|
◆家にあった本をたまたま見つけ読んだ。
近頃は新しい本はあまり買う気がしない。読書はもっぱら図書館利用だ。
ベストセラーですら少し待てば図書館で借りられる。
家にたくさんあった本もかなり処分したが、すぐには捨てられないものは多少残している。
そんな本を出してきて読んでは結構事足りる。
▼読んだのは
三島由紀夫の「金閣寺」新潮文庫版・昭和35年9月発行、昭和46年3月25刷
昭和25年7月に金閣寺が寺僧の放火によって焼失した事件を素材として、
6年後の昭和31年に書かれた小説。三島30歳の時の作品。
この小説は昭和31年度の最秀作として、多くの批評家から推され同年の読売文学賞を得た。
文庫本で257ページの内容は、詳細で事実もかなり綿密に書かれている。
相当の取材も重ねたようだが、主人公の内面を独自の思いで描いている。
最後は金閣寺に火を点け、その後駆けて山へ逃げ、金閣の焼ける音を聞く。
準備した小刀と薬を投げ捨て、たばこを吸い「生きようと私は思った」で終わっている。
◆金閣寺の放火に関しては、小林秀雄の「金閣焼亡」という論文もある。
小説家の水上勉の「金閣炎上」という作品もあると知り、早速図書館で探し借りた。▲
新潮文庫・昭和61年2月発行
「昭和25年7月2日未明、鹿苑寺金閣は焼亡した。放火犯人、同寺徒弟・林養賢、21歳。
果たして狂気のなせる業か、絢爛の美に殉じたのか?生来の吃音、母親との確執、
父親ゆずりの結核、そして拝金主義に徹する金閣への絶望・・・・。
6年後、身も心もぼろぼろになって死んでいった若い僧の生を見つめ、
足と心で探り当てた痛切な魂の叫びを克明に刻む長編小説」
作者のあとがき「この作品は、20年越しに成ったもの。犯人の林養賢君と縁も深かった。
在所も近かった。色々と周囲のことを調べ、人から話を聞いていくうちに、考えがまとまった。
その時間に20年かかった。作品はこの歳月の報告である。昭和54年6月」
三島作品と違い、金閣の炎上で終わっていない。その後の主人公の生き様まで追っている。
対象は金閣よりも林養賢の生だ。最後は探し当てた養賢と母親の墓の場面で終わっている。
解説の饗庭孝男は「作者の菩提の心」と言っている。「不幸の力の内実」とも言う。
文庫本で347ページ。
2冊とも深く心に響く小説であった。
|
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
2018年12月20日
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]







