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明治三十二年法律第四十号(失火ノ責任ニ関スル法律)
民法第七百九条 ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス この明治時代に制定された法律のおかげで、失火のときだけ重過失じゃないと不法行為(民法709条)に基づく損害賠償をしてもらえない! ちくしょー、いつの日か憲法違反を主張して最高裁まで争ってやるー! と、思ったものの、もう争っちゃった人がいたのね・・・、という話。 最高裁判所第二小法廷 昭和53年4月14日判決 集民123号541頁
上告代理人二村豈則の上告理由について 所論は、まず、違憲をいうが、不法行為によつて権利を侵害された被害者は、不法行為者に対し、法の定めるところに従つて損害賠償請求権を取得するのであり、失火ノ責任ニ関スル法律は、民法七〇九条とあいまつて、失火による権利侵害の場合には、失火者に故意又は重大な過失があるときに限つて不法行為責任を負わせ、被害者に損害賠償請求権を取得させることを定めているにとどまるのであつて、被害者の有するなんらかの既得の損害賠償請求権を侵害するものではないから、失火ノ責任ニ関スル法律が上告人の損害賠償請求権を侵害したことを前提とする所論は、その前提を欠き、失当である。その余の所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、ひつきよう、独自の見解に基づいて原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 吉田 豊 裁判官 大塚喜一郎 裁判官 本林 譲 裁判官 栗本一夫 上告代理人二村豈則の上告理由 第一、 原判決には、法令解釈及び法令適用の誤りがあつて、それらが判決に影響を及すことが明らかであり、破棄を免れない。 第二、一、 右についての詳細な主張は、第一、二審において、上告人らが陳述したとおりであるので、それらをすべてこゝに引用する。 二、 以下に、その要約を述べる。 (一) 法令解釈の誤りについて失火責任法は、右引用のように、国民の財産権の一たる損害賠償請求権を、合理的理由を欠いて、不当に侵害する結果となるものと解さざるを得ないのであるから、憲法二九条に違反するものであつて、本件審理に際して、適用してはならないものである。 しかるに、原判決は、この点に関する法令解釈を誤り、違憲無効の法令を適用するものである。 (二) 法令適用の誤りについて 仮りに、失火責任法を、憲法二九条に違反しないものであると理解される余地があるとすれば、それは、同法を、財産権保障の憲法規範及び社会正義に適合すべく解釈されたうえでのことである。 そして、合憲的に解釈されるならば、1 重過失の存在しなかつたことを失火者である被上告人らにおいて主張且つ立証すべきものと解されなければならない。2 失火そのものと延焼の場合とを厳格に区別し、後者の場合は同法の適用はないと解されなければならない。 本件は、延焼の場合であつて、第一審において主張したとおり、被上告人らは、失火後、被害を最少限にとどめるべく、延焼防止のために最優先又は最善の努力をすべきであつたが、これらの防止努力を怠つているのである。 (三) 原判決は、以上の各論点につき、いずれもその判断を誤り、判決に影響を及すことが明らかである。 以上 気を取り直して、敗戦の将から学ぶべきことを探してみる。 まずは直接的敗因。最高裁は「欠前提」と言っている。つまり所論が前提を欠く主張だから憲法適合性の判断を要しないと。 なぜそうなったのか。 日本国憲法第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
○2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。 上告代理人は、国民の財産権の一たる損害賠償請求権を、合理的理由を欠いて、不当に侵害する結果となると主張した。憲法29条違反の主張。といえば「森林法違憲判決事件」。
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