氏本農園・祝島だより

万葉集に詠われ歴史豊かな自然あふれる、万葉浪漫の瀬戸内海「祝島」での暮らしを氏本農園からお伝えします

営農歳時記

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『ルイくん』

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 4月25日に生まれた子豚たちのうち、小さすぎて乳首争奪戦に負けたため親から離されて我が家に連れ帰って牛乳で人工哺育している雄子豚の名前が「ルイ」くんに決まった。
 首都圏にある12年制のシュタイナー学園の10年生(高校1年に相当)7名が名付親だ。
彼らは祝島の暮らしを体験研修するため来島中で、その一環で氏本農園でも家畜の世話を体験しながら、ルイくんも合宿所に連れ帰って面倒を見ている。

 名前の由来を彼らに尋ねたところ、私が着ているTシャツのロゴ「美豚(ビトン)」にちなんで、ビトンさんちのルイくん〜ルイ・ビトンなのだそうだ。
 この美豚Tシャツは祝島放牧豚ファンクラブ大阪守口支部(会員数約1名)からプレゼントされて、気に入って愛用しているものだ。

 ちなみに昨年NPO光けんじのがっこうの小学生たちが同様の体験をした際に名づけたのは「ゆうき・だいきち」だった。
その名前には、勇気をもって大吉の幸運を引き寄せてほしいとの子供たちの素朴な愛情が込められていた。

 今回のルイという名にはその素朴さはないものの、子豚にそそぐまなざしに深い愛情がこめられていることは、彼らに預けて2日目にして、子豚が彼らの腕のなかでクゥクゥ寝息をたてて眠り、島内の路上を彼らの後を追ってトコトコ歩くほど親密な関係をつくりあげたことでもよく解る。

 私にとっては彼らの発する言葉やしぐさは、表面的には完全にいまどきの都会の若者だが、その内面には光けんじのがっこうの小学生と共通するみずみずしく優しい感性が生き続けている。

『太佳ちゃん』

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 4月は中国や北海道への用務で不在が長期にわたったが、この間氏本農園の家畜たちの世話をしてくれていたのは実習生の芳川太佳子さんだ。
 来島時、迎えに出た定期船乗り場ではバックパックを背負ったジーンズ姿に地下足袋を履いていたのでおもわずたじろいだが、行き交う人たちに片っ端から大きな声で挨拶の声掛けをする明るさは島向きだった。
 帰島してみると島の人たちからは「太佳ちゃん」と呼ばれてすっかり馴染みになって受入れられていた。
 ティラー(小型トラクタ)で毎日野菜くずなどを運搬して豚や牛の世話をするだけでなく、その合間にヒジキ採りなども手伝ったらしい。 
 島の人からはお返しにいろんな食材の差し入れを受けたり食事にも呼んでもらえたのだそうだ。

 氏本農園の正規従業員であるマキをもすっかり手なずけて毎日太佳ちゃんの運転するティラーで一緒に放牧場へ通っていたという。
 実習最終盤では母豚クルリ1号の出産に立ち会った。
目の前で次々に生まれてくる新しいいのちに感動している太佳ちゃんを見る私は、豚の出産と合わせて二重の感動を体験させてもらった。

 隣の農家のハヤシさんご夫婦は「こんな働きも者の娘さんは珍しいで。黙って帰すのはもったいないけぇ誰か島の中で嫁にもらいてはおらんかのぅ」。
 辛口のタミちゃんからも「よう働いて日焼けし顔がヒジキと同じ色になった。」と異例の評価を受ける一方、私に対しては「長ちゃんよりぁ太佳ちゃんのほうが豚の世話は向いちょる。オトコはつまらん(役立たず)。」とバッサリ!

『ヒジキごはん』

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 放牧豚たちの最近の差し入れにはこの画像のようにヒジキがよく入っている。
豆腐のオカラにヒジキをまぜた郷土色豊かな「ヒジキごはん」だ。
 島では2月中旬にヒジキ採取が解禁になって乾燥ヒジキづくりが最盛期を迎えているが、その過程で選別され商品化できないもの(私にはりっぱなヒジキに見えるが)が旬のおすそ分けとして我が家の豚たちにも回ってくるのだ。

 祝島放牧豚のように時期によって食べるものが異なると、結果的として豚肉の食感や風味などの品質にその影響が出るので、その意味において定質ではなくなる。
 年中同じ品質にしようとするなら、いつも同じ生活条件のもとで、同じ原料構成の餌を食べさせなければならないが、それは豚にとっては畜舎に入れられて、出来合いの配合飼料しか口にできない窮屈な(私が豚ならばそう思う)暮らしを強いられることを意味する。
 どんな暮らしをした豚のお肉を美味しいと感じるか、その「美味しさ」の基準や定義は人それぞれであり、その人の価値観にもつながる教養的な側面(最近ではリテラシィとかいう)があると思う。

 今月5日発売の農文協のスローフード系季刊雑誌「うかたま」vol.18号( http://ukatama.net/home.html )の「おいしいものを育てる人」で氏本農園を取り上げてもらっている。

 当然ながら美味しさの定義はさまざまなので、他の養豚方式やそこで暮す豚たちを否定するのではなく、祝島のような離島暮らしをしている豚もいて、その豚肉の品質も異なり、それが「多様性」ということではないだろうか。
 どっちが美味しいか?ではなく、それぞれが違った美味しさという味の多様性〜食べる楽しみを掘り下げてもらえたらうれしい。

 食の分野に限らず「多様性」は暮らしの豊かさにとって重要な概念だと、私は思う。
人の暮らしそのものも、都会、田舎、山間地、離島、温暖地、寒冷地さまざまであってよい。 ただ、誰かの暮らしのために他の誰かの暮らしに犠牲を強いることがあってはならない。
 それが最低限の暮らしの良識、節度というものだ。

 だから、安価な電気を大量に使いたい人たち(多数派)のために、それほど電気を必要としない人たち(少数派)が暮らす場所に強引に建設されようとする、暮らしの良識を欠いた原発に私は反対している。

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 毎日同じ場所に通って同じ顔ぶれの家畜たちの世話をしていても飽きるということが無い。
家畜たちの表情や仕草だけでなく、家畜たちの暮らしている島の自然環境の表情が一日として同じことがなく、そのことを楽しんでいる自分がいる。
 昨日も作業道のそばの苔むした石の上や、古いため池の水面に浮かぶ椿の落花の美しさにしばし見とれてしまった。 
 そしてその光景に気づく「まなざし」を持てた幸せが暮らしの豊かさ(クオリティ・オブ・ライフ)につながっているということに思い至る。

 北海道時代からの愛読書にレイチェル・カーソンさんの「センス・オブ・ワンダー」(「The Sense of Wonder」)という本がある。
 このタイトルを私は勝手に「みずみずしい感性」と意訳しているが、友人の奨めでこの本と巡りあえたことで自分の身近な日常にたくさんの感動を与えてくれる存在があり、そのことに気づく大切さを教えられた。
「足るを知る/知足」とはお金で買えない感動が身の回りにたくさんあることに気づくことかもしれない。

 霞ヶ関からは限界集落と言われ、上関原発建設推進派からは原発財源にでも頼らなければ暮らしていけないだろうとさげすまれる小さな離島・祝島にたくさんの「感動」があることに気づいたとき、それは分不相応なハコモノを整備するためのお金を欲しがる「ないものねだり」ではなく、身近な感動素材を探す「あるものさがし」の地域興し活動の楽しさにつながっていく。

『甘藷豚』

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 8月生まれ子豚(もう子豚ではない?)たち11頭を今月1日に甘藷(さつまいも)の畑に移した。 豚たちが耕作放棄地を再生してくれて甘藷を作付けした畑なので、豚たちにもその甘藷を利用する資格はそれなりにある。
 私を先頭にし牧用犬のマキが最後尾に、数百メートルの距離をおりこうさんに一群となって、横道に脱線することなく移動できた。
 人工哺育されてから群れに帰っていた「ゆうきだいきち」が私と群れの仲介役を務めてくれたことも大きい。

 しばらくの間は育ち盛りの子豚たちでも空腹を心配しなくてよく、上京してNPO生物多様性農業支援センター主催のシンポジウム「市民による環境直接支払い徹底討論」とNGOアースネットワーク主催のサイエンスカフェ「生物多様性と持続的天然資源としての染料・薬用植物」に出席してきた。
 後者では祝島の持続的農業や島に自生する日本茜や山藍の活用についてプレゼンの時間も用意していただいた。
 4日、5日と連チャンで私に合わせてくれたように設定されたおかげで、共通した視点で異なるテーマを論じる場に参加でき、終了後の交流会も含めてたくさんの刺激を受けた。
 なかでも印象深かったのは、参加者やパネラーが異口同音に、地域の生物多様性がヒトの生活(生産活動も含め)を支え、それを理解することでヒトの生活の質〜クオリティオブライフも高まると語っていたことだ。

 祝島の放牧豚についていえば、終生野宿生活し日常的に好んで土を食べているせいか下痢もせず風邪も引かない。 そのことで飼い主の私も、島の耕作放棄地の所有者も、放牧豚の肉を利用するお客さまもさまざまな恩恵を受けている。
 そして私は放牧豚のおかげで、動植物に対する自分のまなざしに感謝のきもちが含まれ、いとおしさが強くなってきたことを実感する。

 甘藷畑に放牧した初日と10日が過ぎて芋づるや芋を全て平らげたころの画像を比較してみると、4ヶ月齢11頭の見習い豚田兵でも鼻耕の仕事ぶりがよくわかります。


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