近頃風鈴をあまり見かけないし、風鈴の音を聞くこともめっきり減ったと感じるのは私の思い込み過ぎだろうか。
家の中を通り抜ける見えない風を音に変えることで、風を聴こえるようにしたのは昔の人たちの粋な感性だ。
食べ物の味を「風味」と表現する感性もまた素敵だと思う。
農業や漁業は風を味で表現しようとする職業だという見方に立てば、従事するわれわれは農作業だけでなく感性を磨くことにも真剣に取り組まなくてはならない。
祖先の感性にいくらかでもあやかりたくて風鈴を提げてみた。
エアコンの普及や治安の観点で戸や窓を閉める家が増えて風鈴の出番が減り、締め切った家のなかで世界中から集めてきた食材で作った無国籍の料理を食べる生活が珍しくなくなった現代の社会は、風にちなむ言葉からどんどん遠ざかって行くだけでなく、暗く重たい問題を抱え込んでしまっているのではないだろうか。
われわれは暮らしのなかに風流さをもっと意識してもいいのではないかと思う。
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