鉄屑の需要は高いものであった。

モータリゼーション

 オイルショック以降、日本経済が高度経済成長期から安定経済期に移行した頃には、鉄道からモータリゼーションへと交通体系が大きく変化していた。
 日本の多くの自動車メーカーや自動車販売業者は、自動車解体を放棄したのである。そこで、自動車解体業へと転じる鉄屑業者が急増した。
 ご承知のとおり、日本人のユーザーは自動車に関して『過敏』であった。

(1)故障を非常に嫌う
(2)ユーザーの乗り換えが早い(国内メーカーのモデルチェンジが頻繁)
(3)事故車に過敏
(4)傷等に『異常な過敏』(バンパーの傷すら気にする)
 これらを原因として廃車が急増した。自動車解体の事業は、ユーザーが廃車にした自動車の受入れから始まる。
 
■ 廃車になった自動車を購入
 * 国内の市場価値のある自動車いついては販売
 * 国内では市場価値はないが、海外で市場価値のある自動車は輸出
■ 国内外に関わらず市場価値の失っている自動車を解体作業
 * 再利用できる部品について販売。(ここまでは、リユース
 * 再利用できない部品で自動車以外の目的で利用価値のあるものについては製鋼業者等の他業界へ販売(リサイクル
 * 全く利用価値のないものについては、廃棄物として処理(基本的には産業廃棄物処理業者へ処理委託)

安定経済からバブル崩壊まで

 バブル崩壊によって金属類市場が大きく変化する。金属類の市場価格の下落である。
 これが、自動車解体業者の経営に打撃的な影響を与える。

廃車自動車の購入価格(仕入)+廃棄物処理費 > 売上

これでは事業運営が成り立たない!

 それにも関わらず自動車解体の需要はある。そこで、当然、自動車解体業者は廃車自動車を購入して仕入するのではなく、解体費用で事業経営を行うことを考える。
 ここで問題が生じた。

■ 自動車解体業者より自動車製造業車及び自動車販売業者が力関係が強い
 * 自動車解体業者が、自動車産業界の枠組みに入っていなかったこと。(即ち、同一業界と認知されていなかった)
 * 自動車業界が自動車解体業者に処理費用の支払への反発
■ 事業実態が産業廃棄物事業となり許可制度になること
 * 廃棄物処理法上の新たな規制が加わる。例えば、許可の有効期限は5年間であるため、許可の更新が必要となる。
 * 零細事業者の淘汰
 
 しかし、自動車廃棄物処理費用を忌避する人が後を立たず、大規模な不法投棄が生じた。
 ひどいものになると、夜間に自動車解体業者の事業所前の道路等へ自動車を不法投棄する者も現れた。事情を知らない周辺住民からの苦情は、自動車解体業者へと向けられた。

そして、現在

 再び、前述のとおり、金属類の市場価値が高まったために、金属類の盗難が相次いでいる。
 この市場の変化が、自動車解体業者の事業経営へ新たな影響が生じるのは必至である。

「廃棄物とゼロエミッション」書庫の記事一覧

閉じる コメント(7)

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今日、まだ乗れる愛車・ファミリアH5年式、1500ccを廃車手続きに行く予定(家内はもったいないという)・娘の軽四輪を貰う予定・・多くの車の恩恵を受けて、泣いて愛車を斬る・・心境です。便利という麻薬によってどれだけ地球を壊してきたか、いい加減にバカと言われようが目覚めたい・・。

2007/3/30(金) 午前 8:03 poi**e53

なまず様☆コメントありがとうございます。環境問題に関して、日本社会の素晴らしい伝統は「mottainai(もったいない)」だと思っています。悪い癖は、自分が理解できないモノや事象(例えば、洋書や百科事典)を有り難がることですね。僕は、クルマについても「悪いクセ」かなあと思っています。多分、ファミリアもウラジヴォストックやウランバートル、中国亜大陸、ピョンヤンで頑張ってくれるものと思います。

2007/3/31(土) 午前 9:39 まったけ館長

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何か自動車解体の論文を読んだ気がします☆今に至る過程がよく分かりました☆それにしても、つい前まで道路で捨てられていた廃車が価値持つなんて、変わるものですね☆

2007/4/1(日) 午前 3:20 masao

masao様☆本当に廃棄物処理市場ば難しいバランス上にあります。今回の能登半島地震で再び需給関係が逆転するかもわかりません。

2007/4/1(日) 午後 0:15 まったけ館長

【補足説明】本当に廃棄物処理市場ば難しいバランス上にあります。今回の能登半島地震で再び需給関係が逆転するかもわかりません。

2007/4/7(土) 午後 6:42 まったけ館長

トラバありがとうございました。むかしから古紙市場の上下で、ちり紙交換業者が来るようになったり来なくなったりしますね。金属市場も値上がり続きのようです。回収より盗む方が手っ取り早いのか、建設業界は大変な状況です。ほとんどが中国に持って行かれてるようです。

2007/6/4(月) 午前 7:34 いわれひこ

いわれひこ様★いつもコメントありがとうございます。紙くず、金属くずの廃棄物処理市場は全くもって不安定なままです。御指摘のとおり、中国で金属需要が高くなり金属くずだけでなく消費中の金属まで狙われるのですから、大きな変化です。廃棄物処理を経済的観点から思考せず、法律によるコントロールにこだわってきた旧厚生省の責任は小さくないものと考えます。

2007/7/16(月) 午後 7:39 まったけ館長

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