参院選=クーデターをめぐる最大の攻防
2016年7月の参議院選挙は、自民党改憲案に基づく専制政府樹立を目指す改憲クーデター勢力と、戦争法の廃止を目指す人々との攻防の大きな焦点になっています。
すでにクーデター勢力は、国家安全保障会議(日本版NSC)によって政府の決定権限を少数のクーデター派閣僚に集中させ、自民党内部のリベラル派を屈伏させ安倍総裁の挙党一致の無投票再選を実現しました。また、戦争法の審議の過程では、政府の恣意的な憲法解釈による立法を国会に認めさせるという既成事実を作り上げました。
NHKのトップに仲間を送り込む一方、「報道の中立」を口実にしたマスコミへの脅しによって、多くのマスコミが政府批判をためらう状況も生み出されています。多くの地方自治体(地方政府)が護憲集会への賛同を拒否して、公務員の「憲法尊重・擁護義務」を否定する中央政府への忠誠を表明しています。
クーデタ勢力は今、場合によっては衆参同時選挙に踏み切ることによって議席を積み上げ、一挙に国会の改憲発議から国民投票に持ち込もうとしています。改憲が実現すれば直ちに「緊急事態」の宣言による国会の空洞化と独裁、基本的人権の停止が現実になるでしょう。
もはや、クーデター勢力の前に立ちふさがるのは、「戦争法反対」を訴えて立ち上がり、参議院選挙における与党の敗北をめざす人民の存在のみとなっています。
アベノミクスの破綻が始まった
一見順風満帆に見えるクーデター勢力ですが、現実には追い詰められ危機的な状況です。
安倍政権への支持の多くは、かつてのヒトラー政権がそうだったように、アベノミクスと称する経済政策によって日本経済が回復するという虚構によるものでしょう。
しかし、アベノミクスの内実は、「異次元の量的・質的金融緩和」と称する紙幣大増刷政策、インフレ誘導=低賃金化と大衆増税による大衆のいっそうの貧困化、公共投資拡大による一時的景気拡大でしかありません。確かにアベノミクスの結果、巨大資本の利益は大幅に拡大しました。しかし、その資金は新たな生産投資や賃金引き上げではなくマネーゲームに向かい、株価は上がりましたが日本経済全体の回復とはなりませんでした。
12月に黒田日銀総裁が行った量的・質的金融緩和の強化策は、日本の株価上昇にもドル高・円安にも結びつきませんでした。金融緩和=紙幣増刷による経済拡大というアベノミクスの主軸の破綻が現実のものとなったのです。
現在の資本主義の危機は、マルクスが『資本論』で明らかにした、作っても売れないという過剰生産力、過剰資本の危機です。アベノミクスは、貧困と経済格差の拡大によって大衆の消費能力を切り下げ、過剰資本の危機をいっそう拡大しています。レーニンが『帝国主義論』で明らかにした過剰資本の危機が世界戦争を生む出すという過程が現実のものになろうとしています。
戦争挑発による国民統合
2016年前半、アベノミクスの破綻が誰の目にも明らかになり、貧困と経済格差拡大がこれまで以上に進めば、幻想の上に築かれた安倍政権への支持率は急落するでしょう。7月選挙による議席拡大から改憲発議というクーデター勢力の目論見も困難になります。
歴史の中で、支持低下に悩んだ多くの政府が対外緊張の拡大によって愛国心をあおり立て支持回復を目論んできました。クーデター勢力もまた同様の手法に走る危険は大きいと私は考えています。「戦争法」はその手段を与えていますし、安倍政権の中で元自衛隊制服組の存在感と発言権が拡大していることや自衛隊に対する文民統制を解体したことも、そうした可能性を示していると思います。
例えば、釣魚台諸島(日本名・尖閣諸島)の領有をめぐって意図的に中国との間の戦争的緊張をあおり立てることです。かつて米国政府がした「トンキン湾事件」のような軍事的衝突をねつ造して、日本の市民の間に愛国心と中国に対する蔑視・差別意識をあおり立て、安倍政権に対する支持を生み出そうとする可能性は決して低いとは言えないでしょう。テロ事件を利用して社会防衛主義をあおり立てることもありうるでしょう。
一時的にせよ、日本全体を席巻するだろう愛国心や排外主義の嵐に対抗するためには、事前に今からそうした攻撃の可能性を認識し、警戒していくことが必要です。
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安倍晋三の目論見通りさせない勢力が、粘り強く活動していることも念頭に置きたいですね。
2016/1/1(金) 午後 8:38