はなまき法律事務所の訟廷日誌

岩手県花巻市の弁護士のブログです。日々の仕事のまとめや法律の話題をアップしています。

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ほかのシリーズもまともに進行しないなかで、新たなシリーズをスタートさせます。

マニアック破産法
このシリーズは、普段の破産申立代理人や破産管財人の業務のなかで発見したマニアックな情報を小出しにするシリーズです。

第1回は「租税等の請求権」です。

破産法第47条4号
 国税徴収法 (昭和三十四年法律第百四十七号)又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権(以下「租税等の請求権」という。)であって、破産財団に関して破産手続開始後の原因に基づいて生ずるもの
 「租税等の請求権」とは、国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権であると定義されています。
 破産法上、この「租税等の請求権」に該当すると、以下のような優先的な取扱いを受けることができます。

破産法第148条1項
 次に掲げる請求権は、財団債権とする。
 三  破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権(第九十七条第五号に掲げる請求権を除く。)であって、破産手続開始当時、まだ納期限の到来していないもの又は納期限から一年(その期間中に包括的禁止命令が発せられたことにより国税滞納処分をすることができない期間がある場合には、当該期間を除く。)を経過していないもの

破産法第2条7号
 この法律において「財団債権」とは、破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権をいう。
破産法第151条
 財団債権は、破産債権に先立って、弁済する。
 「租税等の請求権」のうち一定の条件を満たしたものは、財団債権となります。
 財団債権となれば、破産債権に先立って破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができます。
 
破産法第253条1項
 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
一  租税等の請求権
 「租税等の請求権」は、典型的な「非免責債権」です。
 すなわち、免責許可決定が確定しても、責任を免れない債権となります。

 では、水道料金と下水道使用料は、それぞれ「租税等の請求権」に該当するでしょうか?
 鍵になるのは、次の地方自治法の条文「法律で定める使用料」の解釈です。
 法律で定める使用料に該当すれば、地方税の滞納処分の例により処分することができることになります。
 地方税の滞納処分の例では、国税徴収法に規定する滞納処分の例が間接準用されているので、「租税等の請求権」に該当することになります。

地方自治法第231条の3第3項 
 普通地方公共団体の長は、分担金、加入金、過料又は法律で定める使用料その他の普通地方公共団体の歳入につき第一項の規定による督促を受けた者が同項の規定により指定された期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、当該歳入並びに当該歳入に係る前項の手数料及び延滞金について、地方税の滞納処分の例により処分することができる。この場合におけるこれらの徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

(1)下水道使用料
下水道法第20条1項
 公共下水道管理者は、条例で定めるところにより、公共下水道を使用する者から使用料を徴収することができる。
 下水道使用料は、下水道法という法律で徴収できることが定められているので、「租税等の請求権」に該当することになります。

(2)水道料金
水道法第14条1項
 水道事業者は、料金、給水装置工事の費用の負担区分その他の供給条件について、供給規程を定めなければならない。
 水道料金は、水道法という法律で徴収できることが定められているわけではない(水道事業者が供給規程で定める)ので、「租税等の請求権」に該当しないことになります。

 実務上は、いずれも自治体の水道事業所が徴収していることが多く、自治体職員においてあまり区別されずに扱われていることが多いです。
 破産管財人として滞納使用料・料金を取り扱う際はもちろん、申立代理人(個人再生申立を含む)としても注意しましょう。

 なお、次の通り、滞納保育料も「租税等の請求権」に該当しますので、幼児がいる低所得世帯の破産では注意が必要です。

児童福祉法法第56条10項
 第一項から第三項まで又は第七項の規定により徴収される費用を、指定の期限内に納付しない者があるときは、第一項に規定する費用については国税の、第二項、第三項又は第七項に規定する費用については地方税の滞納処分の例により処分することができる。この場合における徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

児童福祉法法第56条3項
 第五十条第六号の二に規定する保育費用を支弁した都道府県又は第五十一条第四号若しくは第五号に規定する保育費用を支弁した市町村の長は、本人又はその扶養義務者から、当該保育費用をこれらの者から徴収した場合における家計に与える影響を考慮して保育所における保育を行うことに係る児童の年齢等に応じて定める額を徴収することができる。

児童福祉法法第50条
 次に掲げる費用は、都道府県の支弁とする。
六の二  都道府県の設置する保育所における保育を行うことに要する保育費用(保育所における保育を行うことにつき第四十五条第一項の基準を維持するために要する費用をいう。次条第四号及び第五号並びに第五十六条第三項において同じ。)
児童福祉法法第51条
 次に掲げる費用は、市町村の支弁とする。
四  市町村の設置する保育所における保育を行うことに要する保育費用
五  都道府県及び市町村以外の者の設置する保育所における保育を行うことに要する保育費用

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