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とある暑い夏の、遠い日のこと。
その頃つきあっていたカレシとは、ボンビー(貧乏)な交際だった。
その日も、お金のないカレシはウチに遊びにきて、
「腹減ったな」
とポツリと呟いたのだった。
何もナイなりに、お腹を空かしたカレシに何かご馳走しようと、戸棚を開けて…。
そうめんの乾麺があった。
大鍋で、茹でる。
そうめんのつゆなんてシャレたものさえなかったので
ダシの素と醤油とみりんと酒を小鍋で煮立たせて作り
冷蔵庫を覘くと生姜がひとかけらだけあったので
すりおろし…
そうめんは袋まるごとを茹でたので、ざっと4〜5人分位の量があったのではないか。
ふたりして「うまい、うまい!」と言ってはペロリと平らげてしまったのであった。
それはそれは暑い夏の日。
ボンビーで何もナイところに、夏に見合った涼しげなそうめんができあがる様を
カレシは驚きの表情で、心から喜んでくれた。
こんな粗食にも関わらず、私も心から美味しいと思った。
ふたりで食べるから美味しいのかもしれなかった、それもあるけれど。
生姜があるのとないのとでは、雲泥の差ではなかっただろうか。
この時の薬味は、たまたま生姜だった。
例えば、蕎麦ならわさびとか、ねぎや大根おろし、海苔は何にでも合う。
ダイエット中の我が身・・・今朝はところてんを食べた。
いかに粗食を豊かに味わうか。
ところてんには、酢のタレしか附属しておらず、事前に練りからしも一緒に買っておいた。
贅沢を言えば刻み海苔も欲しいところだが、からしで充分。
私のこだわりを言わせてもらえば、このからしも、黄色い粉練りからしでないといけない。
本からし、などという、おろし生姜にもにた色合いの本格的?なからしが売られていたが、言語道断である。
チューブから押し出すと、歯磨き粉のような形状で何ともいえなかったが
すかさずところてんに混ぜ溶かしてしまうことにする。
あれは器の角に垂直に押し出すようにして出さないと、見た目を損なうのである。
ちゅるちゅる。・・・まいうー♪
飲み込んだあとに頭と胸にチリチリ感が漂うのがたまらない。
明らかにところてんが主ではなくなっている。
からしを味わうことが主だ。
からしを食するために、今後は何を食べようか。
おでん、しゅうまい…うーん、脳がからしにやられて思い浮かばない。
しかし、こんな風にからしによってイメージを膨らませられる。
それこそ豊かである証ではないか。
ダイエットもこうなってくると楽しい。
これを書きながら、ところてんに胡麻を入れ忘れたことに気づいてしまったが、
それは次回に食するときまでの楽しみにとっておこう。
同じところてんでも、びみょーな違いを味わえるぞ。
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