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英国の欧州連合(EU)離脱問題については、似たような記事を数日前にポストしましたが、
今回の記事はそのときのソース元記事からリンクされていた参考記事でして、
なかなか興味深い内容だったので併せてご紹介したいと翻訳したものです。

以下はそのときのソース元記事を翻訳したものなので、
今回の投稿に興味があれば、まず以下の記事からご覧いただければ話が早いかと。



英国の欧州連合(EU)離脱は、バイク業界にどのような影響を及ぼすのか? | 感染帝国



以下引用元のブログを運営するマーク・ガーディナー氏は、
レースはもちろん、歴史、業界ニュースに幅広い洞察を持つと自称する米国在住のジャーナリストです。



UPDATED: What Brexit means for the motorcycle business | Bikewriter.com



UPDATED: What Brexit means for the motorcycle business

巷では『ブレグジット(Brexit)』の投票結果が発表され、
英国はすぐにでも欧州連合(EU)からの脱退手続きを進めなければならなくなった。
私は驚いている。それは国民投票を控えた世論調査がありえないほどの接戦だったからではなく、
ブックメーカー(投票の結果を賭けの対象とする業者)のラドブロークスが、
離脱派のために素晴らしいオッズを予想してくれたからだ。
今回の投票結果は、胴元のオッズに逆らった結果が示された極めて珍しい例だった。

この投票が英国とEUの将来に与える影響は計り知れない。
ただ、この瞬間に、そこにどんな意味合いがあるのかを知るのは難しい。
しかし、短期的に影響が及ぶのは間違いなく、それはモーターサイクル産業にも波及するだろう。

英ポンドはすぐにユーロ(-5%)、ドル(-9%)、そして円(-11%)に対して下落した。
すぐにいくらか反発するだろうが、ポンドはしばらく下げ止まる可能性がある。
英国の輸出にとっては良いことだろうが、輸入にとっては悪いことだろう。



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英国ポンドが一夜にして歴史的な底値をつけたのを見て、トライアンフの首脳陣は精神的な葛藤を抱えていたに違いない。英国のヒンクリー工場で組み立てられたトライアンフのバイクは、輸出市場でより手頃な価格になる。しかし、今やこのような3気筒はタイで組み立てられている。オフショア生産という些細な魅力のために導入されたバーツに対し、英ポンドは8%の下落となった。



トライアンフのバイクはその多くがタイで組み立てられており、
一夜にして英ポンドはタイバーツに対して8%近く値を下げた。
些細な魅力のために、今もそこでバイクを組み立てるという意思決定がされているのだ。

にもかかわらず、英国のインポーターはホンダやハーレーを輸入するため、より多くの金額を支払っている。
トライアンフは母国でのシェアをすぐにでも増やす必要があるだろう。

トライアンフの新車価格は、ここ米国では逆に安くなる可能性がある。

英国のモーターサイクリストの多くが、欧州でバイクに乗っている。
短期的に見れば、これは若干割高な行為になった。
長期的には、ブレグジットの影響で、乗り物を使った旅行には国境通行許可証(カルネ)が必要になり、
各種保険の取り扱いはより煩わしさを増し、入国にはビザが必要になる。
…まあ、英国のライダーには、日当たりのよいスペインのワインディングを攻めるとか、
耳障りなイタリアのモトGPラウンドを観戦するというわずかばかりの動機があるだろう。

ブレグジットに関して発言権を持っていなかったマン島は、貨幣を英ポンドに連動させた。
旅行者は手頃な価格でマン島TTレースの観戦に訪れられるかもしれないが、
そこで走るはずのレーサーたちは、大陸から島へ渡るための手続きがより複雑になるかもしれない。

デビッド・エメット、オランダを拠点にMotomattersという素晴らしいブログを書いている英国人が、
フェイスブック上でオランダの市民権を申請するつもりだと発言していることに気づいた。
大事なことを言い忘れていたが、私は自分のクラシックバイクコラムで報酬カットを通知されたばかりだ。
その支払いが英ポンドだからである。

ブレグジットはまた、欧州にとっても大きな意味を持っている。
英国の存在しないEUはとても脆弱だ。
それが何を意味するのか、輸出販売に大きく依存しているドゥカティ、KTM、
そしてBMWにそれを教えるのは時期尚早だろう。
短期的にはユーロもドルに対して下落する。
これはヨーロッパのバイクに乗りたい米国人にとってはいいことだが、
自国ライダーの高齢化分を相殺するために海外の売上を当てにしているハーレーにとっては痛手だろう。
ハーレーは年次報告書で国別の売上を分析していないが、
英国は最も重要とはいえないまでも、最も安全な海外市場のひとつであるといっても差し支えないと思う。
この一世紀、ハーレーのディーラー網は強い存在感を放っているのだから。

相互接続されたグローバル経済では、それがどこで作られたかをいうのはますます難しくなっている。
しかし、少なくとも英国では国境に対して票が投じられた(実際には外国人の排斥に、だが)。
ビジネスにおいては、どのような刷新や合理化が行われるのか予測するのは困難だ。

この影響は、英国とそれ以外の欧州圏に住むモーターサイクリストのみならず、
モーターサイクル産業そのものにも及ぶと私は確信している。



以下、追記。

英国のモーターサイクル業界を長年に渡って観察してきたロジャー・ウィリスによると、
ボンネビルファミリーを含むトライアンフの2/3はタイから世界中に出荷されているそうだ。
英国に戻ってくるバイクは、確かドル建てで輸入されている。
タイを主な生産拠点とする理由は、安価な労働力に加えて、
米国や対蹠地(地球の反対側)とともにASEANグループとのFTA(自由貿易協定)を活用するためだ。

追伸、ハーレーの英国市場はフランスやドイツよりもかなり小さい。



(了)



関連記事はこちら

滅びゆくスーパースポーツ…ホンダ『CBR600RR』も販売終息へ | 感染帝国

ミスター vs. ミズ・デイトナ…『Castrol Speed Academy - Jason DiSalvo VS Elena Myers』 | 感染帝国
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ホンダのCBR600RR、やはり来年の新型は登場しないことになりました。

すでにトライアンフのデイトナ675、カワサキのZX-6Rといったところが販売終息を宣言していたので、
予想の範囲内といえばそうなんですが、それでも衝撃は大きいですね。



The Bullshit Argument That It’s Time to Say Goodbye to the Honda CBR600RR and Other Supersport Machines | Asphalt & Rubber



The Bullshit Argument That It’s Time to Say Goodbye to the Honda CBR600RR and Other Supersport Machines

英国の専門誌『MCN』は、ホンダがCBR600RRの販売を継続しない方針を打ち出したと発表、
モデルチェンジの時期が迫っていたスーパースポーツが終息を迎え、業界に激震が走ったと報告している。

彼らの報告によれば、CBR600RRが販売終息に至った最大の理由は、
このスーパースポーツが今後適用される排ガス規制のユーロ4を満たせないからだという。

600ccスーパースポーツの需要が著しく低くなっていることはホンダも承知しており、
ユーロ4に準拠した全面新設計の新型車を市場へ送り出すことはおろか、
新しい排ガス規制に対応してまでCBR600RRのアップデートを正当化する根拠は薄いと考えているようだ。

もちろん、ユーロ4排出ガス基準は、欧州連合(EU)域内で販売されるバイクにのみ適用されるものである。
しかし、MCNがいうには、
このまま販売を継続するにはあまりにもCBR600RRの需要が落ち込みすぎていると指摘している。

ホンダのスーパースポーツがアップデートされないことはもはや明白だが、
今のところ、CBR600RRは米国および、その他の市場で販売リストに掲載されたままだ。

ここで重要な点は、MCNが報告するまでもなく、
ホンダがスポーツバイクのビジネスから撤退するという噂にはなんの目新しさもないということだ。
特にヨーロッパでは、過去5年間に渡って人気の話題である。



Ouroboros(尾を呑み込む蛇)

多くの場合、こうした議論は、スポーツバイクの市場は消えつつあり、
もはや誰もスーパースポーツやスーパーバイクを購入しないという点が中心になる。
ホンダの名前は、ほとんどの場合この意見に集約される。
しかし、表面上はわからない理由というのもまたある。

ホンダのラインナップをざっと見渡してみると、
CBR1000RRは、2008年以来まともなアップデートを受けていないことがわかる。
CBR600RRに至ってはさらに深刻で、2003年にデビューして以来、
2007年に唯一のアップデートを受けたのみである。

これは、昨今の世界不況に起因する、鶏が先か、卵が先かという因果性のジレンマである。

ホンダのCBR600RRが人々の興味を失い、販売不振に陥っているというならば、
モーターサイクリストの趣味嗜好は変わったということなのだろうか?
あるいは、ホンダの製品価値はこの10年の怠慢で失われてしまったということだろうか?



Self-Fulfilling Prophecy(自己充足的予言)

さまざまな点で、これはホンダ自身の創造性の問題に思える。
より巨視的な展望においては、
日本のメーカー自らが支配する市場へ新製品をもたらすことに失敗した結果だろう。

この問題のカギとなる要素は、経済が悪化しはじめた2007年を境に、
日本のメーカーが意義ある新製品の開発やリリースを恐れるあまり殻に閉じこもり、
組織の硬直化を招いてしまったという事実である。

Asphalt & Rubberとしては、全体的な状況は相関関係と因果関係の混同に起因するもので、
これが否定的発言を誘発しているのではないかと感じている。

我々の視点では、この10年でホンダの正規取扱店はその大半が店を畳み、
そのためにスポーツバイクの販売が落ち込んでいると考えている。
そして、スポーツバイクの販売が減少したために店を閉め…という具合に、
結果として悪循環に陥ってしまったわけだ。



A Rebuttal Argument(議論への反証)

しかしなお我々は、同じ期間に、BMWやドゥカティが過去最高のセールスレコードを樹立し、
ライダーの興味をそそるような新しいスポーツバイクが次々と生み出されていくのを目撃した。
BMW S1000RRやドゥカティ1199パニガーレは実際に好調なセールスを記録している。

注目すべきは、ヤマハが昨年発表したYZF-R1が大きな反響を呼び、
これが決してヨーロッパブランド特有のトレンドではないこと示した点だ。

このトレンドは、そこまで理解することが難しいだろうか?
古いバイクがディーラーの片隅でしおれていく一方で、
アップデートされた新型モデルは販売が継続されるということだろうか? うーん…

スーパーバイクとスーパースポーツのセグメントは競争が激しく、
日本のメーカーはここに隔年で新型を投入するというバターンに陥っていた。
新型でなければ、意味がない。売上データの数字もそれを物語っていた。

そういうわけで、ホンダが2017年モデルの新型スーパーバイクを登場させると決断した事実は興味深く、
と同時にとても重要なことなのだ。

おそらく、新しいホンダのCBR1000RR(まあ、呼び方はなんでもいいが)の成功は、
コンペティティブなマシンの市場がまだ存在することをホンダ以下の日本メーカーに印象づけるだろう。
が、そこに火をつけるにはさらなる燃料がまた不可欠である。

そうしたステートメントは新しいマシンの開発に想像以上の結果をもたらすが、
国内および国際的なレースのような営業活動をサポートしていくことでもまた伸びていくだろう。

結局のところ、スポーツバイクの売上が落ち込んでいることに驚くなら、
一流半が参戦する我々のモトアメリカ選手権はなんなのだろうか?

そこに熟考すべきなにかがある。すべては相互に作用し合っているのだから。



(了)



10年ぐらい前は、欧州では600ccが主流なんて謳い文句もよく聞かれましたが、
結局のところ、衰退基調に入る理由は、1000ccとの差別化が難しいということに尽きるんではないかと。

エンジン形式も、ピストンの数も、なにもかもほとんど一緒。
でもメーカーとしては価格は据え置かないといけない。
なんだかんだでリッタークラスは生き残ってますし、これからもしぶとく生き残っていくでしょう。
もっとも、市場はさらに小さくなるでしょうが。

ただ、そうした高付加価値な限定モデルまがいのリッタースポーツが台頭してくると、
フェラーリやポルシェのように、一部のお金持ちが道楽のために買うエキゾチックなマシンが主流になり、
事実上庶民が手を出せるものではなくなるでしょうね。
すでにそうしたエキゾチックカーは、1,000馬力、1億円というところに基準が到達してます。
ヤマハはモトGP由来の電子制御技術でYZF-R1を蘇生させましたが、
今後10年、20年で考えると、この延命が吉と出るか凶と出るかというのは判断がわかれるところでしょう。
ホンダがCBR1000RRへ電子制御技術を投入することに頑なな姿勢を貫くのもそこが理由かもしれません。
ダイレクトに価格へ跳ね返ってきますから。
リーズナブルなエントリークラスのリッタースポーツ(?)という隙間産業的ポジションで、
イタリアでは今でもCBR1000RR(SC59)が販売数でトップ100入りしているのも知られているところ。

今、600に代わるお手頃なスポーツモデルということになると、
必然的にASEANを中心とする新興国で需要が見込める小排気量モデルに軸足が移っていくことになります。
そこではもはや、日本人のことなんて毛の先ほども考えられてないわけで、
我々はおこぼれにあずかるしかないというのが現実。

レースの結果は売上アップにつながらないといわれて久しいですが、
ASEAN新興国でYZF-R25やCBR250Rに乗る人々のイメージリーダーとしての機能を考えると、
CBR1000RRのようなフラッグシップは意味があるし、RC213V-Sも必要だったということでしょう。
実際、スリランカ出身の僕の友人は、ようやく母国でも大型バイクが解禁になったと喜んでました。

以上、スーパースポーツの衰退理由とは関係ない、とりとめのない寝言も並べてみましたが、
実際にそういったバイクに乗っている人々はまた別の視点を持っているはずでしょうし、
ソース元の記事を話のネタに、バイク仲間同士ででも議論を深めていただきたいところです。



とりあえず今は、最後の肉食竜になりそうなYZF-R6に期待しておくことにします(出るのか?)。



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今回のエピソードは、"ザ・ドクター"と呼ばれる男の魅力について。
エピソード1の続篇ともいえる内容になっています。

ファンとしては、この"ザ・ドクター"というニックネームの由来は知ってて当然と思い込んでましたが、
実のところ、諸説入り乱れてるんですね。
ちなみに僕は、『彼がバイクを医師のようにセットアップするからだ』派です(笑)。

そして、一番思い出深いレースはやはり、ヤマハ移籍後のシーズン第1戦、南アフリカGPで決まりでしょう。
一番好きなレーシングスーツは、ナストロアズーロ・ホンダのアレでしょうか。

拙ログでも再三主張してますが、ロッシより速いライダー、強いライダーはいても、
ロッシよりプロフェッショナルなライダーというのはGP史を見渡してもいないと断言できます。
モトGPクラスタにしか伝わらない言い回しだと、"スペクタクロ"というところでしょうか(笑)。
それどころか、あらゆるスポーツ界全体を見渡してもそうはいない、稀有な才能です。






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ティザー映像のタイトルになっている"Expect the unexpected"は、『不測の事態を予測せよ』ということ。

ライバルと肩を並べる高出力のツインエンジンを採用するともっぱらの噂の新型CBRは、
ライダーが予測できないほどのハイパフォーマンスを誇るという意味のようです。

2017年1月からは継続生産車にもユーロ4が適用されるタイミングのため、
ホンダ以外の各社がリリースするクォータースポーツもモデルチェンジが予想されます。

ティザー映像のリリース元は、インドネシアのジャカルタに拠点を置くホンダの合弁会社、
ピー・ティ・アストラ・ホンダ・モーター(PT Astra Honda Motor)のもの。
もはや二輪市場の中心地は日本ではなく、欧州でもなく、インドネシアを含むASEANの新興国。






日本の産業を支えてくれる新興国のファンに感謝しつつ、
新型CBR250RR(仮)の圧倒的パフォーマンスに期待したいところです。



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正直、自分の手にあまる内容だとは思いつつも、やはり気になるのがこの話題。
かなりうんざりしながらも、タイトルの海外記事を翻訳してみました。

ブレグジットとは、英国(Britain)と退出する(Exit)を組み合わせた造語です。
この言葉は最近使われ始めたものですが、英国による欧州連合(EU)懐疑論は昔から存在しており、
英国は欧州連合に加盟しながらも独自の通貨制度であるポンドを維持、
国家統合を目指す欧州の方針からは一定の距離を置いています。

そんな英国の欧州連合(EU)離脱は、バイク業界にどのような影響を及ぼすのか?

拙ログに繰り返しご訪問いただいている奇特な諸氏は、イタ車を中心とする外国車が大好物かと思います。
特に国民投票で離脱派が勝利した英国のトライアンフやノートン、もはや死に体のMVアグスタ、
小排気量車の販売好調というボーナスステージを終えたKTM、
欧州の覇権国でありながらギリシャという不発弾を抱えるドイツのBMWモトラッド、
そして、もはやそのドイツの企業となったドゥカティなど、
海外メーカーのバイクにお乗りの諸氏は気が気ではないかもしれません。
今回の記事が、そうした皆さまの理解の助けになれば幸いです。

あ、でも、翻訳はいつもどおりいい加減なんで、そのあたりはお許しを…(*´Д`)



What Brexit Really Means for the Motorcycle Industry | Asphalt & Rubber



What Brexit Really Means for the Motorcycle Industry

ブレグジットに関する報道、とりわけ英国が欧州連合(EU)の一員であるべきかという国民投票は、
これまでの米国ではほとんど無視され続けてきたといえる。
それは確かに、我々の縮図であるところのモーターサイクル業界にとっては取るに足らないことだった。

しかしもちろん、我々が愛するこの小さな2輪の世界でさえも、
英国の欧州連合離脱は遠大な影響を及ぼすことになる。

あなたが我々のポッドキャストにおける最新の更新日時をチェックしているなら、
24日未明、わずか130万票差で離脱派が残留派に勝利したことをお伝えしたことがわかるだろう。

そこには多くの政治的な思惑が隠されているが、
それが間もなく米国にやってくる事象を予示するものかもしれないということを除けば、
過去の論争を蒸し返すことにさほど意味はないだろう。
英国の欧州連合脱退がモーターサイクリングの世界にどのような影響を及ぼすのか、
それが今、私が考察すべきことである。



The Long View(長期的な展望)

まず最初に、ブレグジットの影響は英国、欧州、そして世界経済に少しずつ作用し、
人々が考えるよりも長期間に渡って波及していくということを読者には思い出してもらう必要がある。

今日起こったことは単純で、国民投票で離脱が支持されたというだけだ。
英国は本記事の執筆時点でまだ欧州連合の一部であり、
島国が本土から分離されるまでにはまだまだ長い時間がかかるだろう。

米国人の読者に向けていえば、欧州連合は、アメリカ合衆国のように、
ひとつの憲法を通じて各州が団結しているのではないと理解する必要がある。

代わりに、欧州連合は、貿易、通貨、共同防衛などの問題において、
その一部を縛る条約や協定であるマーストリヒト条約やリスボン条約によって誕生したといえる。
が、ここでは議論の範囲外であるために扱わない。

ここで大きな要点となるのが、
英国が実際に欧州連合から離脱するまでには相当な時間がかかるということだ。
控えめに見積もっても、必要なプロセスを踏むと、離脱にはおそらく10年かかるという試算が出ている。

このことは考慮すべき重要な点である。
我々は今日のうちに多くの記事を目にするだろうし、
今後数週間で、今なにが起きているのかという短観が我々の前に提示されるだろうが、
そのすべてが、実際には取るに足りないということだからだ。



The Short View(短期的な展望)

この状況における近視眼的な理解はどういったものだろうか?
今、世界の株式市場は、ブレグジットの報道に反応している。そして、英国は欧州連合を脱退する。

本記事の執筆時点で、ダウ・ジョーンズ工業株価平均(DJIA)はおよそ3.2%の下落、
通貨市場も同様にダウンし、やはり記事の執筆時点でユーロに対しポンドが6%下落している。

しかし、これらは双方とも短期的な調整に過ぎない。

市場の効率性と信頼性。自由金融市場は、ふたつのフレームワークによって理解することができる。
通貨、株式、および債券市場の長期的な動きは市場の効率性によって支配されている。

金融市場の価格は、今日の市場に存在する景気見通しや要因を反映し、
少なくともそれを長期的に見て知覚できるという点で妥当であるとされている。

株式市場のようなものが完全な効率性を備えているという考えに立つならば、
実際の事象が起こる前に市場が反応し、ブレグジットのような変化を反映したときから、
株価指数を超えて投資する意味はないだろう。

今日の株価を見てもわかるように、こうした理屈は現実よりも教室でうまく機能する。
それは、経済学者が世界最高峰の金融地区であるウォール街ではなく大学で働く理由でもある。

これは、市場の不確実性と憶測が金融機関の行動に大きく作用するからだ。
今日の株価や通貨価格はその最たるものだろう。

現実には、今日なにかが変わったわけではない。

英国は依然として欧州連合の一部であり、なにかが起こるまでには、少なからず年月がかかるだろう。
英国経済は昨日と比べて特に弱体化したわけではないが、認識の変化と不確実性は加わったといえる。

投資家が嫌うものがひとつあるとすれば、それは不確実性であり、
今日、我々が目撃している経済情勢の変化を引き起こしているものである。
長い目で見れば、ポンドの価値はユーロに対して変動するだろうか? ほぼ確実だろう。

月に6%の切り下げが行われたとして、実際に長期の取引に影響を及ぼすだけの時間があるだろうか?
答えはノーだ。それどころか、ポンドは過去24時間で2%反発している。



Currency Exchange, A Very Sexy Topic(為替、という挑発的な話題)

貨幣価値の背後にあるドライバーは多様かつ複雑であるが、要約すれば取引と経済力ということになる。
国が輸出入に赤字を抱えていようといなかろうと、その経済が他と比較されるとき、
その通貨が他国と比較してどれだけの購買力があるかが大きく影響する。

個々のパーツがいくつかの国で過剰に生産され(そのうちの一部は英国とEUに輸出される)、
それらは組み立てのためにさらに別の国へ輸出される(英国とEUもまたここに含まれる)。
こうして完成した製品は、販売のために世界中へ出荷される(やはり英国とEUも例外ではない)。
これはモーターサイクル業界にとって、明らかに効果的な施策である。

私の同僚であるマーク・ガーディナーは、
モーターサイクル業界と通貨の関係性が生み出す効果について素晴らしい考察をしている。
彼の記事はここ(訳注 : この参考リンクも拙ログで翻訳しました)で読むことができるので、
ぜひとも目をとおしていただきたい。

彼の言葉に唯一付け加えるなら、私が前述した長期的・短期的展望の間にある微妙な差ぐらいのものだ。

英国が欧州連合離脱の意向を発表した1時間後、マークが将来の経済環境を楽観的に思い描く一方で、
私は長年に渡って英国が異常な状態にあるというのが適切ではないかという見解を持っている。

通貨がモーターサイクル業界に正しく作用するように変えるには、
業界における購買、生産、製造のサイクルに良い影響があらわれるまで、
長期間に渡って適所にとどまり続けることが求められる。



Visa Problems, And No I Don't Mean Like MasterCard(VISAに問題があっても、マスターカードというわけにはいかない)

欧州連合が英国の居住者のために作った主な利点のひとつが、欧州大陸の国境を開放したことである。
モーターサイクル業界における当面の問題は、ブレグジットに起因する人々の移動に帰着する。

影響は旅行だけにとどまらず、労働にも波及する。

英国を除外すれば、現在の欧州連合には27の国が加盟している。
その27か国のモーターサイクル業界で働く上位の英国人駐在員が数人、思い当たるふしがある。

彼らが自分の仕事を維持しておきたい場合、
これらの国外居住者は、欧州連合で発行される就労ビザを申請しなければならない。
または、当該国の帰化市民になるという選択もある。

モナコやアンドラのようなタックス・ヘイヴン(租税回避地)に住んでいる英国市民を考慮すれば、
この問題はさらに複雑になる。
スーパーバイク世界選手権やモトGPのパドックにいるライダーを片っ端からリストアップしてみよう。
これが真っ先に影響を受ける人々である。

同じことが旅行にも当てはまる。
もはや、英国の市民は気軽に欧州へ出かけていくことはできなくなる。

英国スーパーバイク選手権のカレンダーにアッセン(*1)が組み込まれていることを考えると、
モーターサイクル業界ではより大きな問題になるかもしれない。
おそらくレースがカレンダーから外されるまで、国際選手権の物流における頭痛のタネになるだろう。

スーパーバイク世界選手権やモトGPのように、
欧州を中心としたレースシリーズに参戦する英国人ライダーは今後、
税関を通過するのにいささか苦労することになるかもしれない。
が、もっと大きな問題は、ビザが再び下りるかどうかわからないということだ。

ブレグジットの発表以後、欧州連合による報復次第では、
英国から欧州連合加盟国への旅行や貿易の取り扱いは乱雑になる可能性がある。
また、英国からの就労ビザや旅行許可要件の審査はより厄介になるかもしれない。



*1 レースファンにはいうまでもなく、アッセンはオランダに位置するサーキットである



About Norway and Cutting in Line(ノルウェーという国、割り込みという行為)

ゆくゆくは英国と欧州連合で起こるであろう、とてつもない報復の連鎖の内容は不透明だ。

ブレグジットは、欧州連合非加盟国でありながら、
地理的にそれらの国々と近いという特権と利点を享受しているノルウェーの脚本に着想を得ている。

これもまた、Asphalt & Rubberの力量が及ばないところにある、新たな厄介ごとである。
しかし、英国はノルウェーほどの石油備蓄量(*2)があるわけではないし、
釣りもまた輸出できないことを指摘しておこう。

実際には、あらゆる意味で、英国のほうがノルウェーよりもEUを必要としているのである。

欧州連合にしてみれば、英国からの輸入は経済全体の1.5%に過ぎない。
それに対し、英国の経済はおよそ1/3を輸出に頼るほど活発である。
そして、その約半分ほどが欧州本土に渡っている。
考えればすぐにわかることだが、英国経済のおよそ15%は欧州市場に依拠しているのだ。

その経済の一部であるモーターサイクル業界、トライアンフやノートン、その他多数のメーカーは、
英国の全人口である6400万人(*3)よりも多くの人々が生活する市場へ頼らざるを得ない。

私はあいにく、GATTとWTOの紛争に関する研究家であり、
その歴史が懲罰目的以外で課された関税にまみれていることを知っている。
世界中のどの国でも嫌われることがひとつあるとすれば、それは列への割り込みである。

英国がEUから脱退したあとも貿易における恩恵を享受できると考えているなら、それは幻想に過ぎない。

モーターサイクル産業においては、
貿易協定が小学校の校庭で磨かれてきたような原則に支配されているため、
逆に英国から出荷されるモーターサイクルやパーツに関税が課されることを意味している。



*2 ノルウェーは漁業国で、天然ガスや油田などの資源も豊富なため、EU加盟によるメリットがない

*3 2016年、欧州連合(EU)加盟国の人口は5.08億人である



Regulators, Mount Up(立ちふさがる規制)

より巨大な報復合戦に巻き込まれていくであろうモーターサイクル業界を予測しつつも、
我々が愛する2輪の世界でより重要な課題になるのは、排ガス規制の流れがどうなるかであろう。

英国がユーロ4排出基準に対応できる体制が整うまでは欧州連合を脱退することはないだろうが、
さらに厳しいユーロ5排出基準は、おそらく英国のモーターサイクルには適用されないだろう。

どのような種類の排出ガス基準を適用、発布するかは英国次第である。
英国は必然的に欧州連合における基準となるものはなんでもコピーしようとするだろうが、
幸運はそうそう長くは続かない。

もうひとつの国内排出ガス基準に対応するために、
モーターサイクルを開発するメーカーにはさらに多くの時間とリソースといったコストがかかるわけだ。

最終的に、英国はOEMが最も厳しい国の排出要件を採用するしかないだろう。
それがグローバルモデルを構築する際のポイントだからだ。
英国には排出ガスの単位体積に及ぼす影響力があるが、それもいつかは破たんするときがやってくる。

さらに、英国が将来の自律走行車や相互接続された車両のアイデアに取り組むとき、
欧州連合から開発に必要な声が届かないという意味の懸念もある。

このテクノロジーは、ドライバーによる成功例を積み上げて均質化することが大いに必要であり、
こうした要素は欧州連合を束ねる官僚の強さに左右される部分でもある。

このシナリオでは、英国と欧州連合がそれぞれ独自路線を歩み、互換性のないシステムを作り出し、
そのために市場に混乱をもたらし、メーカーにもかなりの負担を強いることになる。



Closing Thoughts(最後に)

唯一無比であれ、孤高であれ、というのはロマンチックなアイデアだ。
それは米国の精神に深く根ざした流行語である。
しかし、人はひとりでは生きていけないという発想もまたあるわけで、
それはAsphalt & Rubberの読者をはじめとするすべての米国人が理解できることだろう。

英国は欧州連合に残留すべきであると主張する人々は、
なにかの一部に属していることがより良いという意見のもとに議論の基礎を形成し、そこで声を上げる。
対話から自分自身を除外し、他者の意思を受け入れることができる。

同じことは、モーターサイクル業界にも当てはまる。

ブレグジット以後のモーターサイクル業界における最大の障壁はエントロピーの増大につながり、
これを英国のモーターサイクリストに当てはめるとするなら、
欧州の二輪車市場において、彼らは二級市民に格下げされるということを意味する。

今は、しばし待つときだ。歩みは遅くなりそうだが、これもまた試練である。



(了)



翻訳が正確かどうかはともかく(笑)、
欧州連合(EU)はドイツとフランスの力で強引に拡大してきたという下地があり、
それだけ加盟国に貸し込んでいる資金も大きいため、いちぬーけたっ!というわけにはいきません。

そのため、ドゥカティなどは真っ先に売りに出される可能性が高くなりますが、
それを察したのか、アウディの幹部は『ドゥカティは売らない』という公式声明を出すハメに。



Audi Says “Ducati is NOT FOR SALE” | Asphalt & Rubber



あ、MVアグスタ? もう死んでるから関係n(ry
こうなったら、ドゥカティとまとめてフィアットグループで面倒見てくれませんかねえ(便乗



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