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一時、あたしはスラムのようなアパートで暮らしていた。
それは、雑貨屋時代のことです。
町中で格安で、ショップに近いというと、そこしかなかった。
引っ越しも、相変わらず友人の協力のもと、個人でやりました。
最初から、ベランダはゴミだらけ、サッシのゴムパッキンも黒ずんでいて、かえてくれたのは、畳と襖だけでした。
まあ、お金がないんだからこういうとこで、しょうがないです。
そこは、地下が駐車場になっていて、階段からすると、4階だけど5階という建物みたいでした。
その4階だから、毎日が大変でした。
当然エレベーターなどあるわけもないのです。
一度外に出たら二度と戻りたくないほど辛い階段でした。
安いのは訳があるんですよ。
世の中、上手くできてます。
しかし、下には下があるんです。
奥には、更に一時代昔のアパートがあり、そこは通るのも怖いくらいすさんでました。
まるで、お化け屋敷、スリラーものは、ここで撮れますみたいな。
色彩がセピアなんですよ〜。
ボロボロ具合も絶妙、ベランダから見えたものもそれ風なんです。
昼間なのに夜みたいなとこです。
どちらも同じ大家さんなのですが、そのあたりはビルが林立していて日が差すということがない場所でした。
こっちも昼なんか、電気をつけないといられません。
湿気で1週間で、壁にカビが生えましたし・・
奥の怖いアパートは主に外国人が共同生活をしていました。
週に1回はイスラム系のあつまりがあり、大勢の中東あたりの人々がいて、怖かった。
でも実は何もしない静かな人々だったんです。
あたしがいたとこの住人はとにかく普通ではなかったです。
隣の母娘は、今どうしてるのかな?
母親が何人かと、そのアパートの部屋で、お弁当屋さんやってたんです。
でもかなりな設備投資をしてから、仲間割れして、手に負えなくなり、町金に手を出したみたいでした。
やがて、ホスト風な取り立てやが毎日来るようになりました。
毎日怒鳴るんですよ。
ときには、あたしのところにきて、「隣はどこにいった?」とか聞いてくるのです。
そのうちドアを蹴ったりするようになりました。
何度か警察がきてました。
警察は「すぐ連絡ください、きますから」とかいってました。
それから、少しは静まったんですが、大家さんに隣を見張るように頼まれました。
大家さんは自殺の疑いがあるかのように言っていました。
たぶん、家賃も払ってなかったのかも。
でも、そんなにのぞいてもいられないし、こっちだって忙しんだよ。
なんて思ってたら、夜逃げしました。
やはり、なんとなく、何かを運んでるような気配はあったんです。
ここは、入れ替わりが激しいので、そういうのはかまっていられないようです。
大家さんは、案外あっさりしてたんで、夜逃げではなかったのかな。
そのころ、お客様には、「FARさんのお家は素敵なんでしょうね」とか言われてたけど、「いや〜そんな〜」
とか言ってたけど、本当にとんでもないとこにいました。
でも、ベランダもサッシもきれいに磨きましたよ。
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