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天心VSメイウェザー

前日計量での体重差は4.1キロ。
1階級しか違わない。
62.1キロはスーパーライト級に相当する。
一方のメイウェザーは前日計量で66.7キロ。
彼が主戦場とするウェルター級のリミットは66.8キロだ。
那須川天心は普段、57.15キロを上限とするフェザー級で戦っている。
実質的には4回級も体重差がある選手同士の試合だった。

スーパーライト級の上限は63.5キロ。
改めて言うまでもなく、体重差は大きなアドバンテージとなる。
だからボクシングに限らず、階級制の競技では制限体重の上限ギリギリを目指して減量をする。
つまり、スーパーライト級の選手がリミットよりも1.4キロも軽い62.1キロまで落とすことは通常あり得ない。
前日計量の結果で、1階級しか違わないというのは、数字のマジックに過ぎない。

気まぐれなメイウェザーのことだから、当日のドタキャンも充分に想定できた。
普段の言動はともかく、彼は50戦無敗のボクシング元5階級制覇王者だ。
非公式戦とはいえ、日本で試合をしてくれるとは夢にも思っていなかった。
自前のラッパーの歌声に乗ってリングインしたときは、鳥肌が立った。
メイウェザーが本当にきてくれたのだと。

試合展開は大方の予想を、良くも悪くも裏切った。
メイウェザーが初回からパンチを打ってきた。
天心のパンチをフルラウンドかわすのではなく、自ら攻撃を仕掛けた。
果たして天心は、為す術がなかった。
軽く当てただけに見えるパンチで、何度もリングに転がった。
必死に立ち上がるも、最初のダウンから足にきているのは明らかだった。
1ラウンドで3度のダウン。
TKOで敗れた。

私も天心に期待した一人だが、完全にミスマッチだった。

まるで豆力士が現役の横綱に弄ばれているかのようだった。
グローブハンデをつけたにもかかわらず、軽いパンチで天心は吹っ飛んだ。
ボクシングが17もの階級に細かく分けられている理由を思い知った。
天心はキックボクシングのチャンピオンだが、ボクシングでは素人。
それが4階級も上のスーパースターにボクシングルールで挑んだ。
平成最後の大晦日に、見てはいけないものを見てしまった。
非常に後味が悪い試合だった。
唯一、事故が起きなかったことだけが救いだった。

階級制に対する冒涜

「確信犯だ」
「ボクシングの根幹を否定する愚考だ」
「重いペナルティーを課すべきだ」
「山中があまりにも不憫でならない」
神の左を持つ男こと山中慎介が雪辱を期して臨んだルイス・ネリとのリベンジマッチ。
バンタム級のリミットまで体重を落とせなかったネリは、WBCのタイトルを試合前に剥奪された。
結果は既報のとおり。
減量の苦しみを逃れ体調万全のネリは、山中を全く寄せ付けなかった。
日本中のボクシングファンがネリを痛烈に批判した。

ネリの失態からわずか1ヶ月半。
あろうことか、日本人ボクサーが彼と同じ轍を踏んだ。
WBCフライ級王者として、三度目の防衛戦に臨むはずだった比嘉大吾がベルトを剥奪された。
前日の計量でフライ級のリミットを900グラムオーバーした。
日本人の世界チャンピオンが体重超過でタイトルを剥奪されるのは初めてのことだ。

世界戦の体重超過など、日本人とは無縁の対岸の火事だと高を括っていた。
だからこそ、ネリ対して日本中のボクシングファンが容赦ない批判を浴びせた。
まさか日本人ボクサーが体重超過の過ちを犯そうとは。
その選手の国籍に拘わらず、過ちは過ちとして厳しく罰する必要がある。

ボクシングはときに致命的なダメージを負うスポーツであるため、他の競技よりも試合数が各段に少ない。
世界チャンピオンともなれば通常は年間2試合、多くてもせいぜい3試合だ。
つまり、4ヶ月から6ヶ月のスパンで試合を行う。
比嘉大吾が2回目の防衛を果たしたのは2月4日。
たった2ヶ月強の間隔で試合を行ったことに、無理があったのだと思う。
ただでさえ、比嘉は減量に苦しんでいたという。
常識よりも極端に短いスパンの中で減量に取り組んだことでンディションに歪みが生じ、連勝と連続KOが15で途切れた。

体重超過を犯した選手には1年半の出場停止と、ファイトマネーの全額没収を課すべしと山中―ネリの直後に書いた。
1年の出場停止は実質1試合の停止にしかならないから、甘いと述べた。
また、体重超過を犯した試合を統括した団体だけでなく、出場停止期間中は主要4団体全てのリングに上がれないようにすべきだと記した。
そして今回、リミットを守れなかった階級では二度と試合ができないようにすべきであるとの意見を加える。
もちろん比嘉大吾も、フライ級のリングには二度と上がるべきではないと思っている。

第9ラウンドの途中、セコンドがレフリーの肩をポンポンと叩き、比嘉の敗戦が決まった。
何とも複雑な心境に陥った。
仮に比嘉がこの試合に勝ったとしても、そして16連続KOの日本記録を達成したとしても、心からは喜べなかったであろう。
こんなに後味の悪い試合は二度と御免だ。
村田諒太がスッキリとKOで勝利してくれたけれども、心にかかった霧は少しも晴れない。

午後8時試合開始。
その日の朝刊で確認した。
毎週木曜日は筋トレの日。
いつもは筋トレ後に、マッサージチェアに身体を預け、マッタリしてから帰宅する。
この夜はマッサージチェアに腰を下ろすことなく、筋トレが終わるや家路に着いた。
神の左を持つ男こと、山中慎介のリベンジマッチを観るために。
それでも、帰宅したときには8時を10分ほど回っていた。
息を切らせながら階段を駆け上り、急いでテレビのスイッチを押した。

想定外の光景が目に飛び込んだ。
悔し涙で目を真っ赤に腫らした山中が、リングから降りてくるところだった。
画面の左上に、王座返り咲きが叶わなかったことを示すテロップが浮かんでいた。
こんなにも早く試合が終わろうとは、予想だにしていなかった。

試合前日の計量で、山中の対戦相手ルイス・ネリはバンタム級のリミットまで体重を落とせなかった。
一回目の計量ではリミットの53.5kgを2.3kgも上回る55.8kg
この体重は2階級上のフェザー級に相当する。
2時間後に行われた2回目の計量でも、1.3kg超過した。
ネリはその場でWBCバンタム級のタイトルを剥奪された。
山中が勝てば王座返り咲き。
それ以外のケース、すなわち引き分けかネリが勝った場合は、王座は空位のままとなる。

ボクシングでは体重超過があっても、試合が中止になることはまずない。
興行主に多大な損害を被らせないための配慮であろう。
違反者側にも、ファイトマネーがそのまま支払われるケースが多い。

言うまでもなく、ボクシングは階級制のスポーツで、体重超過は根本的かつ重大なルール違反だ。
にも拘わらず、興行面を重視して試合をそのまま行うのは、ボクシングの根幹を否定する行為ではなかろうか。
違反者の方が圧倒的に有利なのだから。
減量に伴い、脂肪ばかりではなく筋肉も削られる。
しかし、体重超過者は筋肉の減少幅を少なく抑えられる。
山中がコンディションをギリギリに保ちつつリミットまで落とした一方で、厳しい減量を回避したネリは万全のコンディション。
体重超過があった場合は試合を中止にして、損害金は団体(今回はWBC)が補填すべきなのだ。
当然ながら、違反者のファイトマネーは全額没収とする。

真面目な方が馬鹿を見る現状は、誰が見ても理不尽だ。
タイトル剥奪だけでは甘すぎる。
試合を中止にした上で、ファイトマネーは罰金として全額没収。
さらに出場停止処分も課すべきだ。
ボクシングは年間に2〜3試合ぐらいしかできないから、1年間の停止では物足りない。
1年間の停止は、実質1試合の出場停止にしかならない。
最低でも18ヵ月の出場停止とし、その間は主要4団体全てのリングに上がれないようにすべきだと思う。
ボクシングの根幹を否定する体重超過は、厳しく罰せねばならない。

タイトルを剥奪されるにも拘わらず、体重超過の罪を犯す者が後を絶たないのは何故だろうか。
キャリアに傷を付けないためだ。
ボクシングは他競技に比して試合数が少ないため、一つの敗戦がキャリアを大きく左右する。
たった一つであっても、負けの意味合いが他のスポーツよりも重い。
だから、コンディションを大きく損ねてまで減量して試合に臨み敗れるリスクを冒すよりも、体重超過を選択する。
失うものは、負けたときの方が圧倒的に大きい。
罰則が軽過ぎるから、逃げ得を選択する者が次から次へと現れる。

その負けっぷりは、かつてリングスを主戦場としていたディック・フライを想起させた。
大晦日に行われた格闘技イベントRIZINでの女子スーパーアトム級トーナメント決勝。
ベルトこそまだ巻いていないものの、絶対女王と称され優勝候補筆頭のRENAが敗れた。
三度目のタックルを凌ぎ切れず、バックを支配された彼女の首に浅倉カンナの腕が蛇の如く絡み付いた。
チョークスリーパーがガッチリと決まった。
抜け出す術はなかった。
RENAは女子格闘技界エースの意地を見せ、タップこそしなかったが意識を失った。
大番狂わせ。
三度目のタックルでテイクダウンを成功させ、グラウンドの展開に持ち込んだレスリングをバックボーンとする浅倉がシュートボクシングをバックボーンとするRENAを手玉に取った。

90年代前半、前田日明が興したリングスでディック・フライは破壊力満点の打撃を武器に猛威を奮っていた。
彼はオランダ出身で、元来はキックボクシングの選手。
圧倒的なラッシュで強豪選手を次々と撃破し、一躍スターダムにのし上がった。
最盛期にはWOWOWのイメージキャラクターに抜擢された。

強力な打撃を持つ一方で、グラウンド技術の拙さは最後まで改善されなかった。
倒されると、ほぼ何もできなかった。
だから一方的に打撃で圧倒しながらも、逆転の寝技に屈することが少なくなかった。
当時はロープエスケープが認められていた。
フライはテイクダウンされただけで怯えた表情を浮かべ、ピンチであるなしに拘わらず即座にロープを握った。

打撃出身の選手がグラウンドの攻防を苦手とするのは、ある意味当然と言える。
練習や経験を積んで克服する意外に道はない。
ロールモデルはミルコ・クロコップだろうか。
浅倉カンナが序盤で仕掛けてきた一度目のタックルを腰の強さでどうにか凌いだ様はミルコを彷彿させた。
グラウンドに対する意識および素地は低くないようだ。

女子格闘技界にも次々と新星が登場し、RENAもうかうかしていられないだろう。
負けが込むようだと、エースの称号は容赦なく剥奪される。
RIZINで連勝街道を突っ走ってきた彼女だが、これまでにも背後に回られる危険な場面が何度か見られた。
人は負けることで強くなる。
女子格が注目を浴びるようになったのは、間違いなくRENAの功績だ。
この敗戦を糧にして、是非とも這い上がってきてほしい。

日本人にとって、ミドル級の壁はやはり高かった。
ロンドンオリンピック男子ボクシング75㎏級金メダルリストの村田諒太(帝拳)をもってしても、世界チャンピオンの座を掴むことは叶わなかった。
5月20日()に行われたWBA世界ミドル級王座決定戦の採点結果が、物議を醸しているようだ。

アッサン・エンダム()が試合の序盤を支配していたのは、誰もが認めるところであろう。
村田は作戦通り様子見に徹し、手数は極端に少なかった。
潮目が変わったのは第4ラウンド。
カウンター気味の右ストレートで奪ったダウンをきっかけに、村田の攻勢が始まった。

4ラウンドから7ラウンドにかけては、村田が試合の主導権を握っていた。
とは言え、村田の手数が極端に多くなったわけではない。
また、エンダムにしても防戦一方に陥ることなく、打たれた後には必ず、危険な香りのするコンビネーションブローを繰り出していた。
とりわけ第5ラウンドは、村田の右ストレートも当たっていたが、危ないパンチを結構もらっていたように見えた。

8ラウンドから12ラウンドは、逃げるエンダムを村田が追いかける展開が続いた。
試合後半になるとエンダムは、村田が放つ右ストレートのタイミングを掴んだようで、まともに被弾することは少なくなった。
また、右ストレートを打つ間合いを作り出せなくなった村田の手数は、再び少なくなった。
左ジャブや左右のボディーに活路を見いだそうとしたようだが、決定的なダメージは与えられなかった。

果たして、採点の結果は1―2のスプリットディシジョンで、エンダムに軍配が上がった。
エンダムの名前がコールされた瞬間、村田は呆然とした表情を見せ、新たなヒーローの誕生を信じて疑わなかった観客や視聴者は仰け反り返った。
そして時をあけずして、ネット上では「疑惑」の採点に関する熱い議論や批判が始まったのだった。

村田の右ストレートは破壊力満点で見栄えこそ良かったものの、そのほとんどがガードの上を叩いていた。
エンダムも手数では圧倒していたが、5ラウンドを除いては村田の高いガードに跳ね返されていた。
共に有効なクリーンヒットが少ない状況で、いずれかに採点を割り振らねばならないとしたら――現在の採点基準では、どんなに拮抗したラウンドでも、優劣を付けることが求められている。

村田が全般を通して試合を支配していると、テレビの実況は何度も言っていた。
最終ラウンド終了のゴングが近付くにつれて、そういった主旨の発言が多くなり、大差の判定で村田が勝利すること間違いなし的なニュアンスの言葉も頻繁に聞かれるようになった。
「お互いに有効打が少ない試合では手数が優先されるケースも少なくないから、あまり視聴者を煽り過ぎるのは危険なんじゃないの」――私は視聴者を洗脳するような実況を憂いつつ、村田が勝つにしても、僅差の判定になるだろうと思っていた。

WBAの会長までもが、判定を疑問視しているそうだ。
しかし、これまでにも手数優先の採点はしばしば見られたことである。
私は、問題視するような採点だとは思っていない。
村田の大差判定勝ちを視聴者に刷り込むような実況がなければ、騒ぎはここまで大きくはならなかったように思う。

WBAの会長が再戦を指示した一方で、村田は今後について明言を避けているという。
もし再びエンダムと拳を交えるのだとすれば、武器の右ストレートを更に進化させる必要がある。
今は相手から見て、左斜め前の角度からテンプルにしか放てない右ストレートを正面からも打てるようにならねば、また同じ結末が繰り返されるであろう。
願わくば、山中慎介(帝拳)のような、ガードの隙間をこじ開けるストレートをマスターしてもらいたい。
体格的に日本人には難しいとされるミドル級で頂点に立つには、最大の武器のレベルを神の領域にまで高めねばならない。

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