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読書2冊
▽「長女たち」篠田節子・新潮社・2014年2月発行・3月2刷
痴呆が始まった母のせいで恋人と別れ、仕事も辞めた直美。
父を孤独死させた悔恨から抜け出せない頼子。
糖尿病の母に腎臓を差し出すべきか悩む慧子……
当てにするための長女と、慈しむための他の兄妹。
それでも長女は、親の呪縛から逃れられない。
親の変容と介護に振り回される女たちを描く国民総介護時代に必読の連作小説。
作者は1955年東京生まれ。東京学芸大学卒。八王子市役所に13年勤務。
小説すばる新人賞、直木賞、山本周五郎賞、柴田錬三郎賞など受賞も多い。
「女たちのジハード」「カノン」などテレビドラマ化もある。
作者の写真を見たら、きゃしゃで年齢よりは若く美しい人だった。
本作品のイメージから想像していた人と違っていた。
長女というものは、
今でもこれほどまでに、親を憎み、ののしりながら、苦しみ抜いているのかとやや意外だった。
その苦悩する長女たちの言葉遣いが、口汚くて耐えられないほどだ。
作者もさぞや性格の悪い人だろうと想像していたのだが、
素顔の作者は全く違って爽やかだったのだ。
話が少しそれるが、私は言葉遣いにはやや敏感だ。
例のブログ「日本死ね!」の文章を読んで、気分が悪くなった。
本人の意図することともさることながら、言葉のインパクトが強かったためか、
世論は大きく動いた。言いたい内容や問題は別として、
あの文章を読んで、私は感銘を受けはしなかった。
口汚くののしる言葉には嫌悪感を覚える。叫べば良いというものではない。
「中学生進路自殺事件」へのコメントも、文章の体をなしていない乱れた言葉の羅列だ。
「2ちゃんねる」などでは読むに堪えない文章に、寒気がする。
話は戻るが、現代の長女は昔と違って2人兄弟姉妹などが多い。
長女というだけでこれほどのしがらみを受ける人が今でもいるということだろうか。
私も長女だが、これほどの思いを抱いたことはない。
介護問題、認知症の酷さを身にしみて感じた作品ではあった。
「あなたへの歌」▲
楊 逸(ヤン・イー)・1964年中国ハルビン市生まれ、中国籍。
2014年2月初版。中央公論社発行。
87年留学生として来日、お茶の水女子大学を卒業。
2009年より関東学院大学客員教授、
2012年より日本大学芸術学部文芸学科の非常勤講師に就任。
2008年「時が滲む朝」で第139回芥川賞受賞。中国籍の作家として、
また日本語以外の言語を母語とする作家として史上初めての受賞となった。
東京のお菓子メーカー「サンディフーズ」で働く中国出身のメイは、
結婚資金を貯めるため中国語講師の副業を始める。
大学時代から付き合っている日本人の彼は二歳年下。
煮え切らない態度に別れを考えるが、天津への転勤が決まった彼にプロポーズされて―。
そんなある日、中国語講座の生徒の一人、片瀬さんから
「中国人の妻・阿桂の連れ子が天津に家出をしてしまった」と
連絡が入り、思わぬ展開から、中国各地を探して回ることになる…。
そして阿桂の隠された過去が明らかになって…。
現代の日本と中国を舞台に描く「結婚」小説。
前半はまさに「結婚」に至るまでの話だったが、
後半は何とも意外な展開が繰り広げられる。まるで中国旅行をしているかのような内容だ。
しかし、その中には結婚にまつわる話がうまく入れられている。
最終章の「んんー夫婦という美酒」には
「米と水は、混ぜ方や環境、水加減により、おかゆかご飯になったり、お酒になったりする」
「何ら手を加えずに、そのまま放置すると、両方腐ってしまう」
「良質な水なら、良質で相性も抜群の米を見つけて、美酒を醸造する。質を見極めてからでないと」
「上手に発酵させる技術や長い年月を耐える根性がなければ、
良質で相性が抜群な相手でも美酒になれるとは限らない」
などと登場人物に語らせる。やはり後半も結婚小説だった。
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2016年03月17日
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