氏本農園・祝島だより

万葉集に詠われ歴史豊かな自然あふれる、万葉浪漫の瀬戸内海「祝島」での暮らしを氏本農園からお伝えします

こいわい食堂

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『暮らすということ』

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 今週から「こいわい食堂」が夏休みに入った。
というか夏休みに入ったのは「こいわい食堂」ではなく小女将(こかみ)の太佳ちゃんの方だ。
夏休み期間は27日まで、国内的にはロング・バケーションだが、ヨーロッパで暮らした経験のある太佳ちゃんは、ドイツやフランスでは2ヶ月間の夏休みも珍しくないので可愛い夏休みだ、などとうそぶく。
 確かに一日10食限定、ランチだけの食堂であっても、アレルギーなども考慮して食材を吟味し、お客さまごとに御品書を手書きするような食堂運営をしていれば、それなりに自身のエネルギー補給も必要になると思い「こいわい食堂」の一足早い夏休み休業に私も同意した。

 その太佳ちゃんは夏休みの告知を兼ねて、かわら版「太佳子の祝島通信『祝島の風に吹かれて』第5号」を友人、知人にバラ撒いて島からいなくなった。
 その記事のなかになかなか良いことが書いてあったので、以下に無断掲載する。(太佳ちゃんに掲載の同意を得ようにも彼女は携帯電話も持っていないし、行方不明なのでこちらからは連絡がとれない)

『自分が住んでいる地域の未来を真剣に考えながら生きるということ・・・新鮮な喜び』
 私は今までだぶん30地域くらいに住んできたが、どこでも好きで“住めば都”というのは本当だと思う。
 ただ、ここ祝島に来て初めて「こんな素敵なところを残したい」と思い、祝島の過去、現在、未来について、話を聞いたり、意見を言ったりしながら日々過ごしている。
 本来「住む」っていうのはこういうことだったんだな・・・

 短文だけれど、そこには「暮らす」ということについて的を射たことが書かれてあると思う。

 昨年来、現在上映中の祝島を取り上げた2本のドキュメンタリー映画「「ミツバチの羽音と地球の回転」や「祝(ほうり)の島」の影響で、祝島への憧憬が募りすぎて「祝島で私はこんなふうに暮らしたい」と自分の希望ばかり抱いて祝島にアプローチする若者が増えている。
 そんな若者たちにはぜひこの一文を読んでもらいたいと思う。

 一貫して鋭く国内の原発問題を告発しつづけている小出裕章さん(京大原子炉研)が「祝島島民が自分たちの将来をしっかりとイメージして暮らしているかぎり上関原発は建たない」といった意味のコメントをされている。
 それは島民ひとり一人が、自分のこととあわせて、祝島全体に思いをはせることの大切さを言っているのだと思う。
「カネで海は売らん!」とはそういうことなのだ。
(画像:上関原発建設予定地の田ノ浦を岸壁から臨む)

『地産地消』

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 最近こいわい食堂には外国人のお客様がちょこちょこ来てくださる。
それぞれ、上関原発計画を取材する海外メディアや、その建設予定地とされている田ノ浦湾の自然保護に関係する海外の研究者の方々などだ。

 先日はドイツ国営放送(ZDF)の取材クルーが取材を兼ねて来てくれた。
小女将の太佳ちゃんはドイツ語で取材に応じていた。(そういえば太佳ちゃんは3年間ドイツ暮らしをしていたのだった。ちなみに英語と中国語もしゃべれる。)
 彼らはこいわい食堂の地元食材重視「地産地消」のコンセプトや、離島の自然を活かした農水産業で生きることが上関原発反対運動と強く関連していることをすんなりと理解してくれる。

 彼らはみんな体格が大柄で、平均すれば身長180cm代、体重90kg台だろうか。 そんな彼らがご飯と野菜に近海の魚の「こいわい定食」をとてもヘルシーで美味しいと喜んでくれた。
 大陸性の気候で、とりわけ長い冬を生き延びるには、大量の肉や穀物を摂取し皮下脂肪に蓄積しておく必要があって、そんな暮らしに適合したのがドイツ人に代表されるゲルマン系の大柄な人たちだったのだろう。
 その食生活に重宝がられた家畜が豚だったのだと思う。 そういえば以前訪れたドイツ南部の農家の入り口には、豚に真珠の首飾りを掛けた大きな看板があって、奥さんと同じように豚を大切にしているという意味だと教わったのを思い出した。
 そんな彼らも肥満にならないよう日常はそれほどお肉類は食べないそうだ。

 逆にそれほど大柄でもなく厳しい越冬を強いられるわけでもない日本人の、現在の肉類も含めた飽食生活は、やはり異常だと思う。
 そんな安価な飽食を支えるため、国内の畜産業は狭い国土に畜舎を密集させて大量の家畜を飼育している。 環境にも家畜にも深刻なストレスがかかっているはずだ。 家畜のストレスは病原菌への抵抗力を著しく低下させる。
 その結果の典型が昨年の口蹄疫や鶏インフルエンザ事件だ。 いくら大量生産によって店頭での食材価格が安くなっても、大規模な家畜伝染病などが発生し、法律に基づく強制殺処分などに至れば、その後始末には多額な税金が投入される。
 それは形をかえた畜産物代金であり、しかも畜産物を食べもしない菜食の消費者にまで、有無をいわさず負担を強いる形だ。
 それでも飽き足りず、畜産物自体を大量に輸入し、牛丼業など外食産業は値下げ競争で、消費者を奪いあっている。
 そして当の消費者は肥満などの生活習慣病が増えて医療保険制度をも圧迫しているのだから、何をか言わんやだ。

 ここまで書いて原子力発電問題とのあまりの類似性に唖然とする。
安い電気をふんだんに使って快適な生活を、と原発を宣伝して電化生活を煽ったあげく、今回の福島原発のような事故が発生すれば、その何倍ものツケを消費者が払わされる。 オール電化にした家庭など目も当てられない。
未来世代にまでわれわれのツケの支払いを強いてしまう。
 そして、このような状況を招いたのは、目先の利便性や快適さしか見ずに、企業や国の口車に乗った消費者自身にも責任があるところが飽食問題と原発問題の完全な共通性だ。

 島国に住む日本人はご飯と野菜と地場の魚、味付けも最小限の天然だしで、という地産地消的こいわい定食的和食が身体になじみ健康に適したものだということだろう。
 私は豚を飼っていても、お客がもっと豚肉を食べて欲しいとは思わない。 お肉は時々で十分だと思う。
 平均年齢70歳以上の島民の元気さや、餌の原料がほとんど島内産である放牧豚たちの病気知らずがそれを証明している。

 健康な暮らしこそ一番の豊かさであるなら、地産地消の身の丈の食生活が豊かさに直結していることになる。
 そのことは、手に入れられる自然エネルギーなどの安全な電気の範囲内で生活する身の丈暮らしが安心な暮らしなのだということにも気づかせてくれる。

『シダイさん』

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 昨年11月に開業して約3ヶ月が経とうとしている「こいわい食堂」は、おかげさまで、そして小女将(こかみ)太佳ちゃんの頑張りもあって、利用客数は想定した以上だ。
 日替わり単品メニュー、こいわい定食とも予約制で先着それぞれ5食、計10食とうたっているが、グループでの申し込みが多くて10食に収まらない日が少なくない。 食事の準備は当然ながら太佳ちゃん一人なので、そんな日はテンヤワンヤになる。 

 そんなときにかまどでご飯の炊き役を務めてくれるのが、タミちゃんの一番年長のお姉さん、「シダイさん」だ。
タミちゃん世代は子供の数が多かったのでシダイさんと末っ子のタミちゃんは随分と年が離れている。
シダイさんが太佳ちゃんと初対面のとき、タミちゃんがシダイさんのことを冗談で自分のお母さんだと紹介したのを真に受けて、太佳ちゃんはしばらくの間すっかりそう思い込んでいたのだった。

 そんなシダイさんのことを太佳ちゃんのかわら版わたし新聞・「たかこの祝島通信」でとりあげている。
『しだいさん』
しだいさんの作ってくれるよもぎ饅頭やよもぎ団子は本当においしい。
「おいしい!」と伝えると「こんな年寄りの作るものを食べてくれてありがとう」と言う。
こいわい食堂が忙しいときにはご飯炊きもしてくれる。
そして「こんな年寄りを使ってくれてありがとう」と言う。
今まで聞いたことも無いような格言を言ってたくさん笑わせてくれる。
ケラケラ笑う表情もゆっくり歩く姿もとてもかわいい。
こんな風に年を重ねたい。

 シダイさんに限らないが、島のお年寄りには個性的なキャラクターが多い。 しっかりと時間を背負って暮らしていることが分かる。 そしてたいてい写真に撮られるのを恥ずかしがる。
 そっと撮ろうとしてもさりげなくかわされてしまい後ろ姿しか撮れないが、その後ろ姿から何ともいえない存在感が伝わってくる。

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 こいわい食堂が開業して2週間が経った。
映画「かもめ食堂」のように来客無しの日をしばらくの間覚悟していたが、ありがたいことに予約が一杯でお断りする日が多い。
 もっとも、島内向けメニュー、島外向けメニューとも各5食なので予約満杯といってもそんなに威張れるものではない。
 前回の記事で、予約制にしたのは食材を無駄にしたくないのが理由だと書いたが、実際に食堂を切り盛りする太佳ちゃんにとって一番の理由は、一人ひとりに心をこめて丁寧にお料理を作りたいという純粋な理由からだ。
 売上げ額よりも先ずお客さまのためにも自分のためにも食材や生産者のためにも誠実にお料理を作りたいという太佳ちゃんの姿勢に私は同感し、支持をしている。

 そうは言っても、特にいつも世話になっている島内のオバンたちからの予約は断りにくいらしく、つい5食以上引き受けてしまう。
 島内向け単品・日替わりメニューでは金曜日のお好み焼きの注文が圧倒的に多い。 ここはお好み焼き屋ではないんだけどと太佳ちゃんは苦笑いしながらもまんざらではないようだ。
 島内メニューにお好み焼きを強引に採用させたタミちゃんは鼻高々だが、陰でタミちゃんがお好み焼きを食べにいくよう島のオバンたちに押し売り的に迫っているらしいという噂も耳にする。
(画像はお好み焼きの日に食後の談笑をする島内のオバンたち)

 先の日曜日には、山口市で開催された鎌仲ひとみ監督の「ミツバチの羽音と地球の回転」上映会にゲスト出演されたISEP(環境エネルギー政策研究所)代表の飯田哲也さんが何人もの知人を同行してきてくれた。
 飯田さんは映画「ミツバチ〜」の中で、原発依存でも原発反対でもない第3の選択〜「脱」原発による地域の環境持続性と経済活性化の両立を提唱していて、傾聴に値する。
 
 この氏本農園ブログには原発反対運動に批判的な立場からの投稿も多いが、著しい誹謗中傷でないかぎりブログ来訪者に読んでもらおうと、私は敢えて削除せずにいる。
 そんなコメントのなかには、「そんなに原発に反対するなら電気の無い生活をすればいい」といった極端な論調も少なくないが、私は原発を否定していても電気そのものを否定しているわけではない。 
 原発に由来する電気が総発電量の3割を占めている(中国電力の場合)なかで、生態系や生物多様性を犠牲にする原発を建設してまでこれ以上発電量を増やすまえに、節電や経済構造の省エネ化などで脱原発は十分に可能だと考え、豊かな海を埋め立ててまで建設しようとしている上関原発に反対しているのだ。

 生物多様性を損なってまで遺伝子組み換え種子でわずかな増産を図ろうとする前に、先ず食べ残しなどの節約やライフスタイルの見直しを優先すべき「食」の分野と全く重なっていると思う。
 一握りのバイオ企業に種子供給の首根っこを押さえられている構図も日本の電力事情とそっくりだ。

 身近な素材と調理法で身の丈の食事をすることで、自給率100%に近い、十分に美味しく健康的な食生活ができる「地産地消」や「心土不二」の考えを実践・提唱したいというのが、私がこいわい食堂に寄せる大きな目的のひとつだ。

 ちなみに、飯田さんたちへの「こいわい定食」のお品書きをご紹介します。
1.林さんの減農薬米をかまどで炊いたご飯
2.タミちゃんが一本釣りであげた「やず」と島のオバチャンが育てた無農薬大根での「やず大根」
3.島のヒジキとイカと手作り梅肉でのあえ物
4.太佳ちゃんのお母さんの糠床でつけた島野菜の糠漬
5.島味噌を使った鯛のアラ汁
6.枇杷の葉茶
7.マーちゃんが1本釣りであげた鯛とやずのお刺身盛り合わせ(オプション)
 人工調味料は一切使わず、有機大豆醤油、天然塩、ミリン、ゆずなどで味付け

 7人(男性5名、女性2名)全員がご飯をお替りしました。  
料金はオプションの一品(@500円)含めて@1,500円でした。

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 こいわい食堂が24日から営業を開始した。
「涼しゅうなってからにしょうじゃぁなあで」という大工さんの希望で、我が家の練塀蔵に隣接するかつての隠居部屋が食堂への変身を開始したのは10月の声を聞いてからだった。
 その時点で、一応は11月22日をプレオープン(お披露目)とし、本営業を24日からと決めたのだった。
一応はと言ったのは、祝島の人たちや太佳ちゃんのマイペースなものごとの進め方からは、そうならない可能性も少なからずありそうだったからだ。

 大工さんや左官さんが作業を中断していなくなってしまう。 周りに聞いてみると潮が良いので漁に出たのだという。 上関原発建設予定地での抗議行動に参加するために作業を休むこともあった。
 作業中にゴイニイやタミチャンが頻繁に出入りし、大工さんや左官さんにいろいろと注文をつける。いわゆる船頭の方が水夫より多い状態が頻発し、現場で作業の補助をしている太佳ちゃんは誰の指示に従えばよいのか立ち往生してしまうのだった。

 そもそも太佳ちゃんの頭の中も、「今日する」と「明日する予定」と「将来したい」が混ざり合って作業手順などという思考がかなり希薄なように私には思えた。
 それで私の側も、スローフード的な食堂なのだからその準備作業がスローライフ的であるのはまぁ当然なのかもしれないと納得することにして、彼らに過度のプレッシャーをかけすぎないよう11月24日の営業開始日は極力公言しないようにしていた。

 地元保健所の営業許可がやっと下りたのはプレオープン3日前だった。 お店のチラシの作成はそれからだが、チラシなども太佳ちゃんは手書きにこだわった。(さすがに印刷はガリ板刷りではなく今どきの高速印刷機のお世話になった。)
 都会型ビジネス手法では、営業開始直前になってチラシもできていないのはあり得ない状況だろうが、タミチャンに頼めば島の隅々まで情報が行き渡るには数時間で十分だという祝島ならではの背景もある。

 我々の側も広報してまで行列のできるほど集客する考えは全く持っていない。
太佳ちゃん自身が島内向けチラシに「私はとろいので、今のところ1日5名が精一杯です。前の日までにご予約をお願いします。」と書いている。
 それでもなんとかやっていけそうなのが祝島なのだ。(もちろん太佳ちゃんはこの食堂の収入だけで暮らしていこうとは思っていない)
 予約制にしたのは、仕込み過ぎによる食材のロスを出さない「もったいない精神」からでもある。

 プレオープンの22日(月)は、オバンたちの応援で手作りの饅頭と枇杷の葉茶でおもてなしをした。
饅頭づくりは上関原発問題で賛否の立場を異にするオバチャンが一緒に作業をしてくれた。 床の間の生け花や島の農作物を利用したお祝いのしめ飾りも島のオバチャンの差し入れだ。
 ほとんどの什器類や家具が島内のリサイクル品だし、改修材料も大工さんのアイデアで間伐竹や古材などをできるだけ利用したので、島外からの資材購入は最小限で済んだ。

 開店ご祝儀も原発問題への立場を超えて寄せられ、多くの島民が祝島の暮らしを引き継ごうとするIターンの若者を応援してくれているのだと、私に強く伝わってきた。
 同時に、太佳ちゃんには島民の期待を重荷に感じさせてはいけない、ということも島民の一人として気をつけなければならないと思った。

《営業概要》
 営業時間:11時〜14時30分
 定休日:毎週月、火曜日

・島民向けメニュー
 水曜「うどん」、木曜「手づくりパンのホットサンド」、金曜「お好み焼き」、土曜「カレー」、日曜「チャーハン・お味噌汁」/いずれも@600円
・島外客向けメニュー
 祝島の食材による「こいわい定食」@1000円(オプションとしてお刺身か放牧豚肉料理が+500円で追加可能)
 
 事前予約制 電話0820−66−2231へ10:00〜15:00の間にご予約をお願いいたします

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