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読書
『夫の後始末』曽野綾子、講談社、2017年7月第1刷発行・11月第4刷発行
本の広告に
「夫90歳、妻85歳。夫はある日、崩れるように倒れた・・・・あなたにもその日はやってくる」とある。
「たちまち重版」とも。
昨年の11月に予約をして、
半年以上待たされたがやっと手にすることが出来た。
著者は、実母、義父母の3人を自宅で看取っていた。
それも作家生活をしながらである。
当然夫もそうするつもりだった。
著者は1931年生まれ。
夫は2017年2月に91歳で亡くなった。
夫の三浦朱門とは63年の結婚生活であった。 2016年9月から2017年7月まで
「週刊現代」に連載したものを、単行本化したもの。
もともとは「自宅で、介護をすること」という題の本にしたかったそうだが、介護生活は1年1か月で終わりを告げた。
自身も体のあちこちに不調を感じる、まさに老老介護なので、
「介護人としての体力がそろそろ限界にきていると察して、
夫は自分からこの世を辞去する方向に歩み出したのかもしれない」と書いている。
やってはいけないこと「胃ろう」「気管切開」「多重の点滴」などについても触れている。
91歳の夫の死後は自宅で葬儀をした。3人の親もみな同じようにそうした。
仕事関係者に迷惑をかけてはいけないので、秘密葬にしたという。
かつて実母が亡くなった日にも、講演に出かけた。
「自分のうちの事情で、世の中に迷惑をかけてはいけない」と夫に言われたのだ。
長く続く介護生活を覚悟して、購入した介護ベッドが届いたのは、夫が最後の入院をした日だった。
それは後に自身の自宅での診察用に役立つことになる。
作家生活をしながら、介護には手抜きもしながら生活をしたが、
さすがに夫が亡くなった後には時間が増えた。それは、読書や花の世話に費やされた。
夫の死後、へそくりだったのか12万円が出てきた。それで猫を買ったという。
多くは変わらない生活の中で、少しずつ変化のある生活が生まれてきているのだ。
介護生活、入院生活、夫の死・・・・感情的でなく、極めて冷静な文体が続く。
やや男性的な文体だ。しかし、その奥には、夫との幸せな結婚生活をかみしめているのが分かる。
「夫は、思い出すだけでおかしく明るい人だった」「これは誰にとっても幸せなことだ」
と言っている。羨ましいほどだ。
親の介護、そして自分たちの将来の姿を見るようで、この分野のことに関心が出ている昨今だ。
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