氏本農園・祝島だより

万葉集に詠われ歴史豊かな自然あふれる、万葉浪漫の瀬戸内海「祝島」での暮らしを氏本農園からお伝えします

こいわい食堂

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 22日は、2年前のこいわい食堂プレオープンの日ということで、2年間続けてこられたことへの島民の方々に対する感謝をこめて、練塀蔵で二周年記念ライブを開催した。
練塀蔵に入りきれず、庭でひたすら酒を飲む人も多くいて、ありがたいことに大入りだった。

 手弁当で出演してくれた島内在住のミュージシャンは多士済々だった。
海野山彦さん、えじり玉五さん、若草三平さん、北野杜夫さん、Toshiさん、Shihoさん、ヒロシさん、児玉誠&れいなさん(出演順)
 最初からの5人は芸名で、普段は町内会長や町議会議員、PTA会長などの立場で地域に尽力されている従来からの地元の方々だが、後者の4人は近年以降に移住してきた方々だ。

 歌のジャンルもナツメロ演歌から海外ポップスや自作曲まで、海野山彦さんのギターをバックに、あるいは弾き語りで、あるいはアカペラで、大笑いの手拍子歌あり、はたまたしんみり歌あり、大いにライブを盛り上げてくれた。
 終盤には民ちゃんまで飛び入りで、ギターを「持って」歌ってくれた。(民ちゃんのために曲名は明かしません)

 まさにこの多様さが、地域のダイナミックさにつながる貴重な要因なのだと思う。
集計によれば去年から今年にかけて、島内人口は自然増減(出生・死亡)が16人減で、社会増減(転入出)が16人増だという。
 この増加した16人は経歴も年齢も異なる多様な人たちで、祝島でもそれぞれに個性がにじむ多様な暮らしをしている。

 大企業を1社誘致すれば(上関町の場合はそれが原発)、一度に数十人の従業員が町民になり税収も増えるだろうが、その新町民たちの帰属意識は当然に企業に向かうし、発想や行動も企業人としての枠にはまって、ある種の画一性は否めない。

 千年の歴史を重ねてきた祝島が次の千年に向かうためには「大切なものを守るために変わる」ことのできるダイナミックさ〜発想や行動力〜が必要だと思う。
 そして、そのダイナミックさを担うのは、画一的な人たちではなく、多様な思考や行動をできる人たちではないかと思うのだ。

 転入してきた方々の多くが、島での自給的「食」を大切にしていて、昨秋に復活した「島の朝市」に積極的に関わってくれてもいる。
島の朝市は、島の農水産業の大切さを島民自身が再認識する場としてその存在はすごく重要だ。

 資源浪費型、原発依存型の暮らしの典型が、輸入食糧に過度に依存する日本の歪んだ「食」の分野だということを考えたとき、「食」の地産地消を起点にして、暮らしのエネルギー全般〜電気、水、なにより人材〜の地産地消、自給に関心を向けなければならない。

 私が3・11東電福島原発事故から学んだことはそのことだった。
だから、こいわい食堂は「食」の地産地消〜ひいては脱原発〜の意義を発信する場として微力ながら寄与できればと願っている。

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 小女将(こかみ)の太佳ちゃんは9月中旬から10月中旬まで長期の秋休みをとっていて、こいわい食堂は休業している。
 この間に太佳ちゃんが大学生時代に留学していた中国の北京から、宿舎のルームメイトだったリー・シンさんが、国慶節休暇を利用して娘のノ・ノちゃんを連れて来日してくれた。
 ご主人は仕事の都合で同行できなかったが、旅行企画の仕事をしている彼女は、日中関係がこじれているなかで初来日してくれたのだ。

 彼女の周囲は危険だから訪日を中止するようにとの意見が多かったのに、彼女は自分の目で日本を確かめたいと、押し切っての旅行なのだそうだ。
 彼女と同行予定だったもう一人の学友は結局国外旅行許可がもらえず訪日を断念したという。旅行許可を得られた人と得られない人がいるという事実に、やはり国情の違いが見えてくる。

 リー・シンさんはありきたりの観光地巡りではなく、タカコの暮らしを見たいからと2泊3日を祝島訪問に充て来島してくれた。
 そして海岸で遊び、わが家の動物たちに触れ、タミちゃんなど島オバちゃんたちとカタコトの会話をして祝島を楽しんでくれたようだ。
 ミッちゃんは神舞で使った和服布でノ・ノちゃんのスカートを縫ってくれた。ノ・ノちゃんはすっかりマキが気に入って宿舎の太佳ちゃん宅に連日連れ帰った。

 夜はわが家の練塀蔵で祝島づくしの日本的食事を体験してもらった。
正本さんやタミちゃんが差し入れしてくれた獲れたてのタイやアジを林さんの新米をカマドで炊いて手巻き寿司をした。 ヒジキやエビやタコも祝島産(海苔だけは太佳ちゃんの親戚が作った島外産)だ。
 日本語、中国語、英語がごちゃごちゃになって会話が弾む。 眠くなったノ・ノちゃんはマキと傍で寝てしまった。

 大都会の北京市内でマンション住まいのリー・シンさん家族にとって、瀬戸内海も星も夜の静寂も、そして動物や植物に囲まれて暮らし、そこで獲れた食材で食卓を囲めることはすばらしく豊な生活に感じるという。
 それなのに、中国ではみんなが北京や上海や香港など大都会に住みたがる、タカコのように敢えて田舎に住もうとする若者のいる日本はやはりすごいと思う、という彼女の意見には、さすがに買いかぶりすぎで、祝島に住む若者たちは日本でも少数派なのだと、太佳ちゃん自身が教えてあげていた。

 そして、個人同士ではこんなに友好的に交流できるのに、どうして国同士でトラブルを起こしてしまうのかと残念がり、利権や野望が人々の心を乱すからトラブルのもとになるのだという彼女の意見に、私は同感し、原発も同じ構図だと思った。
 帰国したら、来日に反対していた周囲には、接した日本人はみんな優しく明るく親切だったと教えてあげるのだと、リー・シンさんは何度も繰り返してくれた。
 書生論的ではあるが、政治家や国の役人任せにしないで、自分たちの身の丈でできる草の根交流を実践することが必要なのだと改めて思った。

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 祝島では干しひじき作りの真っ最中だ。
ベテランの島民に混じって、Uターン者やIターン者も加わって作業をしているのを目にすると、なぜかうれしくなる。
 男性陣は生ひじきや炊き上がったひじきの運搬、薪運びなどの力仕事、女性陣は生ひじきの選別や干し網に広げるなどの手先作業と、役割分担もできている。

 こいわい食堂の太佳ちゃんも仕事の合間に民ちゃんチームのひじき作業に借り出される。 そのあおり?で私も何かと手伝うことになる。 そして、我が家で長く休眠していた大釜もひじき炊きのために現役復帰した。(画像参照)
 祝島の天然資源や老若島民の手間、旧設備の復活など総動員だ。

 釜炊きの薪は雑木林の間伐材だし、乾燥は太陽光と海風による天然乾燥なので、完全に脱化石燃料、脱原発の作業が以前から当たり前に続いている。
 こうしてみると、干しひじき生産は、まさに祝島自然エネルギー100%プロジェクトの典型的な取組みなのだ。
 祝島の次代につなげる取組みが少しずつ進んでいるのを実感できると勇気がわいてくる。

 全国各地の農山漁村でもこのような伝統的作業がごく普通に無意識的に行われているのだろうが、東電福島原発事故を受けて、もっとそのことを国民みんなが意識し、評価してもよいのではないだろうか。

 太佳ちゃんや大釜が作業に参加したことで、民ちゃんから干しひじきの現物が支給されて、こいわい食堂として民ちゃんチームの干しひじきの販売が認められた。
 これまで主に島外向け干しひじきの販売を担っていた祝島市場と重複しない新規消費者の開拓、ひじき(祝島特産品)の販路拡大、移住者の経済的自立支援などが狙いだ。

「以下はこいわい食堂の販売広告です」

私の尊敬する師匠、民ちゃんに教えてもらった釜炊きひじきです。
鉄の大釜で3時間ぐらい炊いているので、水で戻しただけで食べられます。

電話は 0820−66−2231(金、土、日、月曜日の午前11時から午後3時まで)

1パック(80〜90g)500円(送料別)で、3パックにつき氏本農園産無農薬のはっさく又はだいだいを1個お付けします。

はっさくやだいだいは、搾ってオリーブオイルや塩コショウと混ぜてひじきサラダのドレッシングに使っても、剥き実をほぐしてひじきや野菜といっしょに和えても美味しいです。(画像はこいわい食堂のひじきサラダ料理例) 

ご注文お待ちしています。

小女将(こかみ) 芳川太佳子

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 15日(日)の東京新聞に、社会面見開き2面を使った「こちら特報部『脱原発のココロ』」欄で「こいわい食堂」小女将(こかみ)の太佳ちゃんが取り上げられた。
 身内びいきになるが、取材の視点や記事中に取り上げられた太佳ちゃんのコメントなどから、記者の感性が伝わる良い記事だと思った。

 たまたまこの日の同紙1面では、横浜市内での脱原発世界大会の記事が大きく取り上げられていて、それの関連記事だったようだ。
 イベント的に大勢で集まって脱原発を論じ、デモをするのも大切だし、署名活動も大切だが、太佳ちゃんがこいわい食堂を通じて実践しているように、誰でも日々の平凡な暮らしの場面で、気張らなくても容易にできる脱原発の取組みも、劣らず大切だと思う。
 これまで着けっぱなしだったコンセントを1つ抜くことも立派な脱原発行動だ。 各戸で1つのコンセントを抜けば、全国では数千万のコンセントを抜いた大きな節電になるのだ。
 
「国や電力会社が変わりたくなくても、私たちは変われる。私たちが変わることで彼らも変わらざるをえない」という太佳ちゃんの言葉には説得力がある。
 ミツバチの羽音は、一匹では髪の毛も動かせないほどの小さな力でも、みんなでブンブンすれば世の中を動かせるほどの大きな風を起こせるということだ。

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 こいわい食堂に太陽光を集めて太陽熱として利用するソーラー・クッカーが登場した。
シンプルな構造で扱いも簡便だし、環境を守ることにとりわけ熱心な小女将(こかみ)太佳ちゃんは、たちまち気に入ったようだ。 我が家に太陽光発電設備の設置工事をしてくれたエコテックという会社が紹介してくれたものだ。

 枇杷茶をソーラークッカーで沸かし、ご飯は果樹を剪定した枯木などを燃して歯釜で炊き、冷蔵庫の電源は太陽光発電、掃除などの生活中水は井戸水、便所は汲み取り不要な無水コンポスト方式と、着々と「お天道さまの恵み食堂」として、小女将の狙いどおり自然エネルギーの自給度を高めている。

 数年前から肉牛プロジェクトのお手伝いで中国内陸部の黄土高原地帯の農村部に足をはこんでいるが、かなりの農家が土壁でかこまれた内庭にこのソーラークッカーを置いていてお湯を沸かしている。
 それでなくてもはげ山のような山肌の潅木がマキとして伐採されるのを防ぐ州政府の対策でもあるらしいが、雨が少なく晴天の多いこの地域ではすごく合理的だと感心し、つねづね祝島でも見習って導入したいと思っていたところだった。

 他にも、村ぐるみで各農家の牛舎床下に糞尿からメタンガスを発生させる発酵槽を設置し台所用燃料にしようと取り組んでいる地域もある。 公共事業大国である中国の農業公共工事だろうとうがった見方もないわけではないが、地方の自治政府レベルでは環境保全に真剣に取り組んでいることも事実だ。

 農村部を貫く高速道路を走っていると頻繁に大型トレーラの車列に出会う。 荷台に積まれているのは発電用大型風車のタワー(柱)やブレード(羽根)だ。 発電用風車の設置台数が世界で最も増加しているのが中国だと何かの資料で読んだ。
 しかし一方で今後建設が計画される原子力発電所数が最も多いのも中国だという。 とにかく国全体で電気エネルギーの需要が急増しているのだ。

 そのことは、くだんの農村地帯を訪問するたびに人々の生活が変化していることからも実感する。
農村部でも携帯電話やテレビはいわずもがな冷蔵庫や洗濯機などの電化製品やファストフード系のカップ麺などの普及が著しい。
 反面、生活排水の処理や使用済みレジ袋や発泡資材の処理などのインフラ整備や人々の意識が追いつけていないので、そのひずみが環境に大きな負荷をかけるようになってきた。
 訪問先の農家でソーラークッカーがお役ご免になって庭の片隅に裏返しにされ、それまで出してくれていた熱い中国茶がペットボトルの中国茶に変わって、ほろ苦い複雑な気持ちを味わうことが増えてきた。

 日本人がそうであったように、電化製品に囲まれた便利な生活に憧れ、そんな生活を求める中国農村部の人たちを少なくとも私は責めることはできない。
 ただ、かつての日本で昭和の時代に、冷蔵庫の普及が各地の優れた伝統保存食やその作り方を衰退させ、結果として食文化の多様性や食への理解度を低下させたのも否めない事実だ。
 そしてその延長線上で日本はさまざまな食を巡る深刻な問題を抱え込んで、社会の大きな不安要因や社会コストを発生させてしまった。  そのようなことを中国が繰り返さないよう願うばかりだ。

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