今年が閉じようとしているのに、年の最後を締めくくるこの度の衆議院選挙結果によって、個人的には何とも後味の悪い一年になってしまった。
この衆院選結果も我われ有権者の選択の結果なので、誰のせいにする訳にもいかないのだと思えば、余計に後味の悪さが尾を引く。
まるで、食材の栽培から調理まで一つひとつ手作りした安心で美味しいこいわい食堂の料理のお品書きの最後に、自販機から買ってきた人工甘味料の清涼飲料を記載するようなものだ。
その後味の悪さを少しでも紛らわし自分の手で新年を招き入れたいと、太佳ちゃんや息子を誘って今年も我が家やこいわい食堂などのしめ縄作りをした。
指導役は名田(みょうでん)さん、93歳のおばあちゃんだ。 彼女は立派な現役で、日頃から畑仕事のかたわら古布を利用したいろどりも若々しい室内用草鞋(画像はその草鞋としめ縄)なども作ってくれ、訪中の際のお土産などに重宝している。
みんなで名田さんと一緒にしめ縄作りをしながら、老若男女合い交えて新年を迎えるための作業ができるような暮らしを何としても続けていきたい、と強く思った。
それは郷愁でも感傷でもなく、3・11福島原発事故を受けた我われが目指すべき社会「懐かしい未来」のワンシーンなのだ。
高齢者が望むかぎり現役でいられる社会、その高齢者から引き継ぐ知恵や技を太佳ちゃんや息子たちが活かして、衣食住に必要なモノは買うのではなく、できるだけ自分たちの手で作る自給度の高い暮らしこそエネルギー100%自給社会の姿であり、目指すべき未来なのではないだろうか。
そのような未来は、これから新たに開発する科学技術がなければ到達できないものではなく、これまでの先人たちの自然への畏敬〜自然生態系や生物多様性の意識に裏打ちされた経験や知恵といった既知の集積をもとにした、時間軸でも先人たちと確実につながっているという実感において「懐かしい」のだ。
一部の学者や企業家、役人は未だに数値的増加しか「成長」と認められない呪縛意識から抜け出せずにいて、成長のためにはTPP参加が不可欠だなどと叫んでいる。
それに、どんなに精度の高い科学的技術も、その信頼性は技術そのものではなくその技術を使うヒト側の資質に決定的に制約されることを認めたがらない。
彼らは「成熟」こそが究極の成長だと理解する知性と勇気を欠いている。 ここ数日の安倍総理や関係閣僚による原発新増設復活への言及はその典型例だ。 彼らにこそ意識的成長〜成熟が必要なのだ。
新年が「懐かしい未来」への一歩となることを願って、大晦日の除夜の鐘をつきたい。
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