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7月23日付の毎日新聞によれば、与党は、悪質訪問リフォーム被害対策を名目に、「被害者がだまされたことを分からなくても、だまそうとする行為をくり返せば」罪に問うという「不特定多数詐欺着手罪」(仮)の新設を検討中である。「悪質な訪問勧誘のほか、「おれおれ」などの振り込め詐欺も、偽電話を続けただけで摘発対象とする」としている。「公明党内で論議されており、近く自民党と内容を協議。野党にも呼びかけて超党派の議員立法を目指す」「公明党は月内にも対策素案をまとめて自民党と調整し、政府に提言。詐欺着手罪の法案は次期国会への提出を目指す」という。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20050723k0000m010157000c.html
悪質業者の取り締まりというが、これは事実上あらゆる労働運動や市民運動、宗教活動、企業活動に従事する市民を犯罪者にしたてあげる新たな形の共謀罪と言わなければならない。
詐欺罪の場合、それが成立するためには(構成要件)、1) だます行為(欺罔(ぎもう))、2) それによって被害者が誤った判断に陥り(錯誤)、3) 財産を処分する、ことが必要である。しかし、口実とされているリフォーム詐欺では、被害者が高齢者などであるためその錯誤の立証が困難であるとして、「不特定多数詐欺着手罪」の新設により、2)以前の段階で犯罪としようというものだ。
しかし、「だます行為」とは虚偽の事実を伝えること要するに嘘をつくことである。確かに嘘をつくことは道徳的には非難されることだろうが、嘘をついたことのない人間がいるだろうか。これのみでは、すべての人間が犯罪者ということになる。
したがって、ある程度の要件が付け加えられるだろうが、多少の要件が付け加えられたとしても、「不特定多数詐欺着手罪」の投網的弾圧法、すべての市民を犯罪者視する反動性は解消されない。
詳細がまだ公表されていないため、推定になるが、労働運動や市民運動が、企業批判や政府批判などを行ってカンパなどを呼びかけた場合、その内容が虚偽とされた場合、カンパの有無にかかわらず、呼びかけた段階で取り締まられる可能性が高い。
宗教活動もほとんどが対象となる可能性がある。例えば、○○天神が、お守り売り場の脇に「受験合格に霊験あらたか」などと書けば、お守りを売るという経済的利益のために「お守りを買えば合格する」という虚偽の事実を不特定多数に伝えたということで、正面から「不特定多数詐欺着手罪」に抵触するだろう。通常、これらの宣伝が詐欺とならないのは、「お守りを買えば合格する」と思う人物がいないため詐欺の構成要件の「錯誤」が存在しないからであるが、「錯誤」の構成要件を外してしまえば、経済的利益のための虚偽の事実の公表のみが残るからだ。
現世利益を訴えて拡大してきた創価学会を基盤とする公明党が先頭で推進しているのは皮肉だが、このような新たな形の共謀罪には、検討段階からきっぱりと反対していこう。
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