氏本農園・祝島だより

万葉集に詠われ歴史豊かな自然あふれる、万葉浪漫の瀬戸内海「祝島」での暮らしを氏本農園からお伝えします

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7月2日 民間型生物多様性直接支払い
 先日、農業生産者の元締(?)団体である全国農協連合会(JA全農)のSR推進事務局長である原耕造さんが来島されました。 SRは企業間で今日的流行のCSR(企業の社会責任)のSR(社会責任)です。
 全農にとってのSRとは国内農業を環境保全と良質の農畜産物生産が両立する産地に誘導することだとして、産地の環境保全度の点検やその先にある国内農業の振興方策を提案しています。
 その手始めとしてSRなどとお堅い表現とは逆に、水田の「田んぼの生き物調査」の普及などの旗振り役をしているのが原さんです。
 原さんは仕事の傍らで、団塊の世代向け雑誌「GAUGUIN(ゴーギャン)」に「原耕造的世界」というコーナーを連載しています。そこでは国内農業に縁遠い働きバチ(だった)世代になぜ環境保全型農業なのか、なぜ生物多様性なのかを、カエルやホタルを引き合いに出して平易に解説をしてくれています。
 その原さんが目指すのが、国の農業政策から脱却した、市民が産地の生き物調査などを通じて環境に優しい(生物の多様性を守る)産地の生産物を買い支えることで環境保全型農業を支援する「民間型生物多様性直接支払い」です。
 閉鎖系循環型農業を展開する祝島はこの民間型モデルとして面白いね、というのが原さんの感想です。
 
7月3日 雨後のタケノコ
 冷やかし程度の雨でお茶を濁している今年の梅雨に愚痴っていたら、久々のまとまった恵みの雨が来ました。
祝島はかつて岩見島と言われただけあって火山岩の島なので、もともと保水力がありません。 それに加えて耕作放棄地や休農地が増えて農地の保水機能が低下していることも明らかです。  川の水も一気に流れ出て直ぐにパタリと無くなります。
 お隣りの数少ない水田農家の林さんが「これぐらいの雨じゃったら昔は4〜5日は川に水が流れちょったが、最近は3日もたんで」とこぼしています。
 1週間ぶりにビワ畑を覗くと、ビワの木の枝を押しのけるようにタケノコがニョキニョキと伸びていて、びっくりしました。 長いヤツだと5m以上になりますので、毎日数10cmずつ伸びている計算です。「雨後のタケノコのように」とは良く言ったものだと思います。
 驚いたマキが「これ何?」という表情でこちらを振り向いています。

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6月30月 祝島でミートホープ的事件は起こるだろうか?
 どんな企業でも業務が細分化し、組織的に企業利益が追求されると、反社会的行為を犯す事例が発生しがちです。経営者や従業員だけでなく株主にも原因はありますが、個人が組織としての単一価値を強制され視野が狭くなくなってしまい、相手の立場に立つ余裕を持てなくなることが要因の一つのように思います。 
 他への敬意を欠けば、ミートホープ社の肉偽装事件なども含め、他をおとしめてまで自分を利する犯罪につながってしまいます。
 農業分野でも特定の農畜産物を大規模に専業に生産する経営志向が強く、国も国際競争力の強化などとその方向を支援していますが、経営者は特定の視野しか持てない頭にならないよう、視野を広げる努力が一層必要になってきます。
 祝島の住民は一人で幾つもの「生業・なりわい」を持っています。漁業権のある漁師さんも農地を借りて農産物を何種類も生産し、自家用だけでなく販売もしていますし、その逆もあります。船大工さんは、陸(おか)大工もやり、漁船を持って漁もします。 作る大変さや育てる大変さが解るので、漁師さんもビワの一粒を大切にし、大工さんも小魚の一匹を大切にします。
「生業」の定義には議論のあるところでしょうし、兼業も生活のために止むを得ずの部分が大きいこともありますが、少なくともそのおかげで複数の視点を持てて、他(人)への敬意〜尊重につながっているように思います。
 祝島で暮らしているとその常識を持てているかどうかが大切なんだと感じます。そして、私は今のところまだ農業しか出来ていませんので、どうも半人前にしか見られていないような気がしてなりません。 

7月1日 大企業の総(CSR)社会責任放棄
 故意の犯罪にまで至らなくても深刻な過失事故を起こす事例が頻発しています。 現金自動預払機の広域トラブル、航空機の発券トラブルなどなど市民生活に大きな影響を出大規模なシステムトラブルで、そのほとんどが大企業発です。
 ITシステム大手・富士通の黒川社長が日経朝刊「そこが知りたい」コーナーで、IT専門スタッフさえも全体を把握しきれないほどシステムが大規模化する一方で、システムが細分化され下請けに出されて、工程管理や意志疎通が困難になっているのが大きな問題点だ、と述べています。
 もっともな意見で説得力がありますが、そうであるなら食肉業界で大手メーカーの下請けとしてその問題点につけこんで不正を働いたのがミートホープ社なのであって、結局は仕事を下請けに出すことで効率化だけを手に入れようとしている、日本経団連の意識構造なのでしょうか。
 下請け企業が事件を起こすと発注元の大手企業は平気で恥ずかし気もなく(私にはそう見える)だまされた被害者の立場に立とうとします。 ユーザーの立場からするとほとんど同罪なのですが、当の発注元大手企業にはそのことが見えていないようです。

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