Colour Me Pop

名古屋を拠点に活動しているバンド「ユーズドライヴズ」のベース・アキライシカワのブログ

海外訪問記☆中国篇

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05年に友達の誕生日を祝いに広州と深圳へ行った時の
お話しです。ちょっと小説風に脚色してます
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七.「JAP」

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昨日、“麗君”やホジュノ達と歩いて横断した時に開いていたゲートは閉まっていたので
ターミナルを迂回して店に入る事になった。
日本とは質の違う暑さだ。

店に入ると、あの“レン”がいた。
香港での社員旅行以来、久し振りの再開。

彼女はこれ以上無い満面の笑みだ。
ありがとう。軽く握手した。

と、昨日とは少し違うその変化に俺は気付いた。
店には先程のポーターによく似た“麗君”と同い年位の男がいた。

彼の名はケン。本名は李観林。
この後、すぐに行ったランチの際に分かったんだけど。

“麗君”は荷物を持って出てきた俺に、驚きを持った表情で出迎えた。
話をよく聞くと、どうやら今夜シンセンに来るKAZの為にも、
彼女は大きめの部屋で連泊の手配をしてくれていた様だ。

どおりで一人では大きすぎると思ったよ。

取り合えず、戻ってきた300元を返すと、“麗君”は相変わらず“my god!”の連発だ。

この旅行中、もう既に何度となくこのフレーズを聞いている俺だったが、
俺ももうお金を受け取る事なんて出来ないし、店のレジ近くに置いといた。

突然、「あなたはタバコを吸ってる」と、“麗君”が言う。


何故分かる?

昨日の俺は、機内や日本を起つ前に「タバコをやめるよ」って、軽々しく彼女との電話のやりとりで
守れもしない禁煙宣言していたのもあり、“麗君”の前では吸えなかったし、吸わなかった。

が、その反動も激しく、ホテルの部屋ではいつもより早いペースで吸っていたのも事実だ。

今朝もだが、歯は念入りに磨いてきた筈だぜ。
ばれてる筈が無い。

確かに、今日の俺は昨日買ったマルボロを持ち歩いていて、
しかしトイレで一本吸う度にその都度、
これは関空で購入したガムを噛んでタバコの臭いを誤魔化そうとしていたが、
この朝の重たいジャブ以降、“麗君”は俺がトイレに行きたいと言う度に
「あなたはタバコを吸ってる」
とズバリ指摘してくる。

このフレーズは俺がトイレに行く度に暫く言われる事となる。

お腹も減っていたので“観林”、“麗君”、“家能”、俺の4人で
商業城内3Fのレストランでランチだ。中は人でごった返している。

“麗君”に何か頼みたいものはあるかと言われたが、
メニューの品数が半端無く、俺は二人がいつもの様に食べているものが食べたい、
と通じてるのかどうなのか分からないがリクエストをした。
オレンジジュースだけは自分で頼んだ。

グアバっぽいジュースを飲んでいる“家能”。
昨日よりも幾分も俺に打ち解けてきたみたいだ。
今日の彼は昨日よりも威勢が良くって、落ち着いて座っている暇などありゃしない。
でも可愛いなぁ。

“観林”は、俺が昨日アンから見せて貰った写真を見ていくつ位かと聞かれた時、
「35」と言ってしまった男だった。
職業は警察官だとの事。
実際は21。“麗君”よりも若い。
“麗君”曰く“情場殺手”との事。要はプレイボーイって事か。
結局はそれも冗談らしく、失恋の真っ最中の様な事も言ってたっけ。

“麗君”とは仲の良さそうな感じに見えて微笑ましかった。よくわからんけど。

飯は青菜の炒めにダック、ライス、塩スープに魚の餡掛け、ミートボール入りスープ。
ミートボールは香港の食堂でのそれと同じで、やっぱり美味しくない。
ライスもいつものって感じだ。
中国の公安の男=李観林はゲストにも明るく振る舞ってくれる。

だが、同時に何だか俺の中に違和感が満ちてきた。

飯も腹八分にとどまらせていると、“麗君”は「何か好きなもの頼みなよ」と言わんばかりに
何度かメニューを差し出して来た。
が、俺はライスの追加以外は全て丁重に断った。
ご馳走様です。

うっ、またか。
“観林”がテーブルチェックをしだす。
いつもの光景が繰り広げられる・・・結果はご存知の通り。
“The killer of love”に支払いをさせた“ジャップ”なんだろうか、俺は。

店に帰ると一度だけ“観林”に「ジャップ」と言われたが、俺が反応するより早く、
“麗君”がものすごい勢いで憤っていたので、俺はすぐに、もうそんな事どうでもよくなった。
ちらっと彼を見やれば“観林”はげんこつを掌で覆う、中国式の謝りのポーズで、ニヤリとした。

俺はちょっとだけ一人になりたくなった。

六.「WAKE UP」

起きたのは何時だったろうか?

すぐにシャワーを浴びていない事に気付き、俺はとにかくシャワーを浴びようと身体をもたげた。
足が疲れていた。痛い。
やはり長旅にレッドウィングのブーツは合わない。
この時ばかりはいつも同じ過ちを繰り返す自分を恥じていた。

俺はシャワーを浴び終えると、頭を乾かしながら、ミネラルウォーターを口に含む。

“麗君”に電話をしてみる。

駄目。

KAZにも電話をしてみる。

これまた駄目。

なんなんだ。

カーテンを開ける。
深圳二日目の朝は微妙な曇り空だった。

とにかく俺は部屋を出た。
右手北側を向くと、昨日の晩飯の地点からホテル側に程近い、香港でも行った事のある食堂の様な所で
軽く飯でも食おうと思ったのだが、取り合えずチェックをしようと思い、ホテルサイドへ向かった。

中国電信のテレカもあるし、あの公衆電話なら掛け方も分かる。
なんせ騙されてますからね!

ホテルのスタッフの女の子を呼び止め、チェックをしに玄関まで行く。
英語すらわからない女達は何やら俺に提示する様に、と言っている様だ。
同時に俺は30元の請求をされていた。
何かはその時は分からなかったが、
それは俺がフリーのティーバッグと共に持ち出した少し豪華なお茶だったのだ。

しかし、一個140円はちょいと高いぜ・・・

続いて、女の子はどうやらレシートを出せと言う事の様だ。
しかし、俺はレシートは部屋だったのでその旨を伝えると、女はまた無線で連絡を取り始めた。
と、徐に300元をキャッシャーから取り出し、俺に返却する。

 ! 

そうか、中国ではこう言う形だったのだ。忘れていた。
俺は金を受け取ったが、それは“麗君”の物だから返す為に財布の別口へねじ込んだ。

公衆電話の所在を聞くと、女の子達はマクドナルドの方向を指差し、男のポーターがやってきた。
どうやら荷物を持って場所を教えてくれるらしい。なかなかの気遣い。ありがとう。

短い道中、彼は一言「Japanese?」と俺に尋ねてきた。
「Yes」即答だ。何も隠す事は無い。俺は日本人。

電話の前まで着くと彼は屈託の無い、良い笑顔を見せてくれたので、俺は握手を求めた。
躊躇う事無くガッチリと握ったその手は童顔と裏腹なポーターらしい良い手をしていた。

さぁて、“麗君”に電話だ。
もう公衆電話から中国移動に掛ける手筈は熟知している。
電話口の“麗君”は既に店にいてランチに行こうと言う。

俺は雲間を突き破った強い太陽の日差しを浴びて、
短いながらも亜熱帯の暑さと湿度の高い過酷な深圳の道を闊歩し、店に向かった。

途中、ホテルの前でさっきのポーターと目が合う。
お互い笑って別れを告げる。

頑張れよ!

五.「Shenzhen's Night」

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・・・話をよく聞いていなかったのだが、駅すぐの“香格里拉=シャングリラ”に泊まるものだと
思っていた俺はようやく話が見えてきた。
その裏(Nearな?)のホテルだ。

まぁ、以前勧められて入った二つ星の和平酒店なんかよりは遥かに良いホテルだ。
ただ、路地から入った俺達はそこに受付が無いのを知ると、
建設路に面した玄関からチェックインをした。

500元。 高っ!

正直にそう思い、チェックしようと思うのが遅かった。
いち早く、“麗君”が金を出してしまった。

「しまった!」

だが、こうなってからはもう止められないのは充分俺は知っていた。
さっきマクドで支払いをしたのが良くなかったのだろうか。
少しだけ後悔した。

部屋に入るエレベーターはICチップの入ったルームカードを翳さなければ起動しないらしい。
俺も“麗君”もそのことに感心しきりで、お互い、顔があった瞬間に噴き出して笑ってしまった。

部屋に入ると俺と、“麗君”、“家能”の3人になっていた。
“麗君”は早速帰宅すると言い出したのもあって、
明日は混乱すると思い、日本からわざわざダンボールに詰めた誕生日プレゼントの「浴衣」を渡した。

正直、あまり嬉しそうじゃなかった。

少し複雑な気分だったが、コレで中国に来た半分の役割が終わってしまった訳だ。

申し訳ない気持ちもあり、俺は“麗君”と“家能”を途中まで送ろうと思い、
三人で再びホテルを後にした。

その送りの道中は全てが懐かしかった。
なぜなら前回、彼女の家の近くの和平酒店から香港サイドへ帰った時の道だったからだ。
前回訪問時に俺がマフラーをプレゼントして、小さいジャンパーと交換した場所。

最初は途中でお別れでも良さそうだった俺はそんな事を思い出しながら
“麗君”を家まで送り届けることにした。

和平酒店の近くは路上で晩飯を食らう大量の連中が、
雲霞の如く道に居てこの蒸し暑い最中、騒いで思い思いの飯を楽しんでいた。
今の日本ではなかなか見られない光景だ。

俺は家の入り口まで彼女を送り届けてBye-Byeのはずが、「中に入っていいよ」と言い出した。

え? これって・・・俺、誘われてる?

結局これは俺の勘違いだったが、
その中は香港や夕方に見た広州での、外観は汚く、それでいてやたらと高いマンションだった。

その中庭で俺は“麗君”と少しだけ語り合った。「1Fは丸見えだねっ」と俺が言うと、
彼女は優しく笑った。たわいも無い会話だったに違いない。

それから再び外に出たが、俺は和平酒店の前で今晩の別れを告げる事にした。
明日が誕生日祝い本番なんだからさ。

最後、彼女は俺に強く何度も言った事がある。
それは、帰り道、気を付けて帰る事。変な誘いには絶対に乗らない事。。

ははーん・・・“麗君”は俺がシャングリラの前に屯していた娼婦と思しき連中に
着いて行くな!と言いたいと言う事が、俺はすぐに分かった。

「OK.OK.ALL RGHT!」
可愛いなぁ、、、しみじみ思った。

おやすみと、明日楽しみにしてる事を“麗君”に告げ、ホテルへと足を伸ばした。

俺はあの道を一人で歩いてみたかったのは、深圳の底知れぬパワーの所以たるや、ってのを
一人で歩いて見てみたかっただけ、と言うのが本音だったんだけど。

その途中、タバコを買った。店頭にラッキーストライクが無いのは一瞥して知っていたが、
一応空箱を出してみる。
無い。
店員の女は素っ気無かった。
マルボロのソフトを購入。
早速ふかすが味は悪くない。
だが、タバコに関しては中国製を吸う気にならなかった。

問題のシャングリラの前では娼婦の様な連中は一人もおらず、
一人のオッサンに声をかけられたが、にべも無く断った。
日本人よりも身の引きは早かった。中国だから?

ホテル裏口前の商店で俺はハイネケン二つとダノンのミネラルウォーターを購入した。
しっかし無愛想だなぁ。

ホテルへ戻り自分のカードをエレベーター前に翳すが、俺のカードでは何度やっても駄目だった。
結局のところ、ホテルの従業員に頼むしか無く、
この面倒くさい作業を繰り返す事を想像した時点で
これから何度も部屋を出たり入ったりする様な悪い虫は俺の中から完全に消え去っていった。

部屋へ戻り、TVをつける。
何を喋っているか分かるはずも無い不思議な感覚。

ビールを飲み、電話をしようと思ったが、使い方が分からずに寝てしまった。

そういえば何回か電話が鳴っていた気がするなぁ。

四.「2 TIMES」

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列車は90分の運転の後、深圳に到着した。

日本に比べ、やたらと長いプラットフォームには
「安全第一」
と書かれていた。
日本の事故の教訓だろうか?
そんな思いが頭をよぎりつつ、
俺は再び深圳の地に降り立った訳だ。

懐かしい再会だ。

暫くの間、俺は感傷にひたりつつ、“麗君”と話をしながら入っていく。

全てが懐かしい。

以前はショッピングセンターの中に入れば物売り達に如何わしい声を掛けられまくっていた俺も
今回ばかりは誰も声を掛けない。
それどころか、あの、広州で空港から市内へのバスで受けた、
熱ーい視線がバシバシ来ている。
来い、来い。

店に入ると俺の知らない女性スタッフが二人いた。
一人は背が高く、すらっとしたクールな常盤貴子似の、
もう一人は“麗君”と同じ位の身長の、中国には珍しそうな胸の大きい女の子だ。
今思えば、この二人の名前聞いてねえや。聞いときゃよかった。

荷物も置いて、暫くは“麗君”の歓談タイムだ。
ホジュノと呼ばれている、男か女か分からない、15,6の子供も入ってきた。
女ボスもお帰りだ。
相変わらずノーメイク(笑) でも笑顔は素敵だ。
俺は会釈をし、歩み寄って握手をした。

俺はニコニコした顔を作り、分からないその会話を暫くの間、聞いているフリをした。

やがて“麗君”は立ち上がり、こっちへ行こう、と言う。
俺が連れて行かれた場所は店を左に出て、外への通路を左に出た骨董品屋だった。

店に入ってすぐ左に居た、ホクロに特徴のある可愛い女の子は、
これまた可愛らしい子だった。

“麗君”は自分の店の如く、そこのスタッフとも親しげにしゃべっている。
後で分かるのだが、この店と、例のお茶屋さんはボス同士も含め、
スタッフ同士の仲は非常に良いらしい。

また、お茶屋さんに戻ると、「取り合えず飯を食いに行こう」という話になった。
摩天楼に食事に行こう。良いか?と、“麗君”に聞かれた俺は二つ返事で「OK」と答えた。

しかし「摩天楼」ってなんだ?
俺は期待に胸を膨らませる。
LET‘S GOだ。

“麗君”、“家能”と何故か、ちびっ子とホジュノ、そして俺。5人は動き出した。

深圳の夜へ。

道中、俺は「ホジュノ」と呼ばれているフキゲンそうな子が男なのか、
それとも女なのか、ずっと疑問に思っていたので、“麗君”に聞いてみた。

答えは無かった。

聞いてないのか? お〜い!!

着いてびっくり。そこには日本でも見覚えの在る赤い看板「麦当芳 = マクドナルド」
そう。マクドって奴だ。
と、取り合えず・・・食べよう。
俺は努めて冷静さを装おうと必死だった。

どうやら“家能”はハッピーセットのおもちゃが欲しいらしい。
今回の支払いは俺がした。
必死に彼女たちは抵抗していたが、俺は今まで全ての支払いをさも当たり前の様に
やってくれる彼女に対して、申し訳ない気持ちで一杯だったのだ。
まぁ、それは当たり前の事なんだが・・・

“家能”とちびっ子はストローを何本も繋ぎ合わせて、お手製のソードを作っていた。
その長さを競い合う二人は微笑ましく見えた。子供はどこの国も変わり無いもんだ。

俺は無理やり頼んだチキンバーガーと、香港にもあったライスがサンドされている
ナンらしき物を食べた。コーラを飲んだせいもあり、お腹は一瞬のうちに満たされた。

“麗君”はもっと俺に食べるように促したが一気に疲れも出てきて、
それ以上何も食べる気には到底なれなかった。

ホジュノは相変わらず静かだったが、俺が“家能”とじゃれ合っているのを見て
気を緩ませた様に、ふと可愛らしい笑顔をみせた。

女の子だ。

俺はとても失礼な質問をしていた様だ。
前言撤回とは正にこの事だが、もうあまり喋る気力も無く、不問にして頂きたい気分だった。
ゴメンね。

一つ、気になったのはチキンナゲットのソース。香酢ソースなのだ。さすが中国。

やがて店の外看板の光が落ち、閉店を告げた。俺達も出る準備をした。

どうやら“麗君”達は俺をホテルまで案内してくれるらしい。
マクドからすぐ近くの、路地を入った所に、そのホテルはあった。

周りには熱―い視線の中国人が目をギラギラさせて当ても無く徘徊している。

三.「再会」

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“麗君”は“家能”の手を取り最終ゲートを見ながら俺の左手からやって来た。
俺の方が最初に気が付いた。

黒いポロシャツにジーパン。パーマをかけた髪のせいか、少し雰囲気が変わった様に見えた。

再会。

向こうも俺が髪を短くしたのに気付いたらしく、少し戸惑った表情だった。
少し元気が無いのかな?
お互い何だかよそよそしい感じだった。
最初「Hi!」と声を掛けたのは俺だった。

続いて、初めて動く“家能”と話をした。
俺の「Hello!」に対して、彼は“麗君”に促される様にして、小さく「・・Hello」と答えてくれた。
彼は俺が初めて喋った中国の男の子だ。多分。しかも英語だけど。

話はそこからすぐに動き出した。どうやら彼女は俺に今夜深圳に来いとの事だ。

暫くの日中英語バトルの後、やはり俺は彼女に言い負けた。
いや、負けても良かった。

考えずとも広州の一人旅なんぞいつでも出来る。
泊まる場所が安いのも相まって、俺はすぐに頭を切り替える事が出来た。

男二人は“麗君”に付き従うがまま、バスに乗り込んだ。

初めて乗り込む広州のバス。
周りの俺に対する目は、今日以降始まるであろう熱ーい視線の序章だ。
彼女はそこでMP3を取り出して俺に渡してくれた。
あの曲だ。
“Take me to your heart”
俺は大体の歌は一度聞けば分かるのだが、この曲は彼女に何度も聞かされている。
彼女は相当好きなのは分かるが、この曲には何か意味があるのだろうか?
ふとそんな思いが頭をよぎり、帰国したら意味を調べてみようと思った。

“家能”の5歳児らしい、落ち着きの無さは、日本の子供と何ら変わりは無かったが、
初めて見るであろう異邦人を前に口数は少なかった。
空港では俺が出したチュッパチャップスも軽く拒否したくれた。
これって反日の現れ?(笑)

バスは高速を経由して広州の中心へと入ってきた。

都会だ。
それもかなり大きい。

意外な程高く並んだ高層ビルの林立する街には高速が何本にも折り重なり、想像していた以上だった。

ただ汚さは深圳とどっこい位だろうか。
中国とはこういう所なんだろうな、と俺は考えていた。
真新しいビルと汚さの中にごったがえす人の群れ。

“麗君”の顔が冴えない。
話をすると彼女は3年前にこの地に居たと言う。
この地に良い思い出が無いのだろうか?

日本から来た俺は“食在広州”にすごく惹かれていたし、
当然、今夜の食事はこの地で、と思っていたので、肩透かしを食らった。
どうやらすぐに深圳に戻るらしい。

バスはどこぞのターミナル(今、考えるとどうやらホテルの前の様だった)に到着し、
その前にけたたましく蟲くタクシー、バイクの集まる場所にやって来た。

“麗君”は何人かのタクシーに交渉し、その先頭にいる車に乗り込んだ。

この子は強い子だと俺は改めて思った。

驚いたのは広州のタクシーは動物園ばりの鉄格子が背面、側面にあり、
治安の悪さをすぐに連想させた。
タクシーは前回、深圳に来た時に初めて乗った車と
相変わらずのボロさでガタガタと市内を走っていった。

お金は相変わらず“麗君”が払っている。

何故だか分からないが、いつも言われるのは

「ここは中国だから」と。

相変わらず、立ち打ちの出来ない俺はこの時、
既に帰国の前に何とかして金を渡さねばと思っていた。多目に両替をしたのが幸いだ。
タクシーは何やら駅らしき場所に着き、降りた僕達が入っていくとやはり駅だった。

“麗君”に導かれるがまま、一つの売店で立ち止まった。
彼女が説明した。私の友達だ、と。

はにかんだ女の子は可愛らしい顔立ちをしていた。俺は軽い会釈と「Hello」で返した。
スタッフは気遣い、俺達にドリンクを差し出した。勿論、金など要らない。
“麗君”は丁重に断り、話もそこそこに切符を受け取り、ホームに入っていった。

俺は流されるがままに様子を見ていたが、券売窓口は全て閉まっていた。
先に買っておいてくれたみたいだ。
勿論、“麗君”が指示をして。

広深列車。そう、電車だ。
そしてここは広州東駅。

切符を見て、ようやく今どこに居るのか理解出来たわけだ。
中国の電車は自動改札では無い。

やがて“麗君”が売店でコーヒーを買って来てくれた。
前回2回目のシンセン突撃後の朝、上水で飲んだ、雀巣=ネスカフェを再びチョイスした。

・・・甘い。

やがてゲートが開き、列車に乗り込んだ。
座席指定なのだろうか、なかなか“麗君”は座ろうとしない。
暫く歩き、“麗君”がここに座ろうと言って座った席は4人が座れるテーブル席だった。
既に女の子が座っていた。

俺と“麗君”が二つのシートに座り、“家能”がその間に入った。
列車が動き出す。東莞を経由して深圳着の列車だ。

俺と“麗君”、“家能”はたわいも無い会話をしながら深圳に向かっている。
途中、“家能”の名前を漢字で書いて貰ったり、“家能”と落書きしたり、お菓子を食べたりと。
“家能”がパンケーキの上の部分だけを食べていて、それをネタに話をしたり。

大分、俺の英語も通じて出して、“麗君”の表情も明るくなった。俺の思い込みだろうか?
いつの間にやら電車も広州を出ていた様に思う。

と、突然、携帯をいじってばかりいる目の前に座っている女の子がすすり泣き出した。
俺は表情にこそ出さなかったが驚いた。
携帯を2個取り出し、泣いている。
周りから見ればそれは不思議な光景だろう。

何だか複雑な気持ちにさせられた俺は、深圳の眩い光を見ながら
“麗君”や“家能”との会話を続けた。

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